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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら五泊目

1 :冒険の書庫の書記代理 :2005/12/17(土) 22:49:59 ID:wtVzywQO0
ここは
「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」
ということを想像して書き込むスレです。
小説形式、レポ形式、一言何でも歓迎です。

前スレが容量制限で書けなくなったため立てました。

前スレ
「もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら四泊目」(容量制限落ち)
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1128780044/

過去スレ
「もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら三泊目」
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1122390423
「もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら二泊目」
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1116324637/
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1110832409/

まとめサイト
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」冒険の書庫
http://www.geocities.jp/if_dq/
※最近更新してない…書庫の中の人捜索中

496 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/02/14(火) 16:20:56 ID:uGOzXYLQ0
「う… あ、ありがとう…」

礼を言うテリー まだ調子は戻らない
魔物の群の在った場所にはたくさんの光が現れその亡骸を持ちさっていた
あれだけの魔物を一気に燃やしてしまうとは─

「どういたしまして とにかくフィッシュベルへ入りましょう」

テリーに肩を貸し言われるまま町の門をくぐる

「やっと… ここがフィッシュベル… テリーやったぞ!」

『ドサッ』

「テリー?!」




続く…

497 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/15(水) 03:56:05 ID:V7H+nGV/0
>>タカハシ氏
流れがすごく面白い。オリジナルの「DQ」だけに、自由度があって、かつ発想力も豊か。
ただ、読みやすさを重視しているのかもしれないけれど、場面と場面の繋がりが解り辛い時がある。
ついでにいうなら、どこにいるか何をしているかどのように感じたか、
というのが「常にはっきりと」していない気がする

元の世界がある通常のSSと異なり、あなたのそれはオリジナルのDQ世界だから
もう少し流れが緩やかでも良いはず。その分しっかりと、地の文を構築したほうが面白くなるんじゃないかな。


>>職人の方々
頑張ってください。
常に面白く読ませてもらっています。

498 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/02/15(水) 05:35:42 ID:pY9SdsUtO
>>497
丁寧な感想ありがとう
ご指摘の通り、実は「感情表情場所表現」が不得意…
物足りなさを感じながら書き、反面長すぎ説明的すぎになる事を心配し削ってしまう事も多いです。
最近はドラクエっぽく無いんじゃないかと心配し、果たしてここで続けていいモノか考えたり。

頂いた意見を大事に少しでも成長出来るように、完結目指して頑張ります。

499 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/15(水) 15:19:21 ID:HtzQ0bNX0
久しぶりに来たけど、また盛り上がり始めてるね。

>>498
楽しいから完結まで頑張ってほしい。


オルテガ氏
文章が読みやすくてイイ!
今後に期待。

他の職人の皆さんも期待してます。

500 :497 :2006/02/16(木) 04:26:27 ID:XybJyWMG0
>>498
個人的には「現実世界」と「仮想(DQ)世界」が入り混じるところが、このスレの一つの醍醐味だとも思う。
でも作者の作った世界は、作者の作った小説です。だから好きに書くべきではないでしょうか。
面白ければ良いというものではないが、良いものは皆面白いのですから。

なんてグダグダと書いて、職人の方のやる気を殺いではいないかと
感想つける方も正直ヒヤヒヤです

読み手に状況を伝えるだけの文章量と、
テンポを崩さないようにするだけの文章量。このあたりのバランス、凄く難しいとは思います
頑張って欲しい

501 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/02/16(木) 09:30:03 ID:g/MDmo5BO
>>499
ありがとう
必ず完結させます

>>500
感想を貰える事は例え一文字であってもうれしいですし励みです
やる気無くなったりする事は全くありません
先のレスは言葉足らずでした
とてもわかりやすい助言、感謝してます

502 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/16(木) 17:46:00 ID:KPChIJ+S0
オルテガさんの作品で気になる事が・・・
作品自体は楽しく読ませてもらってるけど、主人公の記憶が無いってのは
このスレの趣旨からは反してるような気がするんだけど。

余計なお世話かもしれないけどね。



503 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/16(木) 19:13:36 ID:1hyFGOxsO
>502
趣旨なんてねぇよ
宿で起きればいいのだから

504 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/16(木) 21:08:14 ID:O1x+4KIIO
レッドマンも他人の体内から始まったんだけどまぁいいんじゃね?
楽しめたら。

505 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/16(木) 22:46:45 ID:laoKLGLn0
ローディ氏マダー?
マチクタビレタヨ…

506 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/17(金) 04:27:03 ID:OcPq5lT20
とりあえずあげ

507 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/18(土) 03:43:49 ID:JmicaQ130
>>483続き

それからアモスにこの世界の地図を見せてもらう。
・・・なるほど、この世界は想像以上に広い。
アリアハン、レーべ地方なんてほんの一部に過ぎない事がよく分かる。

それにしても、これと同じような地図を見た事があるような気がする。
その事を考えると、失った記憶がうずくような感覚が・・・
元の世界に関係する何かがあるような気がしてならない。

「どうしたんだ?やけに深刻そうな顔だが」
アモスの声で思考が中断される。
記憶を取り戻す糸口を掴んだような気がしたんだが・・・
まあ、慌てる事はないか。

そうしてる内に、ようやくさっきの兵士の内の一人が戻ってきた。
「お待たせしました。ご足労ですが、これからアリアハン城まで同行願いたい
 のですが、よろしいですか?王様が直々に会いたいと申しております。
 ところでお二人の名前は?」
さっきとはうって変わって丁寧な口調だ。

508 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/18(土) 03:58:40 ID:JmicaQ130
アモスが驚きと嬉しさが入り混じった顔で答える。
「オレがアモスでコイツがルークだ。勿論OKさ。まさか王様本人からお褒めの
 言葉を頂戴できるとは光栄だね」

兵士はそんなアモスを見て不安を覚えたのか、
「あの、分かっているとは思いますが、王様の御前ではくれぐれも粗相の無いように・・・」
と、釘を刺してくる。

「大丈夫さ。オレは見た目通り紳士だからな。オレよりもコイツの事を心配したらどうだ?」

誰が紳士だって?
でも、確かに王様の前でどんな態度をとればいいかなんて、オレには分からない。
アモスを見て、それを真似するしかないな。不安だけど。
 
城門まで来て間近で城を見ると、その大きさ、美しさに圧倒されそうになる。



509 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/18(土) 04:22:38 ID:JmicaQ130
城の中に入り、真っ直ぐに絨毯の上を進む。
周りの連中が興味深そうにこっちを見つめ、こそこそ話しなどをしているのが
少し癇に障る。

階段を上り、大きな部屋に入るとその先に玉座に座り、堂々とこちらを見つめる人物。
この人が・・・

兵士に促されるままに前に進み、王様の前でアモスに習って跪く。
 
兵士がオレ達の説明を始める。
「この二人が、ナジミの塔に住み着いた魔物達の親玉を倒したという、アモスと
 ルークであります」
 
「アモス、ルークよ、面を上げよ」
「はっ」
王様の言葉に、俺たちは顔を上げて正面を向く。

王様は無言のまま、真っ直ぐにこちらを見据えたままだ。
気のせいか、オレ達を観察するような、二人の人間性を量るような・・・
そんな感じを受けるのは考えすぎか。
 
ようやく王様が口を開く。
「この度のお主達の働き、まことに見事なものだ。その働きに報わねばな」
そう言って側近に何かを命じている。


510 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/18(土) 04:50:37 ID:JmicaQ130
やがて兵士が大きな袋を運んできた。
 
「お主達には金5000Gを取らせる。今後、一層世の中の為に励んでくれる事を
 期待する」
「はっ」
慌てて頭を下げるオレとアモス。

割と呆気なく王様との体面を終え、城の外に出た。
アモスは緊張感から開放され、金も入った事でハイテンションだ。
「思ったよりも呆気なかったな。それにしても・・・5000Gだぜ!
 苦労した甲斐があったな」
とニヤニヤしている。

「さあ、今夜はドンチャンと行くか!」
「あ、その前に相談したい事が・・・」
「分かってるって。分け前の事だろ?ちょっと待ってろよ」
「いや、ちがうんだけど・・・」
人の話は最後まで聞けよ・・・
 

511 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/18(土) 05:04:49 ID:JmicaQ130
「そらっ、それがお前の分だ。それと、明日までの約束だったけど、今の内に
 給金も払っておくよ。合計で2000Gだ」
 
硬貨の入った袋をアモスから受け取った。ズシリと重い。
 
2000Gか・・・
Gの価値はまだよく分からないが、かなりの大金だろう。
確か薬草が8Gだから・・・薬草250コ分!
・・・多いのか?

それにしても、アモスのセコさから考えて、5000Gの内の1000Gでもくれれば
いい方だと思っていたけど・・・
ケチだという認識を改める事にしよう。
 
「さあ、飲みに行くぞ!」
そう言って駆け出して行くアモス。
せっかちなのは決定だな・・・

今の内にこれからの旅について話したかったんだがな。
まあ明日でもいいか・・・
今日はぱーっと行くか!

二人で夜の酒場に繰り出した。

512 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/18(土) 05:17:57 ID:JmicaQ130
この世界の酒は最高に美味い。
達成感、開放感を満喫しながら飲んでいるから余計にそう感じるのかもしれないけど。
そんな事はどうでもいい、とにかく美味い!
以前の世界でもこんなに美味い酒は飲んだ事が無いに違いない。

オレのペース速さに心配したのか、アモスが
「おいおい、顔が真っ赤だぞ。それくらいにしとけ」
などとくだらない事を言ってくる。
 
「何言ってんだい?今日飲まなくていつ飲むんだよ。手が止まってんぜ?オレが
 ついでやるからぐっと行きな」
「ルーク、お前・・・酒乱だったのかよ・・・」

この辺から意識が朦朧となる。
アモスに担ぎ込まれて宿屋に着く頃、完全に意識が離れ、眠りについていた。

513 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/18(土) 05:28:38 ID:JmicaQ130
ここは何処だ?
頭が重く、現実なのか夢なのかよく分からない。

そこは見覚えがあるような部屋だった。
ベッドの上に男が寝ている。

少しして男が目を覚ます。
男はしばらくぼーっとしていたが、やがて体を起こして驚いた表情を浮かべている。
部屋を見渡してさらに混乱しているようだ。

男に声を掛けようとしたが、オレの姿が目に入らないようで完全に無視される。
やがて男は意を決したようにドアを開け、外へ出て行った。

追いかけようとしたがまるで体が動かない。
やがて少しずつ視界が狭まって行き、その内に完全に闇に包まれて行った。

514 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/18(土) 05:48:19 ID:JmicaQ130
目が覚めると最初にこの世界に来た時の部屋だった。
「夢だったのか・・・」
さっきの映像がまだ目に焼き付いている。
夢にしてはあまりにも鮮明だったが・・・
それにさっきの部屋と、そこにいた男。
これも失った記憶に関する事なのか?

昨日の酒が残っており、頭痛が酷くて考えがまとまらない。
これ以上考えても無駄みたいだな。
 
かなり寝坊したみたいだ。 
早く準備をしないとまたアモスが怒鳴り込んで来るだろう。
そう思い、準備をしようと立ち上がる。
と、サイドテーブルに手紙のような物がおいてある。これは?

開けてみると、それにはこう書かれていた。
『自分の甘さを少しは思い知ったかい?  アモス』

どういう意味だ?
自分の甘さ・・・
そこでやっとピンと来た。ひょっとして・・・

慌てて自分の荷物を持って来て、中を探る。
やはり無い・・・
昨日アモスから受け取った2000G、それに元々持っていた財布も無くなっている。


515 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/18(土) 06:09:31 ID:JmicaQ130
部屋を出てロビーに行き、フロントの男にアモスの事を聞くと、昨夜オレを部屋に
運び入れ、そのまま去って行ったと言う。
オレの宿代は前金で払って行ったらしいが・・・

ロビーのソファーに座り呆然としているオレに、見覚えのある老人が声を掛けてきた。
「どうやらアモスに一杯食わされたようだな。だから気を付けろと言ったというのに・・・」
ああ、あの時の爺さんか。

「爺さんはアモスの知り合いなのか?」
「いや、向こうはワシの事はしらんだろうが・・・でも関係ないとはいえないな」
「・・・どういう意味だ?」
「それは・・・いや、話すと長くなる。いずれ話す機会もあるだろうて」

そう言って宿を出て行く老人。
まだ聞きたいことは山ほどあるんだ。
慌てて追いかけて宿の外に出るが、すでに老人の姿は無かった。


あても無くアリアハンの町を歩く。
これからどうしたらいいんだろう・・・
考えてみればこの世界に来てからというもの、アモスの後について行動して
いただけだ。勿論、そうせざるを得ない事情があったが。

そのアモスはもういない。
殆ど何も分からない世界でただ一人、しかも無一文。
今日に孤独感が襲って来る。


516 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/18(土) 06:33:48 ID:JmicaQ130
我ながら不思議だが、あまり腹は立たない。
確かにどちらかといえばケチな男だった。
やられてみれば、いかにもアモスらしいじゃないか。

でも心の何処かでまだアモスの事を信じていたい。
こんな考えさえ、もしアモスが聞いていたら「甘い」の一言で済まされるだろうけど。
それでも異世界に飛ばされて、そこでの唯一の心を許せる相手。そう思い始めていたから。

「ルークさん!探しましたよ」
背後から声を掛けられ、思考が打ち切られる。
振り向くと、昨日の兵士だった。

「オレ?何か用があるのか?」
「はい。今から城まで来て頂けませんか?王様から話があるそうです」
「えっ、王様が?」
「はい、付いて来て下さい」
そう言うと、返事も聞かずに兵士は歩き出した。

王様がオレに用・・・
勿論どんな用かまったく想像がつかない。
まあいい、ついて行けば分かる事だ。

兵士について行き、城に向かって歩き出す。
まあなるようになるさ・・・

つづく

517 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/18(土) 06:42:46 ID:JmicaQ130
>>515
今日に→急に
です。

二度とこういうことが無いように気を付けます。
レスを無駄にしてスマン

518 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/18(土) 09:52:58 ID:eT5SAexF0


519 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/18(土) 23:04:31 ID:Sr6RQ7Sq0
オルテガ乙

展開も速いし伏線も気になる。
かなりいい感じ。

あと、誤字脱字くらいでそんな謝罪はイランかと。

520 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/19(日) 00:02:21 ID:3IMlwAI70
了解。

521 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/19(日) 00:21:30 ID:2QPWnaG/0
age

522 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/02/19(日) 23:56:39 ID:1KspaAyc0
ヘンリーは死んだ。また一人、尊い命が奪われた。
こうして、人々は苦しみ、死に絶え、絶滅に時々刻々と近づいていく。
魔族の手によって。
テリーは人間…しかし、あれほどの狂気の沙汰を躊躇せずにやってしまうなど、魔族となんら変わりない…。
魔族を…この手で根絶やしにせねばいけない。殺戮で快楽を得る異常者を…。
殺戮者を殺し、根絶やしにする…。納得はいかないが、これ以外に方法がない…。
あれ程の殺戮集団を、この世から滅する為には…。



俺達二人は無言のまま、西の海辺の村に向かっていた。
俺が負ぶっている『物』…ヘンリーの遺体。
せめて…海辺の村に墓を建てようと思い、海辺の村まで運んでいる。
俺に力があれば…テリーを退け、ヘンリーも死ぬ事はなかっただろう。
だからヘンリー…見ていてくれ。俺は誰よりも強くなってみせる。
そして…憎き種族、魔族を根絶やしにしてコリンズを救ってみせる。



3時間程経っただろうか。俺達は、遂に海辺の村に到着した。
船が数隻ある以外、何も特徴のない平凡な村。
ここが…10日後に、人類の運命を賭けた決戦が繰り広げられる場とは到底思えないが…。
しかし、遥か北にある魔族の城が微かに見えた瞬間、その疑問が一気に解消した。
孤島に聳え立つ暗黒の城…これだけ離れていても、恐ろしいほどの魔力が押し寄せてくる感じがする。
最終的にはあの城に乗り込むのだろうか…上陸した瞬間、魔力に呑まれそうな気がしてならない。
いや、弱気になっている場合ではない。ヘンリーやボロンゴ達の仇を、俺が取らねばならないのだから。
それより、まずは墓を建てよう。ヘンリーの墓を…。
俺は決戦の際に巻き込まれないよう、村の端に墓を建てる事にした。
ミレーユに離れてもらう様に言い、地面に拳を垂直に突き立て、深呼吸をする。
「はぁっ!!!」
叫び声と共に拳を引き、一気に地面を抉り込む様に打つ。

523 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/02/19(日) 23:57:15 ID:1KspaAyc0
ドォォォン!!!!
「きゃ!!」
轟音と共に砂が八方に飛び散り、一瞬地面から突風が巻き起こる。それに驚いたのか、ミレーユが声をあげる、
砂が目に入らないよう目を瞑り、風が収まると同時に目を開くと、そこには丁度人一人が入れる程の穴が出来ていた。
ふぅ、と溜息をつくと、今度はヘンリーを担ぎ、今俺によって作られた穴にゆっくりと寝かせた。
ヘンリー…これで…完全にお別れだな…。
後は砂で埋めるだけで、ヘンリーの顔を見る事は二度となくなる………。
俺は最後に、ヘンリーの右手を強く握った。暖かさを失った、冷たい手。
絶対にコリンズを助けるから…お前も…俺を見守っていてくれ…ヘンリー…。
お前が見守っていてくれたら…俺…絶対ゲマ達を倒せると思う…。
………じゃあな………ヘンリー……………。
俺は足元の砂を、力なく握り締めた…。
「お主達…何をやっておる?」
突然、隣から老人の声が聞こえてくる。
声のする方を向くと、紫のゆったりとしたローブを纏い、樫の杖をつく老人がいた。
「…墓を作ってる。魔族との決戦に参加しようとしていた奴だから、せめてここに墓を建ててやろうと…。」
そう言って、俺は黙々と砂をかけていく。
「…ふむ。ちょっと待ちなさい。」
「…?」
老人にそう言われ、砂をかけていた手を止めた。
老人はヘンリーの傍で膝立ちになり、胸の辺りに一目で痩せ細っているのがわかる、細く肌色の悪い手を乗せた。
数秒すると老人は胸から手を離し、ゆっくりと立ち上がった。
「この者…生き返らせる事ができる可能性があるぞ…。」
「何っ!?」
老人の言葉を聞いて、即座に驚きの声をあげる。
本当なのか?一度死んだ者を生き返らせるなど…普通では考えられない。
「まだ最近習得したばかりじゃが…試す時が来たか………蘇生魔法、ザオラルを…!」




524 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/02/19(日) 23:58:18 ID:1KspaAyc0
ヘンリーにかけた砂を払い、老人の家に運んだ俺達は、老人が使っているベッドにヘンリーを寝かせた。
老人の名はカルベと良い、この村の長老であり、世界的にも有名な大魔法使いだそうだ。
「習得までに30年かかった蘇生魔法…まだこの世でわし以外に使える者はいないだろう…。わし自身も成功する自信はあまりない…あまり期待せんほうが良いかもしれんぞ。」
そう言って、老人はヘンリーの胸に手を添えて、何か呪文を唱え始めた。
生き返る可能性は低い…そう言われても、期待せざるを得ない。他に、生き返らせる術がないのなら。
「お主達も決戦に参加する者達か?」
「え?あ…まあ一応…。」
呪文を唱えておきながら突然話し掛けてきたので、一瞬応対に困った。
「ならば修行でもしておくといい…。この呪文はかなり時間がかかるでな…。」



外に出て、俺は剣の素振りをし、ミレーユは呪文書を読んでいるが、全く集中する事ができない。恐らくミレーユも同じであろう。ヘンリーの生死が決まる時に、修行に集中などできるはずもない。
出来れば…いや、絶対にヘンリーとゲマ達を倒したい。だから…生き返って欲しい。
絶対にザオラルを成功させてくれ…カルベ長老…。
「ごめんなさい…。」
家の壁にもたれかかって本を読んでいたミレーユが、いつの間にか涙目でこちらを見ていた。それを見て、適当に剣を振っていた手を止める。
「私があの時…弟を止めていたら…。」
ミレーユの眼から、頬を伝わり、涙が零れ落ちる。
「ミレーユのせいじゃない…。それに…生き返るのかもしれないんだから、泣くなよ…。」
「…そうね………。ごめんなさい…泣いてばかりで…。」
ミレーユは、か細い手で涙を拭う。
弟、テリー…。
何故テリーはあれほどまでに豹変してしまったのだろう。
単に人格が変わった…テリーの持っていた奇跡の剣の魔力…魔族に操られた…。
原因は色々挙げられる。ミレーユはいつかその原因を突き止め、テリーを助けるのだろう。

525 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/02/19(日) 23:58:57 ID:1KspaAyc0
当然、それには協力するつもりだが…俺自身の問題はどうなのだろう。
ボロンゴ達の行方…元の世界に戻る術…。前者は、魔族に聞けば分かるかもしれない。だが、後者は?
この世界に来てから、一度も元の世界に戻る術など聞いた事がない。
もし、この世界で生涯生きていく事となったら…俺に居場所はあるのだろうか。
俺が異世界の人間と言う事実は誰一人知らない…。この際、相談するべきか…。
その時、長老の家の扉が、ゆっくりと開かれた。中から出てくるのは、カルベ長老。
「…!長老、ヘンリーは…!」
待っていた現実は、余りに酷なものだった。
目を閉じたまま、首を横に振るカルベ長老。その姿が、既にヘンリーの生死を物語っていた。
「くっ…!」
ヘンリーの死を信じたくなかったのか、勢い良く家の中に飛び込む俺。
が、その勢いは、ヘンリーがいる部屋の前に来た所で、ピタリと止まってしまった。
開けるのが怖い。答えはもう、分かっているのに。
いや、寧ろ答えが分かっているから、開けるのが怖いのかもしれない。
ドアノブに手をかけるも、手が大きく震え、ノブがカチャカチャと音を立てる。
が、それでも真実をこの目で確かめなければならないので、俺はドアノブを強く握り締め、ゆっくりとドアを開けた。
キィィ…と音を立て、ドアの向こうにあった光景は、やはりヘンリーがベッドで横たわっている姿………否、ヘンリーは上半身を起こしていた。
「心配かけてすまなかった…。」
ヘンリーは、確かに俺に喋りかけた。生きている…?…ヘンリーが…?
「…って事は…爺!騙しやがったな!」
「ひょーっほっほ!わしは死んだとは一言も言っとらん!」
畜生、ジジイめ。漫画に出てきそうな事やりやがって。後で魔人斬りの餌食決定。
「…テリーが…俺がお前を邪魔者扱いしていると言っていただろう。」
「…ああ。」
確かにそう言っていた。あいつの勝手な思い込みだろうと言い聞かせていたが…まさか、本当に…?

526 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/02/20(月) 00:00:11 ID:1KspaAyc0
「確かにお前は弱い。攻撃も防御も呪文も並以下。戦術も最悪だ。素質もないしな。」
「………。」
ここまではっきり言われると気分が良い。感謝したいぐらいだ。
「だが…一番信頼している奴を邪魔者扱いするはずないだろう?」
「信頼…?」
本気で言っているのだろうか。役立たずの俺を信頼しているなどと。
「普通の奴なら、この世界の現状を知った瞬間逃げ出すさ。」
まあ…確かにそうだが…。
とりあえずアテがないからヘンリーについていった、というのもあるだろう。正常な脳を持ってたらヘンリーについていかないと思うが…。
一番の理由は…やはりボロンゴ達と再会する事か。危険を冒してでも再会したい、と言う気持ちが俺をここまで来させたのかもしれない。
その時、ヘンリーが俺に手を差し出した。
「絶対に魔族を倒して…お互いの目的を果たそう。」
俺はその言葉に、握手で応えた。
ヘンリーの手を握った瞬間、ついぞ感じた事のないような暖かさを感じ、俺が抱えていた不安が薄らいでいった。

魔族との決戦まで、あと11日

Lv27
HP82/140
MP47/70
武器:雷鳴の剣 鎧:シルバーメイル 兜:風の帽子
回復:ホイミ、ベホイミ
攻撃:バギ、バギマ、ギラ、ベギラマ
補助:スカラ、ルカニ
特技:はやぶさ斬り、火炎斬り、諸刃斬り、魔人斬り、正拳突き

527 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/20(月) 00:08:07 ID:6KvRGDUJ0
なんじゃ、こりゃw

528 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/20(月) 03:15:39 ID:WRHp5rlqO
age

529 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/20(月) 04:32:46 ID:U2ygrKrMO
オルテガ氏、ローディー氏乙です!

530 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/20(月) 05:32:25 ID:i1Ue5TwIO
凄まじいほどwktk

531 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/20(月) 10:56:23 ID:uhstyoW9O
ローディ乙

532 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/20(月) 15:49:20 ID:jrdLg4W7O
魚目は消えたんかな?まぁあいつおもしろくなかったし…
あいつのせいでこの板荒れたからいなくなってよかったねー

533 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/20(月) 15:53:47 ID:i1Ue5TwIO
誤爆か?

534 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/20(月) 17:13:30 ID:COQFI9pV0
ローディ乙!
帰ってくるのを待ってたぞー

オルテガ乙!
どんどん面白くなってきた。今後に期待

535 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/21(火) 04:47:26 ID:dmebD8d00
>>516続き

城に着き、昨日と同様に王様の前に通される。

「ルークよ、突然呼び出して済まなかった。驚いたであろう?」
「いえ、そんな事は・・・」
昨日とは王様の雰囲気が違うように感じるのは気のせいか。
 
「あの戦士とは袂を分かったようだな。はっきり言って都合が良い。
 どうもあの戦士には信用のおけぬ気がしていた。どうやってお主だけに話せば
 いいか、正直迷っていたのだよ」
「オレだけに?」
「そうだ、今から話す内容は、絶対に国民には知られてならないのだ。
 もし、お主が私の頼みを断るとしても、その内容は自分の胸に秘めておく事だ。
 絶対に他言してはならない」
そう言って言葉を切り、じっとこちらを見つめてくる。
怖いほどの視線で。

「それでは話そう」
ゆっくりとした口調で話し始めた。

536 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/21(火) 05:09:35 ID:dmebD8d00
「お主もこの世界中で起きている異変に気付いている事と思う。
 異常気象、モンスターの異常増加、そして世界を覆う澱んだ空気。
 これらの異変にはちゃんとした理由があるのだ。この異変を引き起こしている
 張本人はこの世界に突如現れた魔王だ。その名を『バラモス』という」
「魔王・・・バラモス・・・」

声が掠れている。
魔王だって?お伽話じゃあるまいし・・・

「そう、魔王バラモスだ。世界中の殆どの人々は、その存在にすら気付いていない。
 この異変に対して、何も分からずに怯える事しか出来ないのだ」
「・・・・・・」
それでオレにどうしろと?まさか、まさかな・・・

「数年前、このアリアハンから世界を救う旅に出た勇者がいた。その名を『オルテガ』という。
 勇者オルテガは闘いの末、魔物の手に落ちて命を落としたという」
王様は再び話を中断し、目を閉じて何かを考えているようだ。
まるでその頃を思い出すように。

「そして3ヶ月前、今度はそのオルテガの息子が旅立った。
 親の敵を討ち、世界を救う旅へと・・・
 その名は『トリスタン』という」

魔王バラモス、勇者オルテガ、そしてその息子トリスタン・・・  
 

537 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/21(火) 05:29:00 ID:dmebD8d00
「トリスタンが旅立つ前に、現状報告を頻繁に行うように言っておいた。
 実際、最初の頃は報告が来ていたのだ。
 しかし、この1ヶ月間、報告が途切れ、消息は掴めぬままだ」
「・・・それで、オレへの頼みとは何でしょうか?」
「本題はこれからだ。消息が途切れたとはいえ、命を落としたという情報も入ってはいない。 
 私は何処かで生きていると信じているのだ」
 
「・・・・・・」
「お主への頼みとは、これから世界中を旅して、トリスタンの消息を探って貰いたい。
 そして無事に探し出す事が出来たら、今度はトリスタンの旅を助けてやってほしいのだ」
「・・・・・・」
 
あまりの内容に声も出ない。
一人の人間を探して世界中を旅する?
まるで雲を掴むような話じゃないか。
おまけにこの世界の事は殆ど分からないし、仲間もいない。
さらに一文無しの無い無い尽くし。
人探し以前の問題だ。
 
それに万が一見つかっても、今度は魔王退治かよ・・・
話にならない。

538 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/21(火) 05:44:10 ID:dmebD8d00
こんな依頼を受けるのは自殺行為もいい所だろう。
なぜオレにこんな事を頼むんだ?
仮にもここは城じゃないか。兵士だって幾らでもいるだろうし、そいつらに行かせれば
いいじゃないか。
無関係のオレに頼むなんて、王様としてのプライドは無いのか?
・・・断ろう。

無言のオレに、尚も王様は話を続ける。
「今回、ナジミの塔のモンスターに報奨金を掛けたのもこの為だ。
 倒して来た戦士を直接見て、信用出来そうな人物ならこの話をしようと思っていた。
 そして私は自分の目に自信を持っている」

・・・そうゆう言い方は卑怯だ。
何とか上手く断らなければ・・・

「でも、オレには世界を旅する為の知識も無いし、仲間もいないので・・・」
「その点は心配無用だ。共に旅をする経験豊富な仲間をこちらで用意しよう」
 
オレの言葉を予想していたように、すぐに返事が返ってきた。
何か外堀がどんどん埋められて行くような・・・

539 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/21(火) 06:09:01 ID:dmebD8d00
「ワシをその旅に同行させてほしいのじゃが」
突然の後ろの声に振り返ると、そこには魔法使いのような格好をした老人が立っていた。
いつからそこに居たのか・・・全く気配を感じなかった。

王様も驚いた顔をしている。
「マトリフ殿、何を言うか。第一、その老体で旅などと・・・」
「老体とは聞き捨てなりませんな。それにもう決めた事じゃ。
 息子が殺され、孫が行方不明などと・・・このままでは死んでも死に切れませんな。
 息子の敵を親が討つのは当然の事。止めて下さるな」
 
王様は困った顔を浮かべているが、やがてオレに向かって爺さんの紹介を始めた。
「こちらは勇者オルテガの父親である魔導士、マトリフ殿だ」

マトリフと呼ばれた爺さんは、鋭い眼光をこちらに向けてくる。
「たしか・・・ルーク殿でしたな。話は全部聞かせて貰った。
 どうじゃろう?このワシを連れて行く気は無いかな?ワシは若い頃に世界中を
 旅して回った。今回の旅にきっと役に立つと思うのじゃが、如何かな?」

どうだと言われても・・・
王様の話を聞いた限りでは、かなり危険な旅になりそうだというのに、こんな爺さんを
連れて行って大丈夫か?幾ら旅の役に立つと言われても・・・

・・・って、何で依頼を受けるのを前提で考えているんだ?
断るんじゃなかったのか?


540 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/21(火) 06:26:28 ID:dmebD8d00
そんなオレをよそに、マトリフは王様に向かって、
「話はまとまった。旅の許可を頂きましょう。
 このマトリフとルーク殿、そして・・・もう一人ワシに心当たりの人間がいるので、
 その3人で行かせて貰う。そういう事じゃ」

ちょっと待てよ、このじじい。
オレは行くなんて一言も言ってない。
しかも、もう一人連れて行くなんて、なに勝手な事を言ってんだ!

「ちょっと待ってくれよ、まだオレは何も言ってないぜ」
抗議しようとするオレを遮り、
「今後の事を相談するとしよう」
そう言うなり、マトリフは外に向かって歩き出してしまう。

待て、話は終わってないぞ・・・
何でこの世界の人間はせっかちな奴ばかりなんだ・・・
救いを求めて王様を見るが、王様は既に諦めた顔だ。
「まあ・・・そう言う事だ。マトリフ殿と相談して、今後の方針を決めてくれ。
 また出発の時に顔を出すように」

そう言う事だって・・・なんてアバウトな王様なんだ。
こっちもどうでもいい気分になり、マトリフを追いかける。

それにしても、オレってなんて流されやすい男なんだ・・・
元々のオレがそうなのか、ルークという男がそうなのか・・・


541 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/21(火) 06:44:39 ID:dmebD8d00
城を出てマトリフに追いつくと、待ちくたびれたという顔だ。
こういう所、誰かに似ている・・・

「若者のくせに、老人を待たせるとは・・・早く付いて来るのじゃ」
「待ってくれよ、マトリフさん。何処へ行くんだ?」
「ワシの家じゃよ。誰もおらんから話しをするのにちょうどいいからな」

マトリフに付いて町を歩く。
町の外れ近くの小さな家の前でマトリフは立ち止まった。
「ここじゃ」

中に入ると、最初に思ったよりも広かった。
周りには何やら実験器具のような物が置いてある。
そして本棚には難しそうな本がズラッと並んでいた。
どうやら何かの研究でもしているようだな。

応接室の様な所に通され、ソファーを勧められる。高そうなソファーだ。
座ってみると、体が沈んで行くほどに柔らかい。

「いつから一人暮らしを?」


542 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/21(火) 07:04:24 ID:dmebD8d00
「3ヶ月前からじゃよ・・・オルテガが旅立ったのが8年前・・・その嫁は体が弱くてな。
 オルテガの死を聞き、後を追うように病気で逝ってしまった。
 それからはワシの手でトリスタンを育てて来た。トリスタンが旅立つ時、ワシも付いて
 行きたかったんじゃが、トリスタンは一人で行くと言い張ってな・・・
 それで一人という訳じゃよ・・・」

淡々と話すマトリフ、それでも家族への想いは痛いほど伝わってくる。
何も考えずに無神経な事を聞いた事を後悔する。

「悪かった・・・変な事を聞いて・・・」
「気にする事はない。別にそこまで孤独な訳ではないからな。何故ならば・・・」

その時、玄関の方から大声が聞こえて来た。
「お邪魔しまーす。マトリフさーん、入るよー!」

・・・明らかに女の、それも若い女の声だ。
「おう、噂をすれば・・・」
マトリフの顔が微かに綻んだ。

ドアが開き、若い女が勢い良く入ってくる。
短めに整えられた髪、少しきつめの目、美人に分類される事は間違いない。
それにしても若い。まだ16,7位じゃないか?

ひょっとしてこの爺さん・・・
マトリフを軽蔑の目で見てやった。 

543 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/21(火) 07:23:10 ID:dmebD8d00
「こら、何を想像しておるか!この娘の名は『ミリアム』じゃ。
 まあワシの助手のようなもんじゃ」
慌てるとこが怪しい。

ミリアムと呼ばれた少女は心外といった顔でマトリフを睨んでいる。
「ちょっと待ってよ、いつ私がマトリフさんの助手になったのよ?
 ・・・ところであなたは?」
今度はこっちを見て聞いて来る。
「あ、オレの名はルーク。えっと・・・」

今の状況を話そうとして思い留まる。
王様に他言無用と言われたのを思い出したからだ。

しかしマトリフは
「大丈夫じゃよ、この娘は全てを知っておる」
そう言ってミリアムにオレの事を説明し始めた。 
王様に頼まれた内容、それにマトリフも付いて行く事も。

「トリスタンを探す旅?私も行く!絶対に行く!」
説明が終わると同時にミリアムが叫ぶ。
「でかい声を出すな!お前がそう言うと思って、王様には伝えておるわ」
 
・・・ハイ?今、何と言いましたか?
「うむ、先ほどワシが言っていたもう一人とは、この娘の事じゃ」
「さすがマトリフさん!こういうのって以心伝心って言うんだよね?」
そう言ってはしゃぎ回るミリアム。
オレはまた頭痛が酷くなって来た・・・

544 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/21(火) 07:29:43 ID:dmebD8d00
オレの苦悩などには気付かず、あくまで明るい声でミリアムは
「よろしく!ルークさん、一緒に頑張ろうね」
と言って、手を差し出して来る。

その手を握りながら、遂に悟りの境地に達する。
世界を旅する仲間が爺さんと小娘か・・・
まあ、爺さんとの2人旅よりはナンボかマシだよな。


・・・待て、別に行くと決めた訳じゃないぞ。

545 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/02/21(火) 09:14:50 ID:dmebD8d00
マトリフは用事があると言って出かけて行き、ミリアムと2人きりになる。
ミリアムからトリスタンの事を聞く。
2人は幼馴染で、兄妹同然に育ったと言う。
トリスタンが旅立つ時に付いて行こうとしたが、マトリフ同様、置いてかれたそうだ。

「連れて行けないって言われて凄く悔しかったんだよね。
 私なりにトリスタンの役に立ちたくて、色々特訓してたのに・・・」
「女の子を危険な目に遭わせたくなかったんだと思うけどな」
「それくらい分かってるよ。でも、そんな考え方おかしいよ。
 トリスタンは昔から全てを一人で抱え込もうとするのよ。私はそばで見ていたから分かるの。
 だから尚更力になりたかったのに・・・一人で出来る事なんて限られてるじゃない。
 そうでしょ?」
 
一応フォローのつもりだったが火に油だったようだ。
ただ、ミリアムの想いは十分に伝わって来た。
遊び半分でついて行きたがっている訳じゃないようだ。

オレもそろそろ結論を出す時だな・・・
最初は断るしかないと思っていた。
しかし冷静に考えて、断ってそれからどうする?
断れば、当然今後に何の当ても無くなる。金も無いし今日泊まる所すら不自由するだろう。

それに失った記憶を取り戻す事、そして元の世界に帰る事。共にどうすればいいか、見当も付かない。
依頼を受けて世界中を旅すれば、それに対する手がかりを掴めるかもしれない。

最後に・・・アモスの事だ。あんな目にあったが、やはり又会いたい。
会ってどうしたいのか、自分でも分からない。それは会ってから考える事だ。

それらを考えたら・・・何だ、結論なんて出ているじゃないか

つづく

546 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/21(火) 12:34:38 ID:sMjgW5A6O
オルテガ乙

547 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/21(火) 13:42:41 ID:JhVkDqXzO


548 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/21(火) 22:14:18 ID:fFXuhxIjO
亀レスだが…

ヘンリー(´;ω;`)ウッ…

549 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/22(水) 01:39:00 ID:hbRyLJzT0
オルテガGJ
テンポが良いし文章も読みやすいね。
ただ、テンポが早すぎて状況が分かりにくい部分もあるかな。
その辺のメリハリを付けるともっといいと思う。

他の職人も帰って来てくれー!
期待age


550 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/22(水) 22:22:03 ID:xfCAwDPXO
だるそうな主人公とか出ないかな。エイコさんみたいな…

551 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/02/23(木) 08:05:16 ID:SzDnHggt0
カタリナが俺達を呼びに来て、リアたちがいる部屋に戻った。
部屋に入るとリアとムーンブルグの王女が仲良く話している。

  リア「そうなんだぁ〜」
  王女「ふふふっ。それでね………」

カタリナ「失礼します。王女様。もょもと王子とサマル王子をお連れしました。」
タケ「よう。」
  王女「あっ!変態王子!!」
  タケ「誰が変態王子だと!?お前の一方的だろうが!表出るか!?」
  リア「(ビクッ)」
カタリナ「いくらもょもと王子でも暴言は許しませんよ!!」
 サマル「お、落ち着いて。もょ………!カタリナさんも、ね?」

いきなり変態扱いかよ。たまったもんじゃないな。

 王女「どうしてくれるのよ!」
 タケ「悪かったよ。すまん」
 王女「ふん!素直に謝ったから許してあげる。」
 タケ「はぁ?」
 王女「いいから感謝しなさい!」
 タケ「わかったよ。」

全く美人でも短気な女は嫌なもんだ。


552 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/02/23(木) 08:06:20 ID:SzDnHggt0
サマル「そ、それでね。ムーン王女。トーマスさんの事なんだけど」 
ムーン「ムーンでいいわよ。いったいどうしたの?」
サマル「ご、ごめん。僕が一晩中治療していたのだけど下半身不随なんだ…」
 タケ「トーマスさんはハーゴンの手下にベギラマを喰らって致命的なダメージを受けたんだ。サマルが何とかしてくれたのだが駄目だった。サマルなりに頑張ってくれたんだけどさ。」
ムーン「そうなの………私に任せておいて!」
 タケ「何とかなるのか?ムーン?」
ムーン「とにかくトーマスの所に案内して頂戴。」
 リア「ムーンさん案内するね。」

俺たちはトーマスがいる部屋に向かった。

トーマス「あっ……お、王女様。申し訳ございません。私が不甲斐ないために…」
 ムーン「いいのよ。あなたが無事でよかったわ。」
トーマス「けど私は足が動かないのです…」
 ムーン「ちょっと待ちなさい。すぐ治してあげるから。」

ムーンがなにやら唱え始めた……………………


 ムーン「ベホイミ」



553 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/02/23(木) 08:08:11 ID:SzDnHggt0

何と言う事でしょう…………トーマスの火傷の後が無くなっていったのだ。

トーマス「おおっ……足が…足が動く…」
  タケ「すげぇ…」
 ムーン「上手くいって良かったわ。これで一安心ね。」
カタリナ「あ、ありがとうございます!流石王女様ですね!」
 サマル「僕のホイミと大違いだ………」
 ムーン「サマル。貴方が応急処置してくれたおかげで上手くいったのよ。」
 サマル「そ、そうなの?」
 ムーン「ええ。何も手当てをしていなかったらトーマスは死んでいたわ。」
  タケ「俺も薬草の手当てをしたんだけどな。」
 ムーン「もょもと。薬草は確かに万能な効果はあるのだけど精々軽い軽傷の時ぐらいしか使えないわ。治療する対象が重傷な場合はあまり効果が無いの。」
  タケ「そうなのか…しかし重傷の時に使える道具は無いのか?」
 ムーン「見聞学だけど上薬草や特薬草って呼ばれる道具があるらしいわ。中々市場には出回っていない。初級呪文で治療する場合は継続的に唱えなければいけないのよ。」
 サマル「しかしべホイミってホイミの上級呪文だよね?」
 ムーン「それで合ってるわよ。サマルも覚えたほうが良いわよ。」
  リア「ねぇねぇ、ムーンさんはどうやってべホイミを唱えられるようになったの?」
 ムーン「私の場合は3年前から呪文の特訓をしていたのよ。それで使えるようになったわけ。」

この娘…性格が高慢な所を除けばかなり頼りになるな。

  もょ「じゃあすうじつかんとっくんしよう。みんな。」
  タケ(い、いきなり出てくんなや。びっくりしたやないか!)
  もょ(すまん。わるいけどタケ。フォローにまわってくれ。みんなにだいじなはなしがしたい。」
  タケ(わ、わかったで。)

もょもとの雰囲気が普段と違う…何があったのだろうか?思わず言葉を詰まらせてしまった。
 

554 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/02/23(木) 08:10:10 ID:SzDnHggt0

 ムーン「一体どうしようとしているの?もょもと。」
  もょ「ぜんたいてきにレベルをあげなければいけない。そこでだ。サマル。」
 サマル「何だい?もょ。」
  もょ「トーマスさんからええっと…やりの…なんだったけな…」
  タケ(槍術ね)
  もょ「そう、そうじゅつをおしえてもらってくれ。くさりがまじゃやくぶそくだ。」
 サマル「そんなのキツいよ。僕はもょみたいに力があるわけじゃないよ」
  もょ「なにをいっているんだ。サマルはききかんをかんじなかったのか?きとうしとたたかったときに。」
 サマル「うっ…」
  もょ「さいあくのばあいぜんいんがしぬかのうせいもあるんだ。これをきもにめいじておかないとダメだぞ!」
 サマル「わ、わかったよ。」
  リア「もょもとさん。私はどうすればいいの?」
  もょ「ムーンといっしょにじゅもんのとっくんをしてくれ。できればカタリナさんにけんじゅつのほうもおそわってほしい。」
  リア「うん!私も剣術を学びたい所だったのだから頑張ってみるね!」
  もょ「じゃあおれがつかっていたせいどうのつるぎをわたしておくよ。」

もょもとはリアに青銅の剣を渡した。
 
 ムーン「もょもと、貴方はどうするの?」
  もょ「もういちどムーンブルグのしろにいく。むだあしかもしれないがごせんぞさまがのこしたものがあるかもしれないからな。」
 ムーン「なぜそう言い切れるの?」
  もょ「ムーンみたいにじゅもんがつかえるひとがおおかったとおもう。なにかあるかもしれないっておもってさ。」
 ムーン「一人で行くつもり?」
  もょ「もちろん。じゃあまかせたぞ!」
 ムーン「ちょっと!勝手に行かないでよ!」

もょもとは町の外に向けて走り出した。こいつ足が早ええええええええええええええええ!!!!!1111!!!


555 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/02/23(木) 08:11:56 ID:SzDnHggt0
 もょ「はあっ!はあっ!」
 タケ「どないしたんや?急に。お前らしくないなぁ」
 もょ「まぁ、たまにはおれたちだけでもいいかなっておもってさ。」
 タケ「それはちゃうやろ〜?んん?もょもと君。」
 もょ「な、なんだよ。タケ。」
 タケ「もしかしてちょっと恥ずかしかったんやろ?もょ?」
 もょ「そ、そんなことなかったぞ。」
 タケ「そんな事ないよな。って俺には誤魔化す事は不可能やで。」
 もょ「な、なんでもないぞ。ほんとうに。」
 タケ「まぁええわい。深入りはせんとこ。それより何かあるんか?ムーンブルグに」
 もょ「ああ。むかうりゆうはおれのかんだよ。」
 タケ「えっ?それだけなんか?」
 もょ「おう。」
 タケ「話は変わるけど俺から言えることは一つあるで。もょ。」
 もょ「なんだ?」
 タケ「恋愛は沢山して経験を積むことや。それがお前自身にとって糧になるからな。覚えておき。」
 もょ「な、なんだよ。きゅうにそんなことをいいだして…」
 タケ「気にすんな。俺の独り言やで。とにかくムーンブルグに向かいますか。」

しばらく歩いて行く内に誰かが呼ぶ声がした。

 タケ「おい。もょ。誰かが呼んでいるで。」
 もょ「だれだろう?」

段々人影が見えてきた…………………… 

556 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/02/23(木) 08:15:46 ID:SzDnHggt0
ムーン「もょもと〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 タケ「ムーンちゃんやないか。良かったな。もょ。」
 もょ「バ、バカ!なにいってんだよ。」
 タケ「まぁ俺は楽しませてもらうわい。」

ムーン「ようやく追いついたわよ!はぁ〜疲れた。」
 もょ「どうしたんだ?ムーン?」
ムーン「案内役は必要でしょ。勝手に行動されたら困るわよ!それに私の方がお城について詳しいわ。」
 もょ「おお、たすかるぞ。ムーン。よくトーマスさんたちがきょかしたなぁ。」
ムーン「気にすることは無いわ。私は当たり前の事をするだけよ。さっさと行くわよ!」
 もょ「なにあせっているんだ?ムーン?」
ムーン「べつにあせってないわよ!もう!もょもとの馬鹿!!」

こりゃ〜オモロイ展開になってきたでぇ!俺は楽しく静観するとしますか。

俺たちはムーンと一緒にムーンブルグの城に向かう事にした。
 
もょもと&タケ
Lv.12
HP:86/86
MP: 0/ 0
E鋼の剣 E皮の鎧 E鱗の盾 E木の帽子 
特技:かすみ二段・強撃・チェンジ・はやぶさ斬り(もょもと専用)・ゾンビ斬り・大防御(タケ専用)


 

557 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/23(木) 11:24:19 ID:S3uWuhQO0
オルテガ、レッドマン乙

558 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/23(木) 14:23:05 ID:AhbpzWtrO
レッドマン乙。

B級ラブコメみたいだが個人的には後の展開に期待する。

559 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/24(金) 04:38:45 ID:s4mPwJ/60
人格で技チェンジってのは結構面白い要素だと思う。
ゲームならいざしらず、小説で上手く使えるかは賭けだと思うけど。

560 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/24(金) 07:35:49 ID:s98xS4Vd0
つーか眠りや麻痺状態でも交代すればokだしな。
いい意味で素人っぽくて斬新だと思った。
プロ作品なら御都合主義と叩かれそう。

561 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/24(金) 14:04:49 ID:45sH5Ad/0
書き手は以前より減ったけどそれぞれ作風が違っていいね

新人さん出てこないかなー

562 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/25(土) 08:49:50 ID:6NU2zzLT0
やっぱこの手のSS書くときは攻略本とか必要だよな・・・
世界観やそういうのを知るためにも。

オリジナルで書いてる職人さんもいるようだけど
俺だと知識不足かもしれんな。。。

563 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/25(土) 09:18:58 ID:2KJnE6XaO
記憶ないとそこの世界の住人だから問題ないけど
記憶あったらスライムぐらい倒しに行こうとするかもな。

あとは町の外に出て「メラ!」とか叫んじゃうんだろうな
で魔法出なくて恥ずかしくなってるに違いない!

564 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/25(土) 11:12:37 ID:F7iVVm5p0
職人さん降臨待ち

565 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/25(土) 13:41:49 ID:G8TfpNvM0
もし目が覚めたらDQ世界か・・・

場所によるが、カワイ子ちゃんがいれば文句なしだぜ?

566 :クロベ ◆JNf/CxpPRk :2006/02/25(土) 15:08:40 ID:KX6w/5ZI0
その日は泥のように眠った。丸々一日動き続けた反動で、体のあちこちが痛んだ。
夢の入り込む隙間もないほど深い睡眠に落ちていく。
目を覚ましたら元の生活が待っていて、バイトに明け暮れ何となく過ぎていくだけの日々が始まる。そんな
ことを少しだけ、考えたりもした。
けれど、目覚まし時計のかわりに私をたたき起こしたのは、
「おーい起きろ! 朝だよ朝!」
やたらと気合の入ったまだ聞きなれない女性の怒鳴り声だった。
やっぱりこれは現実なのだ。……認めたくないけど。

備え付けの部屋着を、昨日目覚めてからずっと着たきりスズメの一張羅に着替えて、宿の部屋を出る。
カウンターでチェックアウトの旨を伝えているミモザを私はぼんやりと見ていた。まだ眠い。だるい。
「ところで」
緑のオヤジに話しかけていたミモザが、ふと声を潜める。
「この町に強盗が来たって話を聞いたんだけど?」
……やっぱりやる気か。殺る気と書いてやる気。結局、強盗退治なんて危ないと思います(><)という私の
意見はまったく耳に届かなかった。……うー、行きたくない。
「ああ、聞きましたか、お客さん」
溜息をはく私をよそに、宿屋の饅頭ダヌキは訳知り顔で口を開いた。

「そうなんですよ。十日ほど前ですかね……突然現れたんです。この宿は襲われずにすみましたが、道具屋や
武具の店なんかは大変だったみたいですよ。
民家にも押し入ったそうで、金目のものから食料までかなりの被害だったとか」
そしてカウンターに肘を突き、オヤジは話を続ける。どうやら結構喋りたがりのようだ。
「それと、……ちょっと情けない話なんですがね、私どもも一応抵抗はしてみたんですよ。
けれどもこれがまた全然歯が立ちませんで。武具屋の旦那なんか怪我が元で寝込んじまってる始末。それも
たった数人の賊に……おっそろしく暴力的な奴らですね、あの強盗どもは」

567 :クロベ ◆JNf/CxpPRk :2006/02/25(土) 15:09:21 ID:KX6w/5ZI0
「ふうん……で、そいつらはどこに?」
ミモザがその続きを促すように相槌を打つ。肝心の情報はまだ出てきていない。

「それがですね、どうもまだこの近辺をうろついてるみたいで……残念ながら私には『どこ』とは分からないのですが、
おそらく近くに根城でも構えているんでしょうな。
それとこれは愚痴になるんですが……昨日も現れまして、その、今度は奪うのではなく、奴らがかっさらっていった
あれやこれやを馬鹿高い値段で売りつけてくるんです。
もともとは自分のものだったとは分かっているんですが、何分逆らえないもんですから、大金出して取り戻す人も
少なくありません」
そこでようやく口を閉ざした宿屋の旦那は、疲れたように溜息を吐き出した。
「まったくもう、住民一同泣き寝入りですよ」
昨夜のミモザの予想は、どうやら大方当たっていたみたいだ。ぽそっとさすが同業者、と言ったら、あんな野蛮な奴と
一緒にするなと鞭を鳴らされた。私だけでなくオヤジも飛び上がる。だからミモザさんこわいってば!

「そうか、よく分かった。ありがとう」
これ以上聞くことはないと踏んだ彼女は、旦那に金貨を一枚渡す。情報料、といったところか。
「クロベ、行くよ? あんたは何かいいの?」
「何か?」
「聞くこと。ないならいいけど。……ないでしょ? ないね? さ、行こう。悪かったね、旦那」
ほんと無理やりな人だなぁ。

568 :クロベ ◆JNf/CxpPRk :2006/02/25(土) 15:10:04 ID:KX6w/5ZI0
「あの、ちょっと待って、一つだけ!」
なかば引きずられるようにしながら、私は慌てて口を開いた。
「昨夜の前、私を宿まで運んでくれた人がいたって言いましたよね? それって、どんな人だったんですか?」
「……」
宿屋の主人は私の顔をまじまじと見る。そして沈黙する。
そんでもってもう一度まじまじと見て、ようやく思い出したように目をぱちくりとさせた。
「ああ、昨日の困った方でしたか!」
「困った方……」
何かムカつく。けど、とりあえず認めざるを得ない。オヤジの意図する意味とは違えど、困っていたことに違いはない。
「まあそうですけど。で、おとといの私の連れさんて、どんな方なんですか」
もしも会ったら、……もしも会えたら、お礼を言いたかった。こんな世界に突然やってきて、目が覚めたら魔物の腹の
中だった、なんて笑い話にも出来ない。いやいや、笑い話に出来る私がまずいなかっただろう。
「教えてください、お礼、言いたいんです」
全身緑の服を着込んだタヌキ親父は首をかしげ、思い出そうとしている。緑のタヌキか。……そば食べたくなってきた。
「そうですねぇ……紫色のマントを羽織っていて、ずいぶん大振りの剣を背負ってましたね。あとは……少年のような
ナリをしてましたけど、多分女性の方だと思いますよ」
紫色のマントに、大きな剣の女の人。口の中で何度も何度もその言葉を反芻したせいだろう、隣で同じように
その特徴を呟くミモザには、ついに気づかなかった。

クロベ Lv1 フリーター
HP 17/17 MP 0/1
E かれえだ E ピーコート ミモザのにもつ

569 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/25(土) 15:15:07 ID:o8J9oamt0
>>565
ククール乙

570 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/25(土) 15:42:21 ID:F7iVVm5p0
クロベさん乙です

571 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/02/25(土) 22:58:59 ID:8RMlxeRE0
「お主達、魔族との決戦に参加すると言っていたが…本気か?」
まだ全快には至っていないヘンリーをベッドで休ませたまま、俺達は海辺で長老と話をしていた。
「決戦に参加せずに逃げても、いつかは殺されるだろうし…何より魔族には借りがある。倍にして返すつもりだ。」
俺は右拳を強く握り締める。魔族への怒りは微塵も風化していないようだ。
「そうじゃったか…。」
カルベ長老は僅かに笑みを零す。
「お主達のような勇気ある若者がいるとは思いもせんかった…。まだ、希望はあるかもしれんな…。」
遥か北に見える魔族の城を睨み続けていたカルベ長老が、今度は海辺の村に視線を変えた。
「この村にも、1ヶ月前には大勢の村人が住んでいた…。皆、呪文の知識に長け、中には中級呪文を操れる子供などもおった…だが…。」
カルベ長老の表情がガラリと変わる。今まで微笑んでいたのに、突然悲しみに満ち溢れた表情を浮かべた。
「魔族が攻めてくると知った途端、この有様じゃ。わし以外皆、村から逃げていきおった…。」
多くの呪文を操れる村人達ですら、逃げていったのか…。やはり、それ程魔族は脅威の存在なのだろう。
俺達の行く先々で、人々の悲痛な叫び声を聴かされる。魔族は、どこまで恐ろしいんだ…。
「わし一人でも魔族と戦うつもりじゃったが…正直なところ、確実に死ぬと思っていた。魔族の強さは嫌というほど実感しとるからな。」
カルベ長老はふぅ、と溜息をつき、俺に視線を合わせた。
「じゃが…今は違う。お主達のような者がいれば、魔族を倒すことも可能かもしれん…。」
カルベ長老が杖をつきながらゆっくりと歩き、ミレーユの前で止まる。
「ミレーユ…じゃったか。これを持っておきなさい。」
カルベ長老は、銀色の素朴な首飾りを外すと、ミレーユに手渡した。
「これは…?」
「…お守りのような物じゃ。大切にするんじゃよ。今日はもう遅い。この村の宿を使うといい。」
そう言って、カルベ長老は家に戻っていった。




572 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/02/25(土) 23:00:02 ID:8RMlxeRE0
次の日、ヘンリーはすっかり全快し、既に修行に励んでいた。
俺はヘンリーと剣術修行を行い、ミレーユはカルベ長老に呪文を教わっていた。
決戦に参加する他の戦士達と修行をするのが望ましいのだが、生憎誰も来ていない。『まだ来ていない』のか、『誰も来ない』のかは分からないが…。
ただ、生きている限りカンダタとエテポンゲが来るのは確かだ。今の時点では、カルベ長老を含め6人…思いのほか少ないが、奇跡が起きれば、或いは…。
「隙だらけだ!」
ヒュンッ
剣が空を切る音が響く。俺の左腕を、ヘンリーの剣が掠っていた。
危ない所だった。戦闘中に考え事などしている暇はない。相手が魔物だったら死んでいたかもしれん。
「掠ったか…。中々反応が良くなってきたな。」
とヘンリーに言われるものの、まだまだヘンリーにはかなわない。先程から、ダメージを受けては回復、受けては回復という拷問に近い修行を続けている。
「メラ!!」
ボウッ
俺の左方向から小さな火球が放たれ、俺に直撃した。明らかにおかしい。ヘンリーは俺の目の前にいるのに。
メラを放ったのは、カルベ長老だった。杖先が真っ直ぐこちらに伸びている。
「まだまだ甘いのう…。決戦は1対1で行われる訳ではない。常に自分と戦っている相手以外にも警戒をしておくんじゃ。」
確かに。どうも1対1に慣れすぎていた。完全に不意を突かれてしまったようだ。
「時々わしのメラが飛んでくるから、常に警戒しておくんじゃ。いつ飛んでくるか分からんぞ。」
完全に拷問だ…ただでさえ俺より遥かに強いヘンリーと1対1で戦わなければいけないのに、メラまで飛んでくるとは…。

「やっと着いたぞ!」
俺が再び剣を構えた瞬間、村の入り口から声が聞こえてきた。
そちらの方を見ると、全身痣や切り傷だらけの旅人らしき者が4人いた。

573 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/02/25(土) 23:01:07 ID:8RMlxeRE0
「お前達は?」
ヘンリーが、旅人達に歩み寄る。
「俺達は魔族との決戦に参加する為にこの村に来た。」
金髪のリーゼント頭の剣士が一歩前に出て、ヘンリーに答えた。
「何、それは本当か!?」
「ああ、このまま黙って魔族にやられる訳にはいかないからな。俺達も協力させてもらう。」
一気に仲間が4人も増えた。それは喜ばしい事だ。が…。
俺は心の底から喜ぶ事は出来なかった。その4人の中に、カンダタも、エテポンゲもいなかったのだ。
まあ、まだ10日あるからそれまでに来る可能性は十分あるんだが…。
それにしても気になるのは、この4人の面々。どうにも既視感が拭い去れない。
金髪のリーゼント頭の剣士、小柄で軽装の盗賊風の男、フンドシとマントの変態男、全身防具で身を堅め、顔以外覆い被さっている戦士。
「む…君は、あの時の地下の魔物を倒してくれた少年!?」
フンドシの変態が俺に迫り来る。一瞬生命の危機を感じ取ったが、あまりの恐怖に動けなかった。肩を鷲掴みにされる俺。
「久しいな!君が仲間に加わってくれるとは、頼もしい!」
…ようやく思い出した。地下が虫に占領されていた城の変態王か。どうりでこのインパクトのあるフンドシにデジャヴを感じた訳だ。
しかし、この変態王強いのか?あの時は虫程度に恐れをなしていたのに…。
「ん?おお!わが城の試練を乗り越え、魔物を倒して洞窟を開通させてくれたあの時の少年か!」
今度は、リーゼント。
「お、お前は…宿屋の女を助けるために俺のアジトn




574 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/02/25(土) 23:01:54 ID:8RMlxeRE0
取り敢えず長老の家に入って一旦場が落ち着いた。
どうやらフンドシ=変態王、リーゼント=ブラスト、盗賊=盗賊の頭(エテポンゲの親分)らしい。また懐かしい奴が揃ったな。
結局、無言のまま全く喋らないもう一人の戦士の正体は分からなかったが、やはりどこかで見た事がある気がする。
「ふむ…今のところ8人か…。まさかこれ程集まるとは思わなかったわい。」
俺も、正直カンダタとエテポンゲ以外にはもう誰も来ないと思っていた。まさか、魔族に対抗しようと思っている奴がまだこんなにいるとは。
これは魔族討伐も夢ではなくなってきたかもしれない。いや、確実に『現実』にしてみせる。
「実はな…先日、魔族達がわしにあることを言いに来たんじゃ…。」
突然重々しく口を開くカルベ長老。
「魔族が直接…?一体何を…?」
緊迫した雰囲気の中、俺はカルベ長老の言葉を待った。
「『部隊長ジャミ、ゴンズの他に、部隊員は50。それと、魔族の秘密兵器を用意してきてやる。覚悟していろ。』…と。」
「ご…50…だと…!」
一瞬で部屋全体、いや、世界が『絶望』で埋め尽くされる。
俺は、荒野に生息する野生の魔物ですら対等に戦えない。50匹の部隊員は魔族の城の奴らで、恐らく野生より知能も高く強いだろう。それが、50…。
それに、秘密兵器とは…?武器…?最強の魔物…?それとも他の何か…?
とにかく今分かることは、この瞬間俺の中にある『希望』が『絶望』に変わってしまったということだ。
「面白い…。」
皆が絶望の表情を浮かべる中、ブラストは一人薄ら笑いを浮かべていた。
「数が50?秘密兵器?面白いじゃないか。相手にとって不足はない。」
どうやら、相当の覚悟をしてきているようだ。このブラストという男は。
「わが城の王や兵士、住人、そして世界の人々の為にも、俺は魔族を倒してみせるぞ!」
拳を強く握り、歯を食いしばるブラスト。

575 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/02/25(土) 23:02:33 ID:8RMlxeRE0
「そ、そうだな…。」
「どうせ捨てる命だ。とことんまでやってやろうじゃないか。」
「ビビってる場合じゃない!やってやろうみんな!」
本心なのか一時的な感情の高ぶりなのか、皆が、ブラストに煽られ奮起する。
「決戦は近いぞみんな!今まで散々弄ばれた分、ここで返り討ちにしてやろう!」
「おお!!」
その日は夜も遅いので全員が早々と眠りについた。



「はぁ…やはり一時的に感情が高まってただけかもしれないな…。」
宿のベッドに横になり、ぶつぶつと呟く俺。あれから数時間、既に怖気づいていた。
数が50、というのは冷静に受け止めている。ギリギリ許容範囲だ。
俺が気になっているのは、秘密兵器。
どうも胸騒ぎがする。この『秘密兵器』というのを聞いた時から…。気のせいだろうか…。
カチャッ
突然ドアが開かれる。そこに立っているのは、例の謎の戦士。
戦士は先程の重装備とは違い、ステテコパンツ一枚という大胆な格好をしていた。
「どうした…?」
戦士は何も言わず、俺に歩み寄る。
不気味だ…。一体何を考えているんだ…。何故突然俺のところに…。
「やはり忘れちまったか…俺のことを…。」
「えっ?」
戦士が初めて口を開いた。『忘れちまった』とは…やはりどこかで会っていたのか?
「まあ…会ったのはほんの数分だったしな…忘れていても仕方ないだろう…。」
と言われるものの、全く思い出せない。どこかで見たことはあるんだが…。

576 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/02/25(土) 23:03:05 ID:8RMlxeRE0
「俺だ。魔物に畑を荒らされていた村の、武器屋だよ。」
「あ………ああー………。」
言われてみるとそんな気が……ん?
待て、確かあの村の武器屋は…。
「暫く見ない内に、随分良い体つきになったな。どうだ、今夜一緒に…。」
「うぎゃああああああああああああ!!!!!!」



次の日、俺とカルベ長老を除く6人は、呪文や剣の修行に励んでいた。
武器屋の腹に大きな切り傷が出来ており、皆が心配そうにしていたが、当然俺だけはスルーだ。
それはいいとして、俺はというとカルベ長老とある話をしていた。
「結論から言うと、無理じゃな。」
がくりと俯く俺と、優雅にコーヒーを飲むカルベ長老。
俺はカルベ長老に稲妻の呪文を教えてもらうよう頼んだが、一言目でその希望を断ち切られた。
畜生、大魔導師のカルベ長老なら容易に教えてくれると思ったんだが…。
「昔はただ一人、勇者と呼ばれる者が使えたが…今は誰一人として使えるものはおらん。わしに使えん呪文がお主に使える訳ないじゃろう。」
「いや待て、俺が勇者の血をひいている可能性が…。」
「たわけ!お主のような頼りなさそうな奴が、勇者な訳ないじゃろうが!」
確かにそうだ。第一俺は異世界から来たんだし、勇者な訳がない。
「諦めて、剣の修行でもするんじゃ。稲妻の呪文など、使おうと思うだけ時間の無駄じゃぞ。」
そう言い残して、カルベ長老は部屋を出て行く。
が、それでも俺は、あの稲妻の呪文が使いたかった。あの時見た稲妻の威力は、それ程凄かったのだ。

休憩時間、就寝前、早朝訓練の前。俺は少しでも時間があれば、雷鳴の剣をいじって、この剣を利用して自分の魔力で稲妻を出そうとした。
が、そんな努力も虚しく、雷鳴の剣は稲妻を放つどころかピクリとも反応しなかった。
そうして、無情にも瞬く間に月日が流れ、決戦前夜………。




577 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/02/25(土) 23:03:37 ID:8RMlxeRE0
「まず、ブラストとヘンリーが前線に立ち…。」
カルベ長老が書いた海辺の村の図を見ながら、作戦会議が行われていた。
皆が集中してカルベ長老の話を聞いている中、俺はと言うと全く集中できなかった。
まだ、カンダタとエテポンゲが来ていないのだ。
決戦前夜…もう二人が来る望みは薄い。もしや、二人ともどこかで魔物に…。
いや、あの二人に限ってそんな事がある筈がない。
きっと、今日の夜中に颯爽と現れるんだよな…そう…だよな………。
自分にそう言い聞かせるも、最早そんな考えは俺の中で消えかかっていた。
それに反比例して膨れ上がる思いは、二人の『死』だけだった。



暗黒の雲の遥か彼方で、月が力なく輝く深夜。波の音をBGMに、波打ち際で夜風に当たる俺。
決戦を次の日に控え、俺の意識は覚醒していて眠れなかった。
明日、ここが戦場になるとは考えられないほど、辺りは静まり返っていた。
ここが魔族の墓場となるか俺達の墓場となるか…全ては明日、決まる。
「眠れない…のか?」
突然俺の後ろから声がする。声の正体は、ヘンリー。
「ああ…。決戦のこともあるけど…それより…。」
「カンダタのことか…。」
「………。」
やはり、ヘンリーも気になっていたようだ。未だ姿を見せないカンダタが。

578 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2006/02/25(土) 23:04:18 ID:8RMlxeRE0
「あいつのことは…もう何も言うな…。お前も、分かっているんだろう…。」
「………。」
やはり、カンダタはもう………。じゃあ、エテポンゲも………?
俺達二人でもかなわなかった闇のドラゴンを一人で倒したエテポンゲが…まさか…そんな事が…。
使えなかった稲妻呪文…。
魔族の秘密兵器…。
そして、現れないカンダタとエテポンゲ…。
決戦を前に抱える俺の不安は、あまりに大きすぎるものだった。

魔族との決戦まで、あと1日

Lv32
HP167/167
MP88/88
武器:雷鳴の剣 鎧:シルバーメイル 兜:風の帽子
回復:ホイミ、ベホイミ
攻撃:バギ、バギマ、ギラ、ベギラマ
補助:スカラ、ルカニ
特技:はやぶさ斬り、火炎斬り、諸刃斬り、魔人斬り、正拳突き

579 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/25(土) 23:09:33 ID:pYfjE/wWO
ローディ乙

580 :ヘタレ ◆ozOtJW9BFA :2006/02/25(土) 23:59:56 ID:47zyAGXv0
「あぁ?」
目が覚めて一言目に出た言葉がそれだった。
それはちらかった自分の部屋とは全く違う空間だった。
殺風景な部屋の清潔なベットの上に俺は寝ていた。
とりあえず昨晩のことを思い出してみる。
(えーと、たしか仕事から帰ってきてG1ジョッキーやってて
 いつの間にか寝たんだよな。どうなってんだこりゃ。)
とりあえず部屋の外に出てみることにした。
そこには豪華な廊下が広がっていた。
(なんだここ?まさか北に拉致されたか!?何で俺が・・・。
 うそだろ・・・。俺も曽我ひとみとかの仲間入りかよ。
 冗談じゃねぇ!!)
※「おや、目が覚めましたか!よかった。」
俺「おわ!?」
突然後ろから声がしたので振り向くとそこには太った中年
のオッサンが立っていた。人が良さそうである。
俺「あ、どーも。あの、ここは?」
※「今日の明け方頃、あなた神殿の外に倒れていたそうですよ。
  でこの宿屋に運ばれて来たんです。あ、ここはダーマ神殿
  です。いくらなんでも知ってますよね。」
俺「・・・。はぁ!?wダーマ神殿ってドラクエの?
  なんだドッキリかwあぁ〜ビビったwあれ?カメラは?」
辺りを見回してもカメラなんてなかった。ただ目の前のオッサンがポカンとして俺を見ている。
気まずい空気が流れ始めた。




581 :ヘタレ ◆ozOtJW9BFA :2006/02/26(日) 00:01:00 ID:47zyAGXv0
※「どうやら頭を打ってしまったようですね・・・。お気の毒に。
  気晴らしに神殿の中を散歩してきては如何ですが?私は朝食の
  準備をしていますので。着替えはあなたのいた部屋に置いてお   
  きましたから着てみてください。」 
そう言うとオッサンは厨房らしい部屋に入っていった。
(・・・信じられねぇ。なんかの冗談だろ。はは・・・。
 とりあえず散歩してこよ。ん?なんか寒いなここ・・・。)
ふと気付いたら俺はパンツ一丁だった。

Eステテコパンツ


582 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/26(日) 04:25:54 ID:G5B8A/il0
ローディ氏盛り上がってきたー
いよいよ決戦か…。…。

新人ヘタレ氏も乙
うまいね。

583 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/26(日) 05:26:20 ID:H04dSTc2O
ローディ氏乙です
いよいよ決戦、楽しみ!

ヘタレ氏の書き出し一行目の「あぁ?!」が変にツボに入ってしまったw

584 :ヘタレ ◆ozOtJW9BFA :2006/02/26(日) 15:19:38 ID:FkC16vvL0
とりあえず部屋にあった布の服を着てみた。
それはまるっきりドラクエの攻略本で見たのと同じ物だった。
(どうやらマジらしいな。まぁ、俺こうゆうことには
 すぐ頭切り替えられるし。うん、ここはドラクエの世界だ。
 納得した。なんでここにいるかとかめんどくせーことは
 後で考えよう。とりあえず散歩だ。つーかドラクエの何だ?
 3か6か7か。まぁそれもそれとなく聞いてみよう。)
とりあえず部屋を出て適当に歩くと大広間みたいなでかい部屋に
でた。そこにはまるっきり仮装大会のような景色が広がっていた。
とりあえず数人で世間話をしてるらしい奴らに近づいてみた。
俺「ムドー」
とりえあえず小声で呟いてみた。反応がない。
(6ではないのか・・・。)
俺「バラモス」
※「ん?魔王バラモスがどうしたんだ?」
(ビンゴ!)
俺「いやバラモスって怖いッスよね。」
※「は?なに言ってんだ?変な奴だな。」
適当に合わせてその場を離れた俺は考えた。
(3か・・・。よしこうなったら俺が転職してバラモス
 倒してやるか。そしたら俺が勇者ロト!俺が伝説を
 はじめてやる!)
そう心で決意すると神官ぽい偉そうなジジイの所に走った。

585 :ヘタレ ◆ozOtJW9BFA :2006/02/26(日) 15:21:23 ID:FkC16vvL0
ジジイは高い台の上にいた。本当に偉そうだ。
とりえずジジイの前に立って言った。
俺「あの〜転職したいんすけど。」
爺「ほう。ではどの職に就きたいのじゃ?」
俺「勇者でお願いします。」
爺「たわけ!勇者は職業ではないわ!このスカタンが!!」
俺「え?そーなんすか?そういえばそうだ。じゃ戦士でいいや。」
爺「本当にいいんじゃな!?ん?レベルが足りんわ!!
  顔洗って出直してこい!!」
俺「あら?すいまんしたー。」
(そういやレベル20にならないと転職できないんだっけ。
 忘れてた。よしレベル上げるか。)
レベル上げのため俺は神殿の外にでていった。
丸腰で。




Eぬののふく

586 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/26(日) 18:53:54 ID:/G2IpdXF0
(#^ω^)これは宣伝じゃないお!
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

↓このスレだお・・・
■FINAL FANTASY XII 〜FF12スレッド〜ver.0363■
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1140938408/


587 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/27(月) 01:50:49 ID:+/GFcmy20
>>ヘタレ
クソ面白
積極的杉な主人公萌え
つーか丸腰で3ダーマかよw

588 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/27(月) 04:11:05 ID:TMIDZCMiO
ヘタレが早くもyabeeeeeeeeeeee!!!!!11111

589 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/27(月) 09:20:34 ID:7R0yHLBD0
新機軸だなwヘタレ氏
頑張ってw

590 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/27(月) 12:42:35 ID:4nuXj9Sw0
カワイ子ちゃんいないのかよ・・・

591 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/28(火) 09:42:54 ID:gSR118sk0
新たに始めてもいいかい?
前スレとかまとめサイト、隅々まで読んでないので内容被りそうだけども。

592 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/28(火) 16:31:41 ID:fgAuuseJ0
>>591
俺が許す

593 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/02/28(火) 19:49:36 ID:zPGF0zGpO
>>591に期待!

594 :キョウ ◆Hju2GLbs6k :2006/02/28(火) 21:32:00 ID:zBZ91LXP0
>>591ではないのですが少し書いてみたので読んでもらえると嬉しいです。

あ〜、また多分一限目さぼっちゃったよ・・・。
眠気具合から考えると今は10時ごろのはずだけど・・・何時だろ。
そんなことを思いながら手探りで携帯を探す。
あれ?いつも枕元に置いてあるのに。目覚ましのアラームがうるさくてベッドから落としたかな?
仕方なく目を開きベッドの下を見る。無い。
まぁいいや、携帯は後だ。
テレビのリモコンを探す。無い。
というかテレビ自体が無い。
何か変だと思い部屋を見渡す。
一気に意識が覚醒した。


595 :キョウ ◆Hju2GLbs6k :2006/02/28(火) 21:32:30 ID:zBZ91LXP0
友達の家に泊めてもらったときや旅行に行ったときなんかは
朝起きたとき自分がどこにいるのかわからなくなるときがあるものだが、
今回は明らかに異質だ。こんな部屋は見たことが無い。
木造の三畳間に古いベッド。何処かに監禁されたのか?
昨日の記憶・・・しっかりある。確実に昨日は自分のベッドで寝たはずだ。
どうしていきなりこんなところに?ワケがわからない。
しかしこれは考えても仕方が無いだろうと思い、今できることをすることにする。
少しでも現状を把握するため窓の外に視線を移す。・・・中世ヨーロッパだ。
僕の目の前には中世ヨーロッパの町並み。そう遠くないところにお城まで見える。
一瞬夢かとも思えたがこの感覚は夢ではないだろう。
混乱している頭でもわかったことがひとつ。小さいながらも窓は開く。
窓のすぐ下は人通りの多い道。つまり僕が監禁されているという可能性は低いということだ。


596 :キョウ ◆Hju2GLbs6k :2006/02/28(火) 21:32:59 ID:zBZ91LXP0
もう僕一人では埒が明かない。とにかく人に会おう。部屋を出るため一応持ち物や服装を気にする。
僕が着ているのはロードオブザリングの登場人物が着ているような中世ヨーロッパの旅人風の服。
そのポケットに五枚の金貨の入った袋。もういいや、何でもありだ。
部屋を出ると番号のついた同じようなドアがずらっと並んでいる。ここはどうやら宿泊施設のようだ。
階段を下りがやがやと人の声のするほうへ進む。一気に視界の開けたそこは食堂だ。
屈強な中世ヨーロッパ風の人たちが談笑している、日本語で。
もういいや、なんでもありだ、翻訳コンニャクでも食ったんだろう。
もうそんなどうでもいいことはどうでもいい。いろいろ知りたいことがあるんだ。
出口の横にカウンターを見つけ、多少挙動不審になりながらもそこへ突進する。
「すっ、すぃゃせん!」
恐ろしく間抜けな声だ。しかも聞きたいことがあるのに後の言葉が出てこない。
「お食事ですか?」
「い、いぇ」
「チェックアウトですか?お名前をどうぞ」
名前!?こんな得体の知れない場所で本名を出すのは嫌だ。
僕は咄嗟によく使うハンドルネームを口にしようとした。
「え〜と、スズ様ですか?」
!!
「あ、・・・はい・・・」
「それでは行ってらっしゃいませ」
返事もせずにギクシャクと外に出る。
・・・もういいや、なんでもありだ。


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