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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら五泊目

1 :冒険の書庫の書記代理 :2005/12/17(土) 22:49:59 ID:wtVzywQO0
ここは
「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」
ということを想像して書き込むスレです。
小説形式、レポ形式、一言何でも歓迎です。

前スレが容量制限で書けなくなったため立てました。

前スレ
「もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら四泊目」(容量制限落ち)
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1128780044/

過去スレ
「もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら三泊目」
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1122390423
「もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら二泊目」
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1116324637/
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1110832409/

まとめサイト
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」冒険の書庫
http://www.geocities.jp/if_dq/
※最近更新してない…書庫の中の人捜索中

80 :オリジ ◆8Ntuwr18d2 :2005/12/26(月) 00:56:16 ID:4/Ef29UiO
>>79続き

そうだ・・・!
俺は左手で腹をおさえながら、なんとか檜木の棒を右手に持って前へと突き出した!
「ピキィィィ!!!」
甲高い音が響く──。
ゆっくりと目を開けると青いプルプルが棒に貫かれ痙攣している。どうやら倒せたようだ。
一体全体この世界はどうなってるんだ、あんな奴が襲ってくるなんて予想もしていなかった。
これでは無事に帰るどころか、生きていられるのかも危うい。
なんとか生きる術を見つけなくては──、そう思っていると向こうに青い影の一団が見えた。
プルプルだ・・・!仲間の断末魔につられたのか、それともピクニックでもしてるのか、どちらにしろかなり不味い。
先程のダメージのせいかまだ身体が思うように動かない。せいぜい這って逃げるくらいだ。
あぁ・・・俺の人生はここで終わるのか──。
Good-Bye俺、そしてまだ見ぬ世界。

81 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/12/26(月) 00:59:36 ID:Qa/UpIhA0
ローディ氏GJ!
エテポンゲやばいよエテポンゲまじで男前だよエテポンゲ

82 :オリジ ◆8Ntuwr18d2 :2005/12/26(月) 00:59:48 ID:4/Ef29UiO
>>80続き

「お気の毒ですが冒険の書は消えまs」
「なにをブツブツ言ってるんだ?」
「!?」
驚いて目を開けると、そこには金髪の青年と、あの青いプルプルの死体が積まれていた。
どうやら俺は助か・・・助けられたらしい。
「危なかったな、いま回復してやるぞ」
そういうと青年は俺に手のひらをかざして何やらブツブツ唱え始めた。
「ホイミ!」
青年がそう言うと、俺の身体が暖かい光りに包まれ、腹部の痛みは綺麗に消えていった。
「うわ!?」
「なにを驚いてんだ、ただの魔法だろ?」
その青年は見た感じ16、7歳といったところか、俺と同い年ぐらいだ。
ツンツンした金髪に精悍な顔付き、真っ赤な服を着て、手には抜き身の長剣を持っている。
「大群で出てくるとスライムでも厄介だからな、魔法かなにかでさっさと倒したほうがいい」
「いい?ウィンガーディアムレビオーサ。あなたのはウィンガーディアムレビオサー」
「ど、どうした?」
「・・・いや別に」
グランエスタードとかスライムとか魔法とか、意味不明な単語ばっかりでてくる。
まじで厄日だ──。

83 :オリジ ◆8Ntuwr18d2 :2005/12/26(月) 01:02:31 ID:4/Ef29UiO
>>82続き

「・・・とにかく、助けてくれてありがとう。危なく訳の分からないまま死ぬところだった──」
俺は膝に手をついて起き上がると、背筋を伸ばして軽くお辞儀をした。
「いや、別に気にしなくていいさ。助け合いはマナーみたいなもんだ」
「なぁ、あんたの名前を聞かせてくれよ」
「ん?名前は・・・」
「いたぞっ、おいっ!あの木の下だ!!」
突如として後ろから大声が響いた。
「やべ!ルーラ!!」
またも奇妙な言葉が呟かれたと思ったら、青年は青い光に包まれ、一瞬のうちに俺の視界から消え失せた。え?
「オイあんた!!」
今度は真横でバカでかい声が響く。うるせぇ!
見ると近距離で上半身裸の仮面男が立っている、変態!俺の世界にいたら即職質されるぞ!
「たった今、ここにいた奴が何処に行ったか知らないか!?」
呆気にとられたまま俺が首を振ると、舌打ちしてポケットから変な羽を出し空へと放り投げた。
すると、その変態も同じように目の前からいなくなってしまった。は?
あっという間の出来事に頭がついてこない、結局また俺は一人になってしまったのか・・・。
あぁ──西の空に太陽が沈んでゆく。この世界にきて初めての、夜を迎えるんだ──。

84 :オリジ ◆8Ntuwr18d2 :2005/12/26(月) 01:04:22 ID:4/Ef29UiO
>>83続き

俺は近くの木の下で野宿することにした。
落ちている木の枝をかき集め、焚き火をするかのように木を組む。
「あとは火種だな・・・、打ち付ける金属かなにかがあれば・・・」
なにかいいものは無いかと懐をあさってみたが特になにも無い。
・・・仕方ない、時間はかかるかもしれないが摩擦熱さまに頼るとしよう。
乾いた太めの枝のくぼみに檜木の棒を当てがい、手を痛めないようにマントで包む。
悪戦苦闘の末、なんとか焚き火を完成し、火にあたっているうち、俺は深い眠りへと落ちていった・・・。

──俺が生きてきた人生分以上の驚きを今日一日で得たかもしれない。
なにもかもが初めての世界をなんとか一日過ごしたが、明日も無事に終わるだろうか・・・。
明日は一体どんな驚きが俺を・・・いや・・・、願わくば明日の驚きは自分の世界へ帰れた驚きでありますように──。
自分のベッドへ──

Lv1
HP:12/12
MP:0
武器:檜木の棒 鎧:旅人の服

85 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/12/26(月) 02:05:38 ID:DjGbkldP0
>>ローディ
激しく乙
エンディングは近い?のか
いつもながらホント面白く、そしてウマイな

新人のオリジ氏もガンガレ

86 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/12/26(月) 12:51:38 ID:wixo9RWI0
エテポンゲかっこいいよエテポンゲ

金髪逆毛の赤服ってあの振り回すアレのアレしか思い浮かばない

総長や4の人の続きを年内に見ることはできるかな
遭難してる人もいるだろうから無理かな

87 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/26(月) 19:34:47 ID:Vi5QaZ2S0
翌朝。
あの布団のふかふか感、パジャマの心地よさにいつまでもくるまれていたかったが、女官に起こされ現実に戻された。
今日はエンドールへ行く。王からはすでに手配済み。このまますぐにでも行ける。
「気をつけてな」
と笑顔をたたえて手を振る王は王ではなく一人の父としてしての顔だ。
アリーナは行ってきますと笑顔で返した。
ブライはぶつぶつ不満を言いながらも王の命なら仕方あるまいと自問自答し納得していた。
クリフトは久々に牧師と会話し楽しかった、と晴れ晴れした顔でいた。
城を出て、ブライのルーラで一瞬にしてエンドールへの祠につく。
兵士がこちらを見るなり、王から命を賜っております。どうぞお通り下さいと最敬礼した。
「大儀」
とアリーナは短く答え、祠内部へ入ってゆく。
「ああ、これは!この青い光、渦巻き…まさしく旅の扉!なんて神秘的な…感動です!」
一人感動に浸るクリフトを放っておき、渦巻きの中心へと足を踏み入れる。
瞬間、自分の体がぐにゃりと曲がった感を覚え、自分が自分ではなくなったような面妖な感覚に、これが永遠に続きそうで、恐怖の余り目を開けると、旅の扉の中心にいた。


88 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/26(月) 19:36:54 ID:Vi5QaZ2S0
「…ついたの?」
辺りを見回すとサントハイムの祠とは壁の色が違う。サントハイムの祠は灰色だったが、ここの壁は青白い。
「気持ち悪い」
アリーナとブライとあたし、どうやら旅の扉で酔ったようだ。旅の扉酔い。そんなの日本にいたら味わえないだろう。
「旅の扉を通りました!なんて(ry」
と酔うどころか感動に浸るクリフト君。三半規管が強い。
「さあ、行きましょう!出口は目の前です!」
基地外じみたことを言いながらスタスタと出口に向かい歩いてゆく。
あのテンションうぜぇ…。
ダルさを抱えながら出口を出るとああ、成る程、確かにここはサントハイム領ではない。
サントハイムにはなかった建物が祠の隣に。INNと看板が出てるから宿屋なんだろう。
「少し休まぬか…」
とブライが青白い顔で言うので異議なし。宿屋に入る。
椅子に全体重をかけて腰を下ろす三人。宿主に泊まりますかと聞かれたので休憩させてくれと伝えると飲み物は?と聞かれたので注文し、運ばれてきたものにちょびちょびと口をつけた。
駄目もとでコーヒーを頼むと名前こそ違うもののコーヒーが出てきてクリフト並みに感動してクリフト君は今し方きた旅の扉を見に行くといって出かけた。
コーヒーを楽しみながら喫煙しているところ、宿主が尋ねる。
「お客さんたち、旅の扉からきたのかい?」
「そうですが何か?」
「ここから北にある旅の扉、サントハイム側からはこれるみたいだがエンドール側からはサントハイムへは行けないらしくてね。故障したのかな」
旅の扉って故障するんだ。…んなわけねーべ。
宿屋の奥、寝室の戸が開いた。

89 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/26(月) 19:41:03 ID:Vi5QaZ2S0
身長は185cmばかりあるだろうか。目を引くピンク色の鎧。散々に使い古した感と同時に細かい傷、大きな傷が見受けられる鎧は歴戦の激しさを物語る。
顔は鼻の下に髭を生やしているから老けて見えるが、多分30代後半。日に当たり逞しく日に焼けている。
剣と盾と兜を標準装備。兵士か。
「おお」
と兵士は感嘆を髭に半分隠れた口から漏らし、食い入るようにアリーナを見つめる。警戒したアリーナは何か、と低く声を発した。
「いや…違う。すまない。人間違いだ」
低く渋い声。この声だけでごはん三杯はイケる。
「誰を探しているんじゃ」
ブライがアリーナ同様警戒しながら質問する。兵士は黙認したが、やがて口を開いた。
「…勇者を」
『勇者?』
鸚鵡返しする三人。
「この世を救うという勇者を」
プギャー(^Д^)9m
とはならなかった。なんてったって本気でモノ言っているのだ。中年じみたオッサンが。
「はぁ勇者…そんな話は聞いたことがありませんな」
ブライがおでこから流れる妙な汗をハンカチで拭く。
「そちらのお嬢さんが、勇者かと思ったのだ」


90 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/26(月) 19:44:54 ID:Vi5QaZ2S0
視線が、アリーナを指す。
「わたし?わたしは勇者じゃないわよ。ただの武道家」
「そうか…」
せめてこういうものを探しているのだが存じないかと勇者の写真を提示してくれれば勇者などすぐに見つかると思うのだが。
「突然の無礼、失礼した。私は北国バトランドの王宮戦士ライアン。この通り勇者を探して旅に出ている。もし勇者の噂や所在を耳にしたならば祖国に連絡していただきたい。どんな小さなことでも構いません」
と片膝をついて頭を垂れて自己紹介をするライアンは自称王宮戦士というだけあって作法もできている。
「勇者のことを耳にしたら。わかりました。バトランドへ伝えます」
アリーナは神妙な面持ちで答えた。
バトランドへ報告すればこの流浪の戦士に情報が届くのかは定かではないが、世界を救う勇者がいるというのは確かなようだ。
ライアンは伝えるとまた寝室へと戻ってゆく。
「さて、そろそろ参りますかな。主人、ありがとう」
三人は腰を上げて祠内部で旅の扉の神秘さに感動の余り呆けていたクリフトを呼ぶ。
目指すはエンドール。

91 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/26(月) 21:37:30 ID:AET2Dm5MO
何とかラーの鏡を手に入れ、サマル達を守りきったのだがかなりきつい状況だ。
俺は手持ちの薬草で何とか回復出来たのだがトーマスに薬草を塗り付けてもあまり効果が無い。
それに、サマルとリアがまだ眠っている。今行動を取れるのは俺だけか。

タケ「しゃーない。カタリナからもらったキメラの翼を使うか。なりふり構ってられへんしな。」

確か目的地をイメージして投げるんだよな…

キメラの翼を放り投げた!
タケ「うっ、うわわわわわ…!」
体が宙に浮いた。バンジージャンプで一度飛び降りた反動で浮いてるって感じだ。

すげぇ!俺はついに空を飛んだのか!?

思わずこのポーズをやってみた。
       /⌒ヽ
⊂二二二( ^ω^)二⊃
     |    /       ブーン
      ( ヽノ
      ノ>ノ 
  三  レレ

………………………………………………………最高だお。

VIPPERがいたら絶対に喜ぶだろうな。俺はこの世界の神になるんだお…
だが浮かれているうちに地面に着陸し始めた。
ヤバイって!このスピードじゃ骨折は避けられない!
…っと思ったのだが地上に立つ寸前にスピードが緩くなった。
まぁ無事にムーンペタに着いたのだし良しとしますか。



92 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/26(月) 21:39:19 ID:AET2Dm5MO
早速俺はカタリナを呼び、宿にサマル、リア、トーマスを運ぶのを手伝ってもらった。
カタリナ「もょもと王子。ご無事でなりよりです。そ、それにトム兵士長まで!?一体何があったのです?」
タケ「ああ。トーマスさんがハーゴンの手下のベギラマを食らって何とか生きているが重傷だ。薬草で応急処置をしたのだが…全く効果が無い。」
カタリナ「そ、それじゃあトム兵士長は!?」
タケ「このままじゃ手の打ち様が無い。サマルを無理矢理起こして何とかするが、トーマスさんの体力次第だろうな。」
カタリナ「わ、わかりました!とにかく宿屋へ!」
俺とカタリナは急いで3人を宿屋に運んだ。
タケ「お〜い!サマル。起きろ〜」
サマル「ZZZ…」
ダメだこりゃ。完全に熟睡モードだな。90年代初期にはまった超必殺技をやるか。最強最悪の技を。


タケ「秘儀!電気アンマ!」

俺はサマルの両足を持ち電気あんまをやる態勢を取った。


今から地獄をみせちゃる!


タケ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!」


俺はサマルの股間にマッハ踏み踏みをしかけた。
最初は反応が無かったのだが次第に不気味な笑い声が聞こえてきた。

サマル「くっ…うふふ…あはははは…」

効果は抜群だ!



93 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/26(月) 21:41:07 ID:AET2Dm5MO
サマル「くっ、くすぐったいじゃないか!」
タケ「グッドモ〜ニン!サマル君。良く眠れたかい?」
サマル「全然グッドじゃないよ!」
タケ「ははっ。冗談は置いといて。今真剣にヤバイ状況なんだ。」
サマル「一体どうしたんだい?」
タケ「とりあえずトーマスさんとカタリナさんの部屋に行くぞ。」
寝起きをサマルをトーマス達の部屋に連れていった。
カタリナ「あっ!サマル王子!お願いです!トム兵士長を助けてください!」
サマル「カタリナさん、もょ、一体トーマスさんはどうなっているんだい?」
タケ「薬草で応急処置をしたのだが全く効果が無いんだ。サマルの魔法ならなんとかなるって思ってな。」
サマル「う〜ん…確証は持てないけどやってみるよ。」
タケ「頼む!今頼れるのはお前しかいないからな!サマルならやってくれるはずと俺は確信している。」
サマル「もょがそこまで言うのなら…僕に任せて!何だかやる気が出てきたぞ!」

サマルの奴、テ ン シ ョ ン 上 が っ て き た ぜ 〜!って言う状態だ。


サマル「じゃあトーマスさんの治療に集中したいからもょとカタリナさんは外してくれないかな?」
タケ「じゃあ任せたぞ。」
カタリナ「お願いします。」

俺とカタリナは部屋を出て、それぞれの部屋に戻ろうとしたのだが…
カタリナ「もょもと王子。お尋ねしたい事があるのですが…」
タケ「どうした?」
カタリナ「貴方は…何者なのです?」
タケ「はぁ?」
カタリナ「トム兵士長が私に言っていたのです。もょもと王子が敵の魔法をくらってから性格が別人になったと…」
タケ「ちっ…あかん。そこまで正確に言われたら本当の事を話すわ。」
カタリナ「だ、誰なんです!?貴方は!」
タケ「おっと。あんたらの敵になるつもりはない。逆に味方やで。俺の話を聞いてから判断してや。」
カタリナ「…いいでしょう。」


94 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/26(月) 21:46:50 ID:AET2Dm5MO
タケ「俺の名はタケ。ストレートに言うと別世界の人間や。」
カタリナ「な、なんですって!?」
タケ「気が付いたらもょもとの体の中に俺の意識があったんや。」
カタリナ「どう言う事です?」
タケ「俺が別世界で眠った時に何かが起きたんやろ。俺の人格だけもょもとに入ったんや。つまりもょもとは二重人格になるって訳や。」
カタリナ「…………そんな…………ありえないわ……………」
タケ「そう。確かにありえへん事や。話は変わるけど、俺はもょもとには感謝しているよ。」
カタリナ「えっ!?」
タケ「身知らずな俺を受け入れてくれたんやからな。俺にはその恩義があるんや。仮に他の人間の意識に入ったら忌み嫌われる存在やと思うねん。」
カタリナ「そうだったのですか……………すみませんでした。タケ殿。変に疑ってしまって…」
タケ「別に構へんよ。理解してくれただけでも十分感謝しているで。ただし、俺からもお願いがあるわ。」
カタリナ「何でしょうか?」
タケ「俺の事はサマルやリアには知らさないで欲しいねん。もょもとの名誉に関わる事やからな。」
カタリナ「それなりの理由があるのですか?」
タケ「ああ。何だかんだ言ってもょもとはロトの子孫だし、今の状態でリーダーシップを張れるのはもょもとしかいない。成長スピードもかなり早いしね。
   俺は影でサポートしたら良いと思っているんよ。それにサマルの奴はああ見えてもレイシストやから最悪な場合、パーティが崩壊する可能性があるからな。」
カタリナ「………わかりました。サマル王子達には内密にしておきましょう。」
タケ「助かるわ。トーマスさんにも巧く報告しといてや。今日はちょっと疲れたから休ませてもらうよ。」
カタリナ「じゃあ、おやすみなさいませ。」

俺は部屋に戻ったのだが、急に体が震えてきた。

初めて人を斬った…恐い…

何か…こう…祈祷士の断末魔が頭の中から聞こえて離れない。
ベッドに横になったのだが何か落ち着かない状態だ。
体調が良い悪いは関係なく人を殺したという恐怖で俺はパニくっていた。


その時話し掛けてきたのがもょもとだった。

95 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/26(月) 21:48:31 ID:AET2Dm5MO
もょ「タケ。どうしたんだ?」
タケ「な、何や…もょか…。起きたのか?」
もょ「おれたちをたすけてくれたんだな。まためいわくかけたなぁ。」
タケ「ま、まぁ、気にすんなや。お互い様やないか。」
もょ「それよりもどうかしたのか?ようすがへんだぞ。」
タケ「な、何にもあらへんよ…」
もょ「ウソをつくな。おまえのことはおれがよくわかるよ。」
タケ「えっ!?な、何でや?」
もょ「いっしょにいたらタケのきもちがわかりやすいからな。おれでよければそうだんにのるぞ。」
タケ「そっか…ラーの鏡を手に入れた時にハーゴンの手下と戦ったやろ?」
もょ「そうだったな。おれはねむってしまったんだが。」
タケ「それは別に構へんよ。ただ残酷な殺し方をしたんや。」
もょ「いったいどうやったのだ?」


タケ「あのクソ野郎の首をはねた…」


もょ「なっ……………………………………!」

流石のもょもとも驚きは隠せなかったようだ。

タケ「戦っている時はいかにどう殺すかを想定していたんやけど実際にやった後は満足したんや…これでええねん、ってな。」
もょ「それで?」
タケ「ただモンスターと違って同じ人間を殺したとなると後味が悪いんや…」
もょ「だからなやんでいたのか…」
タケ「ああ…ビッグマウスを言いながらお笑いぐさやで。体の震えが止まらへん…」
俺は自分の辛さをもょもとにぶちまけた。
現実の世界では人を殺すなどは余程の事が無いかぎり他人を殺したりしない。
仮に一般人が他人を殺すとしたら基地害かそれなりの理由がある者しかありえない事なのだ…

96 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/26(月) 21:50:24 ID:AET2Dm5MO
しかし、もょもとはこう返事した。
もょ「タケ、おまえはまちがっていない。」
タケ「えっ!?な、何でや?」
もょ「はんたいにきくが、なぜおまえはそうしたのだ?」
タケ「仲間を守るため。それ以上の理由は無いわ。」
もょ「それでいいじゃないか。」
タケ「け、けど…俺は…人を…」
もょ「まぁ、はなしをきいてほしい。しんだははおやからこんなはなしをきいたことがある。『我が子を守るためなら私は鬼になる』ってな。」
もょ「おれも、ひとをころすなどはきほんてきにできない。しかしハーゴンたちはりゆうはわからないがムーンブルグのひとびとをぎゃくさつしたんだ。
   やっていることはにんげんじゃない。ひとのかわをかぶったあくまだ。」
タケ「…………………………………」
もょ「かりに、タケやサマル、リアちゃんをぶじょくするやつはおれがゆるさない。だいじななかまなんだからな。
   おれたちにきがいをおよばすあいてがたとえにんげんでもまもるためならそいつをさばく。そういうものだろ?」

もょもとは俺にそう言った。偽りの雰囲気は無くこれがもょもとの本音だと俺はそう思えた。
タケ「もょ…」
もょ「ん?」
タケ「…………………サンキュな。お前のお陰だよ。」
もょ「どうしたんだ?きゅうに。」
タケ「悩みが吹っ飛んだよ。お前に相談して正解やったわ。」
もょ「それはよかった。しかしタケ、おまえのけってんがひとつわかったぞ。」
タケ「な、なんやそれ…?」
もょ「おまえはひとりでかかえてなやむタイプみたいだな。ちがうか?」
タケ「……………恥ずかしいけど正解や。」
もょ「それならきがるにおれにそうだんしたらいいじゃないか。きょうだいだろ?」
タケ「そうやな…ありがとう。もょ。」
そこまで見抜くとは。もょもとの第六感は恐ろしい…
反面、もょもとの最大の良い特徴だけどね。



97 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/26(月) 21:51:47 ID:AET2Dm5MO
もょ「それに、タケ。ききたいことがある。」
タケ「どうしたん?」
もょ「サマル、リアちゃんはせんりょくになるか?」
タケ「結論から言うとかなり厳しいわ…今の所やけどな。」
もょ「けっていてきなりゆうは?」
タケ「もょ達が眠っていた時に祈祷士がベギラマって言う呪文を唱えたんや。サマル達の呪文とくらべたら格が違う。」
タケ「呪文が使えない俺が言うのもあれやけど。」
もょ「そうなのか…」
タケ「個人的な意見やけど先行きが不安やで。今はムーンペタに留まって対策を練るべきやろ。」
もょ「さんこうにしておくよ。まずはラーのかがみをつかっておうじょののろいをとかないとな。」
タケ「そやね。」
もょ「めのまえのもんだいをすこしづつかいけつしていこう。かんがえすぎたらしんどくなるからな。」
もょもとは俺そう言って休ませる様にしてくれた。
もょもとがいなかったら俺はこの世界でどうなっていたのか想像はつかない。

これで安心して寝れるようになった。



おおきにな。もょ…



もょもと&タケ
Lv.12
HP:18/86
MP: 0/ 0
E鋼の剣 E皮の鎧 E鱗の盾 E木の帽子 
特技:かすみ二段・強撃・チェンジ・はやぶさ斬り(もょもと専用)・ゾンビ斬り・大防御(タケ専用)


98 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/26(月) 22:05:33 ID:AET2Dm5MO
>>アミ氏
割り込んでスマソ。
>>ローディ氏
乙!エテポンゲがまじ格好良い…
>>魔神氏
続きを読んでみたかったのですが新しいストーリーを期待します。
>>オリジ氏
お互いに頑張りましょう。今後ともヨロシク。
書き込むのは来年になります。職人、住民の皆様…
















良いお年を。

99 :魔神戦争 ◆vNFYAR5c0g :2005/12/27(火) 14:43:29 ID:lZ+p5nnt0
LEVEL2「魔界」

気が付けばどこかの宿屋で倒れていて、外に出れば訳のわからない場所
さっぱり理解できない
「あの、すみません本当にここはどこなんですか?」
とりあえず宿屋の店主に聞いてみることにする
「ここ?ここは・・・・ひぃ!」
いきなり店主が悲鳴をあげ逃げ出してしまった、俺が後ろを向くと


  _, ._
( ゚ Д゚)

変な動物?、よくわからんが羽の生えたサルみたいなのが二匹立っていた
「キキ、人間だ魔界にはめずらしい人間だ」
動物が人の言葉を・・・・ますます理解できん
「キキ、くっちまえ」
するとモンスターが飛びかかってきた
俺はバックステップで攻撃をかわし魔物のがら空きになった顔を右ストレートで
殴りとばす、少しひるんだようにも見えたが大してダメージは受けていないようで
すぐに体制を立て直す
「キキキ、人間のくせに生意気じゃねえか」
また飛びかかってくる羽っぽいのがはえた猿二匹、今度は避けられない!
「キキ、キ・・・・・・・ギャャャャャャャャャャャャャャャャャャヤ」
何だ?俺は閉じた目を開けると、炎に焼かれ丸焼きとなったサルらしき灰を
目の前で見つけた。

100 :魔神戦争 ◆vNFYAR5c0g :2005/12/27(火) 14:58:05 ID:lZ+p5nnt0
俺が呆然と灰を見つめていると突然羽のはえた物体が目の前に降りてきた
「無事か?けがはしてないだろうな?」
あっけにとられながらもとりあえずうなずく
「そうか、それなら良いんだ、それとわしの名はバラモスだ」
「バラモス?」
「どうした?、まだおびえているのか?」
「いや」
俺はすでに落ち着きを取り戻していた
「ここまできたらなにがきても驚かないよ、初めましてバラモス」
「うむ、さっきのはすまなかったな、なんせ食うこと以外は何の役にもたたん
下等生物だったんでな」
「それよりも、なぜ助けた?」
「なぜか?それはお前が魔王軍に必要だからだ」
「必要?俺が?」
「そうだ、お前が必要だ」
「それじゃあ、なぜ俺を選んだ」
「はぁ?」
「なぜ俺を選んだんだ」
「そんなのはわしにとってはどうでも良いが、お前には素質がありそうだからだ
魔王軍に勝利を導く力のな」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「だが、わしにとってはゾーマなどどうでも良いし魔王軍がどうなろうと
わしにとっては退屈しのぎでしかない」
退屈しのぎ・・・・・・・
「俺は、力を得たい新たな世界を作れるだけの力を」
「ならなおさらだ、くるか?」
俺の答えはすでに決まっていた
「もちろんだだ、これからよろしくバラモス」

101 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/12/27(火) 16:29:13 ID:NYjqaLb6O
レッドマン、魔神GJ!!
もょかっこいいよもょ

102 :オリジ ◆8Ntuwr18d2 :2005/12/28(水) 01:02:05 ID:NXf/1ai5O
>>84続き

小鳥のさえずる音で俺は目を覚ます。
駄目だ、残念ながら自分のベッドで起きたいという願いは届かなかったようだ、もう俺にサンタはいないのか・・・。
俺はため息を吐きながら目を擦った、いつのまにか焚き火は消え細く黒い煙が立ち上っている。
今日も歩く、つーかバイクとかねーのか。いやあっても乗れねぇけど。
暫く南へ道なりに歩くと別れ道にぶつかった。
「←関所 グランエスタード→」
OK右ね、右には山がそびえ立ってるよ・・・。
山の下まで行くと、そこには大きく開いた洞窟が俺を手招いていた。
はっきりいって怖い、暗闇は苦手だ、しかも一人でなんて・・・こちとらホラー映画だって駄目だっての・・・。
「・・・失礼しまーす」
恐る恐る中に入ると意外と人の手が入っているのか、所々で燭台が燃え、道を照らしていた。

103 :オリジ ◆8Ntuwr18d2 :2005/12/28(水) 01:03:49 ID:NXf/1ai5O
薄暗い洞窟をぼんやり光る燭台を頼りに進む。
それは決して気持ちの良いものではない、足元はジメジメし、時折ぬかるんで足を取られた。
壁は水滴か、それとも別のなにかか、ヌルヌルとしていて頼りない。
ふいに急に何かが頬をかすめた。背後からバサバサと羽音が聞こえる。
淡い闇に浮かぶ、大きな瞳と白い牙、涎を垂らしながらニヤニヤと笑っている・・・大きな天鼠。
「キィィィイ!!」
目が眩む、頭がグラグラして、何が起きた!?
俺がそれを攻撃されたのだと認識するまで数秒、何かが天鼠を切り捨てるまでが一瞬。
「キ・・・・・・!」
天鼠が地に落ちる。
「大丈夫ですかな?」
低く枯れた声だ、今度は一体なにが起きたというのだろう、いまだ視界がぼやける。
顔を上げると、躑躅色の鎧と兜に身を包み、口元に立派な髭を蓄え、長剣を携えた男が一人立っていた。

104 :オリジ ◆8Ntuwr18d2 :2005/12/28(水) 01:05:27 ID:NXf/1ai5O
昨日といい今日といい、この世界の住人は余程人助けが好きなようだ。
いや、それとも俺の運が良かったのか・・・。なんにせよ二度目の命拾い。
俺は体勢を立て直し背筋を伸ばすと、昨日と同じように軽く会釈した。
「貴方もグランエスタードへ向かっておられるのかな?」
グランエスタード・・・そうだ、確かに俺はそこを目指している。まぁ理由は明確じゃない。
“自分の世界に帰る”その方法を見つけるためになんとなく人口の多そうな所に向かっているだけだ。漠然とした理由。
まぁそんなことを言っても通じないだろう、頭の可笑しい奴だと思われるのがオチだ。
「何故それを?」
「いや、道中に噂を聞きましてな」
「噂?」
「・・・なんでもエスタードのバーンズ王が自分の息子に賞金をかけたらしいですぞ。それ目当ての冒険者に今まで何度も会いましたからな」

105 :オリジ ◆8Ntuwr18d2 :2005/12/28(水) 01:07:48 ID:NXf/1ai5O
自分の息子に賞金て、一国の王様が考えることは理解できねぇww
そんなのおとぎ話でしか聞いたことねーよ。リアルグリム童話乙ww
またその戦士が真顔で言うもんだから殊更可笑しかった。いや命の恩人に言うのもなんだが。
「それで?あんたもその賞金が目的でグランエスタードを目指し─」
そこまで言いかけた時、戦士が急に太刀を抜いたかと思うとソレは俺の頭を掠めた。
あ、なんか髪の量が減った気がする。カッパになってたら訴えてや・・・。
ドサリ、と音がした、振り返ると体の裂けた天鼠が倒れていた。
「・・・仲間の血に惹かれたか、まさに魔物・・・」
暗闇に浮かぶ無数の牙と羽音の合唱は明らかに危険信号を放っている。
「・・・旅の方、あまり長話はせずに早く駆け抜けた方が良さそうですぞ」
戦士はそう言い残したかと思うと一気に駆け出してしまった。
「ちょ・・・!」
俺も慌てて走り出す。

106 :オリジ ◆8Ntuwr18d2 :2005/12/28(水) 01:10:02 ID:NXf/1ai5O
後ろから凄い勢いで天鼠が迫ってくる、糞!どいつもこいつも殺気立ちやがって!
こりゃ捕まったら間違いなく・・・ドン!だな。
・・・いや、ドンて何だドンて、意外と冷静だ俺。
そんなことを考えていたら前方からも不吉な羽音が聞こえてきた。

挟み撃ち──

しかし戦士は戸惑うことなく突っ込んだ、右手に持った長剣をひたすらに振り回しながら。
バババババババッッ!
暗闇で裂音と何かが地面に落ちる音が響く、恐らく天鼠のものだ。
先行する戦士が走った後にはむせ返るような血の臭いが広がった、地面は恐らく朱に染まっているのだろう。
冒険初心者の俺から見てもその戦士の強さは圧倒的で、俺はせいぜい転ばないように走るだけ。
自分の力量の無さについて考えさせられる。
光が見えた、一気に道幅が広がる、良かった、無事に走り抜け・・・。
途端に迫る羽音の数が増した、そうか道幅が広がったから──俺の視界は真っ暗になった──。

107 :オリジ ◆8Ntuwr18d2 :2005/12/28(水) 01:18:01 ID:NXf/1ai5O
以上。
ステータスは前回から変化無し。

Lv1
HP:12/12
MP:0
武器:檜木の棒 鎧:旅人の服

俺テラヨワスwwww

108 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/12/28(水) 21:02:25 ID:nrg9SWt2O
おおっ!新しい職人さんも頑張っているな。
>>レッドマン
良いお年を。ノシ

109 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/12/29(木) 13:37:37 ID:SeQywDJI0
>レッドマン
良いお年を
>魔神
これからまたダークになっていくのかな?

110 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/12/30(金) 04:34:05 ID:r51aOozSO
職人様乙です!

俺も書いてみようとしたけど最高に厨くさいエンディングが先に出来てしまって導入部分で躓いたw

111 :魔神戦争 ◆vNFYAR5c0g :2005/12/30(金) 18:09:41 ID:KjQKRdxn0
俺が呆然と灰を見つめていると突然羽のはえた物体が目の前に降りてきた
「無事か?けがはしてないだろうな?」
あっけにとられながらもとりあえずうなずく
「そうか、それなら良いんだ、それとわしの名はバラモスだ」
「バラモス?」
「どうした?、まだおびえているのか?」
「いや」
俺はすでに落ち着きを取り戻していた
「ここまできたらなにがきても驚かないよ、初めましてバラモス」
「うむ、さっきのはすまなかったな、なんせ食うこと以外は何の役にもたたん
下等生物だったんでな」
「それよりも、なぜ助けた?」
「なぜか?それはお前が魔王軍に必要だからだ」
「必要?俺が?」
「そうだ、お前が必要だ」
「それじゃあ、なぜ俺を選んだ」
「はぁ?」
「なぜ俺を選んだんだ」
「そんなのはわしにとってはどうでも良いが、お前には素質がありそうだからだ
魔王軍に勝利を導く力のな」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「だが、わしにとってはゾーマなどどうでも良いし魔王軍がどうなろうと
わしにとっては退屈しのぎでしかない」
退屈しのぎ・・・・・・・
「俺は、力を得たい新たな世界を作れるだけの力を」
「ならなおさらだ、くるか?」
俺の答えはすでに決まっていた
「もちろんだ、これからよろしくバラモス」


112 :魔神戦争 ◆vNFYAR5c0g :2005/12/30(金) 18:10:27 ID:KjQKRdxn0
とりあえず修正しました。
>レッドマン氏
良いお年を

113 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2005/12/30(金) 23:08:58 ID:TMo7IvHH0
年内にはムリでした・・・
皆さんよいお年を。

114 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/12/31(土) 02:25:33 ID:7RnSo253O
書き手さんたち、お疲れ様でした
これからも無理せず焦らず、頑張ってください
来年も楽しみにしています

115 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/31(土) 15:39:35 ID:4aDujSwl0
風が、変わった。
空に登る雲は風に流されて形を変えながら西、サントハイム大陸へと流れてゆく。
あたしは深呼吸をした。肺に空気がはいってゆく。
新大陸の空気。
とうとうここまでやってきた。アリーナは武術大会出場の夢を実現できるエンドール大陸に降り立ったことに興奮を隠しきれない。
旅の扉があるのはエンドール半島の先端。これから半島を南下して内陸部に入ってゆく。
エンドールへは街道が開けていたし、遠目でも城は望めたのでそれを目標としてひたすら歩く。
途中、魔物が現れた。そこはサントハイムとは違う。
さまよう鎧、死霊の騎士といった戦士タイプの魔物を筆頭に、ポイズンリザード、プテラノドンと既戦のものたち。
蹴散らしてとうとう昼頃、エンドールへついた。
入り口には『ようこそエンドールに!武術大会開催中!』と赤い天鵞絨に金字の文字が踊り、掲げられているのを見、アリーナは更に興奮。ブライやクリフトもとうとうきましたね、と感慨深い。
エンドールは世界一の大都市であると同時に、世界一の王国である。ここと提携を結ぶ国は多く、サントハイムは古くからの付き合いがあるそうだ。
城下町に入れば露天が道の至る所に並んで売り子が元気よく声を張り上げていた。
鼻腔をくすぐり食欲をかきたてる匂いは食堂から。
武術大会という大きな催しものがあるためか人、人、人の大混雑。
様々な目新しいもの、珍しい食品、そこかしこで披露する踊りやマジックショーと見て回りたいと誘惑はあったがそれはまた後。
まず戦闘で空腹だったので腹を満たしてから武術大会の手続きをとあたしたちはエンドール城へ登った。
手続きはエンドール城内のコロシアムで行えるが、こちらには一国の王女がいる。まず挨拶するのが先だろう。
事情を話すと兵士が誘導し、謁見の間へと通された。


116 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/31(土) 15:42:12 ID:4aDujSwl0
「よくきたアリーナ姫よ!そなたの父王から話は聞いた。武術大会に出たいそうだな。話は通してある。いつでもコロシアムへ行っておくれ!」
とエンドール王は立ち上がりにこにこと笑顔を作りアリーナの手を握った。
アリーナは手を握られながらも王の隣で玉座に座る娘をみていた。
アリーナとは大してて年齢が変わらないように思う。スワロフスキーが散りばめられた絹のドレスを着込み、頭には黄金の冠。エンドール王女とは一目でわかるが、整った顔は青ざめて、大きい目をふしどる長い睫は下を向いていた。
「あの…。彼女は?何か具合が悪いのですか?」
「ああ…娘のモニカか。具合は悪くはないのだが、今機嫌が悪いのだ」
「それは、お父様のせいですわ!」
モニカはか弱い声を張り上げ、白い陶器のような肌に涙が零れた。
「お父様は、この武術大会の優勝者の賞品にわたくしにすると公言したのです。どうして好きでもない人と結婚できましょう」
怒りを露わにし、王に食ってかかるモニカ。綺麗な人は怒っても綺麗だ。
「そうですよね、何のための結婚でしょう」
と頭を垂れ、片膝ついてあたしの隣にいるクリフトがぼそりと呟いた。


117 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/31(土) 15:45:53 ID:4aDujSwl0
「…そうですわ、優勝者が女性なら無理な結婚をしなくてすみます。アリーナ様、どうか勝ってくださいまし!自由に生きているあなたを羨ましく思いますわ」
「すまない…。モニカ。アリーナ姫。わしからもお願いする。言ってから後悔してるのだよ」
王は再度アリーナの手を握った。
大臣は武術大会優勝候補にデスピサロなる流れ者が人間とは思えない早業で残忍に虐殺し、もはや武術大会ではなくただの殺し合いになっていると悲痛そうに漏らした。
それが決勝、最後の対戦相手。
決勝戦は幾度となく行われたが最後の砦、デスピサロと戦闘した対戦相手は死に、及び重傷。このままだと大臣の言葉のようにただの殺し合いになると見切りをつけた王は、今度の決勝で大会優勝者を決める。
たとえ貧しい出身であっても力さえあれば王家に入れれば金の心配はなくなるし、若く綺麗な娘を嫁に出きるならと男性ばかり武術大会へ出場。女性の参加は皆無に等しい。
ブライは自分たちで身勝手なことを言っておきながら一国の王女に勝てとはどういうことだと怒り心頭。しばらくは近づかないほうが身のためである。


118 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/31(土) 15:47:04 ID:4aDujSwl0
「そんなの私が勝てばいいことでしょ?最初から勝つつもりできたんだし。デスピサロなんてギッタンギッタンにしてやるわ!腕が鳴る〜」
とアリーナはいつもの調子だ。
それでは今日はもう休むことにしましょう。これだけ人がいますと宿が飛び込みで泊まれるか心配ですからね。また明日、コロシアムに行くとしましょうとクリフトが提案した。
城からでると既に夕刻。宿に行き、休むことにした。


119 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/31(土) 15:51:16 ID:4aDujSwl0
皆さんよいお年を。

120 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/12/31(土) 18:04:05 ID:SuEU4Gb10
>>119
いよいよ武道大会、楽しみになってきましたねー

職人のみなさん、住民のみなさん
よいお年を!

121 : 【末吉】 :2006/01/01(日) 02:35:30 ID:B1DDtvMw0
あけおめ
職人さんたち今年もよろしく

122 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/01/03(火) 16:07:58 ID:gB2es0iBO
保守

123 :オリジ ◆8Ntuwr18d2 :2006/01/04(水) 00:32:14 ID:BGCsevfEO
>>106

柔らかいベッド、なんとなく覚えがあるような気がする、何故・・・?
木の天井に部屋───、そうだ。此処は昨日俺が放り出されたあの宿屋によく似てるんだ。
まさか──、また?また違う世界にでも放り出されたのか???
霞む視界の隅で机を拭いている女性──。

「ここは・・・一体?」

「ここはグランエスタード、その城下町よ」

グランエスタード。どうやら元の世界・・・・・、元の世界?違う、別に何処で目覚めようが俺の世界じゃなきゃ意味が無い。

「なにキョロキョロしてんのよ気持ち悪い」

ハハハ――、気持ち悪いってさ――――――。
・・・冗談ぽくても女の子に気持ち悪いって言われるとヘコむおorz。
しかし、俺は一体どうなったんだろう?
俺が詳しい話を説明してくれるよう頼むと、彼女は机の掃除をやめて面倒臭そうに話し出した。

124 :オリジ ◆8Ntuwr18d2 :2006/01/04(水) 00:33:41 ID:BGCsevfEO
彼女の名前はリン。グランエスタード城で働いている王宮戦士。(軍隊みたいなもんか?)
俺を助けたライアンという戦士がここ(城下町にある彼女の家)に運び込み、そのまま彼女に面倒を頼んだそうだ。
・・・ふんふん、つまり俺は今この家にこの子と二人きりなのね。でも彼女は兵隊さんなのね。

「あなた、名前は?」

名前・・・、そういえば初めて名前を尋ねられた。なんとなく感動。
なんかカッコヨスな名前を考えようとしたが近くにコナンドイルの小説も無いので仕方なく本名を・・・。

「ダイチ?変な名前ね、どうでもいいけど・・・」

・・・オーケイ、この子はあれか、ツンて奴か?これはその後の成長が楽しみでならない。
うはwwwなんか妄想大爆発wwその後ってなんだwwwwwww

125 :オリジ ◆8Ntuwr18d2 :2006/01/04(水) 00:35:32 ID:BGCsevfEO
つーか今の俺やけにテンション高ぇ。久しぶりにゆっくり会話ができたことへの反動か?
しかもよく見ればこのリンて女の子なかなか可愛い、見た目だけなら俺の好みにストライクないしピン8本はいける。
・・・やばい、アドレナリン分泌し過ぎた。頭がクラクラする。こんな体験は生まれて初めてだ。
もしや・・・・・恋?あぁ!運命的な出会いってこういうやつなんですNE!?

「あんまり動かない方がいいわよ、あんたドラキーの血の臭気にあてられたみたいだから・・・」

「ぅえ?」

「ライアンさんがあなたを助けた時に・・・そんなんで倒れるなんて・・・・」

彼女は情けない、とでもいう風に溜息をつき肩をすくめた。
聞くと、洞窟で迫ってきたドラキー(あのニヤニヤした天鼠)と返り血を浴びたライアンに挟まれた俺は気を失ってしまったらしい。
えーっと、つまりクラクラの原因はそれか!!

126 :オリジ ◆8Ntuwr18d2 :2006/01/04(水) 00:36:59 ID:BGCsevfEO
不意に外からドアをノックする音が聞こえ、続いて聞き覚えのある低い声が家の中に響いた。

「リン殿、入ってもよろしいかな?」

彼女は慌ててドアに駆け寄ると、急いで男を向かえ入れる。

「いや済まない。・・・・・・や!旅の方、お気付きになりましたか。ご無事でなによりですな」

ライアン──、洞窟で見た時とは随分と印象が違うように思える。
あの時は、何と言うか、溢れる鋭さのようなものを感じた気がした。いや気のせいか?
とにかく目の前にいる男はそれとは無縁のように見える、柔らかさ・・・。

「ライアンさん、明日は宜しくお願いします」

戦士は軽く頷く。そして俺は話が読めない、まぁ当たり前だが・・・。

127 :オリジ ◆8Ntuwr18d2 :2006/01/04(水) 00:38:38 ID:BGCsevfEO
リンとライアンはなにやら荷物を指差しながら話しだしてしまった。

「あの・・・お話の途中で悪いんですけど・・・俺は、どうすれば?」

「知らないわよ、気付いたんなら自分の目的を思いだしたでしょ?
私達、明日にはいなくなっちゃうから此処には置いとけないわ」

ライアンもウムウムと頷いて賛同している。
不味い、まずい、まずいまずいまずいまずいまずいマズイ、貧しい?ちげーよ!貧しいけどさ!
このままでは路頭に迷ってしまう。人の多い場所に来ればどうにかなるなんて間違いだった。
金も家も知り合いもいない場所でどうする!?
異世界に帰る、なんて言い出したら怪しまれてそのまま牢屋にブチ込まれるかもしれない。
自分の息子に賞金をかける王様が治める国、マジでやりかねん。
なんかとにかく着いて行かないとヤヴァイ。

128 :オリジ ◆8Ntuwr18d2 :2006/01/04(水) 00:40:52 ID:BGCsevfEO

「明日の仕事、ってなんなんですかね?」

関係無い、という風な目付きでリンに見られたがここで喰い下がる訳にはいかない。
どうにかその仕事に着いていく、そうすれば、ほんの少しの時間稼ぎなのかもしれないけど、孤独だけは紛らわせる。
助けてくれた、それだけの繋がり、それは向こうにしてみれば無いに等しいんだろうけど、今の俺の唯一の繋がり。

「俺、アンタ達に助けられた時の恩返しがしたいんだよ!
だから、良かったら、あんた達の仕事を手伝わせてくれないか?」

ナイス演技力wwww惚れ惚れするwwいや寧ろ厨臭いかwwwとか笑ってる場合じゃない。

「ふーん、ドラキーの血の"臭い"なんかで倒れる人が役に立つとは思えないんだけど?」

くぁ・・・ごもっとも、万事休す・・・。

「恩返し・・・。リン殿、どうですかな、戦力が多いに越したことは無いと思いますぞ」

ライアンの言葉にリンが詰まる、何かしらの関係があるのだろうか。
先程からリンはライアンに遠慮がちというか、身を引いている感があるみたいだ。

129 :オリジ ◆8Ntuwr18d2 :2006/01/04(水) 00:48:34 ID:BGCsevfEO
結果、ライアンの説得もあってか俺はなんとか明日の仕事?に着いていけることになった。
とりあえずは城下の宿で一泊してから早朝に出発する予定らしい。
女性の家で一泊!?とか心の中ではwktkしていたのだが、そんなに上手くはいかない。
ライアンと二人で宿を手配する。

何はともあれ、まずは上手くいったのだと思いたかった。

この時──、俺が大人しく牢屋にブチ込まれていれば、もう少し落ち着いた日々を送れたのかもしれないが────。

130 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/01/05(木) 00:00:26 ID:CWPp4Ivg0
闇の塔を出て、町に戻った頃には既に昼前になっていた。
俺とヘンリーは、町を救った勇者として歓迎された。
と言っても、これから今日一日また修行に励むので、宴を開くのは断ったが。
町の人にエテポンゲについて聞いたが、エテポンゲらしき奴は誰も見なかったらしい。
と言う事は、この町に寄らずに闇の塔へ行き、ドラゴンを倒してそのままどこかへ消えたと言うのか。
…まあいい。詳しい事は直接会って聞く。奴なら死なないと信じている。
同時に、俺も生きていなければいけないのだが。まあヘンリーがいるから大丈夫だ。
…他力本願かよ。そんな考えじゃいつか死ぬぞ俺。
その日は疲れが溜まっていたので、修行はいつもより短く、楽なものだった。

次の日、2週間以上滞在したこの町を遂に出る事にした。
ヘンリー曰く、そろそろ海辺の村に行き、既に集まっている戦士達と修行をした方が、より強くなれるとの事だ。
戦士達か…そう言えばエテポンゲは、俺達二人でもかなわなかった闇のドラゴンを、一人で倒したんだよな…。
エテポンゲ並に強い奴らが、何人も集まるのだろうか…。となると余計に俺は足手纏いになるかもしれない。
まあいいさ、前もってメガンテでも覚えておいて、戦闘開始直後に敵の中心に突っ込んでやる。
………。
いや、後方で回復でもしておくから、メガンテだけは勘弁な。



俺達は今、緑色の触手と戦っている。
町を出て、西にある海辺の村を目指し只管荒野を歩いていたら、突然地中から緑の触手が現れた。
呪文こそ使わないものの、攻撃力が高い。
スカラを使っているのに、一撃くらっただけで口から血ィベロベロ吐いてしまった。
しかし、その場から動けない上に攻撃範囲も3m程なので、呪文で遠距離攻撃をしたら簡単に倒す事ができた。
一体何だったんだ今のは。魔物か?それにしては顔面が見当たらなかったが…。
まあ魔物は魔物であって普通の動物ではない。顔がなくても別に驚く事ではないのだろう。

131 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/01/05(木) 00:00:58 ID:CWPp4Ivg0
それは置いといて、俺はこの魔物に出会った時から感じていた。
嫌な予感…俺達は何かやり残している事がある様な…。
…まあ、俺の適当な予感など万に一つも当たらないし、気にしなくていいだろう。



村に着く。
海辺の村でなく、既に魔物に襲われ廃村となった村だ。
家は焼かれた跡があり、人間の骨が散らばり、誰が建てたのか、墓が並んでいる。
酷いありさまだ。全部魔物がやったのか…。益々許せんな。
「もう遅いし、今日はここで泊まって行こう。…あそこに破損していない家があるな。」
そう言うと、ヘンリーは唯一破損していない家に入っていく。
おいおい、大丈夫か…。幽霊が出たりしないだろうな?
幽霊が実在するかしないかなんて考えた事もなかったが、流石に人が大量に死んだ村に泊まるとなると、少し躊躇する。
「うっ!?」
ヘンリーが家の戸を開けた瞬間、驚きの声をあげた。
何かあったのだろうか。気になったので俺も行ってみる。
そこには女がいた。
別に普通に椅子に座ってお茶を啜っていたり、死に絶えていたり、でかい口を開けてイビキをかきながら寝ている訳ではない。
―――――石。
そう、それは石だった。女の石像が、家の中にあった。
…恐らく、俺と同じ運命を辿った女だろう。
魔物に反逆し、石にされ、そして、恐らく約10年…ヘンリーは10年前に初めて魔物に襲われた村と言っていたから、10年で間違いない。
その時、ヘンリーが石化を治す杖を持っている事に気付く。

132 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/01/05(木) 00:01:40 ID:CWPp4Ivg0
「はああ…!」
俺が声をかけるより前に、ヘンリーは既にストロスの杖を取り出し、精神を集中させていた。
そして、空高く杖を掲げると杖が光だし、やがて女の石像を包み込んだ。
徐々に女の石像が鮮やかさと取り戻していく…。

「…えっ…!?」
女が意識を取り戻すと同時に、驚きの声をあげる。
金色の長髪に青い服、身長は女にしては高い167前後だろうか。
「あれ…?私…確か石になったはず…。」
女は完全に混乱している。俺も数週間前、同じ状況にあったので、気持ちは良く分かる。
ヘンリーは淡々とした口調で、この村に到着してからの事を女に話した。
「そうだったの…助けてくれてありがとう。」
女は深くお辞儀をする。
「おい、何故お前だけ石にされたんだ?」
ヘンリーが女に問う。
確かに、さっき俺は反逆したからと思ったが、別にこの女だけ反逆したとしても、わざわざ石にする必要は無い。
…いや、魔族の世界には反逆した奴は石にすると言う規則があるのかもしれないが。
「…ゲマと言う魔道士に『弟を探している』と言ったら、魔道士が『石化で許してやる』と言って、石化されてしまったの…。私の弟と魔族が関係あるのかしら…。」
ゲマ、か…。
石化という時点で予感はしていたが、まさか奴の仕業とは…。
久々に聞いたな…ゲマという名前…。
奴にはまだ、ボロンゴとドランゴについて何も聞いていない。ゲマを殺してでもボロンゴ達と会うつもりだ。
「お前の弟は、どんな奴だ?もしかしたら知っているかもしれない。」
ヘンリーが再び女に問う。

133 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/01/05(木) 00:02:10 ID:u7OP+aAz0
「青い服に、白い髪の剣士よ…。10数年前、あの子がまだ子供の頃、最強の剣を求めて一人で旅立ったの…。名前はテリー…。」
「テリーか…すまない。聞いた事ないな。」
青い服に、白い髪の剣士…?どこかで見た事ある様な…。
………確か、ドランゴと戦った時にいた奴か。
ただの雑魚だと思ってあまり気にしなかったが…最強の剣を求めてたのか、あいつ。
…そう言えばあの時、雷鳴の剣とか貰ったな。あの時は重くて装備できなかったんだ。
確かまだ袋に入れてあったな…。
袋から雷鳴の剣を取り出し、握り締めてみる。
あの時と違い、丁度良い重さで、切れ味も破邪の剣より断然良さそうだ。雷の紋章もかっこいい。
思わぬ収穫があった。ヨッシャヨッシャ。
…って一人だけ浮かれてんなよ。こんなシリアスな状況で。
「ところで、今日ここで一泊していきたいんだが、この家を使わせてもらっていいか?」
「ええ、いいわよ。こんな所に魔物は来ないでしょうし。」
そうして、俺達はこの廃村で一泊する事になった。
ハァ…今日は色々あったが何と言っても一番の思い出は
金髪の美人と同じ屋根の下d



次の日、俺達はさっさと廃村を出る事にした。
仲間が一人増える。
本来なら二人で廃村を出る予定だったが、昨日まで石になっていた女、ミレーユが一緒に旅をしたいと言ったのだ。
まあこんな廃村で一人で生活も出来ないし、何より弟を探したいのだろう。
ミレーユは呪文が得意らしい。ピオリムやヒャダルコと言った、まだ見た事のない呪文を見せてくれた。
細い腕と武器は杖という所から、武術は得意でないと見える。
ここは俺が守ってやらねば。なんかかなりやる気が出てきた。





134 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/01/05(木) 00:02:42 ID:CWPp4Ivg0
違う。そうじゃない。そんなはずじゃないんだ。
確かに俺は弱い。武術も呪文も得意ではない。
ヘンリーの方が武術に長けているし、呪文もミレーユの方が優れている。
それは納得できる。ここまではいいんだ。
でも、いくら弱いといっても足手纏いにはなっていないと思っていた。
ヘンリーにも段々追いついてきたと思っていた。
ミレーユが、りゅう戦士やグレンデルと言った攻撃タイプの魔物に苦戦しているところを、男としてかっこよく助けてやろうと思ったんだ。
だが、実際はどうだ。
グレンデルにボコボコにされていた俺が、ミレーユに助けられてしまった。しかも呪文でなく物理攻撃で。
つまり実際の所武術面では
ヘンリー>>>ミレーユ>(超えられない壁)>(天と地の差)>(届かぬ翼)>俺
これぐらいの差があるかもしれない。リアルで。
じゃあ、俺は何だ?俺の長所は?俺にしかできない事は?
回復呪文?違う。ミレーユは回復呪文は使える。しかもベホマまで。
補助呪文?それも違う。ミレーユはスカラ、ルカニの上級呪文、スクルト、ルカナンが使える。
攻撃呪文?それも違う。ミレーユにはヒャダルコ、ヘンリーにはメラミ、イオラがある。
特技?それも違う。ヘンリーにも、剣の舞という使い勝手の良い特技がある。
じゃあ、俺は何の為にいるんだ?パーティ内での存在価値は?
俺は、バイキルト以外使用価値の無い、有り得ない頭髪の爺さんよりいらないのか?
―――――嫌だ。
嫌だ、嫌だ、嫌だ…足手纏いにはなりたくない…。強くなりたい………。
―――――もう、10年前の二の舞はごめんだ。
戦闘が終わる。
また、役に立たなかった。
敵に数撃与えたが、それ以上に仲間に守られている。
このままではダメだ…。2週間後、地獄を見る事になるだろう。
かと言って、2週間で急激に強くなれる訳ではない。

135 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/01/05(木) 00:03:15 ID:CWPp4Ivg0
じゃあ、どうすればいい?何か手段はあるのか?
…分からない。どうすればいいのか、全く分からない。
苦悩する。
俺の中に潜む悪魔が、俺の思考を掻き乱しているようだった。

魔族との決戦まで、あと12日

Lv26
HP93/135
MP45/66
武器:雷鳴の剣 鎧:シルバーメイル 兜:風の帽子
回復:ホイミ、ベホイミ
攻撃:バギ、バギマ、ギラ、ベギラマ
補助:スカラ、ルカニ
特技:はやぶさ斬り、火炎斬り、諸刃斬り、正拳突き

136 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/01/05(木) 00:27:49 ID:uqt4CA0r0
ローディ乙彼
ミレーユ姉さんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

137 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/01/05(木) 00:49:41 ID:ifNVGeve0
サマル・・・・・・・?

138 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/01/05(木) 00:55:54 ID:yUj7FtWvO
乙ッー!!

139 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/01/05(木) 04:02:35 ID:yUj7FtWvO
保守

140 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/01/05(木) 04:46:18 ID:3zjZ3RkW0
はっ!こ、ここは…



メルキドかっ!!



ゴーレム作ってんの観にいくか、闘技場で遊ぶしかねぇな。
モンスターに勝てねぇし。



141 :アミ ◆36yZlE15gs :2006/01/06(金) 00:43:06 ID:3/rvDOFW0
翌日の朝、早速一行はエンドール城裏側のコロシアムへ向かった。
決勝戦のみ第一コロシアムで行い、予選は第一コロシアムをやや縮小したような第二コロシアムと呼ばれる練習場。
練習場といえどもこれも公式の武道大会。やや観客席の空席が目立つものの、それを補うように大声張り上げて観客は檄を飛ばす。
登録を済ませ、待合室に入ると武道大会出場の為に体を鍛えてきましたと言わんばかりの猛者がずらり。彼らは自主トレーニングを行っていたり、瞑想を行っていたりと様々。
「うわっ汗臭いですな。流石男だらけなだけあるわい」
ブライが長袖を口に当ててマスク代わりにする。
「男だもの、しょうがないでしょ」
エンドール国王は友好国の来賓だ、然るべき処遇を与えたいとアリーナに個室で清潔な待合室と決勝戦からの出場権をいただいたが、彼女は、私は王女ではなく武道家として戦いにきたのです。特別扱いは不要です、とつっぱねた。
女が優勝すれば、ということは当然あたしも女なのであたしが優勝すればあの姫は結婚しなくてすむだろうが、いかんせんこの時を待っていたのはアリーナである。
アリーナの面子は潰したくはないのであたしはいたって観客席から応援である。最もこういった場で戦う気にもならないが。
「アリーナ様、新しい武器はどうでしょう」
砂漠のバザーから使っていた鎖鎌は使い古して刃こぼれが酷かったので、ここにきて鉄の爪なる腕に嵌める熊手のような武器に買い換えた。武道家専用の武器。


142 :アミ ◆36yZlE15gs :2006/01/06(金) 00:44:54 ID:3/rvDOFW0
「使えばわかるんじゃない?」
とアリーナは短く答えた。
「緊張してんの?」
「そりゃまぁね」
あたしが問うとニヒっと笑った。そこに兵士が駆けつけ、
「アリーナさん、あと30分ほどで第一回戦出場です。準備を」
と言った。
「あまり長居するのもなんだし、じゃああたしたちは観客席から応援しているから」
「決勝戦に向かって頑張るのじゃぞ」
「怪我をしたらすぐ薬草で回復してくださいね」
とあたしたちは言い、アリーナは笑顔で任せてよと答えた。頑張るね〜と反対にアリーナに見送られ、あたしは待合室のドアを閉めた。
アリーナはアミたちを見送るとすぐに新しい武器のメンテナンスを始めた。その顔は真剣そのものであった。
第一回戦勝ち、また勝ち…と猛者たちを投げ飛ばし、蹴りを入れ、鉄の爪で引き裂いてとアリーナの快進撃は止まらず。
第一回戦は緊張が戦いに出て、やられることが多かったが、何人かと戦っていれば次第にいつものアリーナのペースが出来、相手側が完全に飲み込まれた。
相手が弱いんじゃない。アリーナが強いんだ。
アリーナが勝つたびにあたしたちは歓声を上げ、やられているときは声を張り上げて応援する。その声は彼女に届いているかはわからないが。


143 :アミ ◆36yZlE15gs :2006/01/06(金) 00:48:52 ID:3/rvDOFW0
トーナメントなのでアリーナが参加しない試合がある。その間は休憩になるが、水や汗拭き用のタオルの手配をしたり、怪我の処置をしてバックアップ。
彼女が死力を尽くして試合に望むのが戦いならば、肉体面、精神面で精一杯彼女の応援をすることがあたしたちなりの戦いの仕方だと思う。
そしてついにアリーナは予選の頂点に立ち、決勝へ進むことができた。
決勝戦は一週間後、第一コロシアム。午前10時から行う。
アリーナと刃を交わしたものからは、お前女なのに強かったよ、決勝は勝てよと戦い終わりの握手を求められていた。
1日中戦い疲れたアリーナは早々と宿にて休んだ。あたしたちも応援疲れで早く寝た。
次の日、決勝戦までは時間がある。技に磨きをかけたいとアリーナはひたすら練習を行う。
あたしとの取っ組み合い。ブライの魔法での攻撃の対処法、クリフトによるマヌーサ(幻惑呪文)、ピオリム(味方一人が俊敏な動きが出来る)、スカラを使った相手側が使うと仮定した味方補助呪文による対処法。
あらゆる攻撃方法をシミュレーションし、どういった攻撃、守備を行えればよいのかを親身になって考え、模索した。
真剣に取り組んでいるときこそ時間がたつのは早い。
決勝戦はいよいよ明日。今日の疲れを残さないようにと早々と休んだ。


144 :アミ ◆36yZlE15gs :2006/01/06(金) 00:52:08 ID:3/rvDOFW0
武道大会最後の決勝戦とだけあって、国総出で大会を謳い、人の賑わいも酣に、まるでエンドールが一つの生命体として躍動しているかのよう。
一武道家として大会に出場するはずだったが誰が言ったか噂が噂を呼び、決勝出場するのが西の国、サントハイムの王女アリーナとわかってしまい、王女をみたいのか、決勝出場人としてみたいのか、宿を出ると城に行けないくらい人が集まった。
「フレノールの本物の王女バージョンだね」
とあたしは感心しながら言った。
まるで外国アーティストが来日した時のような人だかりの中、これはまずいと城から警備員が何人か要請されたのか、人だかりを跳ねのけ順路を作ったので、あたしたちは城内部へ入れた。
城内部もより一層明るく、華やかに飾り付けされて国の式典に備える。
時間がないのですぐさま第一コロシアムへと通された。
待合室に入る前。アリーナは立ち止まった。
「アリーナ、とうとう決勝だね。頑張らなくていい、あなたのいつも通りの戦い方をすればいいからね」
「回復は早めに。精一杯戦ってきてください」
「ご武運を」
とあたしたちはそれぞれ簡単に述べて壮行会をし、観客席へと向かった。アリーナの従者であるので席は用意されている。
アリーナはいってきます、と小さく、だがしっかりと言った。
待合室には決勝進出の選手は当然ながらアリーナだけだった。上がる階段には一人、案内役の兵士が物々しく立っていた。
練習試合は選手があれだけいたのに。


145 :アミ ◆36yZlE15gs :2006/01/06(金) 00:55:11 ID:3/rvDOFW0
武器防具のメンテナンス、持てるだけの薬草を維持し、確認を終えるとアリーナは椅子に腰掛け、気持ちを落ち着かせていた。
エンドール国内で聞いたデスピサロなる人物の話、人を殺すまで攻撃を加えて残虐し、その力量はまるで人とは思えないと聞いた。
自分の対戦相手になるのであれば、負けたときには死が待っているのか。
戦いの前によけいな知識は頭に入れぬがよろしいとブライに諫められたものの、一人になり考える時間がとれると思わず考えてしまう。
外から聞こえる観客の応援、歓声、その中に混じる自分を呼ぶ声。
それでも…テンぺで武道大会の話を聞いてからはここにくることが目標であり、夢であった。
自分の力を過信する気はないが、負ける気はしない。だがその時は。
華々しく散るのもいいかもね。あ、ブライはそれを許さないかなと苦笑した。
ふっ、と頭をよぎる父の姿。自分の娘が出場するならここに、観客席にいてもおかしくないが、サントハイムの恥さらし、エンドール国王に会わせる顔がないと来ていないかもしれない。
いままでサポートしてくれてきた、アミ、クリフト、そしてブライ。一人旅したいと我儘言ってサントハイムを飛び出したけれども彼らは付いてきた。
当初一人旅にならないじゃない、と思ったけど、一人ではここまでこれなかったと自負する。ありがとう。
だが感謝の気持ちを述べるのはきっとこの後。
生きていれば。


146 :アミ ◆36yZlE15gs :2006/01/06(金) 00:58:06 ID:3/rvDOFW0
やがて観客席からはアリーナコールが沸き、いまかいまかと出場を待っているようだ。
「アリーナ姫。時間だ。準備はよろしいか」
兵士の言葉にアリーナは頷き、徐に立ち上がる。兵士の後ろに付いて歩く。
階段を一歩一歩登る度に、観客のコールが大きく聞こえてきた。
いざゆかん、夢舞台へと。

147 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/01/06(金) 04:20:37 ID:gHm11wbfO
グハァ!これじゃ生殺しだ!!
続きが待ち切れねぇ!!!
乙ッー!!

148 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/01/07(土) 00:22:22 ID:QW9PX/p20
アミタソ乙
いよいよエンディング?なのかー?
正直、終わるのは寂しいかも。

149 :魔神戦争 ◆vNFYAR5c0g :2006/01/07(土) 11:47:59 ID:du4r2ihb0
「それで、どこに行くんだ」
バラモスの背中に乗せらていた
「もちろん魔王軍のところだ、そこでお前は魔人になってもらう」
「魔人?なんで?」
風がモロにあたり言葉を発せにくい
「今のままだといろいろと不都合があるからだ」
俺は少し不信に思いながらも魔王軍の元へと送られていった
     
    ズン

という音と共にバラモスは神殿のすぐ前へと降り立った、俺はバラモスの背中から
振り落とされたが・・・・・・
「ついたぞ、ほら早く行くぞ」
バラモスに服の裾を引っ張られ引きずりながら連れて行かれる、当然俺は落ちた
衝撃で気を失っていたが


目覚めると俺はベットの上で寝ていた、体がまだ痛むが辺りを見ると一人の男が
視界に入った
「やあ、俺の名前はウルフ、よろしく頼むよ」
「はぁ、初めましてウルフさん」
「いや、ウルフで良いよ、君、名前は?」
俺が答えようとするとウルフが突然言葉を挟んできた
「ああ、まだ名前を決めてもらってなかったっけ、ささっいこう」
俺はウルフに腕を引っ張られ、扉を抜け、廊下へかけていった。

150 :魔神戦争 ◆vNFYAR5c0g :2006/01/07(土) 12:05:31 ID:du4r2ihb0
LEVEL3「ジャガン」

俺はウルフに引っぱられ、すごいスピードでかけていった、もっとも俺は途中
でこけてほとんど引きずられていたんだが、そして今俺の前には大魔王がいる
「こうして会うのは初めてだったな」
大魔王が俺に話しかけてくるとりあえずおれはびびっていて、うなずくのが
やっとだった
「我が名はゾーマ、そしてお前の名は・・・・・」
名は・・・・・なんなんだ
「ジャガンだ」
ゾーマがそう言ったように聞こえたが俺は次の瞬間には
いきなり気を失っていった


目覚めるとそこはさっきと同じ部屋だった、俺はまたベットで寝ていたみたいだ
「やあジャガン、起きた?」
ウルフの声が聞こえた、目はぼんやりしていてよく見えない
「でもすごい名前を受け付いたもんだな、ジャガンって言ったらとてつもなく
強いのろいの名だよ、確か100年くらい前の魔人がそんな名前だった気が・・・」
呪いの名ね・・・・名前にそんな深い意味があるとは思えないけど・・・・

          バン!
という音と共にドアをぶち破り羽のはえた巨体が入り込んできた
まあ、バラモスだろうな
「ジャガン、いきなりだがお前にはテストをしてもらわなれればいかん」
よほど急いでいるようでバラモスに服の裾を引っぱられ高速で引きずられながら
演習場にやってきた。




151 :魔神戦争 ◆vNFYAR5c0g :2006/01/08(日) 10:27:04 ID:QOOEYAi/0
テストテストテストテストテ・・・・・・いやな思い出しかない
筆記テストはマジ勘弁な・・・バラモスにアイコンタクトをとろうとしたが
目線をそらされた
「それでは魔人の卵の諸君、君たちにこれからサバイバルをしてもらいます」
司会者らしき奴が木で作った台の上に乗って説明を始めた
辺りを見るといかにもな奴らが大量に群がっていた
「ルールはない、ただ三日間チームで生き残ればクリア、死ねばそれまで」
はは、またまたご冗談を・・・・バラモスに話しかけたが華麗にスルーされた
「生き残ればはれて魔人の仲間入り、君たちの他に中級戦士二人と組んでもらって
一組三人で移動してもらう、それでゑ」
次の瞬間には司会者の首が吹っ飛んでいた、なぜか俺の方向に飛んできた
飛んできた首をバラモスがキャッチして普通に食っていた、のりで言った、
今は反省してる
「長ったらしい説明をうだうだしやがって、うざいんだよ」
首を吹っ飛ばしたのはあの女らしい、よ〜し、魔人がんばって懲らしめるぞ〜
そう思って殴りにかかろうとした瞬間強烈な足払いを受け、見事に転んだ
「足下がお留守ですよ」
足払いをし、そう言ったのはウルフだった。

152 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/01/08(日) 20:39:11 ID:cMi/xFoR0
ここの作品をゲームとしてやってみたいと本気で思った。

153 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2006/01/08(日) 21:30:51 ID:UtygUyqf0
*13日目*

エイコ Lv.8 HP:52 MP:0

武器:ホーリーランス 鎧:青銅の鎧 盾:なし 兜:ブロンズキャップ 装飾品:スライムピアス

特技 しっぷう突き おたけび

-1-

だんだん慣れてきたドラクエワールド、でもいくつか不満がある。
それは。
「あー、イカポッポ喰いてえな」
誰か私にもち米と醤油と日本酒ぷりーず。
「エイコ!! いーから戦闘手伝いなさいよ! だからいつまでもレベルが一桁なのよ!!」
ヘイヘイ、小姑もうるせえ。
仕方なく槍を繰り出してプチアーノンを撃破する。
ちょっと動いた方が、気もまぎれて胃もまぎれるのだろうが、重症だ。
仕方ない、やっぱりルーラは苦手だ。その直後に乗った船では見事に船酔いだ。

154 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2006/01/08(日) 21:31:26 ID:UtygUyqf0
色んな敵が出てくる。さすが外海は違うねえ。
方位磁石はまっすぐ北を目指している。このまましばらく行けば……
「あ! 見えてきたでやんす! チラっと! ほらチラッと!!」
マストの上のヤンガスが暑苦しく叫ぶ。ヒョイヒョイと緑のたぬ……いや王様がそこへ上る。
「どうれ、おぬしじゃいささか心配じゃからのう……おお、見てみよ姫、あれなるが北の孤島じゃ」
「ヒヒ〜ン……」
なんじゃあ馬姫、おめもあんべえわりぃが?(訳:お前も具合が悪いのか?)

「うわ、何かここまで邪悪な気配が漂ってくるわね」
魔法少女ゼシカりんがつぶやく。クー坊も大きく頷く。
「さすがだな、ゼシカ。俺も嫌な気配を感じていた。エイコには分からんだろう」
「それは仕方ないでしょ、エイコには魔力がないんだし」
私はロー●シアのおうぢさまと一緒で力馬鹿なんだよコンチキショー。
ちょっとコンプレックスだなあ、だってヤンガスだって使えるんだぞ、魔法。
山賊って魔法修行するのかあ?

155 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2006/01/08(日) 21:32:06 ID:UtygUyqf0
「あっしのは我流でがすから、盗賊仲間に習ったでがす。
 もっとも、基礎だけ教わって、最近やっと戦闘で使えるようになってきたんでがすがね」
訊いてみると、そんな答えが返ってきた。ふーん、教わって出来るもんなんだあ。
「私も習いたいなぁ、メラぐらい使ってみたいぜ、チビっちゃいメラ出して、
 飲み屋でセンパイとかのタバコに火ィ点けてあげんの、かっけぇ〜☆」
「……一瞬でも向上心があると思った私がバカだったわ、そんなヘンな事に使うなら教えない」
「何、ゼシカ、お前他人に教えられるの? 教えろよ」
「やあよ、マッチの代わりなんか教えられるもんですか」
「チェーケチー」

そんな話をしながら船はちんたらと進み、肉眼でもはっきりと島を捉える事が出来るようになった。
う、確かにもやってる。立ち木には葉っぱが見えず、空気もよどんでいる。
ん? 誰か人がいるように見えるが。
「おいヤンガス、アレ、人じゃねえか?」
「うーん、そうでがすねえ、占い師風のねえちゃんと、戦士風と僧侶風のオッサンがいるでがす」
ふん、いつも思うが、どーしてジジイの戦闘要員はいてババアはいねえんだろうな。
ま、たりぃからだろうが。

程なく船は接岸し、私は威勢良く船から飛び降りる。うッ、足にキタ。
でも地に足つくってのはいいもんだ。酔いも一気に醒める。
例の先着パーティは、こちらの様子に気付くと、ゆっくりと近づいてきた。
「なんだ、用があるのか?」
ヤンガスが警戒する。私も思わず身構える。

156 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2006/01/08(日) 21:32:38 ID:UtygUyqf0
「あ、怪しいものではありません、我々は……」
「こんなトコにいるだけで目いっぱい怪しいわ」
武器を携えた私とヤンガスにビビッたのか、僧侶風のオッサンが弁明した。
後ろの戦士は今にも剣を抜きそうである。占い師のねえちゃんがそれを止めた。
「我々は去るお方の依頼によりここへ参ったのです。しかし、ここより先へは進めませんぞ」
「何だてめえやんのか?」
「ち、違いますって!!」
気色ばむ私をねえちゃんが止める。だってそんなこと言われたらこれから戦闘だろうが。
「エイコ、ちゃんと話を聞いて、恥ずかしいから」
「交渉ごとは苦手だ。頭脳班、前へ」
無理やりゼシカとククールを前へ押しやり、ヤンガスと私は後退する。
視線を巡らすと、あからさまに空気の悪い島の様子に胸が高鳴る。
何かヤバイ匂いだ。この島は何かいそうだ。
「おいヤンガス、この島ヤベエな」
「だから来たんじゃないんですか、姉貴。エイトの兄貴がドルマゲスの野郎にとっ捕まってるんでがすよ?」
おおっとそうだった。長い船旅で忘れる所だった。

頭脳班の話をまとめると、どうやらこの先に進むには、とあるアイテムが足りないらしい。
しかし、まったく見当がつかない。
ていうか、その洞窟の入り口みたいなトコ、入れないの?
「話聞くだけじゃなくて、実際行ってみようぜ、どうなるか知りたいじゃん」
「私もそう思ったところよ、行ってみましょう」
ゼシカが賛同する。よっしゃ、じゃちょっくら見てみるか。
「待つでがす、あっし達も行くでがす!!」
「ホントに鉄砲玉だな、うちの女達は」
てめーの女になんかなったつもりはないぜ、ククール。
意を決して、洞窟の暗闇へと突入した。

157 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2006/01/08(日) 21:34:20 ID:UtygUyqf0
-2-

あれ……?

体がふわりと宙に浮いた、ような気がした。
次の瞬間。

どしーん!!

「イッテエ!! 膝打った膝!! ……あいたた……アレ?」

すごい狭い空間に出た。薄暗い。夜明け前みたいに外が薄青い。
ん? ここ、どこかで……って。

158 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2006/01/08(日) 21:35:32 ID:UtygUyqf0
「ハァ?! ここ、私の部屋じゃん!!」

台所合わせて12畳1Rの北向きのじめじめとした安いアパート、
目立つ家具は小さいテレビとノートパソコンとソファベッド、
床に投げ出した組曲のスーツ、楽天で買ったコーチのバッグ、
テーブルの上にはサンドイッチと野菜ジュースとヨーグルト。

間違いない。

「うそ、でしょ? あッケータイ!!」

ヨーグルトの横に投げてあったケータイをひっつかんでがばりと開く。
日付は、飲み会の次の日、時間は夕方6時半だった。
ハッと自分の姿を見ると、いつもの寝る姿、パンツにキャミソール。

「な、なーんだ、夢かあ、いやあ、壮大な夢だっ……」
視線を自分の左太ももに移したとき、安堵の独り言を止めざるを得なかった。
毒矢頭巾にやられた矢傷の痕が、生生しく残っていたのだ。

思わず、ケータイをポロリと床へ落としてしまった。

159 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2006/01/08(日) 21:39:04 ID:UtygUyqf0
あッしまった、ククールはクー坊って呼んでたんだった。
久々なので失敗しました。
続きは近日中に。待っていた方々いましたら、遅くなってすみませんでした。

160 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/01/08(日) 21:45:12 ID:Y16xG7kR0
乙、そうきたか

161 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/01/09(月) 00:06:00 ID:AjHrF51Q0
ミレーユがいた廃村から更に西に歩みを続けると、今度は城に到着した。
この城はメダル王の城と言い、ここの王は世界中に散らばる小さなメダルを集めているらしい。
のん気な奴だな…こんな悲惨な世界だと言うのに…。
城の中に入ると、数匹のスライムがいた。
城の中にはスライムと王しかいない。何だ、王は人間不信なのか?
それにしても、スライムなんて久しぶりに見たな。この世界に初めて来た時以来だ。
あの時のスライムの攻撃は重かったが、今では一瞬で倒せそうだ。
ここの王に特定の数のメダルを渡すと、景品を貰えるそうだ。
景品と必要メダル枚数が書いてある紙があったので読んでみる。
…ふむふむ、5枚の棘のムチや、100枚のメタルキングの盾など色々あるが、俺はその中で奇跡の剣が欲しいと思った。
必要な枚数は60枚…今持っているメダルは3枚。
「おいおっさん!3枚で奇跡の剣クレヨ!」
「ざけんな!死ぬ気で60枚集めてこい!」
「何!死にてえのかこの野郎!」
「メダルは命より重い…!その認識を誤魔化す者は、生涯地を這う…!」
畜生、どうしても渡す気は無い様だ。メダルなんてこの城以外で価値なんかねえじゃねえか。
仕方ない。最終手段だ。この手だけは使いたくなかったが…。
俺は静かに、ゆっくりと剣を抜いた。
ドガッ!
「何やってんだバカ!」
ヘンリーに殴られる。正直すまんかった。今は反省している。
廃村からここまで結構な距離があり、もう夕方なので今日はここの宿屋で泊まる事にした。
宿屋と言っても王の趣味でやっている上に、客はほとんど来ないので、タダで良いそうだ。儲かった。
寝てる間にスライムに襲われなければ良いが…まあ、その時は俺の必殺バベルノンキックの餌食にしてやる。




162 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/01/09(月) 00:06:32 ID:AjHrF51Q0
夜が明ける。
何故か俺のベッドだけ異様にボロボロだったので、あまり寝付けなかった。体が痛い。何の因果でこんな目にあわなければいけないんだ。
ヘンリーは爽やかな笑顔で「おはよう。」と言って来た。二度と笑えなくしてやろうか。
城を出る準備をして、王座の間に行くと、青い服を着た剣士が王と喋っていた。
「ウム。全部で60枚集めたようじゃな。では奇跡の剣を持っていくが良い。」
王が剣士に奇跡の剣を手渡す。
剣士はその剣を暫く鑑賞すると、剣を握り締めた。
「…奇跡の剣の切れ味、早速試させてもらうぞ…。」
「何?」
次の瞬間、信じ難い光景が目の前に広がる。
剣士が突き出した奇跡の剣が、メダル王の腹を貫通していた。
「う…あ…!」
メダル王がその場に倒れ込む。
メダル王の腹からは、見た事の無い程の量の血が流出する。
そして、数秒間指が僅かに動いていたが、やがて動かなくなってしまった。
「ふ…まあまあだな…。ありがたく貰って行くぞ。」
剣士が振り向き、俺達の存在に気付くが、何事もなかったかのようにスタスタと城を出る。
俺は剣士の顔を見た瞬間、背筋が凍りついて全身が震えた。
剣士の正体は、テリーだった。
いや、そんな事は問題ではない。
俺が恐怖を感じたのは、テリーの眼だった。
紅い眼、鋭い目つき…まるで、魔物…いや、悪魔か何かを思わせる様な眼だった。
奴は、人間ではない。
外見は人間だが、人間の皮を被った悪魔の如く、平気で王を刺し殺した。
10年前に会った時は、こんな奴ではなかった。一体、何があったというのだ?
「テリー!!!」
不安と悲しみが混じった様な声をあげ、ミレーユはテリーを追いかける。
「お、おい!」
ヘンリーがミレーユに続く。俺も少し不安になったので、後を追った。




163 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/01/09(月) 00:07:04 ID:AjHrF51Q0
城を出ると、城の前で奇跡の剣を掲げているテリーがいた。
テリーは不気味に微笑んでいる。その微笑みは、無意識にゲマの微笑みを連想させた。
「テリー!!!」
ミレーユが、再びテリーの名を呼ぶ。
テリーはゆっくりと剣を降ろし、こちらを振り返る。
「…誰だ、お前らは。」
これが、俺たちに対してのテリーの第一声だった。
10年以上一人旅をしていて、姉の顔を忘れたのかもしれない。
だが、テリーの冷徹な紅い眼を見る限り、とてもそうには見えなかった。
「忘れたの!?私よ、ミレーユよ!」
「ミレーユ…?女など知らないな。俺が知っているのは、剣の切れ味…血の匂い…「生」ある者を、「死」に変えた時の快感…。」
テリーが奇跡の剣の光る刃を見つめ、不気味に微笑む。
「そ、そんな………テリー…。」
ミレーユがその場に膝をつき、泣き崩れる。
本当にテリーはどうなってしまったんだ。最強の剣を探し求めていただけではないのか?
これでは最強の剣を探し求めているのではなく、ただの殺人狂ではないか。
泣き続けるミレーユを尻目に、テリーは信じられない事を言った。
「そこの二人…。どうやら旅人らしいな。あんな雑魚を殺したぐらいで、剣の切れ味は分からない…。来い、その肉体を全てバラバラにしてやる。」
テリーが剣を構える。その眼からは、明らかに殺意なるものを放っていた。
「な、何だと…ふざけるな!」
「ふざけていると思うならそう思えばいい…。だが、本気で来ないと確実に死ぬぞ!!」
テリーが、信じられないスピードで俺達に襲い掛かる。
俺の体が一瞬反応した時には既に、テリーの剣が俺の腹部を貫いていた。
「はああ!」
テリーが素早い動きで、何度も俺の体を斬りつける。
斬られる度に、俺の視界が血で染まっていくのが分かる。
「調子に乗るな!」
ヘンリーが、俺に気を取られていたテリーに激しく斬りかかる。
が、そんな事はお見通しの如く、ヘンリーの剣を切り払った。

164 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/01/09(月) 00:07:40 ID:AjHrF51Q0
更に、テリーはヘンリーに激しく斬りかかる。
不意をつかれたヘンリーは、脇腹をもろに斬られてしまった。
かなり深く斬られたのか、たった一撃でその場に倒れ込む。
「ははははは!その程度か!弱い!!弱すぎる!!!」
テリーが余裕の表情で高笑いする。
「ぐ…人間同士が…争っている時じゃないんだぞ…!」
ヘンリーの発言を聞いて、テリーは再び不気味に微笑む。
「関係ないな…弱者が死に、強者が生き残る…それだけだ。いずれ人間も魔物もぶち殺して、俺が頂点に立ってやるさ。」
「貴様一人で…魔王を倒せるとでも思っているのか…!」
テリーはヘンリーの背中を踏み、その足に体重をかける。
「ぐ…ああ…!!」
「倒せるさ。魔族など大した事は無い。お前らが弱すぎるから、そう思うだけだ。」
テリーがヘンリーを踏んでいた足を地に戻すと、今度は剣を構えた。
「死ね…雑魚が…!」
「それは貴様だ!!!」
俺はテリー後ろから、魔人の如く斬りかかった。
テリーは完全に油断していたので、俺の魔人斬りが直撃する。
「ぐああ!!」
テリーがその場に倒れ込む。
よし、形勢逆転か?何とか一撃与えた。
ヘンリーと会話している時に、密かにベホイミで回復して後ろから近づいたのだ。
「ヘンリー、今回復して…」
「バカ!後ろを見ろ!」
時既に遅し。
テリーの渾身の一撃が、俺の背中の肉を切り裂いた。
声をあげることなく、再び血飛沫をあげて倒れる俺。
「魔人斬りの直撃をくらったから焦ったが…全然効かんな。やはりただの雑魚か。」

165 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/01/09(月) 00:08:11 ID:AjHrF51Q0
何て…奴だ。
魔人斬りは凄まじい威力を持っている筈だ。それをまともにくらって…。
…いや、やはり俺が弱すぎるからか…?あいつが強いからでなく、俺が弱いから…?
「き…貴様…!もう許さん…!うああああ!!!」
ヘンリーが立ち上がる。泣き叫ぶ様に、無数の傷から痛みが沸くのを抑えて。
更に、まるでダメージを受けていないかの如く、素早い動きでテリーに斬りかかる。
「くっ!」
キィン!
目の前で、二人の剣士の剣戟が繰り広げられる。
ほぼ、互角。
ダメージを負っていながら、華麗な動きを見せるヘンリーを見て、俺は確信した。
やはり、テリーが強いのではなく俺が弱かっただけだった。
目の前で行われている戦闘は、俺より格段に上を行っている。
しかも、少なくとも俺の遥かに上を行っているヘンリーですら魔物と対等かそれ以下の実力と言う現実。
俺の力が役に立つのか?今まで出会った戦士達より遥かに弱い俺の力が。
呪文はある程度使えるが、敵が一気に攻めてきたら呪文を唱えている間に、攻撃されるかもしれない。そうなっては呪文もまともに使えないだろう。
後方に下がって補助役に回るのも良いが、それは敵の数が少ないから成り立つ事だ。敵が何十と攻めてきたら、360度囲まれて、詠唱の余地などないかもしれない。
キィン!
「しまった!」
テリーはヘンリーの剣を勢いよく切り払い、ヘンリーは体勢を崩してしまう。
「死ね!!」
ザシュッ
テリーの素早い突きが、ヘンリーの腹の肉を貫通する。
「がはっ…!」
テリーが剣を引き抜くと同時に、ヘンリーはその場に倒れ込む。
「とどめだ!」

166 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/01/09(月) 00:08:43 ID:AjHrF51Q0
「バギマ!!!」
テリーの体を、真空の刃が切り裂いていく。
俺は再びベホイミで回復し、呪文を使うタイミングを窺っていた。
二人は超接近戦をしていたので、広範囲呪文は使えなかった。
ヘンリーが倒れた時、少し吹っ飛びながら倒れたので、二人の間に距離ができてバギマを使う事ができた。
まあ、ほとんど効かない事など承知だが…。
「やはり弱いな…お前は…。」
テリーは何事もなかったかの様に立ち上がる。
「ヘンリーとか言う奴とは比べ物にならないな。恐らく、邪魔者扱いされているだろう。」
「…邪魔、者?」
ヘンリーが?俺を邪魔者扱い?
「そうだ、邪魔者だ。この殺伐とした世界で、貴様の様な雑魚がいると命取りになる。こいつも、嫌々一緒に旅をしてるんだろうな。」
…そうなのか?
確かに、テリーの言う事は正しい。
弱い者がいると、他の者まで死ぬ危険性が高まる。それは承知だった。
しかしまさか、ヘンリーが俺を邪魔者扱いなど………考えた事もなかった。
「この世に弱者はいらない!弱者は醜いんだ!…死ね!!」
テリーが、信じ難いスピードで俺に突進する。
キィン!
俺はテリーの剣を切り払う。
が、一撃一撃、テリーの攻撃が繰り出される度に、俺が押されているのが明らかになる。
こんな奴とほぼ互角に戦っていたのか…ヘンリーは…。
「隙だらけだ!!」
テリーの突きが繰り出される。
ヘンリーと同じ様に、テリーの剣が俺の腹を貫通し、その場に倒れ込む。
痛い…いたい…イタイ…。
でも、もう良いんだ…。次の一撃で、楽になれる…。
エテポンゲ…悪いな…。闇の塔での約束は守れそうにない…。
「今度こそ…死ね!!」
テリーが剣を大きく振りかぶる。
――――――――――生きろよ、エテポンゲ。

167 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/01/09(月) 00:09:15 ID:AjHrF51Q0




ドォーーーーーン!!!





!?
予想していた効果音とは全く違ったので、驚いて眼を開ける。
そこにあった光景は、地に倒れるテリーだった。
一体、何があったのだろうか。今の音は…?
テリーはまだ意識があるらしく、必死で立ち上がろうとする。
「そ、それは雷鳴の剣…!貴様、あの時の…奴か…!」
雷鳴の剣?これが、どうかしたのか?
剣を見ると、雷の紋章が淡く光り、刃に電流が流れている。
それを見て、何となく予想はついた。
恐らく、この剣は雷を発する事の出来る剣。俺が危機に陥って、剣の力が発動した。
…と、こんなところだろうか。多分。
それにしても凄い威力だ。先程まで余裕だったテリーが、全身ボロボロである。
これを見た瞬間、俺にある考えが閃いた。
この雷は剣の力だ。だが、俺自身が雷を出せる様になれば、剣の力でなく、俺の力になる。
もし雷が出せれば、足手纏いにはならなくなるだろう。テリーを一撃で瀕死にさせる程の威力なのだから。
普通に剣で雷を出せよと思うかもしれないが、どうやら所持者がピンチでない時以外雷は発動しないようだ。
それではダメだ。常時使える様にならないといけない。だから、何としても雷を出せる様にしてやる。
…と、その前にテリーを何とかしないといけなかった。
俺はベホイミを施し、素早く立ち上がり剣を振りかぶる。

168 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/01/09(月) 00:09:47 ID:AjHrF51Q0
「くらえ!」
「くっ!」
俺は憎しみを込めて、剣を振り下ろす。
「やめてーーー!!!」
辺りに女の叫び声が響き渡る。ミレーユだ。
今まで膝をついて泣き続けていたミレーユが、立ち上がって叫んだのだ。
「くそ!覚えてろよ!いつか復讐してやるからな!」
テリーがその場から逃げていく。
全快の俺なら十分追いかけられたが、確実に勝てるとは限らなかったし、何よりミレーユに止められたので追いかけなかった。
「ごめんなさい…。憎いかもしれないけど、あれでも私の弟なの…。」
そうだった、忘れていた。
ミレーユに止められなかったら、そのまま殺していたかもしれない。危ない所だった。
「テリーに何があったのかわからないけど、次に会った時は、絶対に私だけで正気を戻して見せるわ…。」
正気に、か…。
あんな殺戮者が、簡単に正気を戻すとは思えないが…。
まあ、姉のミレーユなら何とかなるかもしれない。
殺されそうになっっても、俺とヘンリーで助ければ良いだけだ。次にあった時は、奴を超えてやる。
…そうだ、忘れていた。ヘンリーだ。
テリーに刺されてから回復していない。早く回復しないと危険だ。
俺はヘンリーの所へ行き、ベホイミを唱える。ヘンリーの体は、淡い光に包まれた。
………。
…ヘンリー?
どうしたんだ?起き上がらないぞ。ベホイミは成功した筈だが…。
「おい、どうした?起きろ!」
ピクリとも動かないヘンリーの体を揺さ振る。
何度も繰り返すが、全く動く気配がない。
…まさか………。冗談だよな?ヘンリー…生きてるよな…?
俺は最悪の事態を予測し、恐る恐るヘンリーの胸に耳を当てる。

169 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/01/09(月) 00:10:19 ID:AjHrF51Q0
……………。
最悪の事態が、的中してしまう。
ヘンリーの心臓は、機能していなかった。
地面に流れる大量の血…恐らく、出血多量………。
「死んで…るの…?」
ミレーユが、か細い声で俺に聞く。
俺は、それに答えなかった。認めたくなかった。ヘンリーが、死んだとは………。
しかし、心臓が動いていない。これは、その者の人生が幕を閉じたという証拠。
嘘だ…ヘンリー………お前は…魔族と真っ向から戦うという固い決意があった筈だ…。
それに…今生きている唯一の家族…弟も探していた………それなのに………こ、こんな所で…死ぬなんて………。
なあ、冗談だろ…?起きてくれよ…ヘンリー………。
しかし、ヘンリーがそれに答える事はなかった。
今朝、笑顔で俺に挨拶をしたヘンリーが、死体となって地面に倒れている。
この世界に来て初めて、俺が涙を流した時だった。

魔族との決戦まで、あと11日

Lv27
HP82/140
MP47/70
武器:雷鳴の剣 鎧:シルバーメイル 兜:風の帽子
回復:ホイミ、ベホイミ
攻撃:バギ、バギマ、ギラ、ベギラマ
補助:スカラ、ルカニ
特技:はやぶさ斬り、火炎斬り、諸刃斬り、魔人斬り、正拳突き

170 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/01/09(月) 00:22:22 ID:R2cBaRr8O
ヘンリーー!

171 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/01/09(月) 02:39:56 ID:NS0RvhT10
SS考えてみたんですけど、
目覚めた場所が「宿屋」じゃないとNGですか?

172 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/01/09(月) 02:58:57 ID:kWGEkmn80
>>171
面白ければいいんじゃね?
このスレの連中は新人職人大歓迎だと思うし
ガンガレ

>>エイコ
まさに「そう来たか」って感じ
現実に還ってきた例は初めてなんで続き楽しみ杉

>>ローディ
相変わらず超面白スwwww
ヘンリー氏ぬとはな…
先の展開が読めねえYO

173 :では :2006/01/09(月) 03:20:16 ID:NS0RvhT10
「おーい、起きろー」
うーん・・・眠い・・・確か昨日は4時までvipでネタやってて・・・。
まだ10時かよ、休講で11時過ぎの電車って言っておいたじゃねえか、母者め。
「ちょっとー?・・・・ったく、ザメハ!!」
ってえwwwwwwwwwwwwwちょwwwwwwザメハてwwwwwwwww
と、脳に液体窒素でもぶち込まれたかのような衝撃が走る、
しかし苦痛ではないのは体が知っていた、が、心地の良い物ではない・・・。
途端にはっきりした意識が
「あ、ザメハ苦手だったんだっけ、ははは〜」
とか言いながら逃げていく母者を認識していた・・・。
にしても「ザメハ」?弟者にでも吹き込まれたネタか?にしてもよく効いていたような・・・
考えないことにして、着替えて学校の鞄を持って下階へ降りていった。


174 :では :2006/01/09(月) 03:21:18 ID:NS0RvhT10
まず、何から突っ込んでいいのか解らなかったが・・・
壁に剣が掛けてあった
盾も掛けてあった
ヤリもあった
(゚Д゚)・・・・(ここは俺の家で自分の部屋で目覚めたはずですが何か?)
んな事を考えていると
「また剣2階に忘れてきたの?さっさと取ってこい!!」
とか言われた、母者は母者らしい
部屋に戻ると確かに棚に鞘に収まった剣が置いてあった、
シンプルなんだかなんなんだかよくわからないデザインだったが、悪くはない。
と、いい加減落ち着いてきて現在の状況を考えてみる
ここは俺の家だ、間違いない
しかし母者は呪文(?)を使った
剣とかヤリとかある、しかも、あの口振りだと実用品らしい
「手伝え!!」
そんなことを考えていると叫び声が聞こえてきた、どうやら「出番」らしい。


・・・っていう逆にドラクエな現代なんですけどどうですか?

175 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/01/09(月) 03:34:25 ID:klFqDNU9O
新しい展開だな。面白そうだからやってみて

176 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/01/09(月) 23:01:53 ID:R2cBaRr8O
異常に長くなった場合テキストファイルアップでも良いのかな?

177 :書記 ◆nUtX8ZK/82 :2006/01/10(火) 16:32:45 ID:KKykU6au0
おひさしぶりです。
長期にわたり、体調不良でダウンしておりました。

まだ本調子ではないので、すぐ更新という事は厳しい状況です。
加えて、ギコナビである程度のログは残っているのですが、残す前にDAT落ちしたものがあるので、完全補完にはならないのではと思っております。
具体的には
三泊目…スレ239まで
四泊目…スレ577まで
という具合です。

大変ご迷惑をおかけします。

178 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/01/10(火) 17:34:53 ID:8O/xmIy70
書記サマキター! アケオメ! でも無理せず!

179 :魔神戦争 ◆vNFYAR5c0g :2006/01/10(火) 18:06:59 ID:LFNJ9dwG0
書記さん初めまして、もし私の作品を更新なさるのでしたらリニューアル版
でお願いします。

180 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/01/10(火) 21:34:21 ID:fJGS4aKw0
>>177
つttp://ranobe.sakuratan.com/up/src/up81383.zip

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