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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら四泊目

1 :冒険の書庫の書記 :2005/10/08(土) 23:00:44 ID:oCXhwG/I
ここは
「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」
ということを想像して書き込むスレです。
小説形式、レポ形式、一言何でも歓迎です。

前スレ
「もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら三泊目」(DAT落ち)
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1122390423
前々スレ
「もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら二泊目」(DAT落ち)
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1116324637/
初代スレ
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」(DAT落ち)
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1110832409/

まとめサイト
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」冒険の書庫
http://www.geocities.jp/if_dq/

81 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/20(木) 00:09:39 ID:/GbfUsjL
保守age

82 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/20(木) 11:53:46 ID:uc78Mqd7
ほしゆ

83 :失業者クエスト8 :2005/10/20(木) 21:19:59 ID:Sa8RF5n/
・・・・・・・びっくりした。その他に言葉が思いつかないくらいだ。声をかけて振り返った女性は・・・・・・。
・・・おれの姉さんにそっくりだった。一瞬、この世じゃないのかと思ったくらいに。

「あら、なんですか?あなた・・・・・旅人の方?大変ですね。」

そうだ・・・・・・これが姉さんの筈が無い。だって・・・姉さんはあの時・・・・・・。

「どうかなさったんですか?具合でも悪いんですか?あっ、私の名前はアマリアです・・・・・・。・・・・・・あの、
 本当に大丈夫・・・・・・?なんでそんなに涙を・・・・・・?」

涙、だって?・・・ああほんとだ、ボロボロだ・・・・・・。こんなに泣いたのは、あの時以来・・・・。
・・・・・・・・・そう・・・・・・あの・・・・・・・・・・・
・・・・・・・姉 さ ん が 死 ん だ と き ・ ・ ・ ・ ・ 。

84 :失業者クエスト9 :2005/10/20(木) 21:42:02 ID:Sa8RF5n/
・・・・・・俺の姉さんの名前は・・・。・・・・・・澪。茶の混じった黒の髪の毛で・・・俺とは3歳離れた、
少しドジな姉だった・・・。今、目の前にいる女性は・・・瓜二つと言うより・・・本人そのものだ。
そんな姉は・・・2年前、交通事故で俺をかばって・・・死んだ。アマリア・・・って言ったっけ。あんた。
すまないな、ちょっと取り乱した・・・。

「いえ、良いんです。でも、あなたこそ大丈夫ですか?苦しくないですか?」

俺のことは心配無い・・・。大丈夫だ・・・・・・。まあ、いろいろあって、な・・・。

「そうですか・・・。あの・・・迷惑でなかったら、話を聞かせてもらえませんか?人に打ち明けて楽になる
 こともありますよ・・・・?」

・・・俺は多分、この言葉に救われたんだと思う。職場でクールに決めようとしてたのは、寂しさを隠すためだった
のかもな。・・・本当に多くの事を話した。まるで誰かに操られているのかのように・・・・・・。

「そうか・・・。大変だったんですね。少しは楽になりました?大丈夫ですか?」

ああ。すまないな、関係も無いのにあんたに迷惑をかけてしまった・・・・・。

「いえいえ。あっ、私の事はアマリア、で構いませんよ?私、こう見えてもまだ23歳なんです。」

姉さんが生きてたらちょうど同じ年だな。・・・・・・そろそろ行こうか。

「行くんですか?良い旅を。・・・・・・あっ!待ってください!まだ・・・あなたのお名前を聞いてないんです
 が・・・・・・。」

・・・・・・・俺の、名前?ああ、俺の名前は・・・・・・。

・・・・・・・・・なんだ?思い出せない・・・・・・?自分の名前なのに・・・?なんで・・・なんで、なんだ?

         俺 は い っ た い・・・・・・・誰 だ?

85 :失業者クエスト・補足 :2005/10/20(木) 21:52:39 ID:Sa8RF5n/
どうも、自己紹介もまだだったんでこの場を借りてさせていただきます。
名前・・・・・・うーん、『黒色夜叉』って名乗っておきます。
性別・・・・・・女。
年齢・・・・・・昭和の生まれではないです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
物語の補足
姉さんのなまえは みお (澪)と読んでください。
主人公は二十歳になる手前の年頃だと思ってください。
ホームレスライフの場所は渋谷区の公園。西暦は2005年、と考えてもらって
結構です。

こんなもんでしょうか。
なんとか完結させたいと思うんでよろしくお願い致します。

86 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/21(金) 01:43:22 ID:/hOqcks+
>>85がんがれ!

ついでに保守age

87 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/21(金) 02:32:43 ID:i33fbcDj
俺も書こうっと!

チャララララッラッラ〜

*「ふぁ〜よく寝たなぁ」

*「よく来たな。勇者よ」

*「へっ?」

*「我の名は竜王。竜族の王だ。」

竜王「どうだ?勇者よ。我の部下にならぬか?」

*「あの…誰なんすか?ここ僕の部屋なんで、帰ってください」

竜王「我の部下になれば世界の半分を与えてやろう」
*「何ワケのわかんない事いってんすか。警察よびますよ?」


88 :87 :2005/10/21(金) 02:38:19 ID:i33fbcDj
竜王「そうか…嫌と申すか」
*「いや…何にも言ってねぇし。帰れよ」

竜王「ならば死ぬがよい」

竜王があらわれた!

*「何?この展開?何?この展開?」

竜王の攻撃!

*は身をかわした!

*「うお!?危ねぇ!?」

竜王「フ…さすがだ。勇者よ」

*「やめろよ!ここ俺の家だぞ!」

竜王「よくみてみろ」

*「ハッ!こ、ここは?!」

89 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/21(金) 02:38:50 ID:gfvSaq40
行くなら8の世界だな、他の世界はチンコとか付いてなさそう。
FCの1の世界に行っちゃった日にゃ、乳も揉めないし自殺もんですよ。

90 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/21(金) 02:43:40 ID:gfvSaq40
でも子孫を残せるって事は、チンコ付いてんのかなぁ・・・。
ブロックみたいなチンコをパカパカはめてファックすんのかなぁ・・・。

91 :74 :2005/10/21(金) 02:44:16 ID:TXZqw0GQ
しばらくして禿頭に白髭の爺さんが部屋に入ってきた。
どうやら俺の祖父らしい。
女手一つでここまで育て上げた母親をよりによって旅立つ朝に泣かせるとは何事か、
勇者と称えられる男の息子として情けないとは思わないのかなどと散々説教された。
どうやら俺は今日、消息を絶った親父の後を継いで魔王打倒の旅に出る事になっているらしい。
国王に謁見の際はくれぐれも失礼の無い様に、と爺さんは俺に頼り無げな視線を寄越した。
知るか。王だの勇者だの魔王だのと聞いて、巻き込まれた事態の無駄に大きなスケールにうんざりしてきた。
家を出ようとすると母親が見送りに来た。
自責と怯えの混じった瞳を涙に濡らしている。
なんてこった。そんな目をするのはやめてくれ。
いたたまれなくなった俺は逃げる様に家を後に城に向かって歩き出した。
俺だって出来る事なら代わりにもっとまともな息子を探して来てやりたいよ。

92 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/21(金) 15:28:14 ID:/hOqcks+
整理しやすいようにトリップをつけてくれー。


ところでまとめの人はどうしたんだ?何か病気持ちなのか?

93 :失業者クエスト10 :2005/10/21(金) 19:06:13 ID:74bd2y8n
俺はいったい誰なんだ、なんて馬鹿でもいわねぇよ。これは・・・冗談じゃない。なぜか自分の名前だけが
・・・わからない。姉の名前も俺が住んでた公園だって覚えてるのに・・・?

「あの・・・この村に来るのは初めてなんですか?そうでなければあなたを知っている人だっているかも
 知れませんよ?」

俺は・・・この村に来るのは初めてだ。知っている奴なんていない・・・。

「・・・それは・・・・・・・残念ですね・・・。あっ、そういうのってきっかけがあれば思い出せるかも
 知れないですよ?ためしに村を歩き回ってみてはどうでしょうか。」

それ、いい考えだけど・・・ここに来た事自体無いし意味あるのか?・・・・・・まぁ、ものはためし、っていうしな
やってみる価値は無くは無いだろう・・・。


はぁ・・・・・・・・・もうかれこれ4時間はほっつき歩いたな・・・・・。その割に収穫はないし・・・・・・。
この人・・・アマリアにコレ以上迷惑をかけるわけには行かないな・・・・・・。やっぱり、一つしかないよな、方法は。
金を用意して、装備?を整えて・・・。

             この村を、出るんだ。

94 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/21(金) 21:18:51 ID:MayHYffa
まとめの人はふぁいぶ氏以外のあまりのクオリティーの低さに逃げた

95 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/21(金) 22:16:08 ID:VLtsQsLi
>>94
マジレスするとまとめの人はこのスレのことをおそらく知らない。
って書こうとしたら、ここ宿屋なのね。

俺がドラクエの主人公スレと間違えたぜ。

>>92
詳細整理とかはする気は無いけど
過去ログ、見れるようにしとこうか?

96 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/21(金) 22:18:51 ID:ENpNp1xi
最近のなんか微妙、個人的にはたいぞうとかいうのが一番好きだなwww

97 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/21(金) 22:25:55 ID:eopZH08k
みんなガンガレ
ジャンジャン書くべし

総長カムバックキボン

98 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/21(金) 23:36:58 ID:IeqxlV5U
>>95
拙者92ではないが切にお頼み申す

99 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/21(金) 23:55:04 ID:JdFycH0F
>96
たいぞうコノヤロー

100 :92 :2005/10/21(金) 23:56:39 ID:/hOqcks+
>>95
iMonaで一応見れるから大丈夫。
前スレでまとめの人が「救急車で運ばれ〜」とか言ってたから気になっただけ。
勘違いさせてスマソ

101 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/22(土) 00:08:17 ID:LMSMGs8i
「おはようございます。お目覚めはいかがですか?」
布団から顔を出すと美少女が目の前にいた。
立ち上がる事が出来なかった。違う所をおっ立ててたからだ。
というよりパンツを履いていなかった。これはやばい。

「昨晩はおたのしみでしたね」
俺は何を楽しんでたんだ?
昨日は飲みに行って、それから・・・?思い出せない。
それよりここはどこだ?見慣れない部屋。アンティークな小物の数々が
どこか異郷を感じさせる・・・。

とりあえずパンツを入手する事にした。
「パン・・」
俺はそう言いかけて硬直した。目の前に居るのは少女。
おいそれと「パンツをよこせ」とは言えない。
欲しいのは俺のパンツだが、曲解した彼女が下着を脱ぎだす可能性もある。
そして「私のパンツを使ってください」と言い始めたら、紳士である俺はどうして断れようか?
彼女にそこまでさせるわけにはいかない(ここまで1.02秒)

「パンですか?朝食をお持ちしますね」
俺が懸念していると、全く予想外の反応が返ってきた。
そうして少女は部屋を出て行った。ちょうどいい。
俺は手近にあるクローゼットを確認してみる事にした。
「これは・・皮で出来た鎧?」
後、剣と兜が見つかった。パンツは無かった。

鎧を着て隠せば良かった事に気が付いたのは、それから三日経った冷たい牢獄の中だった。

102 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/22(土) 00:53:23 ID:7UYa0bb1
パンツにこだわったその男は後にこう呼ばれる
      
――オルテガ

103 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/22(土) 01:24:57 ID:8YEW9cIs
続きマダー?

104 :95 :2005/10/22(土) 01:55:58 ID:FB1e5EGS
>>98
ほい、手抜きだがとりあえず見れるようにしといた。(見えるだけ)
http://drain.qp.land.to/bbs/kako/ifdq/

掲示板形式での保管なので、
2chブラウザ、携帯での閲覧が可能。

# まとめサイト再開までのつなぎといった感じでよろ。


>>100
いやいや。
とりあえず見たいって人が一人居たので結局作ってしまった。


>>102
俺がドラクエ3の主人公だったら3
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1127735814/

105 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/22(土) 02:02:09 ID:bRnmXGFK
>>104
ありd

106 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/22(土) 04:54:04 ID:lEDrOYn9
どうやら俺は知らない家で包丁と鍋のフタを握りしめて寝ていたようだ。俺の人生はここで終わるのか。
とりあえず階段をこっそり降りて行くとおっさんがいた…警察ではないらしいな
「よっ目が覚めたかい?昨日アンタ街の外で倒れてたんだよ。」
この変質者丸だしの俺に対してあまりに気さくなおっさんに思わず絶句した。

しかし、ありがとうと言って何食わぬ顔で玄関を出た。
ふぅ…まぁ知らん街だが寝ぼけて来ちゃったんだろ
しばらく歩くと茂みの影で一匹のとてもかわいらしい青いうんこがぷるぷるしてる
これDQのスライムやん。ほんまかわいいなぁと言いながら難なく捕獲。さわり心地もグッドです
是非ペットにしたいので「おいで」というと逃げようとしたので捕まえてスラリンという名前をつけた

107 :なまえ :2005/10/22(土) 11:42:42 ID:Civj521T
てすと

108 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/22(土) 12:36:34 ID:bRnmXGFK
とりあえずスラリンにニットキャップを被せてみた
なかなか前衛的なデザインの生き物になった
ぷるるん
一人悦に浸っていると謎のじじいが来た
「スライムの体表の粘膜には寄生虫が住み着いておる」
ゲゲェ!
反射的に近くの川の中に投げ捨てた
スラリンはどんぶらこっこと流れていく
勿論その後すぐに手を洗った

ちょっとかわいそうな事をしたなと後悔する
じじいが後ろでニヤニヤしていた

109 :94 :2005/10/22(土) 13:06:41 ID:/imKX+OV
>>95
そうそう間違えた。両方ちょくちょく見てるから…
あっちは今泣きたい位の厨房が書いてて辛い

110 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/22(土) 18:21:03 ID:8YEW9cIs
ほす

111 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2005/10/23(日) 00:19:12 ID:goExRzbg
久々だから緊張するなあ。
少し出来たので投下します。
お目汚し失礼。

112 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2005/10/23(日) 00:20:36 ID:goExRzbg
前回までのあらすじ

寝相悪い、寝起き最悪、態度は常にフテて口も悪いエイコ、25歳女、独身。
役所の臨時職員の期限が切れ、その送別会でしこたま酒を飲んで記憶をなくし、
目覚めると(というより気が付くと)ドラクエ8の世界の宿屋にいた。
生来のテキトーな性格の賜物で、本編主人公エイトの双子の妹を名乗り(騙り?)、
失職記念のリフレッシュ旅行を兼ねた冒険が始まった。


*いきなり7日目* エイコLv.5

-1-
初めての戦闘から5日経った。
あの日から、とりあえずみんなの足手まといだけにはならないように、
日々鍛錬を積んでいたら、いつの間にかレベルアップしたらしい。
魔法は相変わらず使えないが、槍捌きは板について来た。
こうなると長刀部でも弓道部でも何か実践的なものをやっていればなあと今更後悔。

でもまさか、こういう日が来ようとは、夢にも思わなんだ。当たり前だけど。

「エイトったらまったく、どーしちゃったのかしら」
ゼシカがボヤく。
あの後、そのまま『サザンビーク』から街道沿いに北上し、
そろそろ『ベルガラック』に到着する頃だそうだ。

何処だそりゃ。

113 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2005/10/23(日) 00:22:34 ID:goExRzbg
「あー合コン過ぎちゃったなー」
ふと思い出して、一人ごちる。ゼシカの独り言など丸無視だ。
「ゴウコンって何?」
ゼシカの質問が飛んでくる。てくてく歩いてるだけなのでヒマなのだ。
「子供にはカンケーないことだよ」
定番の文句でテキトーにごまかす。
まったく知らない単語を1から説明してやる程、私は人間が出来ていない。
「えッ、私、子供扱い?! エイコって何歳なの?!」

「エイトと双子なんだから、確か20歳前じゃろ」
緑星人が余計な事を言う。あーもーめんどくさいなあ、年の話すんじゃねーよ。
「何よ、あんまり変わらないじゃない」
ゼシカお前は確実に10代だろ。……うーん、私の実年齢は黙っておこう。
「へぇー、もっと若いかと思ったでがす」
えっそうなの? いやーヤンガス君、キミいいこと言うねえ。
「ふーん、もっといってるかと思った」
ククールてめえは後で毒針でプスプスとHPを1ずつ奪ってやるから覚悟しとけ。

「しかし、こちらの大陸は広いのう。徒歩での移動は大変じゃわい」
緑星人がぼやく。てめーは歩いてねーじゃねーかコンチキショー。
「そうだな、サザンビーク国領はトロデーンに比べて広いからな」
「ブルルッ、ブルルッ」
私のひそかなイヤ味は姫にだけ聞こえたようだ。
しかし、車社会で暮らす者として、こう毎日ポテポテと歩くってのはキツい。

114 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2005/10/23(日) 00:23:40 ID:goExRzbg
「王様、馬車乗せてよ馬車。何で馬車こんなにちいせえの?」
ていうかフツー馬車あったら8人ぐらいのパーティ組めるだろ。
モンスターだの日雇いだの魔法親父ネリベルだのガッツラ連れて歩けよ。
「馬鹿者、かよわい姫が引く馬車なぞありはせんわ。これは特別じゃ」
確かこの馬車、人一人と錬金釜が入ったらいっぱいになってしまう。
せいぜいストックの道具類しか積めない。

「まあ、仕方ないさ、姫には絶対普通サイズの馬車は引かせないだろう」
「だけどさー、何日も何日も街道を辿って歩いてたら日が暮れちまう」
「何言ってるでがす、何日も辿ってるなら何回も日が暮れているでがす」
おお、よく気付いたなヤンガス。座布団1枚。
と、敵が現れた。キラーパンサーだ。

「あー、ゲレゲレの背中に乗って走ったら気持ちいーだろなー」
「何言ってるの!? 左に回ってよエイコ!!」
あーすんません。どうも不真面目すぎたらしい。
じゃ、習得したての槍捌き、ご披露いたしましょ。

115 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2005/10/23(日) 00:26:45 ID:goExRzbg
-2-
一瞬どこの田舎の山ン中の国道沿いのラブホの看板かと思ったよ。
ていうか、こういうの、うちの近くにあるよ。

ベルガラックはでかいカジノがあるらしいが、閉まっていた。
着いたのが夜だったので、早速行こうと思ったのに。

「何だ、閉まってるのか〜」
ものすごい残念だ。カジノのBGM、好きなのに。
「ま、仕方ない、せっかくの大きい街なんだから、酒でも飲まないか?」
「話が分かるな、エイコ。お前らも行くか?」
早速飲みにいく算段の私とククールを尻目に、残りの二人は宿屋の方面へ行ってしまった。
「何だよ付き合い悪いなー」
「仕方ない、あいつらまだレベル低いから、サザンビークからの道程で疲れちまったんだろ」
「ふーん、そんな事言ったら私だって足イタイのになあ」

酒場への階段を下りると、大きな劇場が目に飛び込む。
片隅にカウンターがあるが、この空間の大部分を占めるのは劇場だ。
色っぽいバニーガールが3人、踊っている。
ひげもじゃの荒くれ者がかぶりつきで一人で盛り上がり、
高そうな服を着たおばさんが目を三角にしている。
常連ぽい爺さん、落ち着きのない若者。
私は椅子を回転させ、出されたカクテルを物色する。


116 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2005/10/23(日) 00:27:57 ID:goExRzbg
「なあエイコ、オレにだけ教えてくれ、お前はいったい誰なんだ?」
手捻りのガラスコップの中で妖しく光るカクテルは、意外とフルーティだ。
「オレ達は、古代船を復活させて西を目指した。
途中嵐に遭って、船は若干南に流された。
やっと辿り着いた岸に船を括りつけ、このサザンビーク国領へと入った。
が、圧倒的な敵の強さに翻弄され、命からがらサザンビーク城下町へ転がり込んだ。
その時はエイトは確かにいたんだ」

「あーおめさまがどぁあほでねあの?
 つづみだらばこっつのたいりぐさちゃんときょうかいがあるってかいでっぺ?
 かいでんだがらそさいげばいいべっちゃ、なしてなんもねあどごさきたえ。
 うんだらばおめさまがどがごるどだのさもいってねあべ?
 じゃじゃじゃなんさつづもってあるってんだがいっこはあ」

「・・・すまんエイコ、何処の国の言葉か理解出来んのだが」

ぬ、私のネイティブな方言を理解できぬとは。

「なぬすたずあこのクー坊があおめおれのさげがのめねづのがああ?!」
「お前酒癖も悪いのかよ、最悪だな」
「あーこのもっとさげもってこー」
「分かる言葉で言ってくれ!!」


117 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2005/10/23(日) 00:29:59 ID:goExRzbg
こんな青二才では異国の酒もつまらない。
本当に分からない事をいつまでもグダグダと話しても時間の無駄なのだ。
こんなだったらヤンガスの方を誘えばよかった。
あいつなら腹芸の一つぐらいやってくれそうだったのに。

「おいエイコ、もう帰るぞ」
「あにいってんだまだよいのくづだー」

適当に切り上げて退散するのが良いと思ったが、思い通りに動いてくれて嬉しいよククール君。
顔を上げると、勘定を済ませ上の階へ私を促している。
私の見た目は何故かゲームのエイト君によく似ているらしいので、
担がれて客室に向かっても、酔い潰れた男友達同士にしか見えないだろう。
得でもあり、損でもある。

「エイトが見つかったら私は元来た世界へ戻れるだろう。一緒に探してくれ、ククール」

片腕を担がれて階段を上っていた私の口元に、ククールの耳があったもんだから、
ついつい面白がって例の低い声でしっかりとした口調で言ってやった。

「あ、ああ。分かった……」

この日より、エイト探しは本格化する。

118 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2005/10/23(日) 00:30:48 ID:goExRzbg
以上、続きはまた来週です。
乱文ご容赦。

119 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/23(日) 01:56:45 ID:bPKeutSB
>>エイコタソ
超乙
疲れない範囲でガンガレ
細く長くキボン

120 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/23(日) 02:31:47 ID:Ip0YpYnp
エイコタソ乙!
週一回でもいいから、無理せずに書いてくれ。途中で消えないでね。


あと、◆36yZlE15gsさんマダー?

121 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/23(日) 13:11:27 ID:VH59E/mr
いや、エイコ何処出身なんだ?w

122 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/23(日) 14:30:37 ID:cbeAswZK
ああ、エイトの妹騙ってるからエイコなのか
FF9のキャラかと思ったw
とこのスレからの閲覧者

123 : ◆qdB5QYIaRc :2005/10/23(日) 20:15:39 ID:RtBztULP
朝起きるとベッドの上にいた。
普段は敷布団すら敷かずに毛布と枕だけで寝ていた筈だが、まだ眠いので気にせずに二度寝することにした。
しかし下の階から人の声がして寝つけない。仕方なく俺はベッドから起きる事にした。
さっきは眠さで気付かなかったが、よく見ると俺の部屋ではなかった。随分片付いた部屋だ。ベッドとタンスとツボだけがある。
拉致とか、酔っ払って他人の家に入ったとか、考えるのも面倒だったのですぐに部屋を出て階段を降りた。
階段を降りるとカウンターが見えた。カウンターに緑の服のデブ男が立っていたので話し掛けてみる。
「おはようございます!ではいってらっしゃいませ!」
朝からでかい声で喋るな。うるさい。
ハイテンションな奴を相手にするのは疲れるのでとりあえずスルーして宿屋らしき所を出た。

外に出るとそこには見た事の無い光景があった。
一軒の教会、小さな橋の下を流れる川。木でできた民家。のどかな村だ。
とりあえず村をうろうろしてみる。家の傍にあるツボを調べたり、民家に入ってタンスを漁ってみたりした。
「こらっ!あんた何してんだい!」
怒られてどつかれた。こういう事をしても何も言われないゲームをやった事ある気がするが、やはり現実ではうまくいかないみたいだ。
村の北にある墓の前に小さいメダルが落ちていたので貰っておく。手に入れたのはこれだけだった。
村の探索も大体終わったので、そろそろ村を出る事にした。

124 : ◆qdB5QYIaRc :2005/10/23(日) 20:18:34 ID:RtBztULP
村を出ると、平原が広がっていた。南には海が見える。俺は北に向かって歩き出した。
暫く歩いていると、前方から何かが近づいてくるのが見えた。
その何かは物凄いスピードで俺に接近し、腹に体当たりした。2mほど吹っ飛ぶ俺。
痛い。骨が折れたんじゃないか?しかも咳をすると口から血が出てきた。大丈夫だろうか俺。
腹の痛みを我慢しながら立ち上がり、俺に体当たりしてきた何かを見ると、その正体は青い流動体だった。
謎の生物ははニヤニヤ笑いながら俺を見ている。何なんだこいつは。
謎の生物は再び俺に突進してくる。俺は間一髪で避けた。
何か知らんが俺を敵対視してるらしい。ならばこちらも抵抗する事にする。
俺は拳を握り締め、謎の生物に突撃した。謎の生物は攻撃に失敗して地面にぶつかりもがいている為、俺の攻撃は簡単に命中した。
プニュ。
思い切り殴ったら柔らかい感触がした。殴った気がしない。効いていないのだろうか。
いや、なんか悶えている。効いたらしい。
謎の生物は暫く悶え続け、やがて動かなくなり光となって消えた。
次の瞬間、謎の生物が死んだ場所に小さいメダルが2枚落ちていた。
銅貨だ。1と書いた銅貨が2枚。お金だろうか。さっき墓で拾ったのより少し大きい。
俺はそのお金をポケットに入れ、再び歩き出した。

125 : ◆qdB5QYIaRc :2005/10/23(日) 20:20:06 ID:RtBztULP
ぼーっとしながら歩いていると、いつのまにか前方に村が見えてきた。さっきの村より小さい。
空もすっかり暗くなり、歩き続けて足が痛いので、今日はここで休む事にした。
村に入ると、やつれた顔をした村人達がいた。全員ガリガリだ。
ダイエットでもしているのだろうか。と思いつつ俺は宿屋を探した。
宿屋を見つけて中に入ると、カウンターにはガリガリの緑の服の男がいた。さっきの村の宿屋の主人とは大違いだ。
「いらっしゃいませ!一泊3Gですがお泊りになりますか?」
しまった。俺は2Gしか持っていなかった。仕方ないので交渉する事にする。
「ええ!?2Gしかないんですか…。分かりました。かなりお疲れのようですし今回だけ特別です。」
話の分かる主人だ。俺はありがとう、と礼を言った。
「ではお休みなさいませ。」
俺はすぐに風呂に入り晩飯を食った後、ベッドに入った。
そう言えば俺、こんな訳の分からない世界にいる事に何の疑問も持ってないな…。
そんな事を考えながら、いつの間にか眠りについていた。

Lv1
HP17
MP0

126 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2005/10/23(日) 22:16:39 ID:tB2uy9fk
>>119-120
どうもです。感想があると(いいのも悪いのも)書く気力になります。
あんまり長くなると張った伏線忘れる(もう忘れ気味)ので、
適度に頑張ります。

>>121
東北です。激田舎です。最寄のスターバック○まで車で2時間超ですw
エイコはもうちょっと都会に住んでいて欲しい設定です。仙台あたり?
因みにエイコと私では性別は一緒ですが年齢・職業は全然違います。

>>122
そうです。FF9にはエイコっていうキャラがいるんですか?
スイマセン、FFはマトーヤの洞窟までしか・・・

書き手のみなさん、お互いがんばりましょう!

127 : ◆36yZlE15gs :2005/10/24(月) 00:12:47 ID:mlnNiisx
あたしは今宿にてホイミを練習していた。
いや、確かに覚えたいとは言ったが、こんなに早く覚えなければいけない事態になるとは思わなかった。
その理由とは。
サランを北上し、東へ進路をとると山の中腹にある村に夕方頃たどり着いた。夕日に照らされた墓がようこそいらっしゃいませとお出迎えしてくださる。
「ここはテンぺ。呪われた村。この村で娘が生まれなければ…」
喪服に身を纏うおばさんが墓の前でさめざめと泣いた。
「どーゆうこと!?それだけじゃわからないでしょ!村長を出せ!」
アリーナはおばさんの肩を掴み、カックンカックン上下に揺らす。
「ちょっと待てぇぇ!死ヌからやめい!おばさん泡吹いているし!」
おばさんは震えながら村の一番大きな家、村長の家をかろうじて指指した。
「あそこね!」
アリーナはパッと肩を離し、その家へと駆け出した。残ったクリフトがホイミをかける。 おばさん…死なないといいが。急ぎ、追う。
アリーナはノックもせずバタンと戸を開け…村長とおぼしきおじさんの肩を…
「待て!落ち着け!穏便にすませ!」
あたしはアリーナを羽交い締めにする。おじさんは危機一髪のところであった。
おじさん…村長は中年程の年齢。だが、頭に混じる白い物の多さと疲れきった色白い顔が年齢よりも老けさせて見える。

128 : ◆36yZlE15gs :2005/10/24(月) 00:35:21 ID:8mWQSPc3
村長は語る。
「この村の北の祭壇にはいつからか魔物が住みだしてな。若い娘を差し出さないと村ごと襲うと言ってな…。村のためにと何人もの娘が進んで名乗り、そして誰一人帰ってこなかった。魔物が住まう村、がこの村の通説だよ…」
「何人もの娘が?その…生贄となったと?」
クリフトが問う。村長は首を小さく縦に振った。
「ねぇ、ちょっと。それ、サントハイムには言わなかったの?」
静かな口調だが、怒気が混じる。
「言ったところで…何になろう」
村長の声には諦めがこもっていた。
アリーナは小さく唸り、そして無言になった。
「今度の最後の番はわしの娘、ニーナの番じゃ。結婚の約束までしているんだが…その魔物をやっつけてくれる人はおらんか…」
村長は深いため息をついた。
アリーナは深呼吸をしたあと、
「…私が、やるわ」
凛とした声で誓う。「はぁ…だが魔物が現れるのは宵、生贄が捧げられたときだけ。それでもおぬしらが生贄の身代わりになるというのか?」
アリーナは頷いた。
「それは誠か?それなら是非この先にある教会の神父に会ってくだされ!」
村長はこれはほんのお礼だと皮の帽子をくれた。
「いや、なに。冒険者がこの村を通りかかるたびに助けを求めていたが皆自分の命は惜しいもんでな。北を通り抜けるときは昼間を狙ったり、時には聞かないフリをしていた…。もう諦めていたよ」


129 : ◆36yZlE15gs :2005/10/24(月) 00:56:38 ID:H+I9hWpP
村長の家を出て魔物退治にはいい武器防具をと武器屋の暖簾をくぐると、もぬけの空。井戸の周辺でオロオロしていたのが主人で、
「私の息子は村長の娘ニーナさんと結婚するはずでした。ですが娘さんがじき生贄として行ってしまうことを考えるととても商売どころじゃありませんよ」
と。
ニーナを訪ねると、武器屋の息子とおぼしき若い男と女、ニーナが話し込んでいる。
「私はこの村を犠牲にして幸せになんてなれない…」
「そんなのイヤだ!ニーナが魔物の餌になるなんて…いっそ二人で村を出ていけば…!」
「そんなの駄目…そうしたら村人たちは…」
話し込んでいるというか、ずっと同じような会話を交わしているのだが。
一通り村人に話しを聞いていたがあれからずっとアリーナは無口であった。
闇のベールが村を包み込んだころ、宿にて一泊した。
次の日。魔物退治に備え、個々に行動をとった。
アリーナの武道の腕は確かだ。それはいままで見てきた中で認める。が、もし相手が刃物でも持ち合わせていたときに素手で対処出来るか。刃物には刃物で対処したほうがよいとブライは判断し、キメラの翼でサランに戻りサランで買える最高の武器防具を仕入れてきた。
アリーナは貰った聖なるナイフでの攻撃に慣れるためにテンぺの村入り口にて練習中である。
クリフトは私にホイミの呪文を教えてから怪我に備えて薬草の整理。また、彼にも同様聖なるナイフを持たせている。

130 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/24(月) 01:14:03 ID:hvo1LDSX
はじめて見たんだけどまとめの冒険の書8の続きが激しく気になるんだが

前スレで完結したんだろうか
エロイ人詳細キボン

131 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/24(月) 01:18:31 ID:NJr8OCiB
>>130
過去ログは>>95のリンクから読める。


結論から言うとそこで止まってる。

132 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/24(月) 01:19:22 ID:NJr8OCiB
95じゃないわ、>>104だったわ。

133 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/24(月) 01:20:18 ID:hvo1LDSX
>>131
dクス
未完なのか…
結構面白かっただけに残念だなぁ


134 : ◆36yZlE15gs :2005/10/24(月) 01:24:23 ID:wHj5Lwiv
あたしはというと、こうしてホイミを練習している、という訳である。
ブライにメラも習得したしこれはどうじゃとヒャドの呪文も教わったが、これは一応覚えておくだけにする。一気に、しかも時間がなく焦っている状態で同時習得は困難である。
…昨日、生贄の申し出を受けたアリーナに対し、
「ちょwwおまww死に急ぎ杉www」
とツッコミたかったが、そういえない理由…あたしはバカなのでそう勝手に考えたのだが…。
村長が言った、サントハイムに言ってもどうにもならんとの言葉。
アリーナは、サントハイムは助けを求められても腰をあげないように見られているのか…と思ったのか?
それなら王女直々に倒すと考えたのだろうか?
否、王女というよりサントハイムのプライドにかけて。
きっとブライもクリフトも同じ考えであろう。珍しくアリーナの行動に止めはしなかった。
今は昼だが直に夜がやってくる。夜がくれば北へ向かう。北へ行けば村に恐怖と不安を撒く魔物がいる。
生贄となった若い娘達はそのまま喰われたりはしないだろう。武器を持って抵抗を試みた者も中にはいるだろう。人間は、死ぬ間際まで逃げたり抵抗をするものだから。
だが、誰一人として帰ってこなかった。倒せるだろうか?戦い慣れた冒険者たちでも恐れたそんなものを?
…否、倒さなければならないだろう。
村の為にも。そして、自分が生き残るためにも。
生か死か。
あたしは最後にホイミの呪文を唱え完成したのを確認すると、魔力回復の為に夜まで休むことにした。

135 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/24(月) 01:39:57 ID:c0WJy0H8
>>130
スレが荒れてそのどさくさであそこで止まってしまった。

俺は今でもずっと続きを待ってる。
多分続きが投下されるまでずっと待ってる。
2chが消えるまで待ってる。

136 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/24(月) 03:23:43 ID:lAKFOo1u
まあ荒れたとかあんま関係ないけど

137 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/24(月) 14:10:26 ID:XJjHVMCj
>>130を見て、冒険の書8をちと読んでみた
文体が、某同人ゲーのあの人にソックリだ・・・

138 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/24(月) 14:14:59 ID:XJjHVMCj
追記、シリアスシーン限定で。

話はなかなかおもろい

139 :デスパレス ◆gYINaOL2aE :2005/10/24(月) 19:33:10 ID:EaQc6O74
気が重い。
ノッている時と、そうでない時の差が激しいのは俺の悪い所だろうか。
きっと、気が重いのではなく、唯、単純に背負っている荷物が重いのだ。
そう、思いたい。

リバーサイドと言う名の川沿いの村を越えて、俺たちは険しい道のりを越え大陸の奥地を目指す。
ソロの話では、この先には大きな湖が待ち構え、来る者を拒んでいるようなのだが、
誰が作ったのかは解らない、知られざる道が存在するという。
現場に辿り着いてみれば成る程、確かに湖は威容を放って一行を先に進ませまいとしていた。
そして、少し歩いた所に雄々しく聳え立つ、魔神の像。

えっちらおっちらと像の内部を登る。
…テンションが高ければ、マジーンゴー!くらいやるべきなのだろうが…。
とは言っても、スクランダーも飛んでこないし…。
旅も大詰めともなれば自ずと皆の緊張感も増してくるし、余り空気の読めない事はしたくない。
…まあ、こういう時だからこそ、というのもあるかもしれないが…。

ピサロに出会って…どうするのだろうか…。
アリーナ達はサントハイムの人々について訊ねるだろう。
その辺りの展開にも左右されるのだろうが…。
最後には、戦いになるだろうか…。

勝てる、のか?
まずそこが解らないのだが、仮に勝ったとしても、その後はどうする?
殺すのか?だけど、ロザリーは…彼女は、ああは言っていたけれど…。

140 :デスパレス ◆gYINaOL2aE :2005/10/24(月) 19:34:07 ID:EaQc6O74
…戦いが終った時、ソフィアはどうするのか。
ソフィアは優しい子だから、俺がどうしても天空の神に会いたいと言えば付き合ってくれるかもしれない。
そして…復讐を終えたソフィアと、今迄のものより多少緩い旅の後に…。
俺は、元の世界に戻れるのだろうか。
…そうだ、やはりまだ戻れるかどうかも解らないんだ。
それに比べて――ソフィアには、ソロがいる。
今の少女は、天涯孤独の身では、無い。
俺が元の世界に戻れたとしても、仲間達も居れば兄も居る。
ソフィアは、大丈夫だろう。

となると、はやり俺は自分の心配をするべきだ。
戻れた時は、良い。だが戻れなかった時はどうする?
…また、此処でもソフィアに甘えるのだろうか。
ソフィアには、ソロがいる。俺は必ずしも必要な存在じゃない。
では、俺を必要としてくれる人間はいるのか?
…ライアンには、バトランドという故郷がある。
アリーナにはクリフトが、ブライがいる。逆もまた然りだ。
トルネコには妻と子供。
ミネアとマーニャは、お互いに必要とし合っている…。

……何処に、行けば良いんだろう。
ソフィアを筆頭に、仲間達は俺が頼めば受け入れてくれるかもしれない。
甘えてしまって、良いのだろうか?
一人で…この世界で生き、老いて、死ぬという選択肢を否応無く選ばざるを得なくなる可能性…。

考えてみれば俺自身こそ、なんとも救いようの無い状態にある訳で…。
それを認識したくないから、現実から逃げて、バカなマネばかりしてきたけれど…。
此処に来て…これから先、昔のように笑える事はあると思えない…。

…審判の時は、確実に近づいている。

141 :デスパレス ◆gYINaOL2aE :2005/10/24(月) 19:34:56 ID:EaQc6O74


ソロが仕掛けを操作すると、巨大な建造物とすら言える魔神の像がゆっくりと動き出した。
こんなでかいのが二足歩行できるのだから、姿勢制御に苦労するロボット博士たちの立場が無い。
魔法の存在する世界でそんな事を言ってもしょうがないのだが。
俺は、普段通りにその出来事に驚いて見せた。
まるっきりの演技という訳でも無いから、それほどわざとらしくなったとは思わない。
ただ、はしゃぐようなメンタルじゃなかった所で、はしゃいで見せただけ…。
ともすれば無理をしているとも取られるのだろうが、
これから魔物達の城に赴こうというのだから、むしろこの位の方が不自然ではないのだ。

ああ…そうだよ、魔物の城に行くんだよ。
大丈夫なのかよ本当に…クソ…なんだか、ダメだ。苛々する…。

表に出すな。完璧に隠蔽しろ。漏らすな。決して。
不安…焦燥…他人のそれは、煩わしいだろう。
だから、自分のそれも他人に見せてはいけない。
ソフィアにも…聞いてくれると言ってくれた、ミネアにも、だ。

そうして、俺達は辿り着いた。
魔の居城。デスパレスへと。



日の光の下で見た城は、まるで幽鬼のような雰囲気を醸し出していた。
ひっそりと、霧の中に佇むあの城は、はたして魔物が造ったのか、それとも人のいなくなった廃城の成れの果てなのだろうか。
俺達は相談の末、夜を待って変化の杖を使い中に侵入、情報収集に努めるという方向性で一致した。
そもそも10人で城を攻め落とすとかは流石に頭の悪い話で、それなら最初から変化の杖を取りに行ったりもしない。
敵を知り、己を知れば百戦危うからずというヤツか。
魔物達の時間ともされる夜に実行するのはリスクも高くなるのだが、
なんとか敵の本丸であるデスピサロとの距離を、詰められるだけ詰めたいというのが皆の共通する気持ちだった。

142 :デスパレス ◆gYINaOL2aE :2005/10/24(月) 19:35:45 ID:EaQc6O74
森の中でそれぞれ自由に時間を過ごす中、
俺は皆から少し離れて彼らを観察していた。

しかし…こうして見ると…。仲間達の間にも、やはりそれぞれの関係というものがあるように見える。
ライアン、トルネコ、ブライの中年&老人は、普段通りというか、出会った頃からあまり変わった様子は見られない。
クリフトが、アリーナに少なからず好意を寄せているのは比較的早くに気付いていた。
アリーナの方は…あれがアリーナじゃなければ、気づいて無いフリをしてるのかもしれないと思う位、露骨に気付いていなかった。
あの娘には色恋とか在り得ないだろうな。
だがそのアリーナは、いや、だがというよりかは、だから、だろうか?
ソロと仲が良かった。
対デスピサロという面でお互い親近感もあっただろうし、ソロは実力者であった為、普段の鍛錬を共にする事も多かった。
そういえば、アリーナは強い男が好きだと聞いた事がある。
とはいえ、実際にいたら悔しくなってしまうだろうけど、とも言っていたとか。
今もソロとアリーナは何か話をしており、時折朗らかな笑い声が聞こえてくる。
そして、ソロの傍近くで、ソフィアが大地に横たわり、すやすやと寝息を立てていた。

…俺は、ソロに嫉妬しているのだろうか。
それは無いとは、言い切れない。
ソフィアとの距離が離れたのが寂しいと、全く思っていないと言えばそれは嘘になる。
だけど…結局、そういったのはこの世界に来る前から、いつもの事で…。
既に諦観の域に達していると思っていたのにな。

俺は何とはなしにクリフトの姿を探した。
浅ましい話だが、もし、この気持ちを多少なりとも共有する事ができるとしたら、それはあの神官だけだろうと思ったからだ。
彼はミネアと共に居た。
なにやら真剣な表情で話し合っている。内容を漏れ聞くに、どうやらこれからの打ち合わせをしているようだった。
二人は似た役割を任せられる事が多かったが、それでも扱える魔術や身体能力に個人差があった為、
状況によってはどちらかが有利になり、どちらかが不利になるケースも存在する。
故に、二人の連携は欠かせない。彼等は仲間たちの命を、その身に背負っているからだ。

143 :デスパレス ◆gYINaOL2aE :2005/10/24(月) 19:36:41 ID:EaQc6O74
…一瞬でも、俺の抱いている汚い気持ちを共有できるかもしれないと考えた自分が嫌になる。
やり切れない気分でその場を離れる事にした。
海でも見れば落ち着くだろうか…流石に身投げをしたくなりはしまい。
やがて砂浜に辿り着いた俺は、座り込む一つの人影を見つけた。
こんな所に、俺達以外の人が居る筈も無い。
それは、あの場にいなかったマーニャだろう。
…少し迷った末に、引き返そうと思う。
今の俺の精神状態で、いつものように弄られてしまうと、喧嘩になってしまうかもしれない。
音を立てないように注意して、背を向ける。

「――おーい。そこで帰っちゃうわけ?これは本当に嫌われちゃったかな?」

…どうやら、気付かれていたらしい。
明らかにそんな風に思っていない声音での台詞だから何となく腹が立つ。
これで俺はこの場を去れなくなってしまった。
むすっとしたまま、ざくざくとマーニャの傍にまで歩む。
俺の表情を下から見上げ、彼女はくっくっくと低く笑った。

「律儀だね。別に良いのに。あたしゃ若い子達と違うから傷ついたりしないのよ」

はすっぱな言い回しでそんな事を言う。
確かにこの女は、ソフィアやアリーナより確実に大人だし、ミネアと比べてもまた、少し違った意味での成熟さを感じる。

だからと言って、ぞんざいにしても良いと言われても、そんな事出来る訳も無いのだが。

「…………」

それから暫くの間、俺たちの間に言葉は交わされなかった。
何か喋った方が良いのかとも思ったが、何も思いつかないし、呼び止めたのはマーニャなのだから何かあるとするなら向こうの筈だから。
だが、マーニャは一向に何も語ろうとはしない。
痺れを切らした俺は、冗談めかして問いを発した。

144 :デスパレス ◆gYINaOL2aE :2005/10/24(月) 19:37:41 ID:EaQc6O74
「…マスターは、ソロ争奪戦には加わらんのかよ?いっつも言ってたじゃないか。佳い男がいないのが不満だって」

「ん〜?…ん〜…」

俺はこの時どんな言葉が返ってくるのを期待したのだろう。
恐らくは…佳い男とは言えないわ、私の判定は厳しいのよ…とか、そういった否定的なもの、だろうか…。
だが、マーニャはそれを見透かしているかのように言った。

「そうねえ。性格も良いし何より顔が良いし」

この女が相手じゃなければ、きっと気配を隠しきれた。
しかし今回ばかりは相手が悪かったと言える。

「…それにしてもその言い方…は〜ん、なるほどね。ここ数日は、それが原因、か」

――悟られた。
顔に血が一気に駆け上がる。
恥ずかしさ、悔しさ…情けなさ。
それらに押し潰されそうだ。最早一刻も早くこの場を去りたい。
マーニャが、俺の顔を見上げたら――それがきっかけとなって、逃げ出せる。
だというのに、マーニャはそれすらも解っているかのように、決して振り向かずじっと前を見詰めていた。

「バカだね。あの子達は実の兄妹なのに」

…解ってる…そんな事、言われなくたって解ってるんだ…!
どろどろと溜まった気持ちの悪いものを、一息に吐き出してしまいたい衝動に駆られる。
だけど…だけど、それは…。
それはきっと、マーニャに甘えるという事だ。
吐き出す事で、俺はきっと楽になれる。
マーニャを口汚く罵り、デリカシーの無さを非難しさえすれば、幾許かはすっきりするのだろう。

それだけは、やっちゃいけない事だ。

145 :デスパレス ◆gYINaOL2aE :2005/10/24(月) 19:41:30 ID:EaQc6O74
ぐっと、中々噛み切れないものを無理矢理に嚥下するような所作。
その瞬間、計ったかのようにマーニャが俺を仰ぎ見た。
視線が、交差する。

「…ほんと、バカね」

「…バカバカ言い過ぎだろ。けど、実際のとこどうなんだよ」

佳い男が何処かに落ちていないかと、口癖のように言っていたマーニャだが、
ソロに対してそういった露骨なモーションとかは見られなかった。

「さあね〜?」

「そうか、解った。若い女が傍にいるヤツだと、色々と勝てないんだな。肌の張りとか」

「なんだとぉ?くっふっふ…中々、上等な口聞くじゃない…覚悟はできてるんでしょうねぇ!」

ひょいっと飛び起きたマーニャが一瞬で俺の背後に周り、細い腕を首に絡ませる。
マズイ、っと思った時には既に完全に極められてしまっていた。
ぎりぎりと締め上げられていくうちに、視界が真っ白になって行き、奇妙な浮遊感を覚える――。

「あっはっはっは!ちょっとは逞しくなったみたいだけど、まだまだね!」

「――かはっ!げほっ、ぐふっ……お、お前なぁ……!」

ヒヒヒと笑いながら駆け出すマーニャを追い掛ける。
だが、ひらひらと蝶のように舞い逃げるマーニャを捕まえる事は結局、できなかった。
早々に諦めた俺は、膝に手をつき前屈みになり息を整える。
心臓がばくばくとアホの子みたいなテンションの高さで脈打ち、非常に苦しい。
そんな苦労をしている俺の気など知らないとばかりに、戻ってきたマーニャが再度肩に腕をかけてきた。
今度は、締め上げたりはしてこなかったが。

146 :デスパレス ◆gYINaOL2aE :2005/10/24(月) 19:42:24 ID:EaQc6O74
「なんだかんだ言ってもね。皆、いっぱいいっぱいなのよ。
追い詰められてるって訳じゃない。だけど、色恋に現を抜かす程、耄碌してもいないって事かな?」

「それは…そうなのか?」

「どうかしらね。だけど少なくとも、ソフィアやソロ、アリーナなんかには、はっきりとした目的がある。
あのお爺ちゃんは年齢が年齢だし、トルネコは既婚。ライアンが朴念仁っぽいのは解るでしょ?
クリフトもミネアも、真面目過ぎる位真面目だから…。
私達の旅が終るまでは、浮いた話なんてのはでないでしょうね」

「そう、か。…それも、そうだな」

「旅の終りのその後は、解らないけど。今から考えるのは気が早いかもしれないわね。
だけど、考えておいても良いかもしれない。…戦いが終って、何も無くなったんじゃ、寂しいもの」

…何となく、その言い方が気になったから。
こっそりと盗み見るように視線を横にずらす。
マーニャは俺を見ておらず、その雰囲気は先ほど、一人で砂浜に座り込んでいたのと同じような雰囲気を纏っていた。

俺は右手をマーニャの後ろから回して、頭を撫でた。

「…ん?な!?ちょっと、何して…!?」

薄い、紫色の神秘的な髪。
細い糸を、指の隙間で梳く。
特に何か考えての行動では無かった。
初めは猫のように嫌がり、頭を振っていたマーニャだったが、ふんと面白く無さそうに呟いた後、大人しくなる。

やがて、遠くから近づいてくる足音。
ミネアだった。恐らく、姉を探しに来たのだろう。

147 :デスパレス ◆gYINaOL2aE :2005/10/24(月) 19:42:55 ID:EaQc6O74
「――……あ、お二人とも、こちらでしたか」

仲良く肩を組んでいる俺達に、ミネアは安堵の笑みを浮かべる。
これが肩でなく腕だったなら、また違ったリアクションを見る事が出来たのかもしれないが。

「……マーニャは、何も無いなんて事、無いよ」

「ん――そうね。それは、あんたもだと良いわね。…いいえ、あんたもよ」

肩に回した手でばしばしと叩かかれる。
ソフィアに次いで長い付き合いになった姉妹に、俺は精一杯の笑みを返した。



太陽が休息に入り、入れ替わりに月がその姿を現す。
月下に映し出される魔城は、昼のそれとは全くの別物だった。
荘厳かつ、厳格さを滲み出す外観。
尖塔の上で、城壁の傍で、蠢く影。
――デスパレス。
人の悲鳴が聞こえてくる訳では無い。
魔物の雄叫びが響いてくる訳でも無い。
動物の気配もしないのは、捕食されるのを恐れたからだろうか。
聴こえるものと言えば、僅かな虫の音と、微かな草の音のみ。
目の前に恐怖の象徴が佇んでいるというのに、辺りは嫌になるほどに静かだった。

ソフィア、ソロ、アリーナ、ミネア、ブライ、そして俺の六人が変化の杖で姿を変える。
全員でぞろぞろと行く訳にもいかないので、残りのメンバーは待機し、有事の際には陽動を行う事となる。
しかしいくら姿が魔物になっても、仕草や細かい動きまでフォローしてくれるものでは無いだろう。
この辺り、多少意識していかないとマズイだろうか…。
軽く緊張しながらも、ソロを先頭に城門をくぐる。
彼は、呪怨装備を身につけていた頃、数度来た事があるらしく、ある程度勝手を知っていた。
城内に入ってすぐ、まるで兵士のように佇む虎の魔物がじろりと俺たちを睥睨する。

148 :デスパレス ◆gYINaOL2aE :2005/10/24(月) 19:43:40 ID:EaQc6O74

大丈夫、な、筈――。
そう思ってはいるものの、背中を嫌な汗が伝うのを感じる。
いくら変化の杖を使うからといって何も真正面から入る必要も無かったのでは無いか等の雑念が浮かんでは消えていく。
時間にしては、それほど経っていない。
それでも、虎の魔物が俺達から視線を外すまでの間は、中々生きた心地がしないものであった。

「…どうやら、巧くいったようじゃな」

ブライがぼそっと呟く。
…実際のところ、コンジャラーに化けたブライが一番順応している気がするのだが…。
殆ど動きも変わらないし…。

「では予定通り二手に分かれよう。くれぐれも、気取られないようにな」

ソロとアリーナとブライが地下牢へ。
俺とソフィアとミネアは、先に二階を中心に探りを入れる。
…しかし、昼間、マーニャにあっさりと看破されてしまった事を思い出すと、
ソフィアとミネアの二人とだけ共に居るのは少し躊躇われた。
俺は直前にブライに入れ替えを求める。老人は、ふむ、と頷き了承してくれた。
ブライとしてはアリーナと離れるのには抵抗があったのだろうが、
この城にサントハイムの者が誰かしらいる可能性を考えると、彼女と別行動をした方が良いと考えたようだ。

地下牢の探索は、アリーナたっての願いであった。
もしかしたら、サントハイムの人々が幽閉されているかもしれない。
確かに、サントハイムで起きた神隠しがデスピサロの仕業だとするなら、その可能性は十二分に考えられる。

149 :デスパレス ◆gYINaOL2aE :2005/10/24(月) 19:44:17 ID:EaQc6O74
慎重に階段を降りる。
まず飛び込んできたのは炊事場だった。
そして、忙しそうに動き回る女性――人間だ。
思わず声をかけそうになるアリーナだったが、テーブルに座る影に気付き、はっとする。
なるほど、どうやら女性は下働きのようなものをさせられているらしい。
…此処であの魔物を斃す事は恐らく可能だろう。
だが、その後が続かない。続かせる為には少なくとも、散らばっている仲間達との連携は必須であろう。
悔しさをぐっと堪え、更に奥へと進む。

――地下牢。
結果だけを言うならば、そこにアリーナの求める人々の姿は無かった。
何人かの人間が放り込まれていたが、どれも見覚えのある顔では無かったらしい。
しょんぼりと肩を落とすアリーナに、俺も、ソロも、言葉をかけられずにいる。
いや、ソロは敢えてかけないのかもしれない。
彼は恐らく知っていたのだろう。
サントハイムの大勢の人々がこの城に囚われているとなれば、出入りしていたソロが気付かぬ筈が無い。
それを事前にアリーナに伝えなかったのは…彼女の気性を考えれば、最良の判断だと思える。
機会があるのなら、自分の瞳で確かめたいのは当然だろう。
その機会が周りにかなりの無理を強いる等があれば少し話は違ってくるが、今回は比較的容易であった。

「げはげは、なんでもエビルプリースト様は愚かな人間を使って――」

「おい、声が大きいぞ」

「げはげは、すまんすまん。……ロ様の大……奪う……」

突如響いてきた声に、俺たちはドキリとして発生源を探した。
特に、アリーナの反応は過敏だった。
難なく場所を特定したか、近くにあった階段を二段飛ばしで駆け上がる。

「それが本当なら、エビルプリースト様が魔族の王になる日も近いか…」

150 :デスパレス ◆gYINaOL2aE :2005/10/24(月) 19:44:51 ID:EaQc6O74
なんだ?なんの話をしているんだ?
…エビルプリースト?なんだそいつは…?
もう少し、聞きたい。心につられてか、身も乗り出る。

「それにしても、全く哀れなのはサントハイムの王だよな」

「自分たち人間が、エスターク様の復活を手助けしてしまう事を夢で知って……
アッテムトでの穴掘りをやめさせようとした為に、闇の力で消されたのであろう。
我ら魔族ですら、エスターク様があんな所に封じられたとは知らなかったもんな」

「…待て、誰かいるぞ!」

いっけね、見つかったか!?
――刹那、俺の後方から戦風が吹いた。
階段の踊り場で繰り広げられる一瞬の戦舞。まさに、獣のような動きで――って、そりゃそうか。今の俺たちは魔物に変化してるんだった。
彼女のスピードが勝り、二匹の魔物達は応援を呼ばれるまでもなく、その場に昏倒する。
肩で荒い息を吐くアリーナの肩に、ソロがぽんと手を置いた。

「がおーーーっ!!」

ぎゃっ!?
耳元で発せられる魔物の雄叫びに、飛び上がる。
やべ、軽くちびったかも…。

「うふふ、驚きました?なんか、なりきっちゃって…」

「ミネアかよっ」

「それよりも、急いでこちらに来てください。何でも、会議が始まるとか」

151 :デスパレス ◆gYINaOL2aE :2005/10/24(月) 19:46:01 ID:EaQc6O74
俺達は急いで地下から這い出、別棟の更に二階へと向かう。
会議に使われる部屋には、それに相応しく長い机が二つ並べられていた。
机を挟むようにして、丸椅子がずらりと並ぶ。
そして、前方中央には一段高くなった演説台のようなものが鎮座している。
恐らく、此処に、ヤツが――。
俺達は逸る気持ちを抑え、それぞれ椅子に座る。
魔物がまだまばらにしか集まっていないのが幸いした。
どうやらこの会議――というか、招集は大分緊急のようであった。

やがて、ざわりとどよめきが起こると同時に空気が、変わる。

「静粛に!まもなくデスピサロ様がいらっしゃる頃だぞ!」

言われずとも解る。
ヤツが――来る……!
俺は、今居る場所から見て前方の廊下側通路――先ほど俺たちが入ってきた所から、ヤツも現れると思っていた。
だが――違う。このプレッシャーの発信源は、前方では、無い――。

かつん。

甲高い靴底の音が響く。
後ろから、だ。
バルコニーから入ってきた気配が、ゆっくりと演説台へと進んで行く…。
脂汗が止まらない。
その男は、気配だけで人を殺しかねない、凶悪な雰囲気を纏っていた。

「――聞いてくれ、諸君…。
たった今、鉱山の町アッテムトで大変な事が起こった」

演説台に登り、くるりと振り向く魔族の王。
銀髪を靡かせ、見る者を魅了して止まないその容姿に、笑み――の、ようなもの――を浮かべ、そう言った。

152 :デスパレス ◆gYINaOL2aE :2005/10/24(月) 19:47:07 ID:EaQc6O74
「地獄の帝王エスタークが、人間どもの手によって蘇ったらしい。
どうやら人間どもは気付かぬうちに地獄の世界を掘り当ててしまったらしいのだ」

ぐるりと視線を廻らせる魔族の王。
その瞳が、俺達を順に捕えていく――。
気付かれている?いや…そんな事は無い、筈だ。現に、その視線は外れていく…。
その瞬間、俺にはヤツがにっと、口の端を歪めたような気が、した。

「兎に角、アッテムトだ。エスターク帝王を、何としても我が城にお迎えするのだ!
さあ、行くぞ!諸君も急いでくれ!!」

どよどよとざわめく場にデスピサロは頓着せずに、
さっさと演説台を降り、再びバルコニーに向かう。
瞬間転移(ルーラ)で飛んで行くのか、会議場に居た魔物達もまた、デスピサロに追従して行った。

そうして…まるで金縛りにあっていたかのような仲間たちにもまた、時間が流れ出す。

「――動けなかった……」

ぽつりと呟いたのは、アリーナだ。
悔しそうに、身体を震わせ拳を握り込む。

「どうして?今、此処で仕掛けたとしても多勢に無勢だったから?
違う…そんな理由じゃない…ただ、私は…!」

「落ち着いてくだされ、姫様。理由はどうあれ、動かなかったのは正解じゃ。
あの男は…強い。逃げ道も無く、我ら全員が倒されてしまってはおしまいじゃ」

153 :デスパレス ◆gYINaOL2aE :2005/10/24(月) 19:48:26 ID:EaQc6O74
「でも!!」

「…今はまだ、届かないのなら、階段を上り続ければ良い。そうだろう?
俺は、そうするつもりだ。…君はどうする?」

「……。征くわ、決まってるじゃない、そんな事……!」

ブライとソロに、噛み付くように気炎を吐いてみせる少女。
そんな中で、俺はソフィアの様子を窺っていた。
彼女もまた、デスピサロに対しては深い因縁を持つ。
激昂し、飛び出していってしまうのではと心配もしたものだが、どうやら彼女はとても冷静であったようだ。
そっと表情も窺ってみたが、以前、彼奴の名前を聞いただけで怨嗟を渦巻かせたとは思えないほどに、穏やかで。
いや、穏やかというのは正確では無い。やはり、そこには恨みのようなもの、悔しそうに、憎しみの炎を宿らせてはいたのだが、
今まで、唯、それだけだったのに対し…今は、もう少し複雑に色々な感情が渦巻いているかのような。
やはり肉親が…ソロが生きていた、というのが大きいのだろう。
俺では彼女を救う事はできなかった、という事なのだが…それでも、復讐しか考えられない、という呪いのようなものから少なからず解放されてきているのだとしたら、
それは喜ぶべき事だと思う。矮小な俺自身については、今はおいておこう。

「アッテムト…エスターク…」

ぽつりと、その名前を呟いたのはミネアだった。
彼女は顔面を蒼白にして、ふるふると身体を震わせている。
俺は慌てて彼女に駆け寄り、顔を覗きこむ。

「ミネア?大丈夫?」

「あっ…はい、すみません、聞いた名前に取り乱してしまいました…。
もし、先の話が真実ならば、このまま放っておいたら大変な事になってしまいます。
まずは、急いでアッテムトへ…!」

154 :デスパレス ◆gYINaOL2aE :2005/10/24(月) 19:49:09 ID:EaQc6O74
「よぉし、やるわよ!地獄の帝王エスタークを、こてんぱんにしてやるわ!!」

ぐっと、毛むくじゃらの腕を突き上げるアリーナ。
…ま、何となく、戦いになりそうな気はするけどな。
しかし今思い出したが、まだ魔物の城に居るんだった。残っているのも居るだろうし、長居は無用だな。
城を出て待機している仲間と合流しようと動き出した時、意気揚々としていたアリーナがぽつりと呟いた。

「……ところで、エスタークって誰だっけ?」

……前途多難だ……。
俺も知らないけどな!!!道すがら、ミネアやブライが話してくれるだろう。



そうして。
俺たちはマーニャのルーラで、辿り着く。
死都――アッテムトへ、と。


HP:98/98
MP:48/48
Eドラゴンキラー Eみかわしの服 Eパンツ
戦闘:物理障壁,攻勢力向上,治癒,上位治癒
通常:治癒,上位治癒

155 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/24(月) 20:02:00 ID:NgS+zDm2
キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!

おかえり&乙ー

156 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/24(月) 21:06:35 ID:vd2iUZnJ
きよったぁーーーーー!
待ってました!
緊張→緩和→緊張の流れに背筋ゾクゾクしちゃった…



それにしてもマーニャ姐さんは本当にいい女だなぁー

157 :1 :2005/10/24(月) 22:26:36 ID:4JkCgrYK
なんかスレが伸びてると思ったら…

>>139-154
ずっと帰りを待ちわびてました。
スレ立てて良かった(泣
おかえりです。乙です。
記念age

158 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/24(月) 22:33:05 ID:FMnDK4+G
キタ━━━( ・e・)´ー`)・ω・) ゚Д゚)・∀・) ´ ヮ`)━━━!!!!

どれだけ待ってた事か・・・(つ∀`)

159 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/25(火) 00:41:49 ID:W8iBCJGJ
キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!

相変わらずキャラがみんなものすごい魅力的だ…

160 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/25(火) 01:35:38 ID:X1KnzpTc
これはヤバイって
すっげぇ超大作

161 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/25(火) 01:47:38 ID:YqQKvvTl
またDQ4がやりたくなってきた
ソフィアの後ろにいるはずのないgYINaOL2aE氏の姿を重ねてた時のデータどこやったっけ…

162 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/25(火) 03:53:53 ID:aaeI4bNm
>>gYINaOL2aE氏
乙であります!
これからも楽しみにしてますよ!

んで・・・自己満足なんだけど
>>9の内容で結局携FOMA 900/901i用でつくっちゃったw
感動をくれたこのスレに、
せめてものお礼に投下しようと思うんだけどいいかな?


163 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/25(火) 04:01:56 ID:mwqArEEh
これめちゃくちゃいいよ!

164 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/25(火) 04:25:40 ID:BAJUMnJL
>>161
おもしろそう!
ぜひともお願いしたい!

165 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/25(火) 12:25:11 ID:TAYmY6Ht
>>139-154
復活おめ。・゚・(ノД`)・゚・。

166 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/25(火) 14:40:03 ID:IEr1VOhe
勇者の足跡を辿るって感じの話も良さそうだな

167 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/25(火) 16:19:23 ID:QJWrzwDu
ギャgじゃないのに読ませるネタってのも珍しいな

168 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/25(火) 17:43:28 ID:g7b2cSZB
5ヵ月も経ってるし、もう来ないのかと思ってたよ・・・。・゚・(ノД`)・゚・。
とりあえず乙です!



他の職人さんも今まで通りに書いてくれよ。マジ期待してるから。

169 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/10/25(火) 17:53:13 ID:669QH1WP
(=゚ω゚)ノぃょぅ!
復活していたとは気が付かなかったっす(´・ω・`)ショボーン
このスレの住民の皆様には感謝します・゚・(ノд`)・゚・
ガンガンやりまっせ〜(`・ω・´)シャキーン

170 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/25(火) 19:01:14 ID:XRVq80Iw
おー、みんな戻ってきてる
すげーうれしい
あとは総長だね

171 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/10/25(火) 21:07:23 ID:669QH1WP
タケ「ふぁ〜あ…」
目が覚めた。自分の部屋だと思っていたがローレシアの宿屋だった。
やはり夢の世界ではなくこの世界が現実らしい。
次の目的地リリザに向かうために出発準備するとしますか。
タケ「もょ。起きているか?」
もょ「う…う〜ん。あとすこし…」
やれやれ。この調子じゃ寝起きが悪いみたいだ。
皮の盾と薬草も持ったし昨日街娘がくれた毒消し草もある。準備も出来たしリリザに向かう事にした。



172 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/10/25(火) 21:09:01 ID:669QH1WP
さて、道中にスライムが現れるのだが今の俺達?なら簡単に蹴散らすことが出来た。
皮の盾のおかげでスライムが体当たりしてきても十分に防げる。

こりゃ楽勝ムードでリリザに向かっていたら新しい敵が現れた。ドラキーとアイアンアントだ。
ドラキーやアイアンアントの攻撃は大したことが無いのだがこちらの攻撃がなかなか当たらない。
ドラキーはニヤニヤしながらはばたき攻撃してきやがる。しかもアイアンアントは普通に切り掛かったら両断する事は難しい。以外と打たれ強い。



173 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/10/25(火) 21:11:23 ID:669QH1WP
さぁどうする?
ここで焦っても状況が悪くなるだけ。実戦では使えるかどうかは解らないが試してみるか。
まずはかすみ二段をドラキーに試すことにした。一段目は意図的に外して二段目に当てる小細工な技だがいけるか?
うぉりゃあ!

あ、当たった!クリーンヒットではないがドラキーはふらふらしながら地面に落ちた。
ドラキーはピクピクして動かない。なりふり構わず突いてとどめを刺した。
後はアイアンアントだがドラキーが殺されて怒っているようだ。
猪みたいに体当たりを仕掛けてきやがる。ここは耐えてバックステップをし、飛ぶ事にした。
アイアンアントは体当たりしまくったせいか疲れて動きが鈍った。

ここで決める!って感じで俺は高く飛んで剣を体重を乗せた。

アイアンアントがカステラを斬るようにあっさり両断した。強撃も成功した。俺って天才じゃね?と思わず思ってしまった。



174 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/10/25(火) 21:12:17 ID:669QH1WP
なんとか魔物を倒した後、もょが話掛けてきた。
もょ「おおっ!タケ。いつのまにつよくなったんだ?」
タケ「今頃起きたんか。まったく、しっかりしてくれよ。」
もょ「はは、すまん。」
タケ「俺も昨日たまたま編み出した剣術を試してみただけやで。」
もょ「そうなのか。」
タケ「色々試行錯誤しなくちゃいけないけどな。」
もょ「タケ。おれにもおしえてくれないか?」
タケ「かまへんけど…俺もイメージでしか言えへんで。しかも剣術って言っても素人やで。」
もょ「かまわない。おれもつよくなりたいんだ!」
タケ「オーケー。わかった。宿屋に休む前に練習するで。」
もょ「おう!」
タケ「もょ、俺が言うだけじゃなくお前も何か閃いたらアドバイスしてくれ。そうじゃないと試す事に越したことはないからな。」
もょ「わかった!」

こうして無事リリザに着いた。まず宿屋に予約をとって街を見回る事にした。

175 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/25(火) 22:58:34 ID:hSqe6ZU2
だいぶ戻ってきたね。待っててよかった。
職人さん達がんばれ!

176 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/26(水) 04:10:31 ID:IfRP9By5
レッドマソ氏キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
みんながんばれ(*´ヮ`)ハァハァ

177 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/10/26(水) 06:28:25 ID:zXBhdZo6
昔の神達が復活した!みんなガンガレ!超ガンガレ!あと最近の新人さんもガンガレ!
これであとは総長さえ帰ってきてくれれば…

178 : ◆qdB5QYIaRc :2005/10/26(水) 19:58:20 ID:3Hc3jIG0
職人さん達復活キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
これからも頑張って下さい。応援してます。
乱文ですが、投下します。

179 : ◆qdB5QYIaRc :2005/10/26(水) 19:58:53 ID:3Hc3jIG0
朝起きると自分の家に戻っていた。などと言う事は無く、やはり昨日泊まった宿屋にいた。
目をこすりながらベッドから起きる。外がうるさい。何があったか知らんが、とりあえず俺は宿屋を出る事にした。
いや、その前に部屋のタンスを調べてみる。何かあるかもしれない。
タンスを調べてみると銅製の剣がしまってあった。他の客が忘れたのだろうか。俺は銅の剣を取り出し、握り締めた。丁度良い長さと重さだ。
もう一つのタンスを調べた。エッチな下着を発見した。誰の物かは知らないが、貰える物は全て貰う主義なので、両方貰っていく事にした。

外に出ると、畑の所に人が集まっていた。暇なので行ってみる。
「また魔物にやられた!」
「罠も全く意味が無かった…。どうすればいいんじゃ…。」
どうやら畑が魔物に荒らされたらしい。作物が全て無くなっている。
「あの魔物を倒してくれる者がいれば…。」
「私達には無理だ…。あんな化け物を倒す事など…。」
相当深刻な事態らしい。しかし俺には関係ないので旅立つ事にする。
俺が村を出る為歩き出そうとしたその時
「おお、旅のお方!まさか魔物を倒して頂けるのですか!?」
長老らしき人物が俺に話し掛けてきた。何故魔物を倒しに行くと思ったんだろうか。まさか銅の剣を持っていたからか?
俺は否定しようとしたが、周りを見ると村人全員が期待の眼差しで俺を見ていた。まずい。断りにくい。
仕方ないので了承だけして、村を出たらそのまま次の町に向かおう。俺ははい。と返事をした。
「ありがとうございます!魔物を倒して頂けたらお礼は是非します!」
お礼?




180 : ◆qdB5QYIaRc :2005/10/26(水) 20:00:02 ID:3Hc3jIG0
そうして俺は今、村を出て畑を荒らす魔物がいるという、西の洞窟へ向かっている。
長老から草を2枚貰った。体の怪我を瞬時に治す薬草らしい。どうも胡散臭い。
銅の剣を握り締めながら歩いていると、魔物に遭遇した。紫の覆面を被っていて、かなり大きいきづちを持っている。1m以上ある。
俺はきづちに警戒しながら、魔物に斬りかかった。
魔物は避けようと言うそぶりは見せたが、簡単に命中した。どうやらデカイきづちのせいで素早く動けないようだ。
魔物が体勢を立て直し、持っていたきづちを振り下ろした。やはり振り下ろす速度が遅く、簡単に避ける事が出来た。
俺は余裕で倒せると思い、スピードで魔物をかく乱し、次々に攻撃を当てていった。
が、さっさと倒さなかったのがいけなかったのだ。いきなり魔物の目つきが鋭くなり、物凄いスピードできづちをブンブン振ってきた。
速い。さっきの何倍の速さだろう。俺は避ける間もなく、顔面にきづちがぶち当たった。
その場に倒れ、鼻が折れて血がダラダラ出る。歯も折れてしまった。昨日の青い流動体の攻撃の比ではなかった。
段々意識が薄れてくる。ああ、ここでゲームオーバーか。コンティニューはナシだ。グッバイ俺の人生。
そうだ、確か薬草があった。どうも信用できんがこれに賭けるしかない。
長老から貰った袋の中から薬草を取り出し、かじる。まずい。小学生の時、消臭していないトイレの匂いがするお菓子を食べた事があるが、あれに似た味だ。あの時は誰も食べなくて冷蔵庫に保存していたので、冷蔵庫を開けて中を漁るのが本当に辛かった。
薬草を飲み込んだ途端、意識が完全に回復し、折れた鼻と歯もすっかり元に戻っていた。凄い効果だ。
俺は速攻で立ち上がり、魔物に斬りかかった。
突然起き上がったので、魔物は避ける事ができずに真っ二つに斬られた。
魔物はその場に倒れ光となって消え、お金が出現した。4Gだ。
金を袋に入れ、更に西に向かった。




181 : ◆qdB5QYIaRc :2005/10/26(水) 20:00:58 ID:3Hc3jIG0
洞窟に入ると、何故か明るかった。明かりもないのに何故だろうか。まあそんな事はどうでもいい。さっさと魔物を倒してお礼を頂きたい。
さっきからニヤニヤ笑っている青いコウモリが俺の頭の上を飛び回っていたので、チョップで払い落とした。こんな奴も魔物なんだろうか。
暫く進むと宝箱が2個置いてあった。大層な箱だが、誰が何の為に用意したのかが気になる。
左の宝箱を開けると、革のムチが置いてあった。銅の剣の方が強そうだが、とりあえず貰っておく。
右の宝箱を開けると、そこには確かに顔があった。何だこの宝箱は。ビックリ箱か?
「グハハハハ!また欲深い人間が現れたな!」
どうやら魔物の様だ。喋れるとは、相当知能が高いのだろう。
「貴様も死ね!ザ…」
台詞の途中で蓋を閉め、左の宝箱にあった革のムチで縛って開かない様にした。さっき何か言っていたが気のせいだろう。
更に進むと正方形の大きな部屋に出た。何故か知らんが今までの凸凹の壁と違って綺麗だ。
部屋の奥を見ると、今まで戦ってきた魔物より一回りも二回りもでかい魔物が待ち構えていた。
黄色い体毛に赤い鬣、鋭い牙を剥き、こっちを睨みながら唸っている。血祭りにあげてやると言わんばかりの形相だ。
とりあえず逃げても無駄そうなので、剣を構える。効くがどうかは分からないが。
魔物がゆっくりと迫ってきた。魔物退治なんか引き受けるんじゃなかったと初めて思ったのはこの時である。
などと考えてももう後の祭りなので、ヤケクソで正面から突っ込んだ。


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