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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら二泊目

42 :ロザリー ◆gYINaOL2aE :2005/05/23(月) 02:15:06 ID:7ddnycLn
「今――この世界が、魔物達によって滅ぼされようとしているのです。
魔物達を束ねる者の名は、ピサロ。
今はデスピサロと名乗り、進化の秘法で更に恐ろしい存在になろうとしています。
……いつの頃からでしょうか。
気付いたときには、あの方はその心の内を私にも隠すようになってしまわれました……。
お願いです。もし、ピサロ様が……いえ、デスピサロが野望に憑りつかれてしまったのなら――。
どうか、あの方を止めてください。私はこれ以上あの方に罪を重ねて欲しく無いのです……。
……私はあの方がそのような事をする筈がないと今も何処かで信じています。
ですが……人間を滅ぼすというピサロ様の言葉を信じたくないが故に、盲目になっているのかもしれません。
元はと言えば私が自分の身も満足に護る事ができないせいで……だというのに、私ではあの方を止める事もできない……」

宝石のような瞳に紅い雫がじんわりと浮かび、頬を伝う。
細い顎にまで辿り着いたそれが、重力に引かれゆっくりと零れ落ちる。
泪は空中で固体化し、床に落ちた。
コン、コン、と小さく跳ねた後、やがて動きを止める。

――ルビーの、涙。

俺は足元に転がった娘の涙を掌に乗せてみる。
悲哀を感じさせる輝きを放つルビーは、途端に砕け散ってしまった。

これは、きっと人が触れて良い物では、無いのだと、そう思った。
だというのに――それだからこそ――人は娘を追いまわし、苛め、泣かせようとするのか。

娘の話を聞いた皆は、一様に黙っていた。
とはいえ、その反応は様々であったが。

燃えるアリーナ、宥めるブライはお約束だし、
トルネコは娘の涙に感化されたか涙ぐんでる。マーニャはかりかりと頭を掻いて態度を決め兼ねると言った雰囲気だ。
ミネアとクリフトはそれぞれソロとライアンの様子を見ながらも、考えてはいるようである。
ソフィアは――少女は、今は少し意識を他方に裂く余裕が無いのだろう。

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