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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら二泊目

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/17(火) 19:10:37 ID:4/FHaAAe
ここはもし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったらということを想像して書き込むスレです
小説形式大歓迎!

前スレ
もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1110832409/

まとめサイト
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」冒険の書庫
http://www.geocities.jp/if_dq/

2 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/17(火) 19:11:15 ID:zW3W8oGl
         o
           。
             。 ヽ从/
        ガバッ   ∧ ∧     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             (゚Д゚;):. _ < はっ、夢か!!
            r'⌒と、j ミ ヽ \________
           ノ ,.ィ'  `ヽ. /
          /       i!./
           (_,.         //
          く.,_`^''ー-、_,,..ノ/
            `〜`''ー--‐'


3 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/17(火) 19:12:39 ID:P4MbIpHQ
レモン300個分の乙

4 :中山 悟 ◆1AeKISTOmo :2005/05/17(火) 19:16:03 ID:A8XIaw1O
× もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら二泊目
○ もし目が覚めたときそこがDQ世界の宿屋だったら二泊目

5 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/17(火) 19:20:48 ID:t42CiDy8
>>1
乙!

6 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/17(火) 19:28:15 ID:hM/U4St+
夢かもしれないので、とりあえず二度寝。

7 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/17(火) 20:49:33 ID:ZDcI4IE0
ルーラして頭をぶつけて確認

8 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/17(火) 22:01:51 ID:ahb1uAlw
隣にカワイイ女の子が添い寝していないか確認

9 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/17(火) 23:38:15 ID:oo2Fqvt6
してたらどうするんだ?

10 :冒険の書庫の書記 ◆nUtX8ZK/82 :2005/05/18(水) 00:06:30 ID:5KknsFsg
>>1さん、乙です。

今、今後の掲載について考え中です。
長く続いているものと、単発かどうかの判断もつきかねるものとのすみわけをするかどうか。
そんなことを考えていたら更新が滞ってます。
おまけに今週後半は家にいないので更新できません。
すみません。

11 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/18(水) 00:27:38 ID:mGWDt4VQ
とりあえず、メラがでるか確認

12 :前403 ◆OGQZBOvPAQ :2005/05/18(水) 01:39:39 ID:W2atuIT3
ああ、今年も春は俺を華麗にスルーして行くんだなぁ・・・
フローラたんとオサレな関係になりたかったなぁ・・・
はぁ・・・orz
ま、いつもの事だけどさ(・∀・)


この世界に来て2週間経った。
いつまでもおじさんの家に泊まっていては悪いし、俺も元の世界に帰りたかったので、旅に出ることにした。
今朝から。

―――でも――、帰りたい―――

何か気持ち悪い動物がうじゃうじゃいるのだ。
幸い、おじさんからもらった革の鎧のおかげで怪我は無い。
一応、棍棒ももらったのだが、あんなに素早い動物に当たる筈もないし、叩く隙が有るなら逃げる方が得策だろう。
こんなことで旅を続けられるのだろうか。

色々と考えながら歩いていると、顔の長い魔導師みたいなのがこっちを見ている。

―――あぁ、また変な奴がきた―――

13 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/18(水) 16:21:40 ID:t3aZgQtW
市円

14 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/19(木) 07:56:15 ID:EYm5kN20
hoahu

15 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/20(金) 07:43:41 ID:Z2J6FW5x
ほす

16 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/20(金) 18:28:28 ID:IHzSQYHb
ちと立てるの早かったか・・

17 :前スレ1 :2005/05/20(金) 20:43:45 ID:su/uWBiP
早くも2スレ目が・・・

長編もいいけど、ネタ的な短編も誰か書いてくれ!

18 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/21(土) 02:00:13 ID:zaYBxlcX
あげ

19 :仮トリップ ◆3QADVrzRNQ :2005/05/21(土) 06:00:22 ID:1ndDIB9H
 違和感で目が覚めた。
 年中敷きっぱなしの布団とくたびれた毛布の感触はなく、部屋で食ったカレーの残り香もしない。
少々粗いながら清潔な布の感触と、木の匂いがする…
 はて、どこか外泊でもしてたっけ?
 何を見ていたかも既に分からない夢見気分は霧散し、急速に目が冴えていく。
 ――ここ。どこよ?
 薄暗い室内に電気はなかったが、既に朝日は射し込んでいた。石造りの室内に
使い込まれた木製の調度品、なかなかいい雰囲気ではあるが…
 ひとまず身の回りを確認する、服は確かに昨日寝た時と同じスウェットだ。
枕元の引き出しの上には使い込まれた皮製と思しきカバンや小袋が置かれている…
中を見てみると青い服と皮製の頑丈そうな筒が大小何本か目に付いた。
 よく分からないが、このままでいるのはひどく場違いに思えたのでまずは着替える事にする。
 しかし服を広げてびっくりした。
 ――おいおい、これ「たびびとのふく」じゃん。
 何の冗談だよ。と心の中でツッコミつつ、反射的にワクワクしている俺がいた。
 ドラクエ世界のテーマパークにでもいるんだろうか、今の俺は?
 ワクワクしだすと頭も回りだしてきた、そういえば最近のニュースで「記憶喪失のピアニスト」
って話があったけど、今の俺も部分的に記憶喪失なのかもしれないな。
 寝てる時の服が記憶の中と変わらないってのはちょっとひっかかるが、これ以外ないだろう。
よし、ひとまず外へ出て俺についての話を聞く事からはじめよう。クエストだクエスト。
 居ても立ってもいられなくなった俺は、スウェットや机の上の小袋をカバンにしまいこむと
足元に転がっていたブーツを軽く穿き、すぐに部屋から出て行った。

 狭い廊下にはひんやりした朝の空気が気持ちよく流れていた。窓はそんなに多くないが、
カーテンは開け放たれているので十分な明るさがある。
 こんな早くから掃除のおばちゃんは働いていた、ごくろうさまです。しかしこんなおばちゃんまで
コスプレしているのにはちょっと苦笑いしてしまった。
 まあ雰囲気って重要だしな、こういう小さなところから大事にしていかないと。
 なんだかちょっと睨まれた気がするけど、気にせず行き止まりじゃない方へと歩いて
階段を降りていった。
 しっかしこの服、土くさいな。

20 :仮トリップ ◆3QADVrzRNQ :2005/05/21(土) 06:03:01 ID:1ndDIB9H
と、面倒なのでまずはここまで。

1レスずつ書くのって鬱陶しい?
気が向いた時だけささーっと書き逃げしていこうと思うのだが。

21 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/21(土) 09:47:13 ID:GiKHpWhf
前スレが700も行って無いのに新スレ立てたのは何故ですか


  場合によっちゃあ生かしておけん
    ∧__∧
    (`・ω・´)
   .ノ^ yヽ、  
   ヽ,,ノ==l ノ       
    /  l |
"""~""""""~"""~"""~"

22 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/21(土) 09:54:21 ID:DjzGM0Q/
>>21
ヒント:容量オーバー

23 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/21(土) 19:20:23 ID:sKJL8uF2
>◆3QADVrzRNQ
イイヨイイヨー。続きが楽しみだ。気の向いたときでいいから書いてくれ。

24 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/22(日) 03:30:28 ID:j34gE6Sc
糞長いSS書くバカと
容量を知らないバカ

共に晒しage

25 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/22(日) 03:51:47 ID:8z+Xseuz
 晒されてしまったか・・・武士の恥だのう
    ∧__∧
    (`・ω・´)
   .ノ^ yヽ、  
   ヽ,,ノ==l ノ       
    /  l |
"""~""""""~"""~"""~"

26 :一発ネタ :2005/05/22(日) 06:51:08 ID:hw8wG8xD
*「おお たけし !
  ゆうしゃロトの ちをひくものよ!
  そなたのくるのをまっておったぞ。

唐突に呼ばれて我に返る。
…?
なんだここは?

*「その むかし ゆうしゃロトが
  カミから ひかりのたまをさずかり
  まものたちをふうじこめたという。

回りを見回す。
…見回そうとしたが、どうしたわけか体が動かない。

*「しかし いずこともなくあらわれた
  あくまのけしん りゅうおうが
  そのたまを やみにとざしたのじゃ

動けない体で必死に辺りを見る。
灰色の壁に、赤いレンガのような床。
前方にはでかい灰色の扉がある。
扉の脇には兜、鎧、槍で武装した男が二人。
ファンタジーに出てくる兵士みたいな格好だ。
…仮装大会の出場者か何かか?
二人とも壁の方向を向いて微動だにせず立っている。

*「このちに ふたたびへいわをっ!

自分の左横にあるのは…なんかでっかい箱だな。
床と一緒で赤い。なんつうか…悪趣味だな。


27 :一発ネタ :2005/05/22(日) 06:54:12 ID:hw8wG8xD
*「ゆうしゃ たけし よ!
  りゅうおうをたおし そのてから
  ひかりのたまをとりもどしてくれ!

それと、この声。

*「わしからの おくりものじゃ!
  そなたのよこにある
  たからのはこを とるがよい!

さっきから自分の真後ろから聞こえるこの声。

*「そして このへやにいる
  へいしにきけば たびのちしきを
  おしえてくれよう。

姿は見ることが出来ないが、中年の男である事は確かだ。
二人の男達に反応が無い所を見ると、俺に話しかけているのか?

*「では また あおう!
  ゆうしゃ たけし よ!

やはりそうみたいだが…。勇者?
たけしは俺の名前だが、俺はニートで、勇者になんてなった覚えはないぞ?
ていうか何で俺の名前知ってんの?
でもこのセリフはどこかで聞いたことがあるな。
というか勇者ロトって言ってたよな、さっき!?そしてこの部屋。
もしかしてドラクエ、しかも1ですか?
成る程納得。じゃあ後ろにいるのは王様か。中年の男なんて言って、ごめなソリー。
つか、なんで俺がドラクエ1の世界にいるのよ?夢なのこれ?
と、一つの謎が氷解し、また新たな謎が生まれようとした瞬間。

28 :一発ネタ :2005/05/22(日) 06:57:10 ID:hw8wG8xD
突然、自分の意思とは関係なく体が動く。
前、右、左、後、がちゃがちゃに振り回される。
しかし、どんなに動いても向きは固定されたままだった。
前を向いたまま、無茶苦茶に歩き回る俺。なんだこの動き。欽ちゃんですか?
ああそうか、この格好悪いガニマタ歩行から察するに、1は1でもFC版なんだ。
そして俺の意思で体が動かないって事は、操作している人間が別にいるって事か?
……。
OK、OK。まあ何にせよアレだ。コントローラを握っているのが誰だか解らないけど、
早いとこ宝箱を開けて鍵を手に入れようぜ。
鍵が無いと扉も開けれられないからな。この部屋から出れないぞ。
王座の後ろにも宝箱があるから忘れないでね。
宝箱を取るには「とる」コマンドだぞ。「しらべる」じゃないからな。
頼んだぞ、1コンを持っている君。
1コンは「いちこん」って読むよね。1upは「いちあっぷ」だよね。関係ないけど。


…10分経過。まだ俺は宝箱も開けられず、あの部屋にいる。
10分も何していたかというと、ひたすらに歩き回るだけ。
つうか壁に体当たりしないで下さい。痛いです。ゴンって効果音、聞こえてるだろ?
扉に体当たりしても開きません。助走を付けても無駄です。痛いだけです。
兵士に体当たりしても何も出てきません。槍に刺さりそうになって危ないのでやめて下さい。

どうやら俺の1コンを持っている人はゲームの意味が解らないらしい。
つうか、RPGやるの初めてな人なのか、もしかして?
ならしょうがないか。
俺もガキの頃、ドラクエ1初めてやった時、勇者に自分の名前付けて張り切ったは良いけど、
意味解らなくて無茶苦茶にその辺歩き回って
壁に体当たりしたり、兵士に体当たりしたり、助走つけて扉に体当たりしたりして、
10分くらい頑張ったけど、結局くそゲー判定しちゃって、リセッt


29 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/22(日) 20:20:49 ID:nlrgaSZ5
たけし乙w
ワロタ

30 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/22(日) 20:58:05 ID:eLlwFFDu
テラワロスwwwwwwww

最後どうなったの?ってオチの意味を聞き出すアホがいたらなおワロスwwwwww

31 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/22(日) 23:24:33 ID:8AevbsZI
ここまでセーブしました  
http://www.geocities.jp/if_dq/

しばらく留守にしてたので、更新遅れました。

考えるのが面倒になったので、とりあえずかたっぱしからのせていきます。

>>20
いいんじゃないでしょうか?

32 :冒険の書庫の書記 ◆nUtX8ZK/82 :2005/05/22(日) 23:25:22 ID:8AevbsZI
失礼。
>>31>>32です。

33 :DQ4ファン :2005/05/23(月) 01:10:59 ID:CgYY7kNW
ピサロナイトの続きまぢで頼む!

34 :ロザリー ◆gYINaOL2aE :2005/05/23(月) 02:02:16 ID:7ddnycLn
事象は限定された空間で起こった。
やはり、ブライの話は大袈裟ではあったのだ。
爆発の範囲もさほど大きくなければ、発生した力も星のソレには及ぶまい。
だが、それでも中心点近くの存在全てをほぼ完全に分解し、無に帰してしまう程のものであったのも事実。
俺はもっともっと威力の小さなものだと思っていたから結局見通しが甘かったのは否めない。

「――――イヤァァァァァァァァァ!!!!」

悲痛な絶叫が直ぐ傍から聴こえた。
俺は今まで、こんな、心そのものを直接傷つけるかのような声を、聴いた事が無かった。
それは一体、誰のものだろう。直ぐにはそれが解らない。
声は、初めて聴く音だったから。

「兄さん!兄さん!!兄さぁぁぁん!!!」

止めてくれ。それ以上、哭かないでくれ。
じゃないとこちらにまで伝播してしまう。哀しみが、絶望が、死が、俺の心を侵していく。
それでも、当の少女に直接それを止めろと言える訳が無い。
俺は、どうしたら良い?
根拠も無く、あれは君の兄なんかじゃなかったと言う?
仕方が無かったと諦める?
何も言わずに抱きしめる?

どれもが滑稽じゃないか。
そういうシーンは何かで見た事があった気はする。
けれど実際に、その場に立ってしまった時――あるのは負の感情による圧倒的な重圧と、圧迫感だけだった。

ライアンは、急ぎ処置をすれば恐らく生き返る事はできよう。
だが完全に消滅したあの男はどうだ?導かれし者達では無い者は――……。

35 :ロザリー ◆gYINaOL2aE :2005/05/23(月) 02:02:38 ID:7ddnycLn
いや、それでも俺という例外も存在するじゃないか。
敵ならば死んで良いとか、味方ならダメとか、そういうレベルの問題ではなく、
ただ単純に、知らずに兄を殺してしまう妹だなんて――相手が敵か味方か以前にあんまりだ。

「ソフィア…それが、大事な事なら諦めちゃダメだ、諦めちゃ――」

「だって、だってぇ!わた、私が、私が……」

引き付けを起こしたかのように身体をびくびくと震わせる少女。
その傷ましさに胸が張り裂けそうになる。
ダメだ、このままじゃソフィアは――声どころか、魂まで永久に氷結させてしまう。

無力だ。今、目の前でソフィアの魂が砕けてしまいそうになっているというのに。
何処まで俺は無力なのか。――いい加減、苛々してくる。たかだか一人の少女も救えない。
力の無さに諦めた事もあった。悔しく思い、明日を目指した事もあった。
だが――いくら明日を目指しても、今日が無ければそれは無意味だ。
必要なのは未来では無く現在なんだ。――くそ、クソ、糞!!
……これも、進化の秘法があれば――こんな、こんな気持ちにならずに済むのだろうか?

巻き起こった爆発がゆっくりと収縮していく。
見通しが良くなるのと比例して哀しみが実体化し、襲いかかってくるだろう。俺たちは自然と身構えた。

ちりちりとした放電のような光を最後に、騎士の立っていた場所には何も無くなっていた。
いや、よく見ると床に僅かながら黒ずんだ細かい物質が散らばっている。
呪われた鎧兜の残骸であろう。
それ以外には、何も無い――相変わらず重厚な扉が、侵入を阻んでいるのみ、だ。

36 :ロザリー ◆gYINaOL2aE :2005/05/23(月) 02:02:55 ID:7ddnycLn
ソフィアが呆けたように何も無い空間を見詰めている。
声も無ければその行為に意味も無く、また、何の訳も無い。
在るとするならそれは、そこに在った過去の情景を、そして残滓を探そうとする無意識に他ならない。
少女の瞳は復讐という名の血塗られた未来を見据えてここまでやって来た。
果たして、血塗れで歩き続けるのと、後悔に身を灼き生きるのと、どちらが幸せなのだろうか…。

仲間達にもまた、声は無い。
ミネアとトルネコが斃れたライアンの身体を後ろに下げるのが精々で――。

――待て。アリーナはどうした?

「姫様…まさか…」

クリフトがソフィアと同じ位に顔を青くし震えている。
ブライは表情にこそ表さないが、やはり深い思考に陥っているようである。

巻き込まれた?あの娘まで、消滅したのか?
肉の欠片一つ残さず消えた人間を生き返らせる事はできるのか?
俺の思いつきでソフィアの兄だけでなく仲間まで殺したのか?

身体中から嫌な汗が噴き出してくる。
ヤバイ。くそ、なんで、こんな――。
俺じゃない、今、本当に苦しいのは俺じゃないのに、なのに俺には余裕が無い――。

その時だった。
何者をも拒絶しそうに思われた重い扉が、誰も触れていないのにゆっくりと押し開かれていく。否、引き開けられる。
俺達は誰一人として動けなかった。
連続して変化する状況に対応できなかったと言っても良い。

37 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 02:03:13 ID:Znw+BAYI


38 :ロザリー ◆gYINaOL2aE :2005/05/23(月) 02:09:15 ID:7ddnycLn
開いた扉の前に立つ人影。
紅みがかった桃色の髪、白いフォーマルドレス。そして、尖った耳――。
美しいエルフの娘。
そして、その傍には碧色の髪の男と、アリーナが倒れこんでいた。



日が落ち、月の昇った塔の最上階。
ライアンと騎士がベッドに寝かされており、それぞれ眠っている。
戦士には擬似蘇生(ザオラル)が成功したらしい。
騎士は、身体全体の損傷が著しかったが、呪怨武具の力が幸いしたかまだ息があった為、上位回復(ベホイミ)を施した。
彼の装備していた、魔神の鎧、邪神の面、諸刃の剣はボロボロに崩れ、半ばから折れ飛び、既に見る影も無い。
かろうじて、鞘に納まっていた皆殺しの剣だけは形を保っていたが。

「…ソロ様を助けて頂いて、ありがとうございました」

スライムを腕に抱いたエルフの娘が、開口一番にそう言った。
アリーナが照れたように笑うのを見て、ブライがまたガミガミと説教をしたそうにそわそわと身体を動かす。
あの瞬間、飛び込んでいったアリーナは、ソロの身体を掴み全力で廊下の奥へ退避行動を取ったらしい。
鳴り止まない戦いの音に不安を覚えたロザリーが、内から扉を開く。そこに、アリーナ達が滑り込んだという話だった。
特定の座標で起きた爆発が、外因でその中心点を移動させなかったから良かったようなものの…。
危険な上に行き当たりばったりな行動に、ブライが切れるのも無理は無い。

「ソロ様にあの兜を渡したのはピサロ様なのです。
あれが無ければ、あそこまで自分を追い詰められる事も無かったでしょう」

娘の面持ちは沈痛だった。
邪神の面。あの面を通して視た世界は、憎しみや欲望が炎となって現れるらしい。
そして、それは酷く醜悪だという。俺には『醜悪な炎』というものが具体的によく解らなかったが…。
人が、炎に焼かれながら尚ぐずぐずと蠢く姿を想像し、なんとなく解ったような気になった。
そんな気になっただけかもしれないが。

39 :ロザリー ◆gYINaOL2aE :2005/05/23(月) 02:10:13 ID:7ddnycLn
「外すよう説得し切れず…。
私ばかり、助けてもらいながら結局何も…」

娘からは悲しみのオーラのようなものが出ていた。
それは、悲哀に暮れる事に疲れてしまったかのような。
恐らく…これは、娘の本質では無いだろう。
だというのに、こうなってしまっている、ならざるを得ない――そういう、環境。そういう状況。
俺達は個人の努力でそれらを変える事はできるけれど、それにも限度というものがある。
どうにもできない事は、やはり存在するのだから。

「…ロザリー殿。不躾とは思うが…貴女は、エルフ、ですな?」

「――はい」

その返答を聞き、ブライはうむ、と深く頷いた。
どうりで合点が言ったと呟く。

「貴方方の目的が、私にあるのでしたら、私はそれに従いましょう。
ですから、ソロ様とこの子達だけはどうか――」

「そ、そりゃねーっすよ!おいらだって、ロザリー様とソロ様を助ける為ならこの身が砕けようとも…!」

ロザリーの足元で気炎を吐くのはやたらでかいフォークを持ったミニデーモンだ。
…あれ?あいつ、もしかして…昔、俺が額ににくって書いたヤツじゃ…。
まさかな。それに、大分前の話だし、覚えてるとも思えない。

「くそ、人間め!やっぱりロザリー様のルビーの涙が目当てなんだな!
やっぱり碌なヤツがいないぜ!俺の顔に落書きしたのも人間に違いないんだ!」

40 :ロザリー ◆gYINaOL2aE :2005/05/23(月) 02:10:36 ID:7ddnycLn
ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜………………………………………。
ファイナルアンサー?

「ファイナルアンサー!」

―――――――――――――――――――正解!!

「っぷはあ!いやあ、引っ張り過ぎっすよぉ。ってお前かよ!?」

うるせぇこの野郎!お前にトルネコさんの肉は渡さねーぞ!あれは俺の非常食だ!

「な、そ、それはもう昔の話だよ!ソロ様にも言われたからな…。
ま、人の肉ってよく見たらそんな美味そうでも無いしなー」

なんだ、そうなのか。それを速く言え。いやあ、あの時は正直すまんかった。

と、軽く懐かしいトークに花を咲かせているとふと周りのAIRがおかしい事に気がついた。
マーニャを筆頭にジト目で見られている――空気を読め。そんなメッセージが――そんなに見るな!見るなよぉ!
軽く錯乱しながらも暫く黙っている事にする。

「待って!私達は貴女を傷つけに来た訳じゃないわ!」

気を取り直したアリーナがはっきりと否定した。
ロザリーは、暫くじっと少女の瞳を覗いた後、ふんわりと微笑む。

「…貴女は澄んだ瞳をしているのですね。
貴方達を信じましょう。…私の話を聞いて下さいますか?」

一も二も無く頷く俺たち。
彼女の話は、きっと俺たちが聞かなければならない事だから。

41 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 02:11:06 ID:Znw+BAYI
支援

42 :ロザリー ◆gYINaOL2aE :2005/05/23(月) 02:15:06 ID:7ddnycLn
「今――この世界が、魔物達によって滅ぼされようとしているのです。
魔物達を束ねる者の名は、ピサロ。
今はデスピサロと名乗り、進化の秘法で更に恐ろしい存在になろうとしています。
……いつの頃からでしょうか。
気付いたときには、あの方はその心の内を私にも隠すようになってしまわれました……。
お願いです。もし、ピサロ様が……いえ、デスピサロが野望に憑りつかれてしまったのなら――。
どうか、あの方を止めてください。私はこれ以上あの方に罪を重ねて欲しく無いのです……。
……私はあの方がそのような事をする筈がないと今も何処かで信じています。
ですが……人間を滅ぼすというピサロ様の言葉を信じたくないが故に、盲目になっているのかもしれません。
元はと言えば私が自分の身も満足に護る事ができないせいで……だというのに、私ではあの方を止める事もできない……」

宝石のような瞳に紅い雫がじんわりと浮かび、頬を伝う。
細い顎にまで辿り着いたそれが、重力に引かれゆっくりと零れ落ちる。
泪は空中で固体化し、床に落ちた。
コン、コン、と小さく跳ねた後、やがて動きを止める。

――ルビーの、涙。

俺は足元に転がった娘の涙を掌に乗せてみる。
悲哀を感じさせる輝きを放つルビーは、途端に砕け散ってしまった。

これは、きっと人が触れて良い物では、無いのだと、そう思った。
だというのに――それだからこそ――人は娘を追いまわし、苛め、泣かせようとするのか。

娘の話を聞いた皆は、一様に黙っていた。
とはいえ、その反応は様々であったが。

燃えるアリーナ、宥めるブライはお約束だし、
トルネコは娘の涙に感化されたか涙ぐんでる。マーニャはかりかりと頭を掻いて態度を決め兼ねると言った雰囲気だ。
ミネアとクリフトはそれぞれソロとライアンの様子を見ながらも、考えてはいるようである。
ソフィアは――少女は、今は少し意識を他方に裂く余裕が無いのだろう。

43 :ロザリー ◆gYINaOL2aE :2005/05/23(月) 02:17:17 ID:7ddnycLn
「解ったわ!それで、デスピサロは何処にいるの!?」

勢い込んで訊ねるアリーナに、ロザリーは少し面食らう。
だが、すぐに気丈にも涙を拭い、それに答えようとした。

「……ヤツは、南の大陸にある魔物達の城、デスパレスに居る」

男の声だ。
音の流れてきた方向を見ると、そこには布の服のみを着た碧色の髪の男が、ミネアに支えられて立っていた。
――ピサロナイト。そして、ソフィアの兄、ソロ。
跳ねるように駆け寄ったミニデーモンの頭を、彼は軽く撫でてやった。

ソフィアがびくっと身体を震わせ、俺の影に隠れるような挙動をする。丁度、俺が兄妹の間に立つ感じだ。

微妙に居心地が悪い…。

しかし――この男は、俺の敵じゃないのか?いや、敵だと思いたい。
なんだこのイケメンは?
ありえない美形っぷりに正直むかつきを通り越して引く。
ライアンは男らしいが美形とは違うし、クリフトも整った顔立ちではあるがまだ普通な方だ。
だっつーのによぉ!けっ!これだからよぉ、この世は不公平だっちゅうのよなあ?あぁ?(ビキッ)
パンチ&鬼剃りを入れたDQNのようにメンチを切るが普通にスルーされてしまった。鬱だ…。

「ソロ!もう、動いて平気なの?」

「…ああ、お陰様でな。
…楽な道では無いが、君達なら問題無く抜けられるだろう」

「ええ、勿論!ねえ、良かったら貴方が道案内をしてくれない?」

アリーナがいきなり勧誘しだした。
これにはソロも驚いたのか、複雑そうな顔をする。

44 :ロザリー ◆gYINaOL2aE :2005/05/23(月) 02:19:18 ID:7ddnycLn
「…本気か、アリーナ…いや、君はいつも本気なんだろう。だが、君以外にとってはそう易い話ではないだろう?
あの呪われた武具は、俺が自分の意志で装備したものだし、俺の行動の全てがアレのせいだった訳じゃない。
それに…俺はまだ、人を…」

そりゃそうだろう。
今の今まで戦っていた相手といきなり道中仲良くなりましょうなんてのはどだい無理な話の筈だ。
いや、俺はそう思うんだが。

「別に良いわよ。佳い男と一緒ってのは嬉しいし。それに、ねえ?
この超絶的に美麗なマーニャ様を掴まえて、醜いだなんだと言いっぱなしなんて許せないし。
人間が醜いかどうかは知らないけど、マーニャ様は美しいですって泣いて謝らせないと気が済まないわ」

「私も、強硬に反対する理由はありません。
先ほどの事は、ソロさんは自分の責だと仰いますが、やはりあの面のせいも多大にあるでしょうし」

マーニャとトルネコがまず賛意を示した。
トルネコは道具を見極める力に長けている故の意見だろう。…マーニャのは賛意なのかな?

「姫様がそう仰られるのなら――」

「これ、クリフト。何でもかんでも姫様の好きにさせては姫様の為にならぬ。
…とはいえ、魔物の城に行くとなると強い味方は多い方が良いじゃろうが」

クリフトとブライも、積極的に反対をする気は無いらしい。

「私は…ええ、そうですね…。
ソフィアさんと…ライアンさん次第ですね」

ミネアが控え目に発言する。
そうだ、ライアンは――。

45 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 02:20:36 ID:SrK4xTwB
ソフィアって誰だっけ(´・ω・`)

46 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 02:20:45 ID:Znw+BAYI
支援

47 :ロザリー ◆gYINaOL2aE :2005/05/23(月) 02:21:57 ID:7ddnycLn
「――私にも、反対する理由はありませんな」

何時から気がついていたのだろう。
身体中に包帯を巻いた戦士が、ゆっくりと身を起こす。それを、クリフトがさりげなくサポートした。
ともすればぐらつきそうになる身体でありながら、しっかりと背筋を伸ばして良い姿勢を保つ。
この男は意識がある以上、仲間に弱々しい所を見せる事などないのでは無いか。

「ソロ殿の実力は周知の通り。是非とも、ご同行してもらいたい」

「――止してくれ。あんた、何を……俺は、あんたを――」

「そのような事は些細な事です。
戦士とは、戦う為の存在。その先に何が待っていようと、受け入れる覚悟をとうに決めている。
それに――貴公の剣術は確かに中々のモノだが、それでも私から見ればまだ、甘い。
道を共にすれば、きっと貴公にも得るモノがあると思いますぞ?」

戦士はニヤリと笑ってそう言った。
その表情を見て、ソロは絶句する。正直な所俺も似たようなものだった。
なんというか。こういうのを、大人、と言うのだろうか?
いや大人の中でも珍しいのでは無いのだろうか。
これこそ、戦士が戦士たる所以なのかもしれない。

「わ、ゎ、わた、わた、しは……」

舌が巧く回らないのか、ソフィアどもりがちだった。
それでも、何とか懸命に意図を自分で伝えようとする――の、だが。
ガタン!
椅子が引っくり返る音をさせ、少女は急に駆け出して行ってしまう。
呆気に取られる俺を尻目に、
そのまま真っ直ぐに部屋を飛び出して行ってしまった。

48 :ロザリー ◆gYINaOL2aE :2005/05/23(月) 02:27:50 ID:7ddnycLn
「――あちゃー。ほら、あんたちょっと行ってきなさい」

マーニャが俺の尻を蹴っ飛ばした。
そんな事言われても。行ってどうしろってのよ。

「まだあんたは賛成とも反対とも言って無いし。都合が良いでしょう。
ほら、速く行く!こういう所でいい加減、一々私の手を煩わせるな!!」

ああ、もう!
俺は訳が解らないまま少女の向かった先へと走り出した。



「で、一応確認しておくけどあんた自体はどうしたいのよ?」

二人が離れたのを確認してから、
マーニャが改めて値踏みをするかのような視線をソロに向けた。

「……人間に対する感情がすぐ払拭される訳がないし、事実醜い者達は多く存在する。
ロザリーの護衛をしている間に、どれだけ愚昧で矮小な輩と遭遇したか――。
……だが、そんな事など問題にならない位に、ソフィアに酷い事を言ってしまったのを後悔している。どうするのが、一番良いのか……」

「ふーん。ま、それなら大丈夫でしょ」

「…?何が、大丈夫なんだ?」

「ん、どうせソフィアも同じ事考えてるだろうなぁって。なら、一緒に居てあげなさい。
私達があんたの同行に反対しないのも、多くはあの子の為よ。
悲しい事や辛い事を抱え込むのは大変だもの。私は、ミネアが居てくれて本当に良かったと思ってるから」

49 :ロザリー ◆gYINaOL2aE :2005/05/23(月) 02:30:09 ID:7ddnycLn
「…俺は君たちにも酷い事を言ったな。…すまなかった」

「いいのよ。それに、あんたの言った事は私達も自覚してるしね。
だからこそ、ソフィアには同じ道に来て欲しくないんだけど…。私が言っても説得力無いしねえ」

けらけらと笑って踊り子の娘はそう言った。

ソロは、純粋だった。
純粋故に、不純を認められない。
だというのに、彼は己の中に住む憎悪という名の生物の存在を自覚してしまっていた。
最も滅ぶべきは己なのでは無いのか、と。
純粋故に、不純と思われるものを絶たねばならない。
過剰なまでの自己否定。周りをよく見る事ができず、内へと進み心が閉鎖的になる。そこにもまた、呪怨武具の影響があった。
それでも、彼は生涯そのような事を言わず、己の不徳とするのだろうが。

既に、その呪怨武具は無い。
此処に来て、ソロの運命は再び岐路へと辿り着く。
だが、彼が道を選ぶにはもう一つ気になる事があった。

ソロは、ロザリーへと視線を転じた。
紅い髪の娘。
ソロにとってロザリーは特別な娘だった。
そう、娘は彼の――幼馴染にあたる女性の面影を持っていたから。

50 :ロザリー ◆gYINaOL2aE :2005/05/23(月) 02:31:15 ID:7ddnycLn
「ロザリー。俺は――」

「お行きくださいませ、ソロ様。私なら大丈夫です。我侭を言わず、この塔から出なければ良い事ですし。
――ありがとう、ございました。貴方様のお陰で、私は本当に毎日が楽しかったです。
沢山お外にも出られましたし、風邪を引いた時には看病もしてくださいました。感謝してもし切れません。
……ご安心ください。人には、様々な人がおりますが、貴方様の心も、とても澄んでおられます。そして、貴方の妹様も」

「……すまない、ロザリー。俺の方こそ……君の、お陰で……ありがとう……」



部屋の奥、その先に少女は居た。
小さなバルコニーだ。――此処は、イムルの宿で見た、ロザリーが顔を覗かせていた場所だろうか。

話しかける際に当たり障りの無い掴みを考えるが何も思いつかない。
微妙な沈黙が流れる中、ソフィアの現状について思いを馳せる。
少女は此処に来て、声も、そして天涯孤独であった身の上に兄を、その気になれば取り戻す事ができる。
かなり際どい所であったのは確かだが、アリーナのファインプレイだろう。

ソロには、ソフィアの身体が炎に包まれて見えてしまっており、ソフィアは喋れなかった為声で気付く事も無かった。
ソフィアは、ソロの身体は鎧で覆われ解らず、面でソロの声が曇っていたのとソフィアの精神状態のせいもあり、音で気付く事ができなかった。
まるで、運命のような、最初から定められていたかのような悲劇への軌跡。
それもアリーナのお陰で見事に曲げられた。

今、ソフィアは新たに選択をする事ができる。
だが――。

「……兄さんは、私を醜いって言った」

「――……それは――ほら、あの、邪神の面とかってヤツのせいで――」

51 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 02:33:47 ID:Znw+BAYI
支援

52 :ロザリー ◆gYINaOL2aE :2005/05/23(月) 02:35:12 ID:7ddnycLn
「私は兄さんの声を聴いても、気付かなかった……。
それどころか、兄さんを殺してしまう所だった……。
その上、貴方を傷つけてまでした結果がこれだなんて……」

先ほどの戦いは、少女に精神的なダメージを与えていた。
悪い事をしたと、そう思っている。良心の呵責が、少女に『自分に都合の良い選択』をさせじと抵抗しているのだろう。
マーニャが俺を向かわせた理由を察する。そして、それとは別にもう一つ。

復讐。
その為に戦ってきたと言うのに、そのせいでソフィアは更に多くを失う所であった。
故に、迷いが見て取れる。そしてそれは俺にとって――好機なのだ。

「――だけど、ソフィアの兄貴は死んでいない。俺だって生きてるし、それに――ソフィアは、声も取り戻したじゃないか。
この結果は俺たちにとって万々歳だよ。偶然の産物かもしれないけど、結果自体は決して悪いものじゃない。
……復讐については……これから、考えて行けば良いんじゃないかな」

俺は復讐が絶対的に悪い事だとは言えないと思っている。
そもそも、殺したい程憎い相手が存在した事が無いのだから、実際にはまるで解らないのが当たり前の話で、
幸せな世界で暮らしていた人間が、復讐を決意した者を否定し翻意を促すのはおこがましいと思うのだ。
復讐の先に幸福などありはしないとは言うけれど、それは……本人が気付かないと意味が無いんじゃないか?
だからこそ、少女が迷い始めたのは、チャンスなのだとそう思う。
復讐で、ソフィアの心が安らぐのなら、それはそれで良い。
だが、もし復讐でなくともそれが達せられるなら――それもまた、どちらが良いかは解らないが、悪い事では無いと思う。

「ソフィアがソロの同行に反対するなら、俺も反対するよ。多分、皆も納得してくれる。
俺や、俺たちはやっぱり、ソフィアを中心に集っているんだから。
……だけど……ソフィアがちょっと勇気を出す事で、兄貴とまた一緒に居られるんじゃないか?」

53 :ロザリー ◆gYINaOL2aE :2005/05/23(月) 02:39:36 ID:7ddnycLn
「……だけど……私……」

「大丈夫。きっと、大丈夫だから……」

ぽろぽろと泪を溢す少女の頭を撫でる。
癖の強い髪を、さらにくしゃくしゃにしてしまおうと思った。
ソフィアはされるがままになりながら、暫くじっと考え込んだ後、おもむろに顔を上げてくる。
うお、お、怒られるかな?髪の飛び跳ね率は当社比1.5倍位になってるけど…。

「……ねぇ」

「ん?」

「……私の声、おかしくないかな?」

「ああ、勿論。おかしい事なんか一つも無いし、ソフィアの声を聴けて俺は当然、皆もきっと嬉しいよ」

俺の即答に、恥ずかしそうな嬉しそうな、色々と入り混じったような顔をする。
そうして。
決断をした少女がゆっくりと、皆の待つ部屋へと歩き出した。
夜の世界から吹き込む心地よい冷気含んだ風が、そっと、その小さな背中を押していた。



HP:88/88
MP:22/42

Eドラゴンキラー Eみかわしの服 Eパンツ

戦闘:物理障壁,攻勢力向上,治癒,上位治癒
通常:治癒,上位治癒

54 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 02:45:00 ID:R6HXwWY8
乙!ソフィアカワイイ!

55 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 08:07:17 ID:w+0Fh2Pq


(・∀・)イイオイイオー

56 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 08:13:52 ID:m5/Md6U7
GJ!
マジで尊敬する

57 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 10:46:45 ID:UhCTyXJj
期待age

58 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 11:36:43 ID:Deif1Rlo
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら・・・
間違いかもしれないので、取りあえず二度寝。これテッパン。

59 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 13:11:52 ID:XSlQo/if
勇者に話しかけられたら自分で
「へんじがない。ただのしかばねのようだ。」
って言う

60 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 18:14:58 ID:HCpKjraU
心の底から乙!
ライアン格好いいよマジで!ホイミンとの別れとか、どんな感じだったんだろ?
ってか、額の肉とか懐かしい話が引っ張り出されて吹いた。まさかあんなどうでもいい話が伏線とは。
ああ、次はデスパレスかぁ………。先が楽しみだ。

袋の奥に押し込んだ、毒沼に遺されたアレはなんかなったりしないのかな………。

61 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 19:10:52 ID:fhlha+qv
ソロ無事だったのか…よかったよかった……(つД`)

>しかし――この男は、俺の敵じゃないのか?いや、敵だと思いたい。
>なんだこのイケメンは?

不意打ちでギャグをいれるのは反則だ!!!

62 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 20:34:04 ID:bGzvDZq1
ドラクエ4やったこと無いから微妙に話しが読めない。
やっぱりやったほうがいいんだろうか?

63 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 22:23:55 ID:FlIPaUme
>>62
俺は今Wプレイ中だよ
このスレ読んでからだと5章になってからハンパなく楽しいょ


もうクリアしちゃったけどw

64 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 23:43:54 ID:CgYY7kNW
マジいいわぁ…(^^)/▽☆▽\(^^)是非最後マデ頑張ってくだされ。エッグラ・チキーラなんかはでてくんかなぁ…

65 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 23:45:44 ID:zw6y9Phf
ソフィアでやったことなかったけどやらなきゃいけない気になった。
ほんと神。感動と笑いの同居っぷりがすごい。

66 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/24(火) 00:13:11 ID:R7QS2boC
この人が居なくなったらこのスレは一気に過疎化の予感・・・

67 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/24(火) 00:26:45 ID:vFvSTElq
昔みたいな激しいギャグが恋しくなってきた。まぁこれはこれで面白いけど

68 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/24(火) 10:55:08 ID:yp1TyJ3B
ちょっと長いのが来たからって乙で埋まるのは勘弁な

69 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/24(火) 15:42:57 ID:NR0VyDWJ
これが楽しみで毎日チェックしてます!おもしろすぎ!
最高!神!これからもがんばってください。
さぁDQWでもやるかなっ…と。

70 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/24(火) 17:45:26 ID:R7QS2boC
最後まで書いてそこで乙

71 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/24(火) 18:08:11 ID:vWJL6hVp
まとめサイト管理人さんいつもありがとう。
ところで、今更ですが今年は2005年ですよ。

72 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/25(水) 00:05:54 ID:Q4n1OMcg


73 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/25(水) 01:15:27 ID:OckcumWz

     ∧_∧
    ( ´∀`)  <gYINaOL2aEタソ乙カレ〜 
    ( つ つ旦
    人  Y 
    し(_)


すごいね。自分には文才なんてないからかける人が羨ましいよ。
しかし、トルネコとライアンてずっと4コマのイメージだったけど、この物語だとなんだかかっこいいね。




74 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/25(水) 08:24:34 ID:vrLsBJwP
乙で埋まるのは勘弁してください

75 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/25(水) 22:14:57 ID:94sN8g+l
>>74
短めのに挑戦はしてるけど、前スレで「下手なのは勘弁」みたいな
レスが多かったので迷ってる

76 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/25(水) 22:32:43 ID:ljw3R+RS
>>75
下手でも良いじゃないか
職人がいなくて寂しいスレだってあるんだぞ
ただあまりにも消防が書いたって感じのは勘弁な

77 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/25(水) 22:50:30 ID:oczC/64x
>>75
下手なのは勘弁なんてあったかな。
下手でもいいじゃん。ガンガンいこうぜ?

78 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/25(水) 23:36:02 ID:oEH+lc7K
書いてみて下手だったら止めればいいんだから、まずは書いてみろ

79 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/26(木) 02:38:08 ID:MiQSEJ6s
>>75щ(゚Д゚щ)カモーン!!
そうそう、いろいろやろうぜ!

80 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/26(木) 22:56:06 ID:mdYwbuwe
バカがそんな事言うかもしれないけど気にしちゃダメだ。
いのちだいじに!

81 :DQ2 ◆aZ1oqwTk3I :2005/05/26(木) 23:11:36 ID:oaja516i
 ザザーン… ザザーン…

 聞きなれない音に、俺はうっすらと目を開ける。
そこには見慣れたパソコンも本も無く、ただ木の壁があるだけだ。
(……なんだ、夢から覚めた夢か。そういやそんなタイトルのミュージカルのCMやってたよな。
 つか夢の中でも二度寝ってできんのかな)
そう思いながら目を閉じるが、冒頭の音が止む気配はない。
ベッドの中でゆっくり10数えて体を起こすと、

「あら、やっと起きたんですか?」

知らない女が声をかけてきた。
……ヒキオタニートな俺には、毎朝起こしてくれる幼馴染も一緒に夜明けのコーヒーを飲む相手もいるわけない。
当然外出することもないから見知らぬ場所で一夜を過ごすこともない。
「えっと…すんません。ここ、どこっすか?」
「ここは宿屋よ」
「(゚Д゚)ハァ?」
俺のマヌケ顔が面白かったのか、クスクス笑いながら追加情報を教えてくれた。
「ここは漁師町ザハンにある宿屋よ。私はこの宿の女将をしてるの」

82 :DQ2 ◆aZ1oqwTk3I :2005/05/26(木) 23:13:42 ID:oaja516i
なるほど、これが最近流行りの『めざ宿現象』(正式名称『目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だった現象』)ってやつか。
しかしDQ2ならSFC版をクリア済みだ。モンスターやダンジョンについての知識はある程度持ってる。
確かザハンの周りはガーゴイルやバピラスがよく出て来て、大海原の中の小島を見つけるのに苦労したよなぁ。
……つまり、ここから別の城や町に行くのも苦労するってことだ。_| ̄|○
ルーラなんて便利な呪文を使えるわけないし、ルーラを覚えるためにレベルを上げようにも
Lv1(ヒキなのでLv1以下かも)じゃ瞬殺されて終わりだ。
……いや、待てよ。たしかここの道具屋にキメラの翼がなかったか?
俺は女将に礼も言わずに慌てて宿を飛び出した。

「ここは道具屋です。何の御用ですか?」
「( ゚∀゚)o彡゚ キメラの翼!キメラの翼!」
「25ゴールドになります」

金なんて持ってねーよ。_| ̄|○
それ以前に、セーブなんてしてないから移動しようが無い。_| ̄|○

道具屋を出たら、近くにいた犬に腕を引っ張られた。
犬よ、俺が金の鍵をげとしても意味がないんだぞ。


ザハン脱出計画その1:ルーラ(Lvあげ無理)
ザハン脱出計画その2:キメラの翼(他の町でセーブしてないので移動無理)

83 :DQ2 ◆aZ1oqwTk3I :2005/05/26(木) 23:16:55 ID:oaja516i
 とぼとぼと宿屋に帰った俺は、いきなり飛び出した無礼を詫び、怪我の治療などのお礼を言いってから
この世界の人から見て俺はどんな状況でこの町にやって来たのかを女将に尋ねることにした。
(女将といってもTVで見るようなおばちゃんではなく、20代後半〜30代前半というところだろう。
お姉さん属性な俺にはストライクゾーンだ)
「あなたがここに来たきっかけ?」
「はぁ。その、起きる前までの記憶がなくて……。記憶だけじゃなくて宿代もないっす」
……ということにしておいた方が、説明めんどいし楽だろう。
「そうよねぇ。あんな酷い目に遭ったら仕方ないわよね。
 ああ、宿代は心配しないで。客もめったに来ないし、力仕事を手伝ってくれればそれでいいわ」
「どうもすんまそん。ところで、その酷い目って?」
「……隠してもすぐ分かることだからハッキリ言うわ。あなたの乗っていた船が近くの海域で難破したらしいの。
 船の残骸と一緒にこの島に流れ着いたようよ」
……当たり前だが、昨夜は船に一泊なんてことをするわけがない。
船なんて遊覧船にせいぜい20分ぐらいしか乗ったことがないし、それもリア消の頃の話だ。
「そ、そうなんすか。じゃぁ、その時に頭を打って記憶が吹っ飛んだんすかね」
「目立った怪我がなかったから安心してたけど、そうかもしれないわ。
 もう一度、神殿のシスターに診ていただいた方がいいかしら」

84 :DQ2 ◆aZ1oqwTk3I :2005/05/26(木) 23:17:36 ID:oaja516i
「いやいやいや、痛みはもうないから安心しる!
 ほら、体だってこのとおり元気だし!」
いくら俺みたいな駄目人間に良くしてくれる人を少しでも励ましたいからって、

      人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人
    Σ                           て
    Σ  びっくりするほどユートピア!        て人__人_
    Σ         びっくりするほどユートピア!      て
     ⌒Y⌒Y⌒Y)                          て
             Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
 _______
 |__       ヽ(゜∀゜)ノ
 |\_〃´ ̄ ̄ ヽ..ヘ(   )ミ
 | |\,.-〜´ ̄ ̄    > (∀゜ )ノ
 \|∫\   _,. - 、_,. - 、 \ (  ヘ)
   \   \______ _\<
    \  || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
      \||_______ |

をやって見せることはなかったよな。_| ̄|○
正式作法(全裸)でなかっただけマシだったと自分で自分を納得させることにする。_| ̄|○

85 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/28(土) 01:16:52 ID:tjsX21I7
DQ4の方まぢ続き希望(^3^)/

86 :王家の墓 ◆gYINaOL2aE :2005/05/28(土) 04:56:41 ID:u6FnhRKe
ピサロの居城、デスパレスへは足で行く事になった。
マーニャが泣いたり笑ったり怒ったりちらりと脱いだりして(!)何とかソロに瞬間転移(ルーラ)を使わせようとしたのだが、
彼は頑として首を縦に振らなかったのだ。

「…ミニモン。ロザリーの事、頼むぞ」

「あいよ!俺っちにお任せください!」

「…いざとなったら、無理をしないで逃げるんだ。勝利は、敵を倒す事じゃなくロザリーを守る事で達せられる」

ミニデーモンに任せるのは如何なものかとも思うのだが、
ハッタリかますには丁度良い人材なのかもしれない。
ソフィアはロザリーと名残惜しそうにしている。
彼女達は、短い間にかなり仲良くなったようだった。
なんでも、ソフィアの幼馴染に似ているとかなんとか…。
俺があの村に居たのは極々短い時間だったので、ロザリーに似た娘が居たかどうかは……。
……赤っぽい髪の色の娘は居たような気もするな。

ロザリーヒルでの収穫は多かった。
しかし、その収穫をより実りあるものとするには少し時間がかかりそうでもあった。
恐らくは、その辺りの事も考えソロは瞬間転移を使わないのだろう。
マーニャもそれが解っているから諦めたと見える。
と、いうかそうでもないと、理由も無くわざわざ歩くなど何が何でも認めまい。
あの女はそういう女だ。

87 :王家の墓 ◆gYINaOL2aE :2005/05/28(土) 04:57:58 ID:u6FnhRKe
「デスパレスに行く前に…変化の杖があると良いんだが…。
なんと言っても、魔物の本拠だ。手は多い方が何かと良い」

「ほう。あの杖の事を知っておるとは、ソロ殿は博学じゃな」

「ブライさん、何処にあるかご存知で?」

「うむ…あれはエンドールの南にある、王家の墓にある。
サントハイムの王族とも縁の深い場所ゆえ、ワシが先導しよう」

出立前の会議の席で、そう言う話になっていた。
俺たちは海路を西に、王家の墓と呼ばれる建造物を目指す。



「此処は…そういえば小さい頃、お母様のお葬式で来た事があったわ。
もう!ちゃんと草むしりくらいしておけばいいのに」

アリーナが憤慨するのも無理は無い。
歴代の王族が眠る遺跡は荒れ放題であり、中には魔物の気配すらする。

「うぅむ…これは少し考えねばなりませぬな。
墓荒らしにやられていなければ良いが…」

ブライの懸念も最もだが、俺たちも墓泥棒と大して変わらないんじゃないだろうか…。
アリーナや宮廷魔術師であるブライがいるから大丈夫なんだろうけど…。

88 :王家の墓 ◆gYINaOL2aE :2005/05/28(土) 04:59:05 ID:u6FnhRKe
さて。
洞窟の探査をする訳だが内容としては特筆すべき事は無い。
滑る床のトラップがある位で目新しい仕掛けも無いとはブライの弁で、
事前にある程度ネタが割れてる以上大したピンチに陥る事もなかろう。

俺は先頭を行くアリーナ、と並ぶように歩くソロの背中を見遣る。
恐らく、最後尾にいる俺のすぐ前を行くソフィアも、その背を見ているのだろう。

ソフィアは言うまでも無く、声を取り戻せたことを皆に祝福された。
少女は恥ずかしそうではあったが、少しずつ仲間との会話を楽しんでいる。
だが……やはり、まだわだかまりがあるのか、ソロとは殆ど喋っていない。

ソロの方はアリーナやライアンを始めとしてやはり皆と少しずつ距離を縮めていっている。
唯一、ミネア位だろうか、時折彼を避けるような挙動を見せる。

俺としては他人の人間関係にまで首を突っ込むのは趣味では無いのだが…。
マーニャがまた面倒な事を押し付けるのだ。
あの女は俺に対してはほんと、便利な道具か何かと思ってる節があるよなぁ…!
とはいえ…俺がちょろっとでも呪文を使えるのはマーニャのお陰ではあるし、
あのミニデーモンのように発動しないという悲しい展開を避ける事ができたのは、大きな借りだ。
何とかしないとこのまま使いっぱしりかもな…。

さりげなくミネアの隣に並ぶ。
占い師の娘は何やら恍惚とした表情でふらふらと歩いていた。
お、おい。ちょっとトリップしてるんでねーの?というか色っぽいなおい。
邪念が産まれるのを恐れた俺は早々に話しかけてしまう事にする。

「え?何か良い事でもあったのか、ですか?
ええ、私、こんな理想的な場所って初めてなんです。
地面の下、ひっそり静かで周りにはお墓がいっぱいだなんて!そう思いますよね!?」

89 :王家の墓 ◆gYINaOL2aE :2005/05/28(土) 05:18:57 ID:u6FnhRKe
……にっこり同意を求められても困るのだが。実は俺がずれてるだけでこれがグローバルスタンダード――なわきゃあ、無い。
姉のマーニャはこの年でお墓になんか絶対に入りたくないと言っていたのに…この二人は似てないよなあ…。

「ですが、お墓の物を持っていくなんてやはり気が咎めますよね…」

そ、そうだよね!いやあ、やっぱりミネアさんはこうじゃないと!
少ない常識人なんだから!!

「バチを当てるならどうか姉さんだけに……」

……。
もうやだ。

しかしこんな所で挫けてもいられない。
きっと、このお墓という特殊なフィールドがミネアをおかしくしているんだ。
地上に戻ればすぐ優しいミネアに戻ってくれるよ…な…。うん…。

「な、なあ。それは、そうとして…。…最近、元気ないようだけど…ソロについて、何か思うところとか、あるの?」

「――意外と鋭いんですね。……」

ミネアは暫し逡巡した後、一見まるで関係無さそうな事を問うてきた。

「……魂の相似、というのを聞いた事がありますか?」

「ん?いやあ…わかんないな」

「あ――それもそうですね。ごめんなさい。
…私達の間では、双子は忌み子とされています。私は、余りこういう言い方は好きではないのですが…ですが、時として本当に災厄をもたらす事もあるそうです。
全ての双子に必ず共通する訳でも無いのですが、双子、中でも魂の相似性を持つ双子が接触すると、恐るべき事が起こるというのが、伝承としてあるのです」

「それは、恐らく座標融解現象じゃな」

90 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/28(土) 05:19:58 ID:WdwR46Eo
邪魔しない程度に初¥4!!

久々にじーんときてて、
女性キャラに萌えてしょうがないんで
今からFC版のIV買ってきまつ!(`・ω・´)

91 :王家の墓 ◆gYINaOL2aE :2005/05/28(土) 05:23:01 ID:u6FnhRKe
突然のブライの割り込みに俺とミネアは肝を冷やす。
少し声が大きいか。どうも内容的にソロやソフィアには聞かれない方が良い気がする。
とりあえず、二人がこちらに注意を払っていないのを確認し、話を続ける。

「けど、あの現象は全く同じじゃないとダメな筈じゃ…ソロとソフィアは見た目も性別も違うよ」

「ええ、その通りです。
ですが――二人と持っていてはならない属性、在り得てはならない存在であるならば、時に話は別になります」

「……?解らない。要領を得ないな」

「つまり、そう。――ソロさんも、また、勇者であると私には視えたのです」

……ソロも、勇者?
じゃあ、勇者が二人いるのか?

「それが、本来ならば『在り得ない』と、言うておるのじゃよ。
…とはいえ、それは本来なら、等という当てにならない予測であり推測でしかない」

「…私は、この件に関しては目の前に存在しているからと言って、素直にそうですかと頷き難いんです。
これは私の内面の問題ですから…。
ただ、恐らく、ですが――ソロさんとソフィアさんの接触においても、座標融解現象は発生するのでは無いでしょうか?
言い伝えられてきた伝承とも符合しますし…可能性は高いと思います」

む、む。
むー…だから、ソロとソフィアは何処か余所余所しいんだろうか?
だとすると、なあ…。なんだかちょっと、可哀想だよな…。
俺はかりかりと頬を掻いて、歩を進める碧の男女をぼんやりと視界に収めていた。

92 :王家の墓 ◆gYINaOL2aE :2005/05/28(土) 05:25:29 ID:u6FnhRKe
無難に変化の杖を手に入れた俺達は、今度は南の大陸を目指す。
順調すぎる航海である。
のだが、まだ天空の剣が手に入ってないのにデスピサロの所に行って良いんだろうか?
というか、行って斃してそれで終わりじゃないだろうな?
皆の冒険はそれで終っても良いかもしれんが俺はそれじゃ困る。


――オレはようやくのぼりはじめたばかりだからな。
このはてしなく遠い天空城への道をよ…。

                                       未完…!


なんて終り方は嫌ですよ?
そうならないように頑張るけどさ!

大陸に着くまでは時間があったので、手に入れたばかりの変化の杖に糸をつけ、釣りをしていたり。
別に訓練をさぼっている訳では無い。これはこれで食料の調達なのだ。
とはいえ、釣り自体には余り身が入っていないのも確かなのだが。
どちらかというと太公望気取りで釣りをしながら考えを纏めていると言った所だろう。

チームワークは大事だ。
足並みの揃った集団と、揃わない集団とでは運用性が桁違いである。
ぱっと見る限りでは問題はソロを中心に起こっているように見えるのだが、
実の所そうとばかりも言い切れない。
彼は思った以上にその辺りを理解しているらしく、ソフィア以外とのコミュニケーションは意外と進んでいる。
むしろ話しかけすぎて時折「……」が飛び出る位だ。ん?今のは何の話だろう?
その辺りを鑑みて観察して見ると、問題の中心はどちらかというとソフィアにあるような気もするのだ。
どちらからアプローチしたものかな…というのが今の俺の悩みなのだ。

ところで流れとあんまり関係ないんだけど、

93 :王家の墓 ◆gYINaOL2aE :2005/05/28(土) 05:34:58 ID:u6FnhRKe
    俺 ↓     
.            /| ←変化の杖
     ○  /  |
.    (Vヽ/    |
    <>     |
゙'゙":"''"''':'';;':,':;.:.,.,__|_________
             |
  餌(疑似餌)→.§ >゚++< 〜←魚

の組み合わせだとまあ良いんだけど、
この辺りの海は魔物が生息しているんで、何も魚が引っかかるとは限らないんだよね。
これは、どっちかというと、



          ,〜〜〜〜〜〜 、
|\     ( 釣れたよ〜・・・)
|  \    `〜〜〜v〜〜〜´
し   \
゙'゙":"''"''':'';;':,':;.:.,.,  ヽ○ノ
          ~~~~~|~~~~~~~ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                 ト>゚++<←突撃魚
              ノ)

こうなるかと思うんだけど、どうよ?

TU-KA、
今なってますからあああああああああああああああああああああああ!!!!
ちょおおおおお、まああああ、それはああああ本場ドイツで作られたソーセージじゃなくううう!!!
喰らいつかれて、ぱっくんちょ。ってちっとも気持ちよくないのね♪
ギギギ、歯を立てるな歯をーーーーー!!ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっく!!!!!!

94 :王家の墓 ◆gYINaOL2aE :2005/05/28(土) 05:40:44 ID:u6FnhRKe


ぶはあ、げふう、ああ、危うく子供が産めなくなる所だった…。

「…気をつけてくださいね?」

結局、通りがかったミネアとクリフトにロープを投げて貰い俺の息子は九死に一生を得た。
それにしても、酷い目にあった…俺は手早く上着を脱ぎ、水分を絞り落とす。
…ん?ミネアがなにやらそっぽを向いてるな。
珍しい…いや、久しぶり、か。そういえば、旅の始めはこういったリアクションも良く見たような…。

「着替えはどうされますか?ソロさん」

「んー、いや、いいや。これ、また着るよ」

助けて貰った礼を言い、そそくさとその場を離れる。
船室に入り、廊下を曲がった所でほぅと一息いれた。

ほああ!?
なんだ、俺がおまえでおまえが俺で。俺はソロでソロは誰?
い、いかん。自分が池面になった姿なんて――そんなの俺じゃないよ!
そうか、釣竿、もとい変化の杖を振ってる間に…。

う……?
それにしても、なんだろう……この一体感……。
お、お、お――なんか、気分が……悪い、な……。
そういえば……そうか……なんだっけ……あの、夢……と、状況が……似てる……。

違う……これは、違う……。
俺は、俺だから……だから……あの時とは違うんだから……。
勘違い……だ……してるだけ……。

95 :王家の墓 ◆gYINaOL2aE :2005/05/28(土) 05:42:16 ID:u6FnhRKe
「――兄さん!?」

遠くから何かが駆けてくる音が聴こえる……。
ぱたぱた……ぱたぱた……。
……少し離れたところから覗き込まれる気配。

「ソフィア……」

「…どうしたの、兄さん?具合が悪いの?」

「いや、大丈夫だよ……。……なあ、ソフィア……どうして……君は……――を、避けるんだ?」

「え…?そ、それは…」

一歩、後ろに下がり俯く少女。
それでも、この機会を逃してしまえば二度と前には進めない。

「…兄さんも、覚えているでしょう?
小さい頃、山菜を取りに山に入って…小さな川に、兄さんが足を滑らせて落ちちゃった時の事…」

双子は、親や師、村人たちから決してしてはならない事を教えられてきた。
子供心に納得がいかず、また、タブーにされればされるほど、それを犯したくなりながらも、
その瞬間まで兄妹は言いつけを護ってきた。

だが、兄が今にも川に攫われそうになった時にまで、優しい少女はお行儀良くしていられなかった。
石になんとか掴まっている兄の手を取り、引き上げようとする。

96 :王家の墓 ◆gYINaOL2aE :2005/05/28(土) 05:49:50 ID:u6FnhRKe
「あの時起こった、あの光…あの時と、同じ光…。
兄さんの手が弾け飛ぶのが見えた。そして、私の腕も…。
川に流されていく兄さんをただ見ている事しかできなくて、痛みを感じる暇も泣き叫ぶ余裕も無かった…。
幸い兄さんも私も、皆の捜索と救護で助かったけれど――。
――兄さんは私が声を失った責任を感じて自分を責めていたでしょう?…それが、私は悲しかった。
私の声が出ない事なんて、それに比べればどうでも良かったのに…なのに、私は弱くて…あの時の光景を思い出すだけで喉が…。
兄さんが…兄さんが、私の目の前で、私のせいで傷ついて、死んじゃうのが…怖くて…」

「…バカだな…いや…ひょっとしたら、それは尊い事なのかもしれない…。
その、すれ違い自体は…だけど…すれ違ったままじゃ、それは悲しすぎるから…」

頭を抑えながら、いつのまにか崩してしまっていた膝を伸ばす。
そして、廊下をずるずると歩き出した。
ソフィアは、俺の突然の行動に戸惑いながらも、心配そうについてくる。

「ソフィア…此処で、ちょっと、眼を瞑っていてくれ…」

少女がいよいよ要領を得ないと言った表情を浮かべるが、
それでも素直に瞼を降ろす。
俺はそれを確認してから、廊下の角を曲がった。

そこには、ソロが立っていた。

「…これ、手袋な。ブライさんとも相談してたんだ。これ一枚あるだけで、二人が混ざる事は無い。簡単な事さ」

「……。どんなに簡単な事でも、それに気付けない時は気付けないんだな…大丈夫か?」

「ああ、俺は大丈夫。…じゃ、後は頼むな」

本物のソロが俺の視界から消え、曲がり角の奥でソフィアの前に立つ。
少女が瞳を開くのと同時に、ソロはソフィアの手を取るだろう。しっかりと、手袋を嵌めて。
これで、良い。これが、っと一歩目で、二人の道筋はこれから始まる。

97 :王家の墓 ◆gYINaOL2aE :2005/05/28(土) 05:52:40 ID:u6FnhRKe
俺は彼らの邪魔にならないように、最も近くにあった船室の扉を開き、中へと滑り込む。
ようやく解った。ソフィアが、ずっと『何を視ていた』のか。
大灯台で、サントハイムで、『俺の危機』に『何を視ていた』のか。

解っていた事だ。
そもそも、俺みたいなのが女の子に好意をもたれる訳が無い。
いや、もたれちゃおかしいんだ。俺は特にそういう努力をしていないのだから。
もてようと思って、並々ならぬ努力をしながら中々実りを得られない男がごまんと居るというのに、
受け身で、
都合良く、
無償で、
可愛い女の子が自分を好いてくれるなど、在り得ない。

ソフィアは、俺の後ろにソロを透かし視ていたのだ。
丁度その時、傍に居た人が皆いなくなってしまったから――。
偶然、俺の見た目がソフィアよりも幾ばくか上だったから――。
たまたま、俺が男だったから――。

98 :王家の墓 ◆gYINaOL2aE :2005/05/28(土) 05:55:08 ID:u6FnhRKe

――――…………。
……まあ、だけど。
それで良いんじゃないだろうか。
最初からある訳が無いと考えていたのだからさほどショックでは無いし、
それに――ソフィアが幸せなら、それは良い事なのだ。悪い事である筈が無い。

やがて変化の杖の効果が無くなり、
俺の姿はソフィアが捜し求めていた男の姿では無くなった。
だがそれは、悲しむべき事では、無いのだ。

髪に絡んでいた海水が、ぽたぽたと数滴落ち、床に染みていった。



HP:98/98
MP:48/48

Eドラゴンキラー Eみかわしの服 Eパンツ

戦闘:物理障壁,攻勢力向上,治癒,上位治癒
通常:治癒,上位治癒

99 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/28(土) 08:15:03 ID:tiZ0DQBG
(・∀・)いいおいいいおー

100 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/28(土) 12:09:23 ID:S970K3ET
スカラ・バイキルト・ベホイミですか

俺も書こうかな・・・どうしましょ

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