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もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ :05/03/15 05:33:29 ID:NA3D0HzS
どーするよ?

396 :DQ2 :2005/05/02(月) 19:07:46 ID:ta90aZiM
ごめん、書いてみたらすげえ長くなった。
今は反省している。

397 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/02(月) 19:29:59 ID:X4OGQOgt
っていうか誰かマジで5書いて

398 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/02(月) 19:35:58 ID:RWQzGDdI
>>391-396
長いけど、テンポいいから読みやすかった。
楽しませてもらったYO!

399 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/02(月) 22:08:57 ID:sD72va75
>>397
下手の横好きで書きたいんだけどな・・・

400 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/02(月) 22:30:37 ID:0V7CNFZs
アンケートとって不評なのはチラシの裏送りにするジャンプ型式



が旨くいくわけないか

401 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/02(月) 23:58:28 ID:H26FXO7e
DQ5の少し書いてみたけど、小説って難しいね
いまは書き手さんがいっぱいいるから、うpするか迷うんだけど、どうですかね?

402 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/03(火) 00:25:30 ID:/DJEYnHA
いっぱいいても関係ないよ
さぁ書け
書いてください

403 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/03(火) 02:51:00 ID:Fh2U5Pyd
zzz・・・うーん・・・ん・・・・・・?
俺は見知らぬ部屋で目を覚ました。
とりあえず俺の部屋ではない。
何故ここにいるのか分からない。

そもそもさっきまで何してたっけ・・・?
えと、確か・・・体育の授業でプールがあって、背泳のタイム測定してて結構良いタイムだったんだけど、
後ゴールまで5メートルってところで、頭の方からクラス一の美人、Kさんの話し声が聞こえて、
(・∀・)ニヤニヤして見上げたら、プールの壁が目の前にあって、ゴンってなって、意識飛んで・・・

思い出さない方が良かった・・・orz

・・・ということはここは保健室か。
保健室というだけでニヤニヤしてしまうお年頃の俺は、様々な脳内妄想を繰り広げていた。

コツコツコツ・・・
誰かが近づいて来る。多分保健の先生だろう。
美人で巨乳でボンキュボンで清楚な感じで白衣を着た21歳の女先生キボン。と良からぬ希望を胸に抱き、足音の主が近づいて来るのを寝たふりをして待つ。

*「気が付いたかい?」
優しそうな声。今の今まで寝ていたかのようにゆっくりと目を開ける。
俺「保健室のおねいさんが・・・・・老けた・・・orz」
余りのショックに声に出してしまった。
その"元"おねいさんは、それを聞いてムッとしていたが、少しの間の後、口を開いた。
*「気が付いたみたいだね。3日間も目を覚まさないから心配してたんだよ。
ダンナが浜辺に流れついてるあんたを見つけてね。ダンナは外にいるから行っておいで。」

その言葉に混乱する。
ここは保健室じゃないのか?なんでプールで溺れたのな浜辺に流れ着くんだ?
だが俺の脳内コンピュータにかかればすぐに答えに辿り着いた。
「プールの排水溝から流れてきたのか・・・」
自分の出した答えに納得した後、旦那さんに礼を言うため部屋を出る。

404 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/03(火) 02:53:51 ID:Fh2U5Pyd
「うはwwwwwwww部屋から出たらいきなり外かよwwwww家狭杉wwwwwww」

ふいんき(←なぜか変換できない)からして、ここは小さな港らしい。
とりあえず、近くにいる男の人に声を掛ける。
俺「助けてもらったみたいで・・・dクス。」
*「良かった。気が付いたんだね。
   後、ふいんきじゃなくてふんいきだよ。」
やっぱり港町は色々と釣れるんだな。と解釈し、この商人風のおじさんの話を聞く。

思った通り、ここはビスタとかいう港らしい。
もうすぐプロパンか何かそんな名前の人の船が到着するらしい。
そのプロパンさんには清楚で可愛い娘がいて、フローラというそうだ。

俺はフローラたんを一目見るために、ここに暫く滞在することにした。

405 :DQ6:? :2005/05/03(火) 13:03:01 ID:gmfss33h
目が覚めた。
ガバッと起き上がり、周りを見渡す。
先程まで見ていた「それ」が夢であることを確信すると、
乱れた呼吸を落ち着けるために大きく息を吸い込み、吐き出す。
「すー…はぁー…」

――夢。
夢を見みていた。とても恐ろしい悪夢。
具体的にどんな?と聞かれても、思い出せないが、とにかく恐ろしい夢。

着ていた服も汗びっしょりで気持ち悪い。
最悪の目覚めだった。

「もう一眠り…ん?」

良く部屋を見回す。ベットが2,3個ある。
俺の部屋じゃなかった。
「どこで間違えたかな…?」
ガチャリ、ドアを開ける。
周りを見ると出入り口と思われる所の近くカウンターがあり、その奥には知らない人が立っていた。
俺の家じゃなかった。
もう一度部屋に戻り、少し考える。ふと、窓の外に目をやると、見えたのは…城。
俺の知ってる国でもなかった。
「どこの国だよ…おいおい…」
俺はいつの間にか知らない国に来てしまっていたらしい。
「ま、こうしててもしょうがないか…」
まず、持っている物の確認。
少し乾いてきたがまだ汗で湿っている服のポケットを探る。出てきたのは100円玉一枚。
ジュースすら買えねぇ。
はぁ、とため息をつきながら、人差し指でメガネを上げ――ようとしたがそれは外れ、眉間を押す。
あぁ、さっきから何か違和感があると思ったら、メガネがない。遠くの字が見えないくらいで生活に支障が出るわけでもないが、落ち着かない。
とりあえず、元の家に帰るため色々と聞いて回ることにした。

406 :DQ6:レイドック :2005/05/03(火) 13:12:10 ID:gmfss33h

外に出ると改めて思う。そこは本当に俺の住んでいたところとは違う町だった。
周りの景色を珍しがりながら始めて来ました感丸出しで少し歩き回る、すると
「あら、旅の方?ここはレイドックの城下町よ」
と、来る人来る人にそればかりを繰り返す少女を見かけ――いや、見ないフリをした。
おかげでここの場所の名前と日本語で話しているというのはわかったけど、正直関わりたくない。
まぁ、頑張ってほしいと思う。


――太陽が空を赤く染め上げていた。綺麗な夕日。
それとは逆に俺の心はどんよりと曇っていた。
「もう、こんな時間か」
途中、井戸を見つけ半日ほどそこに座り込んでいた。
考えてみれば、人見知りの激しい俺が知らない国の知らない町の知らない人と話すなんてのは無理に近い話だった。

今日の収穫といえば偽王子がいたという話が聞こえてきた、くらいである。
自分から聞いた話じゃないから詳しいことはまったくわからないけれど。
明日があるさ。明日からがんばろう、などと呟きながら、とりあえず朝いた宿屋に帰る。
今日もお世話になろうと思う。

宿屋の人が あらわれた!
「ようこそ、旅の宿に。一晩10ゴールドですがお泊まりになりますか?」
コマンド?

ゴールドとかよくわかんない俺は、100円をつかった!

宿屋の人は、?をうかべている!
コマンド?

俺の心に100ポイントのダメージをうけた!
俺の野宿が決定した――!


407 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/03(火) 13:31:31 ID:DoMgei/c
俺がリアル厨房だったらこのスレに痛い小説書いてただろうな…

マジで最近酷いのが増えすぎ

408 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/03(火) 13:31:40 ID:gmfss33h
そうですね、日本語通じるからって通貨までは通じませんね。
はぁ、とため息をつく。今日はため息ばっかりだ。唯でさえ薄い幸がどんどん逃げていくような気がした。
今朝俺が寝ていた部屋に忘れ物がないか確認をし――まぁ忘れるものなんて一つも何もなかったわけだが――宿を出ようとする。
…が、すぐそこのテーブルに座っていた商人らしき男が目に入った。正確に言えば彼の持っていた品にだが。
商人は整理でもしているのか品を並べていた。その中の一つにメガネを見つけたのだ。
今、金なんてものはないが値段くらいは聞いておこうと思う。
深呼吸。すー・・はぁー・・
よしっ、と気合を入れて商人に話しかける。
「あ、あのぅ。コ、コレ、いくらになりますかね?」メガネを指さして言う。
少し声が裏返ってた気がしたけど気にしない。
商人は、俺に気づきこっちを向く。そしてメガネを手に取った。
「コレですか。コレは、さっき拾ったばかりでして…汚れているし、よろしければ差し上げますが。」
といってメガネを差し出してきた。

か、神キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
心の中でそう思いながらもごもごと「どうも」と一言いう。
「私は旅の商人ですが商売がらいろんなウワサを耳にします。あなたも旅人のようですけど何か聞きたいこと、ありますか?」
俺は旅人じゃないけど、うわ、なんだこのいい人。
迷信を信じているわけじゃないがもうこの人に足を向けて眠れないよ。
などと、心の中はハイテンションだった。


その後、この周りの事を聞いた。話し終えた後、薬草を売られそうになったが金がないので、と断った。
やっぱりそういうところは商人か、とか思いながら、俺は宿を後にした。


409 :DQ6:レイドック :2005/05/03(火) 13:34:56 ID:gmfss33h

外に出る。すでに空は黒へと色を変え、星が点々としていた。
早速、貰ったメガネの汚れを軽く落とし、掛けた。
結構落ち着く。人差し指でメガネを上げる――今度は眉間を押すことはなかった。
先程、出てきた宿の壁に寄りかかり、はっきりいって、眠れるかわからないけど、目を閉じた。

しばらくそうしていると、漸く眠気が襲ってきた。眠りにつこうと言う瞬間に俺は願う。
もし、これが夢ならば、覚めていてほしい――と。


次の日の朝、目が覚めた。
ほぼ毎日見ていた悪夢はみなかったが、現実の悪夢は続いているみたいだ。
俺は少し遠くを見る。その目に映ったのは城。レイドックという名の城。
俺はまだ、この世界いる。――夢は続いていた。


410 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/03(火) 13:45:45 ID:ID72/HMK
>>407
そういやリア厨の頃、自作小説書いて悦に浸ってる奴いたな…

411 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/03(火) 13:49:35 ID:igEEn8ty
スライムをいじめに逝く

412 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/03(火) 15:14:26 ID:KHfXSwBD
有名になると文句を言う奴も増えるよね………。
面白くなるのを待てよ。悪貨は良貨を、とは言うけど間口が広くなきゃ良貨だって入ってこんよ?
まったり行こうぜ。作者の人たちも頑張れ。楽しみにしてる。

413 :愛と血と魔物と  ◆pekaCgploQ :2005/05/03(火) 16:03:41 ID:bKBn5BQQ
    _|\∧/|
     \\| / /
  + _∨//_ *
 * /       \ .
  |  jニニコ iニニ!  +
 i~^'  fエ:エi  fエエ)Fil .
 ヽr      >   V *
  l   !ー―‐r  l   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  人   `ー―'  ノ  < 大丈夫だったかい?
/;;| ゙ー‐-- ̄--‐'",,    \_________
;;;;;;;;|    ̄ >/ ̄|;;;;;\




白い歯を見せて笑うこの男・・・名前はハッサンというらしい。
その筋肉質な体と不釣合いなピンクのモヒカンというアンバラスさが彼の魅力を一層引き立てている。
今にも「やらないか?」って言ってきそうだ。それだけは勘弁。

・・・・・・
ハッサンは3人で旅をしているらしい。

「イザとミレーユってんだ。俺たちはラーの鏡ってのを探して旅してるんだ。アンタはその鏡について何か知ってないかい?」

鏡?知らんなぁ・・・
そうこうしている内に仲間がやってきたようだ。
1人は俺と同い年くらいの少年だった。整髪料でガチガチの髪とはうらはらになんとも清純そうな目をしている。
もう1人は・・・うはwwwきたwwww超・美人wwwww

414 :愛と血と魔物と  ◆pekaCgploQ :2005/05/03(火) 16:04:23 ID:bKBn5BQQ
「もうっ探したわよ。一人で先に行っちゃって。あら?その人はどなたかしら?」

「あ、俺は・・・」

旅の者・・・とでも言っておこうか・・・。でも・・・

「実は・・・」

やはり本当のことを言うことにした。
目が覚めたらここにいたこと。目の前で滝が赤く染まったこと。成り行きで北の洞窟に向かうことになったこと。
まぁ到底信じて貰えないような話だがどうしても言いたかった。

「なんだ、オレ達と一緒じゃん。」

最初に口を開いたのは整髪料少年――イザだった。
なんだとはなんだ。人が腹くくって打ち明けたのに。・・・ってえぇ!!

「私たちも目が覚めたらここにいたのよ。そしたら滝の水が赤くなって・・・。今北の洞窟に向かってる途中なの。
あなたも北の洞窟に向かってる途中なのよね?だったらどう?一緒に来ない?」

願ってもいない誘いでだった。自分と同じ境遇の人間が3人も。どうやらかなり強そうだし、
それに・・・もしかしたら元の世界へ戻る方法もわかるかもしれない。
2人の顔を見てみた。
イザは相変わらずニコニコしている。ハッサンは大丈夫か?といったような表情だ。

「よろしくおねがいします!」

かくして俺はこの3人組と一緒にアモール北の洞窟へとむかった。

415 :愛と血と魔物と  ◆pekaCgploQ :2005/05/03(火) 16:05:56 ID:bKBn5BQQ
洞窟へ行くまで何度か魔物(あの変な奴らは魔物というらしい。妖怪みたいなものか?)たちに襲われた。
どうやらこの3人にとってこの程度の魔物は敵ではないらしい。適当にあしらって追い払ってる。
あんなにビビってた俺って一体・・・orz

そうこうしているうちに洞窟の入り口についた。

「やっぱりこっちは落盤してないのね。」

ミレーユさん何怖いこと言ってるんですか。これからここに入るっていうのに・・・。ていうか”こっち”って何?
そんなことを考えながら中に入っていった。町の人の言うとおりあの水はここから流れてきているみたいだ。
洞窟の中に大きな川があった。やはりそれは赤かった。
――何か聞こえる。水の流れる音に混じって何か・・・人の声?
耳を凝らしながら先へ進むと声の主が見えてきた。

*「おちない・・・・・・ おちない・・・・・・。
この剣についた血が いくら洗っても落ちないよ・・・・・・。」


そこには女の人が立っていた。川で何か洗っているみたいだ。

*「この先に宝なんかない。あるのは私の愛しい人 イリアの死体だけ・・・・・・。」
*「そうよ。私が彼を殺したの。この剣でね。だから・・・・・・。」
*「おちない・・・・・・ おちない・・・・・・。
この剣についた血が いくら洗っても落ちないよ・・・・・・。」

愛する人を殺してしまったショックで気が違えてしまったのだろうか。
イリアの死体・・・ということはこの人がジーナか。町の人が言ってたとおりこの人たちが原因だったのか。

416 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/03(火) 16:11:31 ID:gxktRrAZ
規制回避

417 :愛と血と魔物と  ◆pekaCgploQ :2005/05/03(火) 16:11:55 ID:bKBn5BQQ
「でも、なんかおかしくないか?」

と、イザ。

「いくら返り血を浴びたとしたって、川ひとつ染め上げるなんて・・・」

確かにそうだ。いくらなんでもおかしい。

「きっと、ここはジーナさんの記憶の世界なんだわ。」
「記憶というものは多少誇張になるものよ。今回のはそれが大きかっただけ。」

記憶の世界?そんなものが存在するのか?
・・・いや、するのだろう。現にこんな光景を見てしまったんだから。

「奥に行ってみましょう。何でこうなったのか、原因がわかるかもしれないわ。」

とりあえず、ミレーユの言うとおり奥へ行ってみることにした。
一体何が原因でこんなことになってしまったんだろう。
愛し合う2人が殺し合うなんて・・・宝の奪い合いでこうなったのだろうか。
物思いに耽っていると奥から鋭い音が聞こえてきた。

キーン!キーン!

「なんだろう・・・行ってみよう!!」

一同駆けだし音のするほうへ向かった。
そして俺の目に飛び込んできたのは・・・

418 :愛と血と魔物と  ◆pekaCgploQ :2005/05/03(火) 16:12:41 ID:bKBn5BQQ
「な・・・なんだアレ・・・」

とてもこの世のものとは思えない、異形なものだった。
蝙蝠のような翼。鋭い爪に嘴。そして全身は血のような赤い体色。
焦点の定まっていない虚ろなその目は黄色を帯びている。
しかもその魔物の前には血まみれの男が相対しているではないか!

「ホラービースト・・・こいつが原因だったのね・・・!」

ミレーユが手で口元を覆う。

「おいっあれイリアさんじゃないか!?」

突っ込むイザとハッサン。どうやらホラービーストの気はこちらにむいたようだ。
その場に倒れこむイリア。イザとハッサンがホラービーストと戦ってる隙に俺はイリアの下へ駆け込む。

「大丈夫ですか!?」

「へっ・・・こんなのたいした傷じゃないさ・・・」

顔は無理やり笑みを作っているがその傷は尋常ではなかった。
俺は場所を岩陰に移し、急ぎ荷物袋から薬草をとりだしイリアの傷口に塗った。
そうとう沁みるのか、流石のイリアもこれには顔を歪めた。
・・・その体にはホラービーストがつけた裂き傷のほかに、胸のあたりになにか鋭いもので刺されたような傷があった。
イリアの治療が一通り終わったので(といっても薬草塗っただけだが)戦いの様子を見るべく岩陰から顔を突き出す。
どうやら善戦しているようだ。

419 :愛と血と魔物と  ◆pekaCgploQ :2005/05/03(火) 16:13:28 ID:bKBn5BQQ
「俺ももっと強かったら一緒に戦えるのに・・・」

今の俺じゃとても無理だろう。足手まといになるだけだ。
と、そんなときホラービーストの黄色い虚ろな目と視線が合った・・・
途端に意識が朦朧とし、手が腰に提げてある剣へと移った。
俺はその剣を抜き放ち、そのままイリアの首筋へと・・・
白く軟らかそうなその首筋はいとも簡単に斬れるだろう。斬ろうか?斬ってしまおうか?
そして剣を振りかぶり・・・首筋目掛けて勢いよく下ろす!
・・・が、剣は空中で静止した。誰かが俺の腕を掴んでいる。ミレーユだ。
ドけ。邪魔ダ。コロスゾ。

「やめなさい!!」

そのとき俺の意識が戻った。

「な・・・俺は一体なにを・・・」

剣を床に落とし、完全に動揺しまくってる俺にミレーユが話かけてきた。

「幻惑呪文―メダパニ―にかかっていたのね・・・」

幻惑呪文?何だそれ??

「気づくのがもう少し遅かったらどうなってたことだか・・・まったく・・・」

やれやれといった感じで首を振るミレーユ。
そこへイザとハッサンが戻ってきた。どうやら戦いは終わったのだろう。

420 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/03(火) 16:16:00 ID:gxktRrAZ
3回で規制かかっちゃうのか…

421 :愛と血と魔物と  ◆pekaCgploQ :2005/05/03(火) 16:20:08 ID:bKBn5BQQ
「世話になったな。おかげで目的の鍵も手に入ったし。」

うるせーバーカ。お前なんかあっち行っちまえー。

「何かお礼をしなくちゃな。そうだ、これをあんたにあげるよ。」

貰えるものは貰っておく主義の俺は快くそのブツを貰った。

「・・・指輪?」

中央に羽飾りに付いたキレイな指輪だった。

俺は はやてのリングを うけとった!
        ▼

「じゃあな。縁があったらまた会おうぜっ!」

・・・行ってしまった。俺は貰ったその指輪を握り締めそしてはめてみた。
なんだか体が軽くなった気がする。

HP:25
MP:2

E銅の剣 E鉄の胸当て E学生服 E疾風のリング

422 :愛と血と魔物と  ◆pekaCgploQ :2005/05/03(火) 16:34:03 ID:bKBn5BQQ
*「ジ ジーナ!」
*「イリア!あ、あんた生きてたんだね!あたしてっきりあんたを殺してしまったと思って・・・・・。」

抱き合う男女。くぅ〜羨ましいぜ。
話によるとイリアもまたさっきの俺みたいに奴のメダパニとやらにかかってジーナに襲い掛かったそうだ。
そしてジーナは揉み合ってる最中にイリアを刺してしまい、あんな風になっていたらしい。
でも今はもう正気を取り戻しイリアとベタベタと・・・げ、キスし始めた。

「こら、あんまり見るんじゃないの」

怒られた。

「それよりジーナ。例の物はちゃんととってきたんだろうな?」

「カガミの鍵よね。ほらっここに。」

「さすがジーナだ!オレが死んだと思ってもとるものはとってらあ。」

「もしものときはあんたの形見にしようと思ってさ。」

「よせやい縁起でもねえ。」

ったくイチャイチャしやがって・・・。べつの場所でやれってんだ。バーカ バーカ。
・・・と軽くジェラシーに浸っているとイリアが近づいてきた。

423 :  ◆pekaCgploQ :2005/05/03(火) 16:34:55 ID:bKBn5BQQ
ミスった・・・orz
>>421>>422は逆です。

424 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/03(火) 21:31:59 ID:0YZuVBv6
>>313同じく、呪文詠唱のとこで鳥肌たった。
亀レススマソ。

425 :冒険の書庫の書記 ◆nUtX8ZK/82 :2005/05/03(火) 21:38:59 ID:pH5F4g2A
どもです。
ここまでセーブしました。多分…。
http://www.geocities.jp/if_dq/

洩れがありましたらご一報下さい。


書き手の皆様へ。
もしよろしければ、トリップをお願いします。

426 :ほーふぇん ◆XksB4AwhxU :2005/05/04(水) 00:23:58 ID:7t5824ol
ID:ndYrEjU6氏はもう居ないのでしょうか


427 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 01:32:04 ID:t0iXG20u
「なんだ…お前は」

「下衆に名乗る名などない」

力と力の真正面からの拮抗。
純粋なそれだけならば、バルザックの方が勝るのだろうか。
僅かずつ押されていく中で、それでも騎士は左手でバルザックの動きを封じながら、右手でアリーナに上位治癒(ベホイミ)をかけた。

「あ…」

「治りきらないか。こっぴどくやられたようだな…君らしくもない」

騎士の言葉が少女の五感に浸透していく。
ハッと気付いたかのように、アリーナはその場を飛び退った。
それを見て、騎士もまたバルザックの力を受け流し横に逸らす。

「醜いな…貴様は俺が見てきたどんな魔物より、どんな人間よりも醜悪だ…」

「ほざくな小僧!この私を愚弄するか!!」

バルザックの怒りが大気を振るわせる。
そして騎士に、竜巻のような棍棒の乱舞が襲い掛かった。
上から、右から、左から、正面から、ありとあらゆる方角から打ち込まれる打撃の雄々しき独唱。
響く音は次第に大きくなり、やがてそれは爆砕音とすら言える程に高まっていく。

「――くっ!!」

アリーナの鉄の爪がぶよぶよとした腹に突き立てられる。
だが、その脂肪の壁を貫くには到底及ばない。
それでも、かろうじてバルザックの手を止める事は出来たようだった。

428 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 01:33:09 ID:t0iXG20u
「ぐふぅ…蚊に刺された程度の痛痒よな…。
それに比べて、ほれ。あの男は爆心地に居たかのようではないか」

少女が、騎士の方向へと振り返る。
そこには砕けた床や埃が舞い上がっており、何も見通す事ができない。

「絶望したか?小娘よ。お前やあの小僧程度の実力で私に歯向かうとは、役不足というものだ」

バルザックの耳障りな笑い声が玉座に響く。
だが――アリーナは、その何も見えない空間に、何かを見通していた。
誇り高き――魂の輝きを。


「――――その通りだ。俺にとっては貴様の相手など、役不足で物足りない」


噴煙が晴れる。
何事もなかったかのように、その場に立ち続けるその姿。
その姿はまるで――  ――の、ようであった。

429 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 01:34:27 ID:t0iXG20u



「うおらぁぁーー!!!」

ライアンが戦斧を振り回す度に、辺りに鮮血が舞う。
戦士は圧倒的な体力で前進を続けていた。

「範囲物理障壁(スクルト)!」

殿にいるクリフトからの支援が飛ぶ。
仲間全員に物理的な耐久力をつける、強度自体は多少劣るものの物理障壁(スカラ)の上位互換と言える。
それに加えて、流れるような槍捌きで犬のような魔物を屠る。
クリフトも中々どうして、見事な技量を披露していた。
確かに神官戦士を名乗るだけの事はある。
アリーナがいると、どうしても物理的な攻撃面では影が薄くなりがちだが侮ったものではない。

「ふむ。この場合の最適解は――そうじゃな。これでどうじゃ――速度上昇(ピオリム)!」

身体に羽が生えるとこうなるのだろうか?
突然の身の軽さに戸惑う。だが、これなら――駆ける事ができる。疾駆する事ができる。
ソフィアが、ミネアが、マーニャが階段に取り付いた。
ライアンが切り開いた隙間に細い身体を滑らせる。
僅かに遅れていた俺の前に紫色の土偶が立ち塞がった。

430 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 01:36:59 ID:t0iXG20u
「させませんよぉ!」

トルネコが、その体型からはちょっと想像できない俊敏さで横から土偶を打ち砕いた。
首がすこーん!と遥か遠くにかっとんで行く。見事なホームランだ。

「すいません!」

俺は短く礼を言い、階段を駆け上がる。
その間際に見た男たちの表情は、皆一様に頼もしく、なんだか異常にカッコ良く見えた。


「さて――」

階段を背に、ブライが立ち、老人を守るかのようにライアンが正面に、クリフトとトルネコが左右にそれぞれ立った。
半円の陣で魔物達を迎え撃つ。
そして魔物達もまた、それほど積極的に動かなかった。
これはブライ達が知る事はできなかったが、実の所魔物達にとっても女たちが階上へ進むのは決して悪い事では無かったのだ。
魔物達はバルザックの強さを知っている。女子供に倒される訳は無く、彼女たちはすぐに慰み者となるだろう。そう、予測した。
ブライ達は、ソフィア達の強さを知っている。此処で魔物の本隊を足止めできれば、彼女達がバルザックを斃すのは想像に難くない。
ライアンとブライは更に、階上に魔物がいる可能性も考慮していたが、それを考えたとしても今はまず、この魔物達を掃除しなくては援護にも行けはしまい。

431 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 01:37:29 ID:t0iXG20u
「一人、10体と言った所ですかな」

「ハハ…いや、私はちょっとおまけで免除して欲しいですよ」

「そうじゃな。トルネコ殿の分の幾許かは、魔法使いのワシが負担しよう」

「ブライ様もご無理はなさらないでくださいね」

「馬鹿者!クリフト!ワシを年寄り扱いするでないわ!!」

戦士が、商人が、魔法使いが、神官戦士が、一様に笑う。
歴戦をくぐり抜けてきた男たちが一同に介し、一つの目的に邁進しようとしていた。



鋭く大気を裂く音が玉座の間に響く。
騎士の剣は柄に翼の飾りのついた、美麗な剣だった。
どちらかというと儀礼的な雰囲気すら醸し出している剣であったが、それは確実にバルザックの皮膚を傷つけ、血を噴き出させている。

――ヒュン。

風斬り音は一度だけ。
だというのに、二箇所からほぼ同時に血液が舞う。
それはアリーナにさえ見切れない、隼のような速度の連撃だった。

432 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 01:40:21 ID:t0iXG20u
「おのれ、ちまちまと小賢しい…!」

バルザックの苛立つ声が響く。
一撃自体は、決して重くない。だが、痛みは集中力を削ぎ落とす。
確実に蓄積していくダメージに、バルザックは焦り始めた。
棍棒で騎士を打ち据える。それでも、騎士は憎らしいほどに微動だにしないのだ。
ダメージは0ではあるまい。しかし、微々たるものであるのもまた、間違い無いだろう。
騎士の鎧兜は、頑丈過ぎる。異常とも言える頑強さは、何かを犠牲にしているのかもしれない。
バルザックの攻撃を、騎士はまるで避けようとしない。
避ける必要が無いのか、避ける事ができないのか。
例え後者だとしても、前者もまた同時に満たしていると考えた方が自然である。
ノーガードの打ち合いで遅れを取るなど屈辱の極みだが――だが、進化とは様々な状況に対応できるようになる事でもある。
そう考えれば、さほど悪い事では無い。

バルザックが凍りつく息を吐き出す。
騎士は、仮面の下で僅かに眉を寄せた。
自身の鎧は、物理攻撃だけでなく炎や吹雪、更には炎熱、爆裂系の呪文にすら耐性を持つ。
だが、その鎧でも氷結系の呪文にだけは、そこらの鎧となんら変わりない。
ヤツが冷気を得意とするなら少しマズイか。そう、思考したときには既にバルザックは呪文の詠唱に入っていた。
高速詠唱――それは進化の秘法故にか、それとも偉大なる錬金術師の元弟子故にか。

「広域氷結(ヒャダルコ)ォォ!!」

辺りの気温が下がると共に、大気の成分が変動し空気そのものが氷結する。
鎧と皮膚の隙間にある原子の振動が止まっていく。液状化。固体化。肉に突き刺さる、氷塊。
騎士は身体に走る痛みよりも、姫君の安否を優先した。
少女のダメージは大きかった。度重なった打撃に対する十分な治療が行われず、ブレス、呪文と続けばそれも致し方あるまい。

433 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 01:43:51 ID:t0iXG20u

「――大爆裂(イオラ)」

炸裂音と共に、バルザックの頭上から瓦礫が降り注ぐ。
もうもうと立ち込める煙に一寸気を取られた隙に、騎士も姫もその姿を消してしまっていた。

「ふん…隠れたか。まあ、良いわ。ゆっくりと追い詰め、引き裂き、破壊してやろう…」

歪んだ愉悦を顔に張り付かせ低く嗤う。
破れた皮膚が、削がれた肉が再生していく。

ああ――それにしても。

腹が減った。女を抱きたい。惰眠を貪りたい。もっと偉くなりたい。全てを支配したい。
先ほどまでの戦いなど忘れてしまったかのように、気だるい欲求不満がバルザックを苛む。
もっと欲しい。もっと満たされたい。

――わたしは、何を望んでいたのだろう?

権力を手に入れ、それに付随する金も、女も、手に入れたというのに。
進化を極めたと言うのに――何故、満たされない。
とろとろとした白昼夢を見ているかのような感覚に、バルザックは苛立ちながらも身を委ねている。

「――見つけたわよ。バルザック」

そんな彼を現実に引き戻したのは――美しき、ジプシーの姉妹であった。

434 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 01:45:30 ID:t0iXG20u



城の廊下を駆ける俺は、余りの嫌悪感に気が狂いそうになっていた。
至る所に元は人であったらしき物体が散乱し、鼻が曲がりそうな腐臭を放っている。
――進化の秘法の実験体。
キングレオにいた、魔法の実験を繰り返していた人間の話と符合する事実。
コーミズ村より更に南に位置するモンバーバラから、或いはハバリアから集められた人々の成れの果てがキングレオ城で、そしてこのサントハイム城に集結している。
これが…こんな、これが…人の所業だと言うのか。
事実そうである筈だ。これまで魔物の仕業にしてしまう事はできない。
バルザックもキングレオも、元は人間だったのだから。
人間と、魔物。それらがどれだけ違うというのか。どちらも――どちらも同じように、醜悪じゃないか。
突如響いた呻き声に、俺は飛び上がらんほどに驚いた。
まだ――生きてる、のか。
言いようの無い恐怖を覚え、全力以上の力で駆け抜ける。
死ぬよりは、生きている方が良い。そう、思っていたのは既に遠い過去のものになりそうだった。

「――見つけたわよ。バルザック」

奥に見える巨大な扉。
開け放たれた扉の近くに、マーニャの、ミネアの、そしてソフィアの後姿が見える。
俺はそれに少しでも早く近づきたくて、大量の荷物を背負っているため満足にとはいかないまでも、懸命に足を動かした。

「姿が変わっていても解るわ。今こそ…お父さんの仇…」

「おお…誰かと思えば懐かしい顔では無いか。マーニャ、そしてミネア。我が敬愛する愚かな師、エドガンの娘達!」

グフフ、と不気味な笑みを浮かべるバルザックに、
マーニャもミネアも、嫌悪感を少しも隠そうとしない。
そのぶよぶよとした姿を目の当たりにしたミネアがぽつりと呟いた。

435 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 01:47:32 ID:t0iXG20u
「なんて禍々しい姿…」

「どうだ、見違えたであろう!
既に私は究極の進化を極めた。この肉体は――神に近い。
最早、デスピサロ様…いや!デスピサロのヤツすらも私には及ぶまい!フハ、グハハハハ!!」

ソフィアの身体がぴくりと揺らぐ。その、名前を聞くだけで。少女の心身は燃え上がる。

「ハッ!笑わせるんじゃないわよ!あんたみたいな小物が、神に近いだなんておこがましいわ!!」

マーニャが呪文の詠唱に入る。ソフィアとミネアが、剣と槍でそれぞれバルザックに迫る。
それが、戦いの合図となった。
俺もまた、物理障壁(スカラ)の準備を始める。先行したはずのアリーナの姿が無い事が少し気になった。



暖かい光を感じ、アリーナは眼を覚ました。
どうやら自分はベッドに寝かされているらしい。――このベッドは、懐かしい気がする。そうだ、自分のベッドだ。
翳される掌。上位治癒(ベホイミ)の光。クリフト…?否、彼では無い。

「――バルザックは!?」

一気に覚醒した少女はベッドから跳ね起きる。
騎士はソレを見て、一つ息を吐く。どうやら安心した様子だった。

「一度、玉座の間から上階に避難した。都合よくベッドがあったんで君を寝かせた。あれから時間はさほど経っていない」

「そう…」

悔しそうに歯噛みする少女。これでは――足手まといもいい所では無いか。
騎士が上位治癒の対象を自らに変える。
だが――光は、鎧兜の上からでは中々届かなさそうに見えた。

436 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 01:49:27 ID:t0iXG20u
「私、征くわ」

「――君一人では……」

「大丈夫。もう、あんな風に我を忘れたりしないし、それに――今頃、きっと私の仲間たちが来ていると思うから。
このお城は、私のお父様のお城だもの。お父様が居ない間に勝手に侵入した不埒者は、私が成敗しないと」

少女の言葉と決意に、騎士は小さく頷く。

「……解った」

「貴方は、傷が治るまでここで休んでいてね。――此処、私の部屋なんだ」

小さく微笑む姫君に、騎士はなんと言葉を返したものか迷う。
…やはり、一箇所だけ穴が開きっぱなしになっている壁について尋ねるべきなのだろうか。
なんとなくそれは問うのを憚られたので、咄嗟に何の関係も無い疑問を口にする。

「……ところで、どうしてレオタードに網タイツなんだ?」

「――!?い、良いでしょ、どうしてでも!丈夫なんだから!!」

顔を真っ赤にしたアリーナは騎士に手加減なしのツッコミをいれて部屋を飛び出していく。
あれじゃ、手の方が痛いだろうなと思いながらも騎士はその後姿を見送った。



俺から見ても、ソフィア達は圧倒的に押していた。
彼女たちのモチベーション、新たな武具、そしてどうやらバルザックは手負いらしいのも要因の一つであろうか。
バルザックのタフさも特筆に値するものの、マーニャの火焔球(メラミ)が連続で着弾するのには耐えられないようだ。

437 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 01:52:55 ID:t0iXG20u
「ぐぅぅ…広域氷結!!」

辺りに氷塊が浮き上がり、縦横無尽に暴れ狂う。
俺たち全員の肉体を、その鋭利な刃で傷つけた。

「ハハハ――どうだ。今なら、まだ命乞いを受け入れてやるぞ?私のものになるが良い。最高の富と快楽を与えてやるぞ」

なんだか卑猥な事を言うヤツだ。
多分、俺は入ってないだろう。入ってたら逃げる。一目散に。

「ふん。バカ言ってんじゃないわよ。あんたなんかに傅く位ならねえ。こいつの方がマシよ!!」

マーニャが、俺の右腕に身体を絡ませる。
師匠(マスター)挑発っすか。

「同感ですね。バルザック、貴方なんかに触れられる事になろうものなら私は舌を噛みます」

ミネアが、俺の左腕を取る。
みみみみみミネアさんまで!?か、勘弁してくださいっ。

「みんなー!」

後ろからアリーナの声がしたかと思うと、背中に体重を感じる。
コイツは何も解っていないんだろうが、多分雰囲気だけでなんとなくやってるんだろう。

「アリーナさん、無事だったんですね!」

「もちのロンよ!!」

女たちが無事を喜びあっている。
いやまあ、俺も嬉しいけど。

438 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 01:55:38 ID:t0iXG20u
「――――!」

最後にソフィアが俺の傍で困ったような、尚、つーんとしているのを継続しているのだと言うような顔をしていた。
自分は怒っているのだ。それを忘れるな、これはあくまで挑発の為なのだと言わんばかりである。
暫し考えた後、ソフィアは俺の正面に立ち、首に腕を絡めてきた。

――ああ、そうか。これが、俺の人生のクライマックスか。

「貴様ら…この私をコケにしおって…許さんぞ!!その貧弱貧相貧賤な男が、私の何に勝るという!!

バルザックが棍棒を頭上でぐるぐると回している。
怖い…というか嫌な予感がする。

「あ〜ら?自称神様なのにそんな事も解らないの?じゃあ、このマーニャ様が教えてあげるわ。
――全部よ。全てにおいて、あんたよりは マ シ なの!!!」

あは。マシっすか。いやまあ、そんな程度だとは思ったけどNE!!
消去法の結果に、ショックを受けるなんて事は無い。そんなのは自惚れだからだ!!

「――シネェェェェ!!」

何やら物騒な雄叫びと共に、棍棒が振り下ろされる。
マーニャがさっと身を離し、ミネアもまた距離を取る。
アリーナとソフィアがほぼ同時に飛び退いた。俺はといえば当然それらの後に行動する訳だからして出遅れ必至な訳でちょっとまてリアルクライMAX!?

スゴン!!

物凄い衝撃が頭に走った。次の瞬間目の前が真っ暗になる。
既に何も見えない。ソフィアの悲鳴が聞こえた気がしたが、それも気のせいかもしれない。
思考の経路がぷちぷちと寸断していく感覚。しまった。物理障壁を自分にかけるのを忘れていた。
砕かれた頭から何かが噴き出していくのが解る――ああ、だけど――ほぼ、即死なら、あんまり苦しまないで済むと言えばそうなのかもしれない――。

439 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 01:56:45 ID:t0iXG20u




「バルザックにサントハイムをくれてやった」

此処は、何処だ。
――王宮?そうか、いつか見た夢と同じ光景。
そこに居るのはあの時と同じ、銀髪のDQNと黒い騎士だけだ。
俺はそれを、ふわふわと浮かび上空から観察している。

「…あの城もお前がやったのか?」

「さて、どうだろうな?」

銀髪の男が愉快そうに笑い、言葉を続けた。

「――貴様はどうしたい?」

「……。サントハイムに魔物が住み着くなんて認めない。皆殺しにしてやる」

「そうか。まあ、好きにするが良い」

――その方が、都合が良い。実験の結果を見定めるためには。
どうせあの城にはバルザックの飼い犬しかいない。

「ああ、これを持って行け」

騎士に向かって何かを放り投げる。
それは――剣、だった。

440 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 01:59:08 ID:t0iXG20u
「ロザリーが風邪を引いた時、わざわざパデキアを探しに行ってくれたそうじゃないか。
その報酬だと思え」

「……」

パシッと乾いた音を立てて剣を掴む。
抜き放ち、二度、三度振ってみた後、無造作に腰に差した。

「そうだ。それで良い。目的を達成する為には手段を選んでいられないのだからな」

ばさっとマントを翻し、銀髪の男が騎士の傍らを通り過ぎて部屋を出て行く。
騎士は、怒りとやるせなさに震えていた。

次の瞬間、外から見下ろしていた騎士に俺の姿が重なる。
これは俺の意思では無い。重なって、しまった――なんだ!?抜けられない――。
俺は、誰だ?俺は、俺だ。俺は、あの騎士と違うのか?
引き摺られる――俺が俺じゃなくなってしまう。
そうだ、俺はこれを最も恐れていた。
今、この時にしか解らない恐怖。この場以外では忘れてしまう感情。覚えていられない焦燥。
死そのものの先にある、俺が融けてしまう感覚。
嫌だ。これが、死、か?嫌だ――。

――誰かが、俺を呼んでいる。
その声に引き上げられるかのように騎士から抜け出、上を見上げた。
王宮の天井――それより更に上空から、誰かの声が聴こえる。
俺の姿は上へ、上へと昇って行く――。
暖かい腕に包まれるような感触。
温もりがあまりに心地よく。
何時の間にか、俺は誰かに抱かれているようだった。明るいシルエットで、誰かまでははっきり解らないが、身体のラインを見る限りどうやら女性のようである。
そのまま、ゆっくりと、次第に加速して場所を、時間を越えていく。

――これは――ミネア?

441 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 02:01:13 ID:t0iXG20u




ゆっくりと意識が覚醒していく。
ぼんやりとした視界に最初に飛び込んできたのは、一心不乱に術の維持を行うミネアの姿だった。
彼女の組んだ両手からは、まるで生命力そのもののような光が溢れている。

――擬似蘇生(ザオラル)の光。

……死んでたのか、俺は。マジかよ……ヤバイ……あれだけ死なないよう頑張ってたのにこうもあっさり……なんか癖になりそうだ……。
一撃死だと苦しむ暇が無いとか、そういう問題じゃないわ……。
嫌な感じだ。死ぬってのは。なんだか解らんけどヤバイ気がする……って、ああ、くそ!内に篭もってる場合でもねえのか。

「ミネア…」

ゆっくりと腕に力を篭め身体を起こす。
ミネアは、脂汗を浮かべながらうっすらと笑んだ。
――その瞳には、安堵と、何故か戸惑いのような光があった。

「良かった…何とか成功しましたね…。――行きましょう」

精神を消耗したのか、ふらふらとした足取りで歩むミネアに手を貸して俺たちは進む。
どうやら大きな柱の影に隠れていたようだ。
前方では未だ、戦いが続いている。俺がどれだけの間倒れていたのかは解らなかったが。

「――!?あんた、ほんっと使えないわね!!」

俺の姿を見るなりマーニャの罵声が飛んできた。
お前、それはあんまりじゃないか!?

442 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 02:02:49 ID:t0iXG20u
「何言ってんのよ!あんたがあそこでちゃんと避けてたら、一斉攻撃で終ってたのに、とんだ計算違いだわ!」

そんな事言ったって――見てみれば、マーニャの身体からも酷く出血しているようであった。
みかわしの服に長いスリットを入れた為相変わらず太ももなんか丸出しなのだが、そこにも深い裂傷が刻まれていた。
アリーナも、ソフィアもボロボロである。
事、ここに至り、既に口論をしている場合では無いと悟る。

「ミネア!治療はいいわ、あんたも手伝って!」

「え、でも――」

治療に駆け寄ろうとするミネアをマーニャが押し留める。
ミネアには多少迷いがあるようだった。それと言うのも、ミネアはソフィアやアリーナに比べると単純な力で劣る。
それ故に、バルザックのような脂肪の塊のような相手では、有効な打撃を与えにくいのだ。

「大丈夫よ!――あんた、此処で失敗したら一生あたしの奴隷だからね!?」

マーニャのひどい発破が俺に向けられる。
俺は、ミネアにしっかりと頷いて見せた。
バルザックが改めて姉妹が揃ったのを確認し、喜びの声を上げる。

「――そうだ、それで良い。マーニャ、そしてミネアよ。私は、お前たちと戦いたい。お前たちをこそ――この手に――」

ソフィアがバルザックの正面に立ち、ヤツの意識を自身に向けさせる。
煩わしい虫を潰そうと、振り下ろされる棍棒を破邪の剣で受け止めた。

「今までのお返し…!三倍返し、返品不可!!」

後ろに回りこんだアリーナが、今度こそとばかりに跳躍し、バルザックの後頭部に渾身の回し蹴りを放った。
鈍い音を立てて、陥没する頭蓋。だが、だと言うのに――何故か、俺にはバルザックの瞳に理性が宿った気がした。

443 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 02:04:05 ID:t0iXG20u
一つ、二つと大きく息を吸い、吐き出して、自身と界を接ぐ。
ミネアの槍が、化け物の肉体ごときに敗れない映像。
彼女が俺を包み、引き上げてくれたように。今度は俺が、彼女に手を添え力になろう。
筋力の増強、武器の補強、骨子をそれらとして更にインパクトの瞬間に干渉する呪。

「――攻勢力向上(バイキルト)!」

背を押されるようにミネアが疾駆した。
彼女の聖なる槍が、バルザックの胴に突き刺さる。
異物の侵入を阻もうとする脂肪と筋肉に対し、更にそこからもう一押しを可能とする力が今の彼女には満ちていた。
見事、仇敵の胴を貫きせしめる槍。
バルザックの口の端に血塊が浮く。
ひゅーっ、ひゅーっ、と異音を漏らしながらヤツの上体が揺らいだ。
聖槍が引き抜かれる。穿たれた穴に、更にマーニャの火焔球が叩き込まれた。
――身体の内からその大量の脂肪を焼き尽くしていく。

「バカな…。完璧な筈の私の身体が…崩れる…?
進化の秘法がある限り…私に滅びは訪れない筈…今に…今に…いま、に…」

バルザックの身体が歪み、ざらざらと崩れ落ちていく。
その様子を一時も眼を逸らさずに見据える、ジプシーの姉妹の姿があった。

「……私は……何を望んだのか……。
金……権力……進化の秘法を封印すると言った師を許せず……欲しかったものを手に入れたのに満たされず……。
そうか……わた、しは……お前たち姉妹を……待――」

そうして、バルザックは跡形も無く滅び去った。
彼の男が果たして何を望み、最後に何を見たのかは俺には解らなかったが――少なくとも。これで一つの区切りがついたという事は解った。

444 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 02:04:57 ID:t0iXG20u
「やった…遂にやったわ…!バルザックを…お父さんの仇を…!!」

マーニャがミネアに抱きついた。
ミネアの方は、最早声にならないらしい。
ぽろぽろと零れる涙。それを見て、マーニャの瞳にも同じものが浮かんでくる。

「やだ、ちょっと、こっち見ないでよ!!泣き顔はブスなんだから!!」

マーニャが珍しい事を言う。泣き顔がブスには見えなかったが、後でからかってやろうと思いつつ、ソフィアに近づいた。
バルザックの一撃を受け止め、へたりこんでいた少女に手を貸し立ち上がらせる。
アリーナが、バルザックの消えた跡を暫し黙って見詰めた後、隅の方の昇り階段へと駆けていった。
まあ、兎に角。とりあえずは――終ったのだろうか。
俺はソフィアに、お疲れさん、と労いの言葉をかけた。



「ふむ…どうやら、向こうも決着がついたようじゃな」

ブライが髭をしごく。
辺りには、夥しい数の魔物の死体が散乱していた。

「流石勇者殿達ですな」

「いやあ、流石なのはどっちもでしょう。信じられませんよ。まさか本当に、王宮の魔物全てを殲滅してしまうなんて」

トルネコがライアンに賛辞を述べる。
ライアンは、戦斧に付着した血液を拭いながら軽く笑った。

445 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 02:13:11 ID:t0iXG20u
「なに、ブライ殿の氷結呪文とクリフト殿のお陰ですよ。やはり、治療の呪文を使える方がいるのは心強い。
…ホイミンを思い出しますな」

だが、褒められた当のクリフトは浮かない顔をしている。
いや、それ以上にはっきりと顔色が悪かった。
彼の前には、命を絶たれた『人』が転がっている。嘗ては人であったものが。
ライアンが心配そうに声をかけた。

「…あまり思い詰めない事です。私たちが彼らをあのような姿にした訳では無い」

「大丈夫…大丈夫、です…。ただ…ライアンさん、ブライ様、トルネコさん…。
ほんの、ちょっとだけなんですが――消えたサントハイムの人々じゃなくて良かった、なんて、思ってる自分が居て…自己嫌悪してしまって…」

老人が、若者の肩をぽんと叩く。

「このような事があってはならぬと思うのなら、探さねばな――元凶を。そして、戦わねばならぬ」

この面子の中では格段に若い神官戦士は、沈痛な面持ちで頷いた。
墓を作ってやらねばなるまい。それが、己の責務である、と。

446 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 02:14:08 ID:t0iXG20u



城の廊下を歩くアリーナ。
先ほどは観察している余裕も無かったが、どうやらこのフロアは魔物達に荒らされていないようであった。バルザックが上がらせなかったのだろうか。
父王の寝室。やめておけ、と心が命じるのに逆らって、少しだけ覗いてみる。
そこには、誰もいない。
解りきっている事だ。それなのに、わざわざ確認して、後悔までしているのだから詮の無い話で。
がらんと静まり返った城の中。
戦いが終れば、こんなにも静寂に包まれてしまう、無人城。
少女の足が次第に速まる。そうして、少女自身の部屋の前にまでやってきた。
恐る恐る、扉を開ける――。
そこには、誰もいない。
ああ――誰も、いないのだ。
言いようの無い哀しみが少女を襲った。
ゆっくりと部屋の中を見回す。
ベッド――鏡台――箪笥――そして、破壊された壁。
あの頃が酷く懐かしい。お父様がいて、大臣がいて、兵士がいて、城の至る所に人が溢れていて。
皆に愛されていて、アリーナ自身も皆を愛していた。もう――あれから長い時間が過ぎ去っている。
静かに穴の縁に立ち、そこから空を見上げた。
いつのまにか日は落ちて、既に月が夜空に浮かんでいる。
少女はただじっと耐えた。
この、津波のように打ち寄せる感情をやり過ごす為に。
だが、それは、独りで凌ぐには余りに――過酷で。

ミー。

小さな小さな鳴き声。
アリーナは思い出した。この城に残された存在がいた事を。
壁に開いた穴から飛び出して、城の屋上に降り立つ。
少女が探すのは小さな猫だ。だが――そこにいたのは、猫を腕に抱く黒い騎士だった。

447 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 02:15:31 ID:t0iXG20u
「あ――」

一寸、言葉に詰まってしまう。
騎士は、そっと猫を地面に降ろし、ゆっくりとアリーナに近づいた。

「――首尾はどうだ?」

「え?あ、うん。…バルザックは、斃したわ」

その返答に、騎士は頷いた。
そしてアリーナは、自分でも不思議な事に言葉を続けていた。

「だけど、ダメだった。バルザックを倒しただけじゃお父様は帰ってこなかった。
……ううん、平気。大丈夫。デスピサロを倒せば今度こそきっと……」

溢れる想いが言葉になる。
それは騎士に言う、というよりかは己に言い聞かせるかのようでもあった。
黙って聞いていた騎士は小さく頷きながら、少女の頭を撫でた。

「……本当の事を言うとね。お城に来るのは怖かったの。
誰もいないって解っているのに、どうしても期待してしまう。そうして、勝手に期待して、勝手に裏切られて――悲しくて、怖く、て。
だけど――。

ありがとう……。此処に、一緒に、居てくれて……」

月の光芒が嘗て栄華を誇った城を照らす。
屋上でその光を浴びるのは、城の主たる姫君と、黒い騎士。
その情景は、どこか物悲しく、どこか――儚さを感じさせるものだった。

448 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 02:23:00 ID:t0iXG20u
「ピサロナイト様ー!!」

情動的な空気を破る甲高い声が響いた。
アリーナは驚いて身構える。
城の壁を登りぴょこんと顔を出したのは、ミニデーモンだった。

「実験は失敗だったみたいっすね。
うーん、やっぱり進化の秘法を完成させるには、黄金の腕輪が必要っぽいすよ。
ま、ピサロ様に報告しましょ――ってうわ!?こ、こいつは!!」

初めてアリーナに気付いたのか、ミニデーモンはぱっと飛び退った。
だが、当のアリーナは眼中に無いと言った按配で、呆けたように騎士を見ている。

「――ピサロ、ナイト?……ピサロの……デスピサロの、騎士……?」

騎士――ピサロナイトはアリーナに背を向け、歩き出した。
アリーナはそれを引き止めるかのように手を伸ばす。だが、肝心の足が動かない。
ピサロナイトとの距離がどんどん開いて行く――だが、それは突然ピタリと止まった。

闇夜に、白刃が閃く。

騎士が素早く隼の剣を引き抜き、受け止めた。
鍔迫り合いが起こる。隼の剣と――破邪の剣の。

「――ソフィア!?」

アリーナが驚きの声を上げる。
それでも、ソフィアは意に介さずに剣雨を振らせ続けた。

「…醜いな…お前も…お前の心も身体も…憎しみに塗れて見るに耐えん…」

仮面の下の瞳が剣呑な光を帯びた。

449 :サントハイムの決戦(後)  ◆gYINaOL2aE :2005/05/04(水) 02:24:03 ID:t0iXG20u
「――やめて!」

少女の絶叫が響く。
騎士は、振り下ろしかけた剣を逸らし、ソフィアに体当たりを仕掛けた。
バルザック戦の疲労もあったか、単純な実力差故か、少女は軽々と吹き飛ばされる。

「置いて行くぞ、ミニモン」

「あ、待ってくださいよ!!」

――瞬間転移(ルーラ)。
騎士とミニデーモンの姿は、跡形も無く消え去った。

「――……」

残されたのは、少女が二人。
一人は呆然と、一人はピサロの名を冠する者を逃がした事に唇を噛み。
それぞれ、まるで違う心境で騎士のいた場所を見詰めていた。



HP:78/78
MP:36/36

Eはじゃの剣 Eみかわしの服 Eパンツ

戦闘:物理障壁,攻勢力向上
通常:

450 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/04(水) 06:44:59 ID:YiSwbIr9
とりあえず、ぱふぱふされに行きたい。

451 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/04(水) 07:24:11 ID:uoKv2l1h
最初の人のシリーズは面白かったのにそれ以降は猿マネとオナニーだな

452 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/04(水) 07:47:12 ID:Pqd8oh5E
禿同。
いつからキモヲタ小説を披露するスレになったんだ。
チラシの裏にでも書いてろよ同人野郎どもwwwwwwww



453 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/04(水) 08:24:57 ID:fmdw9ODo
4のは好き

454 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/04(水) 10:35:33 ID:O6glHdjU
なんだかんだ言って読んでる>>451-452に萌え

455 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/04(水) 11:51:49 ID:6gQAQP1U
このスレは小説を書くスレじゃない。
目が覚めたらどうするか、を1文でもいいから書くスレだ。
それなのに小説を書いてもらってるってことが分からない、
お前らの理不尽な要求こそチラシの裏だろ。

456 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/04(水) 11:54:59 ID:zStrhcQn

>>1そんなこと言ってたっけ?

457 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/04(水) 12:08:18 ID:7nFHCs0T
>>456
言ってない
小説はかいて「もらってる」わけじゃないし、書き手が辞めたくなったらいつでも終了してよいものだyp
仕事じゃないんだし

458 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/04(水) 12:17:04 ID:ImRKsosJ
文句言うならそれ以上のもの書いてみたら?(・∀・)ニヤニヤ
プロのが読みたいなら金だして本買え。
書きだめしてる作家さん方、遠慮せずにうpキボン

459 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/04(水) 12:38:00 ID:6gQAQP1U
もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったらどーするよ?
>>1のこの一言で小説を書くスレになるのか?
もしそうであっても、そういうスレには暗黙の掟があると思うが。

460 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/04(水) 12:50:33 ID:Pw5+3dnK
黄金厨は華麗にスルー
文句を言うのは、読むしかできない奴なんだから

461 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/04(水) 12:59:07 ID:k9t3MP3q
毛色を変えて「村上春樹風ドラゴンクエスト」

目が覚めた時、僕の前に一人の男が立っていた。
「ゆうべはおたのしみでしたね」と、その男が言った。
NHKのアナウンサーみたいに平坦で、特徴のない声だった。
「すみません、ここはどこでしょうか」と、僕は言った。
目が覚めたら見知らぬ土地の見知らぬ場所に立っていた。
ふと僕はカフカの小説ならそれもありかもしれないと思った。

「おとまりなら8ゴールドです」と男は言った。
それが僕の問いに対する返答だと気付くまで少し時間がかかった。
「ここは、どこですか」と、今度はゆっくりと聞いてみたが結果は同じだった。
オーケイ、この男はこれ以外の言葉は話せないのだ。
AMラジオでテレビが見えないのと同じ事だった。
やれやれ。

462 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/04(水) 13:41:54 ID:Pqd8oh5E
>>458
厨房はすぐ文句言うならそれ以上だな( ´,_ゝ`)
キモイ小説書くのお前ら豚だけだw
そもそも誰もプロのが読みたいなんて言ってないだろwwww
だいたい上にあるサントハイムのなんたらってなんだよ、
パッと見だけでも完全にゲーム内キャラだけのオナニー小説だろw


463 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/04(水) 13:56:52 ID:k9t3MP3q
筒井康隆風

「オトマリハヨンゴールドデス」
俺は頭を掻き毟った。
「目が覚めたら知らない世界の宿屋にいたんです」などと言ったら、
きっとあのデブでハゲな課長は「ははあ、ついに君も気が触れてしまったようだ。
夢と現実の区別くらいはちゃんと付けたらどうかね」と嫌味を言うに違いない。
「オトマリハヨンゴールドデス」
「4ゴールドで泊まれる事はもう知っている。266回も聞いた。俺も馬鹿ではない。
大抵の物事は一度聞けば理解できる。問題はここがどこか、なのだ。
何度も言うように今日俺は大事な会議がある。9時までに出社して準備をしなければならない。
こんな場所で宿屋の店番をしているおまえにはわからんだろうが、
何か失敗をするたびに嫌味なハゲに胃壁をすり減らされるんだ。
聞こえてるのか?それともおまえは聾なのか?」
「オトマリハヨンゴールドデス」
「ははは、これで267回目だ」どうやら俺は白痴の聾に267回も話し掛けていたらしい。
壁に向かって話しているようなものだ。
「いいかこの片端。俺は7時に起きて身だしなみを整えて、朝飯を食い、
8時には駅に向かう。すし詰めの通勤電車に30分も揺られて出社するんだ。
息の臭いデブに嫌味を言われ、OLに話し掛ければセクハラと言われる。
何がセクハラだ。腐ったバナナみたいな顔しやがって。おまえの顔がハラスメントだ。
そして今日みたいな会議があればデブ、ハゲ、嫌味の三拍子揃った愚鈍どもに向けてプレゼンをするんだ。
わかるか、この精薄。ここはどこだ。どうやったら東京に戻れるんだ」
「オトマリハヨンゴールドデス」
ついに俺はおーいおーいと泣き出してしまった。
それが元の世界に戻れないという悲しみではなく、会社に行けないという悲しみである事に気付いて更に泣いた。
「オトマリハヨンゴールドデス」
複雑な感情が入り混じった俺の脳に270回目の声が響いた。
「オトマリハヨンゴールドデス」

464 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/04(水) 15:25:11 ID:d0WSKGx0
え〜結構面白いとおもうんだけどなぁ…

465 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/04(水) 15:34:25 ID:822+1J50
結構っていうかかなりおもしろい
へたなプロよりイイ線いってると思う

466 :ほーふぇん ◆XksB4AwhxU :2005/05/04(水) 18:44:28 ID:7t5824ol
無理な話だけど
ID:ndYrEjU6氏にもう一度書いて貰いたい
そう願うばかり


467 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/04(水) 20:38:15 ID:EhXsn/h5
>k9t3MP3q
GJ!好きだなーこういうの

468 :サラン  ◆gYINaOL2aE :2005/05/05(木) 01:49:42 ID:soOkgGMz
サランの町では簡単な祝賀会が開かれた。
これでもしサントハイムの人々が戻ってきて大団円となったのなら、町を、いや国を挙げてのお祭りになったのかもしれないがそこは仕方が無い所か。
マーニャが元気に酒をかっ喰らっている。
それをフォローするのは普段はミネアの役目なのだが、今はトルネコが行っている。
俺は今度の戦いで、色々と決着がつくと思っていたのだが…どうやら、そうでもないらしい。
アリーナは、結局誰一人戻ってきていない城を前にしたからかぼーっとしているし、
クリフトはクリフトで何やら消耗しているようだった。
そしてミネアもまた、仇を討った喜び以上に何がしかの懸念を覚えているようである。
ソフィアは…少し悔しそうにしていたが、今は比較的元気だ。
ブライは騒ぐマーニャに今にも毒を吐きそうだが一応、仇討ち完遂の日と言う事で我慢しているのだろうか。
それを宥めるライアン、といった構図だ。

俺はと言えば、これからどうしたものかと考えていた。
考えても詮無い話であるかもしれない。
相変わらず元の世界に戻る方法どころか手がかりすら掴めていないのだから。
今はそれこそ、眼が覚めたら元の世界に戻っているのに期待するしかない。
別に達観している訳でもない。焦燥はあるし、苛々っとくる事もあるのだが…まあ、それを一々回りに当り散らして発散する訳にもいかないし…。
…死んだ先にある、あの融解する感覚が元の世界に戻る方法だとは思えない。
アレは…どうもあの先に行くと、完全に戻ってこれなくなる気がする。

軽く嘆息する。
まあだけどこれからは、姉妹の仇討ちも終った訳だし何かを斃さなければならないって相手はデスピサロだけだろう。そういう意味では多少楽になるだろうか。
…あの銀髪の男がひょっとするとデスピサロなんかな?
けど、なんか美形だったしなあ…ん?むしろ美形であるべきなのか?そういう層を狙う為には…。
なんのこっちゃ。
あのDQNがそうだったとしても、何処にいるかはさっぱり解らない。
基本は船で世界を巡る事になるんだろうか。
…何年かかるんだろう…。

469 :サラン  ◆gYINaOL2aE :2005/05/05(木) 01:50:19 ID:soOkgGMz
「ミネア殿達は、これからどうなさるのですか?」

ライアンがミネアにそう訊ねた。
マーニャの方はべろんべろんで話しにならないとの判断だろう。賢明な男である。

「…父の進化の秘法の研究から全てが始まったのなら私たちが止めねばなりません。
此処で私たちだけ降りてしまうなんてありえませんよ」

はっきりと言い切るミネア。
なるほど。バルザックという仇を討ちはしたが、進化の秘法は既にバルザックの手を離れてしまっている。

「アリーナ姫らも?」

「うむ。城の事は気がかりじゃが、デスピサロを追う事が皆を取り戻す唯一の可能性である事は、相違ないじゃろうからな」

アリーナに代わりブライが答える。
…可能ならばそれなりの兵力を城に置いておきたい所なのだろうが、それも叶わないようである。
相変わらずの無人城となるのだろう。そう考えると、人のいない城と言うのは何だか無性に寂しい。

「――今迄どおりと言った所ですかな。さて……」

恐らくは誰もがこれからの指針を求めているのだろう。
なんの当ても無く探すというのは、精神的にかなり厳しいものがある。
今までは一方向にしか進めないとか、次に何処に行くべきかなどおぼろげながらも解っていたのだが。
ミネアも何も言わないし、となるとソフィアの決断に委ねられるんだろうが…。

結局、その場では建設的な案は出なかった。
とりあえず、船出の準備だけはしておこうと言う曖昧な結論で散会となる。
何か手がかり――皆の指針もそうだし、俺の個人的な其れについても、探してみようか。

470 :サラン  ◆gYINaOL2aE :2005/05/05(木) 01:51:34 ID:soOkgGMz



明けて、翌日。
船出の準備が一段落した所で、クリフトの姿が無い事に気がついた。
気になった俺は少し辺りを探してみる。
彼は教会の裏手の墓地にいた。

「おはようございます。…何をしているのか、ですか?
ええ、お墓を作っていました。進化の秘法の実験体にされてしまった人達の…」

――そうか。彼らに止めを刺したのは。
あの時俺は嫌悪感に耐え切れず、その場から逃げ出した。
前を行く彼女たちに追いつかなければならないと正当化して、問題を棚上げしたと言っても良い。
しかしそれも仕方ないんじゃないかと思う。
こっちが何もしていなくても魔物達は襲ってくるから、それに対抗する覚悟は出来た。
だけど、だからと言って――人であったものを、特に無抵抗なものを殺せるか、と言われたなら俺には是と言い切れない。
――俺には無理だから、他の人間にやらせる、やってもらう。それが正しい訳も無いのだが。

クリフトは神官戦士だ。
彼は、魔物を、そして人であったものを殺す事に躊躇いは無いのだろうか?
アホな問いだと後に思ったが、この時はそのまま訊ねてしまった。

「躊躇い、ですか。…ええ、ありますよ。嘗て人であった方、それで苦しんでいる方に対しても同様に…。
私は今、ある呪文の研究をしています。――対象を、即死させる術です。
こう言ってしまうとなんだか物騒ですね。まあ、事実物騒なのですが」

471 :サラン  ◆gYINaOL2aE :2005/05/05(木) 01:58:15 ID:soOkgGMz
俺はクリフトのブラックジョークに軽く驚いた。
良いんだろうか?神官がこんな事を言ってしまって。

「私は、必要であれば殺します。それは、誰に何を言われても否定しません。結果が同じなら、手段など何でも同じだと言う方も世の中にはいるかもしれませんが――」

「いや、訊くよ。どうやって殺すんだい?」

「即死呪文――対象の血液を凝固させます。
これにより、相手は重度の心筋、及び脳梗塞を併発し――苦しみも痛みも殆ど無く――すぐに命を失う事になるでしょう。
…それが私に出来る手段です。目的は達成されなければなりません。手段にこだわり、目的を見失うのは本末転倒です。
ですが、目的を見失いさえしなければ、達成する為の手段は人それぞれです」

――貴方の目的は、何ですか?

クリフトは一通り墓の体裁を整えた後、神父にくれぐれもお願いしますと頭を下げて船へと戻っていった。
俺は彼の言葉に少し感動していた――のだが。
……即死呪文を連発する悪魔神官・クリフトの姿を想像してしまい、背筋が寒くなってもいた。
ま、彼に限ってそんな事は無いだろう。ないよね?
効かない強敵に対して治療を怠ってまでこだわったりしないよね?よねよね?
…大丈夫だと言ってよバーニィ…。

472 :サラン  ◆gYINaOL2aE :2005/05/05(木) 01:59:28 ID:soOkgGMz



クリフトとの分れ際に、アリーナを見つけたら様子を見ておいてくれと頼まれた。
少女は確かに落胆しているようであった。それを悟られないように明るく振舞おうとするのが、少し痛々しい。
ま、どうせアイツがいるとすらなら高い所か武器屋だろうなと当たりをつけて捜してみる。
案の定直ぐに見つかった。
だが、武器屋に佇んでいた彼女に、やはり覇気は感じられなかった。
俺は少女に声をかけ、情報収集に付き合ってくれないかと頼んでみる事にする。
それが良い結果を生むかどうかは自信が無かったが、何もしないよりはマシかなとも思ったのだ。

町の人々に、人見知りをしながらも何とか話を聞いていくが、まあ、大した話は聴けない。
アリーナはどんどん俯いていく。ダメだ。俺はダメ人間だ。ダメ人間だもの。そんなラジオのコーナーがあった。ダメ人間で何が悪い!
郊外にまでやってきてしまった俺は藁にも縋る思いで民家を訪ねる。
回覧板を隣に回す時でさえ郵便受けに突っ込んでピンポンすら押さない俺にとっては格段の進歩なんだが今はそれを自慢している場合でも無いだろう。
というか、それは間違いでもない?なんつーか、世界が違うよなー。

俺は椅子に座っていた老人に話しかけた。ゆっくりとした動作でこちらに視線を向ける。
――と、その視線は俺を通り越して後ろのアリーナへと止まる。老人は少女の顔を見て、遠くを見るように眼を細めた。
そして、こんな事を言い出した。

「おや……?そちらの娘さんは懐かしい顔に似ておるのう
わしは昔、サントハイムの王様の教育係をしておったんじゃ。
あれは何年前であったか…王様が子供の頃の話じゃ。夜中うなされて、飛び起きたと思ったらこうせがむんじゃよ。
『ボクの娘が困っているから助けなきゃ!立て札を立ててよ!』ってな。
その当時は、娘がいるという話に驚いたものじゃったが…」

473 :サラン  ◆gYINaOL2aE :2005/05/05(木) 02:00:44 ID:soOkgGMz
老人がふぉふぉ、と笑う。
その時何歳だったか知らんが、早熟な子供もいるだろうし確かに…。
話によると、その立て札は教会の裏にあるらしい。
アリーナが居ても立ってもいられないと言った感じで飛び出していく。
俺は折角なんで皆にも報せてから、それを見に行く事にした。
マーニャが二日酔いで死んでたが一人置いてくのもアレだろうってんで無理やり連れて行く。
はたして、そこには確かに立て札が立っていた。
そこにはこう記されている。

『みらいのボクの娘へ。
今、キミはきっと困ってる筈だからいいこと教えてあげるね。
お空のずっと上には天空のお城があって、竜の神様が住んでるんだって。
竜の神様はとても強くて、大昔地獄の帝王を闇に封じ込めたくらいなんだ。
天空のお城のことは、北の海のスタンシアラの人々がくわしいと思うよ。

サントハイムの王さまより』

「お父様……。
……………………。
ありがとう、お父様……ありがとう……」

アリーナが膝を崩し、立て札に見入っている。
それをそっとクリフトが支えた。

「……聴こえます。これも、導きの声?サントハイム王も、また?
スタンシアラへ、スタンシアラへ行きましょう」

474 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/05(木) 02:04:57 ID:Mz5hWeU3
規制回避の手助け

475 :サラン  ◆gYINaOL2aE :2005/05/05(木) 02:06:31 ID:soOkgGMz
ミネアの言葉に頷く一同。
俺は考えていた。
…これはいよいよ、竜の神さまとやらに会える見込みが出てきたのだろうか?
こういう事があると、確かに導かれている、というのもあながち電波と言い切れない。
この世界の神さまとやらに出会って、元に戻れないって言われたらいよいよ骨を埋める覚悟をしなければならないかもしれないが…。

竜を探す旅――In quest of DRAGON...Dragon Questか。

これから明確に始まる――いや、俺が例え導かれていないのだとしても、ソフィアの旅に始まりから同行していた俺もまた、
最初から、竜を探す事になる旅をしていたのかもしれない。



HP:78/78
MP:36/36

Eはじゃの剣 Eみかわしの服 Eパンツ

戦闘:物理障壁,攻勢力向上
通常:

476 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/05(木) 05:10:08 ID:+sky62aW
>ID:k9t3MP3q氏
ワロスwwwwww いーね新しい風が吹いたよ。

職人さんたちみんなガンガレ!

フレーヾ(゚ー゚ゞ)( 尸ー゚)尸_フレー

477 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/05(木) 10:42:58 ID:yweiYN9G
gYINaOL2aE氏の話はそろそろ、そして漸く序曲を鳴らす頃かいね?w
本当にクライマックスをまたも迎えてしまった彼に祝福あれ。応援してます。

478 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/05(木) 13:07:34 ID:GhYrWhD+
>>まとめの人
冒険の書10と13はDQ6
12はDQ5
っぽいんで修正よろ

479 :サラン  ◆gYINaOL2aE :2005/05/06(金) 01:04:52 ID:6dFXZGC0
水の都スタンシアラ。
その形容に相応しく、城下町にも城の中にも縦横に水路が張り巡らされており小船でなければ移動ができない。
面倒な…。情緒の欠片も無い感想だが本音でもある。
誰が漕ぐんだ。はい、俺しかいませんね。
だけど初期の頃と違って今はソフィアに加えトルネコ、クリフト、ライアンが何かと手伝ってくれる。
この一行、男の方が優しく人間味に溢れている気がするんだがどうかー?
ま、ミネアは他の面で結構雑用をしていたりもするが。

城に行く前に、宿屋に荷物を置いた所で、客の一人が何処かに良い町は無いかなとぼやいていた。
トルネコが噂に聞いた移民の町の話を客に伝えると、喜んで出立していった。
あー…俺たちも一度は行ってみるべきなんだろうか?
けどタイミングが難しいよなー。うーん、一番無視してしまいそうな気がするぞ。
それか、一行か二行で済ませる悪寒。

行った!

戻った!

で終了。とか、どうよ?
ダメ?あ、そっすか。そっすよね。

町の人間に話を聞きながら、城へと向かう。
なるほど、彼らの間では『天空の城』というのは比較的ポピュラーな話のようだった。
そこには神さまが住んでいるらしい、と口を揃える当たり物語か伝説か何かで語り継がれているのかもしれない。
俺の中では『天空の城』と言えばラピュタしか無い訳だが…。
ラピュタと言えばムスカしか無い訳だが…。
ムスカと言えば眼がーっ眼がーっしか無い訳だが…。
大佐は素敵だなあ。命乞いをしろ!とか、いつか言ってみたい。
どっちかっつと言われて泣きが入る側だろうけど。

480 :スタンシアラ  ◆gYINaOL2aE :2005/05/06(金) 01:06:00 ID:6dFXZGC0
決定的な内容は、城の中で研究をしていた学者に聞くことができた。
それは古い言い伝えであると言う。

天空の鎧 兜 盾 そして剣を得たものは天空に昇れる。

トルネコが興奮して話を聞いている。
そういえば、彼は天空の剣を探していたんだったな。
これを俺なりに解釈するとなんか死ぬ感じすらしてくるんだが。天空に昇れるっていうのが何とも。
しかし、何処から何処までが実在するものだろう。
俺の常識で考えるなら、言い伝えなんて基本全部嘘っぱちで、鎧も兜も盾も剣も存在しないもんなんだが。
学者にその旨をそれとなく訊ねてみる。

「残念ながら、王家に伝わってきたのは兜だけなのじゃよ」

兜はあるのか!いやあ、それだけでも凄い。
けど、王家に伝わってるってんなら手に入れるのは難しそうな…国宝とかになってなければ良いが…。
あ、そういえばこっちにゃサントハイムのお姫様がいるじゃねーの。そのコネで…。

「そういう問題じゃないでしょー?」

う。アリーナに窘められるなんて…。ショックだ…。
まあ確かにそういう形で手に入れるのはちょっと違うかもしれんけどなあ。
とりあえず頼むだけ頼んでみようか、という事で俺たちは謁見を求めた。
玉座へと続く廊下を歩く途中、何故か売れない若手芸人のような連中を多く見かける。
なんともじめっとした嫌な空気だ。
嫌な予感…もとい、アホな予感がする…。

481 :スタンシアラ  ◆gYINaOL2aE :2005/05/06(金) 01:06:53 ID:6dFXZGC0
「よくぞ来た!さあ、わしを笑わせてみよ!」

やっぱりアホだった…。
国の王の第一声がそれである。この国の人間がかわいそうだ。
なんでも、王様を笑わせた者には望みのものを、とのおふれが出ているとかいないとか。
まあ、ある意味好都合な気もするが…俺はちょっと笑いには五月蝿いよ?
とりあえず準備が出来てないのでトルネコに頼んでお茶を濁してもらうことにする。

「わ、私ですか!?そ、そうですなぁ…。
象がここにいるぞう…」

ああ――。
ごめんよ、トルネコさん。



さて。
まともにいじりもしないで早々に戦略的撤退、その後作戦会議である。
宿屋の一室で俺たちは知恵を出し合っていた。

俺の持論としてはまあ色々あるのだが、とりあえず近い良い文書があったのでそれを引用させてもらう。

482 :スタンシアラ  ◆gYINaOL2aE :2005/05/06(金) 01:08:15 ID:6dFXZGC0
志村へ

この手紙をもって俺の芸人としての最後の仕事とする。
まず、俺たちのコントを再考するために、君に過去のフィルムを確認して貰いたい。
以下に、コントについての愚見を述べる。
コントを考える際、第一選択はあくまで「笑いを取れば勝ち」という考えは今も変わらない。
しかしながら、現実には若手芸人の多くがそうであるように、他人をバカにして笑いを取ったり、
素人にツッコミを入れるだけで内輪受けに走っている事例がしばしば見受けられる。
その場合には、企画段階から綿密な計算と準備が必要となるが、
残念ながら未だ満足のいくコントには至っていない。
これからのコントの飛躍は、綿密な企画立案、それとライブの復活にかかっている。
俺は、志村がその一翼を担える数少ない芸人であると信じている。
能力を持った者には、それを正しく行使する責務がある。
志村にはコントの発展に挑んでもらいたい。
遠くない未来に、素人いじりや他人をこき下ろすような芸がこの世からなくなることを信じている。
ひいては、俺たちのコントを再考の後、君の笑いの一石として役立てて欲しい。
先人の芸は活ける師なり。
なお、最後に芸人でありながら、多数の人を泣かせて旅立ったことを、心より恥じる。

                                         いかりや長介


長さん……。
いかん、しんみりとしてしまった。
とりあえず俺が言いたいのはコントについてではなく素人いじりについてである。
俺はこれが好きじゃない。
特に名指しするとすれば、一時期の(今もやってるのか?)イギリスの靴たちだ。
お笑い芸人は身体張ってなんぼ、それでお金をもらっているというのに、
素人をバカにしたり釣ったりして誘い笑いで無理やり笑わせるなど愚鈍の極み。
まああの素人たちが実は劇団員とか、やらせとかで金もらってる線も無くはないのだが…。
兎に角あれだけは認められん。ごめんな。ああいうのが好きってのも居ると思うんだけど。
そして、今この現在に即している話題でもありませんが何か?問題でも?

483 :スタンシアラ  ◆gYINaOL2aE :2005/05/06(金) 01:12:06 ID:6dFXZGC0
笑いにも色々な種類があると思う。
ここは、一つにやけ笑いを取ってみるというのはどうだ。
その名もズバリ「二人はプリティでキュアキュア!!」作戦である。
ソフィアが白、アリーナが黒でお送りする大活劇!似合うかどうかは微妙だが画像キボンヌ!
キュートな女の子たちの活躍に王様もニヤニヤニマニマする事間違いなしだ!

| プリキュア♪
|   プリキュア〜♪
|   ∧∧       ∧∧   プリキュア♪
| ヾ(゚∀゚)ノ    ≡ (゚∀゚ )プリキュア〜♪
|   (  )   ≡ 〜( 〜)
|  /< <    ≡  ノ ノ
./ プリキュア♪ プリキュア〜♪
      ∧∧∧∧
     (゚∀゚≡゚∀゚)
       (∩∩)

内訳は俺と王様とクリフトである。この顔にすりゃ笑わせたって事にもなろう。
完璧じゃね?よし、早速ミネアに頼んで衣装を縫ってもらわねば…。


断られました…。
絶対いけると思うんだが仕方が無い。プランBへ移行するぞ。

484 :スタンシアラ  ◆gYINaOL2aE :2005/05/06(金) 01:13:49 ID:6dFXZGC0
ブーン戦隊 導かレンジャー!!

            rっ             . (.\ブーン
    /⌒ \    │|   ブーン       \\          /⌒ヽ ブーン
⊂二(^ω^ )二二 |/⌒ヽ              \\ /⌒ヽ ニ二( ^ω^)二⊃
   ヽ    |    (^ω^ )            \( ^ω^)  |    /
     ソ       l    _二二二/⌒ヽ ブーン /    ⊂_) ( ヽノ
ブーン ( < \   _/  ⊂二二二( ^ω^ )二二二⊃) ノ    ノ>ノ
     \|\|  (´ ._ノ      ヽ   /     /ノ ̄       レレ
           \\ \     (⌒) |     '´
             レ’\\      ⌒∨
                レ’

※左からトルネコ、マーニャ、ソフィア、俺、クリフト

もういいじゃんこれで。マンドクセ('A`)
トルネコはイエローな。

「おや、私も一員ですか。照れますなあ」

カレーでも食ってろデブとは言わないのが俺の優しさ。
でもカレーは持ってもらう。

485 :スタンシアラ  ◆gYINaOL2aE :2005/05/06(金) 01:14:26 ID:6dFXZGC0
「なんかよく解んないけど踊ればいいわけ?」

踊るのとちょっと違うけどまあ似たようなもんか?
お色気担当ピンクでよろ。

「この場合、私は…」

当然グリーンで。今やってるのだと結構熱い系なお兄ちゃんだけど、
基本的に特徴無いよね。緑って。

俺は青でいいです。というか俺じゃなくてもいいんだが。
SHINJOYさんが控え目にしてたのって配慮だと思うね。チームメイトへの。

そしてレッドは真打ソフィアちゃんですよ。
彼女は俺が渡した( ^ω^)のお面を見て可愛いと喜んでいる。
くはー!ソフィアちゃんこそ可愛いよなあ。よし!これでVIP層ゲット!
王様がVIPPERだったら大勝利間違いなしだ!!



俺は今、最後の打ち合わせをトルネコさんとしている。
結局、俺の(アホな)提案を悉く無視した導かれし者たちは、モンバーバラとやらに行ってパノンとかいう売れっ子芸人を連れてきた。
唯一、面白いと思いますよと言ってくれたトルネコさんを相方に、ヤツラより一歩先に笑いを取ってヒエラルキーの頂点に登ってやんよー!
王様は若くは無い。
やはり、ここは往年のヤスキヨで行くべきだろう。
怒るでしっかしー!よっしゃ、やったるでー!

486 :スタンシアラ  ◆gYINaOL2aE :2005/05/06(金) 01:16:30 ID:6dFXZGC0


「メガネ、メガネ…」

あ、あれ?なにこの寒い空気?
おかしい…ネタは完璧なのに…別世界だから既出って事も無い筈…。
いやまてよ、既出じゃないからこそ、お約束的な笑いも出ないのか。
そしてそれ以上に――ただ、ネタをトレースした所でダメなものはダメなのか。
トルネコさんは頑張ってくれた。
だが、俺自身があの伝説の漫才師の空気を生み出す事ができなかったのだ。
当然と言えば当然の結果なのだが…。

お笑いは、やはり深いな…。
俺ごときが偉そうに講釈を垂れられるものでは無い…。

結局、天空の兜はパノンがギャグじゃなく、王様のおふれの意図を読み取り、
ちょ、ちょっと待った!今、パノンがいい事言った!的展開でゲットした。

この野郎、芸人がいい事言ってどうすんだバカ野郎。
ちょっと悔しくて懲りずにぶつぶつ文句を言う俺の肩をトルネコがぽんと叩く。
トルネコさん…俺、もう二度と貴方のギャグをつまらないなんて言わないよ!

487 :スタンシアラ  ◆gYINaOL2aE :2005/05/06(金) 01:18:26 ID:6dFXZGC0
| |  ∧_∧ _
| | (´・∀・`/  / 「まあ、カレーでも食べていてくださいw」
| | (   ,/_〇


トルネコは俺にそう言って、いい笑顔でスプーンを俺に差し出した。



HP:78/78
MP:36/36

Eはじゃの剣 Eみかわしの服 Eパンツ

戦闘:物理障壁,攻勢力向上
通常:


488 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/06(金) 01:20:19 ID:bllOhg+Y
乙!
トルネコかわいいよトルネコ

489 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/06(金) 09:32:00 ID:QKoQiBrB
乙!
ぷれすて版なのか


490 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/06(金) 17:49:12 ID:BXRo7WuO
乙!
騎士がピサロナイトだった事に驚いてしまったが、描写がホント最高でひたすら感動してしまった…!
故に惚れてしまった自分がいる(*´д`*)
死なないで欲しいが、とにかく続きが楽しみだ!

491 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/06(金) 20:02:31 ID:KvyBzHv4
乙!
そういや最近はその傾向も忘れ気味だったが、彼はvipperだったなw

>>490
俺の予想が確かならば、まだ貴様は驚かされる筈だ、とか言ってみる。
ああ、想像通りの展開だったら燃えるなぁ………。

492 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/06(金) 23:01:26 ID:CjDhCqGJ
乙カレー!

画面を見ながら
(・∀・)ニヤニヤしてしまう
この感じがなんともいえないww

493 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/07(土) 00:20:48 ID:7+jqeWP/
>>491
マジでか?w
それは楽しみだけど、結構皆予想とかしてるんだなー…と感心。
自分は全然予想できなかったな、話が凄く上手くて読むのに精一杯。
しかしプレステ版という事と今までのストーリーの展開具合いを考えて頑張って予想してみよう。






自分の陳腐な脳じゃことごとく外れそうだがw

494 :冒険の書庫の書記 ◆nUtX8ZK/82 :2005/05/07(土) 00:53:28 ID:08/cH748
ここまでセーブしました
http://www.geocities.jp/if_dq/
>>478
ありがとうございます。

495 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/07(土) 01:06:02 ID:tzYX+U7L
自分の作品に自信を無くした俺がいる

496 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/07(土) 01:53:40 ID:DACM1CAL
がんばれ
あきらめたらそこで試合終了だよ

497 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/07(土) 02:00:28 ID:7Ca9hBCI
深夜の町に突如現れた全裸の男はゆっくりと立ちあがると
町唯一の酒場へ向かって歩き出した。

生まれたままの姿で躊躇なく酒場の中へ入ってゆく大男。

「いらっしゃい。ここは出会いと別れの・・・ヒッ!!」

男の下半身を見るや、店の女主人が思わずのけぞる。
だが男は微塵も気にする素振りも見せず、無表情のまま女主人の前を過ぎる。
そしてなにやら店の客を値踏みするかのように、
店内をゆっくりと見回しながら更に奥へと進んでゆく。
突然の珍客に酒場の客はみなニヤニヤと笑みを浮かべながら好奇の視線を向けているが、
男はそんな視線などお構い無しとばかりに、相変わらず無表情で店内を物色している。

ふと男の視線が止まる。
その先には全裸男に負けずとも劣らない大柄な戦士風の男がビールジョッキ片手に
うすら笑いを浮かべながら珍客の挙動を見つめていた。
ようやく獲物を見定めたのか全裸男は向き直り、
店の一番奥のテーブルへと歩き出した。
視線は依然、鎧姿の大柄な戦士に向けられたままだ。

戦士風の男が上等とばかりに立ち上がり珍客を威圧する。
どうやらかなりの腕自慢のようだ。こちらは既に臨戦態勢。
そして二人の男が対峙する。
身の丈、体格共に同等といったところか。だが両者共、人並はずれた大男だ。
今にも掴みかからん形相の戦士とは対照的に、無表情のまま相手を見据える全裸。
だがそんな緊張も数刻だった。

沈黙を保っていた全裸が静かに重い口を開いたのだ・・・

全裸の男「君の装備している鎧がほしい。」

498 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/07(土) 02:07:17 ID:sqEyQxmG
495
俺もだ。君はなにを書いてんだい?

499 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/07(土) 03:01:19 ID:poOnpLaS
>>497
意味不明さにメガワロスww

500 :イムル〜バトランド  ◆gYINaOL2aE :2005/05/07(土) 03:51:15 ID:Bggy5lXA
天空の兜がソフィアの頭にふわりと納まる。
これ、さっき俺が装備しようとしたらとんでもなく重いんでやんの。
首が折れるかと思った。
俺たちがわいわいと生命の危機に陥っている中、ライアンが戻ってきた。
城にいた詩人が、天空の盾はバトランドにあるとの噂を聞いたらしい。そして、ライアン自身にも朧げながらも記憶にあるようだ。
バトランドはライアンの故郷である。
これは良い感じじゃね?という訳で俺たちは再び船に乗り込んだ。

船での生活も長くなったものである。
というか、最近は時間的に殆どを船で生活していると言っても良いのでは無いか。
荷物を背負って歩かなくても良いのは楽なのだが、やる事も多くなっている。
今回は少し箇条書きにしてみた。

・マーニャと修行
・ブライの様々な事物、魔法に関する講義
・ライアンの剣術指導
・クリフト&ミネアの魔法講座
・アリーナの遊び相手

最後が一番死ねる。
これらは基本的にマンツーマンで行われる事は無い。マーニャとのそれ位か?
ブライの講義やライアンの指導にはソフィアやアリーナが同席する事も多いし、クリフトやミネアも顔を出す。
アリーナの遊び相手になる時も大抵ソフィアが一緒である。
突然やってきたアリーナが、襟首掴んで俺を連行していくんでこう書いたが。俺に限らず彼女の被害に遭う者は少なくない。
で、まあ炊事洗濯やら雑事やらも多い。
……俺、頑張ってるなあ……。
とは言え、彼女ら導かれし者たちはその道のエキスパートばかりだし、この環境って地味に凄いんだろうな。
これらは俺の都合がメインではなく、基本的に彼女たちの暇を見て行われている。ま、当然ですが一応。

501 :イムル〜バトランド  ◆gYINaOL2aE :2005/05/07(土) 03:52:09 ID:Bggy5lXA


「なるほど。その突きは良いですな」

ある日の剣術指導風景。
俺の所作を見てライアンが頷いた。

「教えたのはミネア殿で?お見事です。初めて剣を振るう時は、どうしても腰が引けてしまうもの。
届かない斬りや払いは余計な隙を生みますからな。動作も少なく済みますから、体力の消耗も抑えられます。
しかし……突きは死太刀でもあります。どうしたものか……」

うーむ、と唸るライアン。
俺は、どういう事かを訊ねてみた。

「突きは確かに、届かない斬りや払いよりはマシですが、避けられた時の隙は多大なのです。
一撃必殺、二の太刀は無い。故に、死太刀、などとも言われる訳ですが――。
これからの事を考えたときに、その突きを伸ばすか、それともより実践的・総合的な剣術を学ぶか、その方向性をどうするか」

いずれにしても総合的な技術を学ぶ事にはなるのだが、その上でどちらに重点を置くかという話らしい。
より攻撃的になるならば、突きを伸ばした方が良いし、
防御的な性格を考慮するなら斬りや払いに、より手を出していった方が良いとライアンは言う。
少し考え込む。
何かを守るという事。それには、攻撃的な力が必要なのだろうか?

「今慌てて決める事もありますまい。ゆっくり考えてからで良いですぞ」

502 :イムル〜バトランド  ◆gYINaOL2aE :2005/05/07(土) 03:54:58 ID:Bggy5lXA
俺はその言葉に甘えてすぐに結論を出す事を避けた。
この選択は少し慎重にすべきだと思ったからだ。
戦うという事に対する覚悟はあっても、明確に殺しに行くかどうかはまた話が別だ。
出会い頭に襲われ、抵抗した結果殺してしまったというのが俺の限界で。
自衛の為に力をつけるのと、自衛の為に相手を殺す力をつけるのとでは、少し違う気がする。
殺す事をソフィア達に任せてしまって、俺は自分の身を守る技術を覚えれば良いのか。
恐らく皆はそれで良い、と言ってくれるだろうが…。
何かを奪う力ではなく、何かを守るための力。
俺の世界では、こういう物語がよく好まれたなと思い出す。確かに、それは理想的な力の行使だ。
だが実際に選ばないとならなくなった今、考えてみればその理想は様々なものを棚に上げ、他人に押し付けているのだと思い知る。
それは正しい事だろうか。いや、正しい訳が無い。ただ、卑怯なだけだ。
と、言っても、俺自身に明確な、何かを殺さなければならないと言う意識が余り無いのも確かなのだ。
何故、戦うのか。
襲われるから、撃退する。自衛の技術だけで済む話では無いか。わざわざ相手を殺す技術を得る必要はあるのか。
自衛の為に――仕方がなく、結果的に殺してしまう。俺の覚悟は、そこで止まっている。



スタンシアラから東へ。短くない距離を船で走破する。
目的の大陸に上陸した俺たちは、バトランドの王宮まではもう少し距離があった為、途中にあったイムルの村へと立ち寄った。
なんでも、この村を中心に起きた子供が消える事件をライアンが解決したらしく、
戦士はちょっとした英雄になっているらしい。

「小さな村ですからな」

戦士が照れたように頬を掻く。
道行く人々に声をかけられ、それに一々律儀に応対し変わりは無いかなどを訊ねていった。

「ええ、それが事件という程の事では無いのですが――。
今は、宿屋に泊まるとおかしな夢を見ると言う話で持ちきりですよ」

503 :イムル〜バトランド  ◆gYINaOL2aE :2005/05/07(土) 03:59:18 ID:Bggy5lXA
おかしな夢、か。
ま、いずれにしても宿屋はそこ一軒だろうし、今から夜通し歩くってのもだるいし。
泊まらざるを得ないんだろうが――淫夢とかだったらどうしようハァハァ。

問題の宿屋にて、男女でそれぞれ部屋を取った後、再び集合し食事とちょっとした会議が開かれる。
とはいえ、差し迫った議題があるわけでも無いし方針も決まっているので、なんのかんのとだべるだけではあるが。
ライアンが宿屋の主人やその家族との会話を終えてこちらに戻って来た所で、クリフトが彼の事件について訊ねた。
今回の話題はライアンが語り手となる。

「それで、その事件はいつ起きたんですか?」

「そうですな…数年…前ですかなあ。宿屋の息子も大きくなったものです」

一応、この世界にも年という概念はあるようである。
しかし、そうなると…。

「じゃあ、それからずっと勇者ちゃんを探してたの?」

「まあ、そうなりますか」

問いかけるマーニャに、ライアンは事も無げに言い放った。
簡単そうに言うが、居るかどうかも解らない、居たとしても何処にいるのかも解らない、勇者を探す旅を長い間続けるというのはどういう心境なのだろう。

「大変ではありましたが、楽しいことも多くありました。
私はそれまでバトランドを出た事もなく、また出る事も無くゆったりとした時間の中で老い、朽ちて行くのだと半ば達観しておりました。
それが表にも出ていたのか、同僚にはのろまのライアン、などと揶揄される事もあったくらいで…」

戦士がカイゼル髭を撫でながら面映そうに笑う。
今のこの男が元昼行灯とか無気力症候群だったとか言われてもとても信じられんのだが…。

504 :イムル〜バトランド  ◆gYINaOL2aE :2005/05/07(土) 04:01:21 ID:Bggy5lXA
「城を出て、見聞を広める内に自分がどれだけ狭い世界に居たのかを思い知らされました。
これというのも、勇者殿の存在と、私の勝手な願いを聞き届けてくれた王のお陰…そこで、勇者殿。お願いがあるのですが…。
王に、貴女を勇者として紹介しても宜しいか?」

ソフィアはすぐには返答できなかった。
それでも、小さく頷きはしたが――今日の所はそれで解散となり、各々部屋へと戻っていく。
俺とソフィアだけが残った。――少女に、服の裾を掴まれていたからだ。
俺は少女がその意思を顕にしてくれるまでじっと待つ。
――そういえば、ここの所ずっとソフィアはどっかよそよそしかったっけ。
結局俺にはどういう事か解らず、時間が解決してくれるだろうと考えて、結果的には普通に接するくらいには修復されていたのだが。

『ライアンさんは…私にとても気を遣ってくれてる。重荷をただ背負わせる事のないよう、いつも配慮してくれてる』

頷く。そして、続きを促した。

『…勇者って、何?私は、別に勇者だから戦っているんじゃない。だけど、皆は私を勇者だと言う。
この天空の兜も、それを証明していると言う。
パノンさんはスタンシアラの王様に、私が世界を救い人々が心から笑える日を取り戻してくれるでしょうって言ったけど…。
もしかしたら結果的にそうなるかもしれない。だけど、私はそれを第一に考えている訳じゃない。
それでも――私は、勇者なのかな?』

少女は多弁だった。
いや、それまでずっと内に抱えていたものを少しだけ吐き出したと言った方が正しいか。
――これも、全てでは無い筈だ。

505 :イムル〜バトランド  ◆gYINaOL2aE :2005/05/07(土) 04:06:34 ID:Bggy5lXA
勇者の解釈。

この世界の人間は、俺が見た限り勇者とは人間を救ってくれるものだと無条件で信じている節がある。
俺の世界での勇者が、時に冗談のような使い方、アホな人間を揶揄する時にすら使われる事もあるのと比べると対照的だ。
人々は、ソフィアを勇者と呼ぶ。その中に悪意は無いだろう。しかし、好意しか無いというのも問題なのだが。
勇者だから人々に期待される。だがそれ以上に――ソフィアにとっては。
勇者だから、村を滅ぼされた。その度合いの方が強いのではないだろうか。
何故、ソフィアは勇者なのだろう?――誰が、決めた?
…此処で俺は既に一つの仮説を立てている。
ソフィアに勇者という過酷な運命を背負わせたのは、神、では無いか、と。

「もう少しで…その答えも出るような気がする」

その時、君は――もし俺の仮説が正しかったなら、一体どうするのだろう。

506 :イムル〜バトランド  ◆gYINaOL2aE :2005/05/07(土) 04:12:58 ID:Bggy5lXA




その夜、夢を見た。
人とは思えぬ陶器のような美しさを湛えた少女。
彼女は、すらりと高い塔に住んでいて、
そこに入るには笛を奏でなければならない。
太古の仕掛けが用いられた塔を訪れる銀髪の男。
男女は互いの名を呼び合う。
人間を滅ぼそうとする魔族の王と。
それを諫める麗しい娘。
ピサロと、
ロザリー。
魔王は、娘の言を聞き入れずにまた去(い)ってしまう。
少女は祈る。
誰か――ピサロ様を、止めてください。
届いて欲しい。この、想い――。





翌日、俺たちは皆が同じ夢を見た事を確認したが、夢の内容については積極的に検討しなかった。
ピサロの恋人のような娘。彼女の願いは、ピサロを止めてくれる者が現れる事。
だが――止める、とはなんだ。
つまり、ピサロを殺せと言っているのか――そうではあるまいな。
そしてそうでない以上、例えただの夢では無かったとしても、一行の中心であるソフィアが納得する筈が無い。
故に、不思議な夢の話はこの時それ以上膨らむ事は無かった。

507 :イムル〜バトランド  ◆gYINaOL2aE :2005/05/07(土) 04:14:25 ID:Bggy5lXA



バトランドで、勇者と呼ばれる少女は王との謁見をはたした。
ライアンの良き理解者であり、質実剛健を地で行くかのような王は、戦士が見事目的を達成した事を喜び、
一同を歓待してくれた。

まあ、肝心の天空の盾は無かった訳だが。
何でも昔、隣国のガーデンブルクの女王にあげてしまったらしい。
あげるってなんだ。献上?それとも贈呈?あー、いや、女王に、か。
ガーデンブルクという国の性質も考えるとこれはちょっと色々事情があるのかもしれない。

夜には小さな宴が開かれた。
ライアンが目的を達成したお祝いと、更に続く旅への壮行会のようなものも兼ねている。
そして、主賓にもう一人。勇者その人である。
事件を解決し、自国の村を救った英雄の帰還と、噂に名高い勇者の存命且つ、来訪は明るいニュースだったのだろう。
大々的にしないのは、配慮であるとも取れるし、相応のレベルかなとも思う。
今迄の城でこんな待遇を受けた事は無いし。サントハイムが正常な状態なら、違っただろうが…。
まあ、勇者と言っても山師的なのもいるだろうし、やはりライアンの存在なんだろうな。

俺たちはそれぞれ、正装をさせられた。タキシードだか燕尾服だかそういうの。
襟元が苦しい…しかし、トルネコのサイズもちゃんとあるんだから、王宮ってのは準備の良いものだなあ。
女たちはそれぞれにドレスを着ていた。
マーニャは相変わらず露出のでかい上にきらきらとした派手な衣装だし、ミネアはそれとは対照的に落ち着いた色の、控え目な装いだ。
ま、どっちも似合っているのだが。
アリーナは髪を結い上げて、スカートの大きなまさにプリンセスと言った感じのドレスを着ている。
彼女自身は動き難いと嫌がったそうだが、ブライの泣きが入ったらしい。
ソフィアの方は青緑を基調としたドレスが髪とマッチして可愛らしかった。
頭にはティアラではなく天空の兜をそのままつけていたが、あれは兜って感じでも無い為それほど違和感は無い。
とりあえず、うちの女性陣は美人揃いで非常に見目麗しいのだが、男どもはダメだなあと思った。(主に俺とトルネコとブライ)

508 :イムル〜バトランド  ◆gYINaOL2aE :2005/05/07(土) 04:16:45 ID:Bggy5lXA

アリーナとクリフトが危なげないダンスを披露している。
こう見ると、やっぱりお姫様だよなあ。クリフトの作法も実に堂に入ったものだ。
ライアンがソフィアを伴い、フロアの中央に進む。
…ソフィアは確か、田舎者の筈だが…大丈夫だろうか…。
俺の心配通りに、少女のステップは滅茶苦茶で、少し場の空気が変わる。
だが、それを無難にまとめ見事なリードをしてみせたのが王宮戦士であった。
鎧姿を見慣れてしまった俺たちにしてみれば、彼の正装はちょっとおかしかったのだが、こういう場に立ってみると馴染んでいるなと思わせられる。

「へー。中々やるじゃない。だけど、まだまだねー。私のレベルについてこれるいい男はいないみたい」

マーニャさんが酷評なさる。
…誰にも聴こえてないだろうな?何で俺がびくびくしないとダメなんだろう。

「…ふん。宮廷のきの字も知らない小娘が…宮廷ダンスの奥深さも知らぬと見える…」

ヒイ!?
なんでこう、マーニャとブライは衝突するんだ!?
二人は俺を挟んで火花を散らしている。何で俺は挟まれてるんだろう。今度からはもっと立ち位置をチェックしないと…。

「あーら。お爺ちゃんが私のステップについてこれるかしら?」

「やめておけやめておけ。おぬしの足がもつれてすっ転ぶだけじゃ」

「……私が足をもつれさせるですって?上等じゃない……年寄りだからって容赦しないわよ!?」

睨み合う二人はそのままずんずんとフロアに降り立ち踊り始める。
その、竜虎相打つと言った――主に表情に出ている鬼気迫る雰囲気に、周りからもどよめきが起こる。
パフォーマーがするようなその大袈裟な表情が怖いと言うか、面白いと言うか。笑いが我慢できないというか。

俺とミネアとトルネコは壁の花だ。
ミネアの方は、何度か誘われているようだが全て断っていた。

509 :イムル〜バトランド  ◆gYINaOL2aE :2005/05/07(土) 04:27:05 ID:Bggy5lXA
「私は、こういうのはちょっと…」

苦手らしい。ま、それっぽいっすね。
俺とトルネコにはそういう浮いた噂は無い。
ああ、この恰幅の良い親父の隣という位置。実に落ち着く。もしかしたら、此処こそが、俺の真のポジションなんじゃないか?

「何ぼーっとしてるの?踊ろー!」

突然にゅっとアリーナが顔を出してきた。
驚いてのけぞる俺。TU−KA庶民の俺が踊れる訳ねーだろーが。アホか。っかー、これだから王族とか貴族ってやつぁー困るぜぇ。
俺のやさぐれをアリーナは全く気にせず、フロアの中央へとずるずる引き摺っていく。
クリフトが姫君を止められないのを謝るかのように両手を合わせているのが見えた。

「大丈夫よ。皆最初から踊れる訳ないんだから。基本ステップだけ覚えて、後は曲に合わせて動けばそれでいいの。
別に難しい技とかしてかっこつける必要なんて無いし」

そうは言っても。
人前で下手を晒して恥をかきたくないし、周りの視線が気になるのは最早病気の域だ。
――笑われている気がする。これだけでもう、身体が動かない。

「此処にいる人達は別に貴方の粗を探して喜ぶ為に来てる訳じゃないでしょー?
中には性根の腐ったのもいるかもしれないけど、そういうのは極少数!基本的に皆味方だから!
それに相手が典型的な貴族の娘とかならアレかもしれないけど私なら別に足踏んでも大丈夫よ」

アリーナらしい強引な理屈だなと半ば感嘆しながら、結局流される意志薄弱な俺。
基本ステップ…を覚えるのですら大分手間取った。それから先は、主にアリーナがくるくる回るのに合わせて、身体の位置をずらすといった程度である。
それでも踊っているように見えるんだろうか?よくわかんね。それより、この身体の密着具合が鬱で死にたくなる。

「ね?大丈夫でしょ?ダンスはね、踊っている人が楽しいと感じる事が一番大事なのよ」

510 :イムル〜バトランド  ◆gYINaOL2aE :2005/05/07(土) 04:28:51 ID:Bggy5lXA
満面の笑みを浮かべて少女がそう言った。
彼女も元気になったものである。やはり、父の残した言葉というのが偉大だったのだろう。
ようやく解放され、アリーナ姫も気が済んだのかなと思いきや、今度はトルネコにレクチャーするようである。
全くもって元気の塊のようだ。
俺が再び壁際に戻ると、ミネアに声をかけられた。

「見てましたよ。お上手じゃないですか」

彼女の世辞に素直に礼を言う。

「折角ですし、ソフィアさんを誘ってみたらどうですか?」

お前な。
何が折角なんだと。
その折角の遣い方は絶対におかしい。コンバット越前の『せっかくだから俺はこの赤の扉を選ぶぜ』並におかしい。
あのな。折角だからってのは割といい加減な表現なんだよ。
ソフィアを誘うって。女の子をダンスに誘うってのはそんないい加減にできるもんじゃねーだろ。
どこぞのホストでも池面でもない俺になんでそんなハードルの高い要求してくれてるのか小一時間問い詰めたい。

「……何だか凄い必死ですね……ですが、アリーナさんと踊ってソフィアさんとは踊れないんですか?」

は……あ、そうか。これは所謂、社交辞令……礼儀的な一面って事か?
あーなんかそんなのありそうね。貴族社会の通例なんてしらんけど、誰か一人をやたらちやほやするのってジョンブルっぽくない。
別にアリーナをちやほやした覚えも無いんだが…引き摺られただけだし…うーむ。
なんかやだな。何かの罰ゲームで隣にいる女の子グループをナンパする位に嫌だ。
けどまあ、相手がソフィアなだけ気が楽かもしれないが。

「うだうだしてないで行け!」

マーニャにぼかんと尻を蹴っ飛ばされる。
なんか汗だくではーはー荒い息を吐いてるぞ…ブライは倒れてるし。魂出てないだろうな?
どうやらかなり白熱した好勝負だったらしい。種類の違うダンスとは言え、踊り子と渡り合えるのだからこれはブライを褒めるべきだろう。

511 :イムル〜バトランド  ◆gYINaOL2aE :2005/05/07(土) 04:31:43 ID:Bggy5lXA
ソフィアはライアンと踊り終えた後は、フロアを見ているだけで誰とも踊っていないようだった。
誘われはするものの、丁重に断っている。
断ってくれると逆に、恥をかかずに済むかもしれない…あれ?断られるのはいいの?まあ、ある意味当然の結果だと思えるし…。
ネガティブな思考で逃げ道を作りつつ、ソフィアに手を差し伸べる。
少女は少し驚いた顔をした。

あああああああああああああああああああああああああああああ死にたい。いや、死のう。

驚かれるってどうしたらいいかわかんないけど微妙だよね!!
腰が砕けにそうになる俺。そんな俺を哀れんでくれたのか、少女はそっと小さな手を添えた。

手袋をしていても、解る。少女の手はその容姿や年齢に似合わず、酷く荒れていた。

毎日行われる鍛錬により豆ができ、潰れ、治りきらぬ上から鍛錬を重ねる毎日の証。
少女と同じ手をしている女性は、この場では恐らくアリーナだけであろう。
今度は少女がしまったという顔をして、手を引っ込めようとした。
それを咄嗟に掴み止める。
これは、哀れみでは無い。少女の荒れた手が嫌だなんて、俺は思っていないのだから。
では少女が俺に手を添えたのは哀れみだったのだろうか?
俺はそんな事はどうでも良いと思った。そんなのは、どちらでも良い事だ。

512 :イムル〜バトランド  ◆gYINaOL2aE :2005/05/07(土) 04:36:46 ID:Bggy5lXA

つたない足取りでステップを踏む。
勇者と、その従者のような者のダンスは、とても見れたものでは無かった。
だが、二人は楽しそうであり、それをハラハラと見守る周囲の人々にもまた、暖かい笑顔が浮かんでいた。



HP:78/78
MP:36/36

Eはじゃの剣 Eみかわしの服 Eパンツ

戦闘:物理障壁,攻勢力向上
通常:

513 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/07(土) 08:23:17 ID:8Jurkoi7
>>497
タミさんキターーーーーww

>>◆gYINaOL2aE氏
これからもがんがって下さい

514 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/07(土) 09:04:41 ID:2xnU1zy6
>>497
ターミネータープギャワロスwwww

515 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/07(土) 11:09:13 ID:dGe8kNi1
http://k.pic.to/r1vc

516 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/07(土) 19:01:05 ID:gzKEIz52
>>書記の人
まとめサイトの現行スレのとこ
×宿 ○宿屋
なので、修正よろ。

517 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/07(土) 19:39:35 ID:mTpZVmNx
>>◆gYINaOL2aE氏
設定をただ使うだけじゃなくて綺麗に活用してみせてる辺り凄いなあと思う。
キャラクターが実にいいなぁ。トルネコの隣は落ち着くだろうなぁw
次はリアル「その歳で童貞なんて(ry」の国だ(多分)!頑張れ主人公!w

518 :497の続き :2005/05/07(土) 20:33:35 ID:mF9/Wcwq
目前の裸のジョークに
他の客はおろか、対峙していた戦士もたまらず声を上げて笑った。
張り詰めた空気から一変、店内を爆笑の渦が支配する。
だが当の全裸男は意に介さずといった様子で、
目の前の戦を直視したまま、戦士の返答を待っていた。

「力ずくで奪ってみな。」

それが戦士の返答だった。
すると彼の仲間とおぼしきターバンを巻いた男が、
持っていたひのきの棒を全裸男の後ろから背中めがけて振り下ろす。
その衝撃にバキリと折れるひのきの棒。
だが殴られた全裸男は微動だにせず、ゆらりと振り返り男を一瞥する。
そして次の瞬間、折れ残った柄を持ったターバン男の右手を素早く掴むと、
あっという間にテーブルに組み伏せ、表情ひとつ変えずにその腕をへし折った!

「ギャアアアアアーーー!!!!」

ターバン男の悲鳴で店内の雰囲気が一転する。
店の客から笑顔が消える。
その内の数人がエモノを携え全裸男を取り囲み、そして一斉に飛びかかった!

軽やかなフットワークで全裸男の目前に踊り出る武道家。
だが全裸男はその拳をやすやすと受け止め、強烈なボディを見舞った。
その一撃で活力を失った武道家は力なくその場に崩れる。
他の者も同様だった、成す術なく返り討ちにされ、
彼を取り囲んだ5人の猛者はあっけなく床に転がった。

519 :497の続き :2005/05/07(土) 20:34:39 ID:mF9/Wcwq
全裸男が先程の戦士に歩み寄る。
派手な立ち回りにも関わらず汗ひとつかいた様子は無い。
その表情は依然、無表情のままである。
既に余裕を失った鎧姿の戦士。
だが次の瞬間、彼は懐から一振りのブロンズナイフを取り出すと、
全裸男の脇腹に突き立てた!

「見たかこの変態野郎がぁ!!」

そんな戦士の突然の暴挙にも動じず、全裸男は己の身体に刺さったナイフをちらりと見るや、
すぐに視線を戻し相手の胸倉を掴むと、身長2mはあろうかという巨漢の戦士を片手で高々と持ち上げた!

戦士「うおっ・・・!?離せ!!離しやがれ!!」
全裸「離してほしいのか?」

そう言うと全裸男はロクに相手の返答も待たずに
宙に浮いたまま足をバタつかせる戦士の巨漢を、その鬼人の如き豪腕で放り投げた!!
まるで人形のように宙を舞った戦士の身体は店のテーブルを2つ飛び越え
緩やかな弧を描いた後、壁に激突した!
背中をしたたかに打ちつけ、うめき声を上げて床にうずくまっている戦士を
全裸男がその傍らに仁王立ちで見下ろす。
すると戦士はすぐにたちあがり、なんとなかまになりたそうにこちらを見ている!!
なかまにしますか?

全裸「・・・いいえ。」
戦士「お・・・オレが悪かった!!・・・な?許してくれよ!」

必死の形相で許しを乞う戦士。
だが彼はまだ全裸男の要求に応えてはいない。
おびえる彼の顔と彼の身に付けている鎧とを交互に見つめる全裸。
ようやく全裸男の本心を察した戦士が、身に付けていた鎧を全裸に託す。

520 :497の続き :2005/05/07(土) 20:35:50 ID:mF9/Wcwq
全裸男「ありがとう。」

無表情のままそれを受け取り、礼を述べる全裸男。
今まで戦士が身に付けていた革の鎧は、まるで測ったかのように全裸男のぶ厚い胸板に収まった。
目的を果たした元全裸男がくるりと振り返り店の入り口へと歩き出す。
だが店を出て間も無く、納得のいかない一人の男が彼を呼び止めた。

覆面「このクソ野郎!!店をメチャクチャにしやがって!!」

どうやら店の関係者らしい。
顔面を角の生えたマスクで覆い、下半身はビキニパンツ一丁といういでたちで
手に持った棍棒を今にも振り下ろさんとしている。相当興奮しているようだ。
詫びすら入れずに無言で近付く元全裸。
だが先程の全裸男の立ち回りを目の当たりにした覆面は、元全裸と相対し完全に腰が引けている。
しかも今度は鎧付きだ。もう全裸じゃない。とてもじゃないが覆面に勝ち目はないだろう。
そして元全裸は覆面の目前に立つと、目にもとまらぬ速さで覆面から棍棒を取り上げた!
唯一の武器を一瞬にして奪われた覆面は一気に戦意喪失し、その場にへたりこむ。
覆面の顔にゆっくりと手を伸ばす元全裸。おびえる覆面。

覆面「駄目だ・・・殺される!!」

だが元全裸は覆面の被っているマスクの角を掴み、そのままゆっくりと引き上げ自らそれを被った。
覆面から取り上げたマスクを自ら被り第二の覆面となった元全裸。
こうして革の鎧のみならず棍棒、さらには角マスクまで手に入れた二代目覆面は新たな世界へと旅立った・・・

T-1000 
しょくぎょう ふくめん おとこ

E こんぼう
E かわのよろい
E ふくめん
ブロンズナイフ

521 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/07(土) 20:49:53 ID:k5SKnPJZ
和露誰

522 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/07(土) 20:58:52 ID:Tx9q5fhG
>・・・いいえ。
バギワロ

523 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/07(土) 21:11:05 ID:jPJrbDYc
DQターミネーター、マジワラタ
一発ネタだと思ってたけど続くのか、楽しみ
>>◆gYINaOL2aE氏
あいかわらずおもしろいです
次は女の花園か…楽しみにしてます

524 :冒険の書庫の書記 ◆nUtX8ZK/82 :2005/05/08(日) 00:31:11 ID:YJZw/u3X
ここまでセーブしました
http://www.geocities.jp/if_dq/

525 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/08(日) 07:12:37 ID:vgkhzBjw
てか刺さったままじゃんW

526 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/08(日) 09:34:35 ID:8w0e3Z75
 

527 : :2005/05/08(日) 10:19:02 ID:la7SEAN1
俺がたてたスレでここまで勢いがあるのは初めてだ

528 :497 :2005/05/08(日) 14:38:58 ID:tAmCQ02W
T-1000・・・×
T-800・・・○

勘違いスマソ


529 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/09(月) 00:43:42 ID:bZ6+lrAM
T-1000だとジェリーマンになってしまうな

530 :ガーデンブルグ  ◆gYINaOL2aE :2005/05/09(月) 00:53:04 ID:KCxLfGkL
俺は今、












              *ろうやのなかにいる*















531 :ガーデンブルグ  ◆gYINaOL2aE :2005/05/09(月) 00:53:38 ID:KCxLfGkL
ああ…。石壁が冷たいのよぉ…。
なんかもう俺の人生設計は完全に瓦解したな…。
常に限りなく白に近いグレーを歩み、決して犯罪はしないで細々と欲求を満たしつつ、
平々凡々とした一生を送りたかったのに…。
獄に繋がれるっていよいよもうダメじゃん…。気持ち的にダメになる…。
ソフィアちゃんが隣に寝てた時以上に悪い状況やよね…。

そもそも、何で箪笥を開けたら怒られるんだ。
ずっとそうしてきた!それでも何も言われなかった!!
下着を被って遊んでいたんだ何が悪い!!

……。
悪い事だね。



バトランドから更に東へ進む途中、巨大な岩が道を塞いでいた。
だが、サントハイムの宝物庫にあったマグマの杖をブライが設置すると、岩はたちまちどろどろに溶けてしまった。
武器や鎧には特殊な力を持つものがあるという。俺の持っている破邪の剣もそうらしい。詳しくは後の講義でブライが教えてくれる事となった。
ガーデンブルクは女性の国。
と、言っても女しか居ないという訳でもないようだ。ま、当たり前と言えば当たり前だが。
ジェンダーとかあんまり好きくないし、俺は女に対して極端な被害妄想が発症するものだから最初は気が乗らなかったのだが、
女性陣がこぞってピンクのレオタードを購入し、装備し始めた当たりから色んな所のテンションが妙に上がってしまった。
それが失態である。
此処までの旅の道中で、ソフィア達が結構好き勝手に壷を割ったりしていたのを見ていた俺は、調子に乗ってしまいある部屋の箪笥を開けてしまった。
そして、つい、下着を発見してしまったのだ。
考えてみると此処は異世界である。現実の法など適用される事も無いのではないかと今更ながらに思ったから。
網タイツを履いて準備完了。

532 :ガーデンブルグ  ◆gYINaOL2aE :2005/05/09(月) 00:57:14 ID:KCxLfGkL
クロス・アウッ!!!(脱衣!!)

                    ,_,..,ィヽ,、       |
                   /;;::r‐〜-ミ、     |   ウ ェ ル カ ム
                 4~/へi::::::;/,ヘミ7     |  W E L C O M E !
                 '-l|<>|:::::|<フ1|i'    ノ  ( よ う こ そ )
                    l! '" |::::l、~`リ    へ
              /`ー、  ハー;";::i:::ヾイl! ,r'~`ヽ、 \
           ,.ィ" ri l i ト、 1:|`丶:;;;:イ' ill!7、 、 y;  ヽ、_` ー―――――
      ,. -‐''" 、 くゝソノリ~i | - 、 , -‐'7ハ ヾニト-    ~` ー- 、_
   , ィ ´      ,ゝ、_ `r'   l |  、レ // `テ三..ノく _ `       ヽ、
  /       , -' ,、  `、_)   l,i,  i //  (/  ...,,;;;;:` 、        ヽ
 ;'       '" ノ ;;;;::::      i !  : //    .....:::::;;イ、_、_\ _    _ノ
 l ..,, __,ィ"-‐´ ̄`i::::: ゙゙゙= ...,,,,,. l | ,//  - = ""::;; :/       ` '''' '"
            ヾ :;;;,,     ,i l,//     ,,..," /         _,,.....,_
   ,. -- .,_        \ :;,.   ;'  V ;!   `;  /;: ノ      ,.ィ'"XXXXヽ
  /XXX;iXXミ;:-,、     ヾ  '" ''' /./!  ヾ   /    ,. - '"XXXXXXXX;i!
 ,!XXXXi!XXXXX;`iー;,、  i   、. / ;:::゙i   ;: , |  ,. r'"XXXXXXi!XXXXXX:l!
 |XXXXX;|XXXXX;|::::::::|`ヽ、    ,! ,': : :|    ,.レ"::::|XXXXXXX|XXXXXXX;l!
 !XXXXX;|XXXXX:|:::::::::i  `   ;! : :  i!  / !:::::::::|XXXXXXX|!XXXXXXX|
 XXXXXx|XXXXX;!:::::::::::!   `. /::    | '"   l:::::::::::|XXXXXXX|XXXXXXX |
 XXXXXx!XXXXxリ:::::::::::!    |::     |    i:::::::::::ゞXXXXXツ1XXXXXXX|
 XXXXX/ \XXソ::::::::::/     i!::    ノ     i!::::::::::::ゞXX:/  lXXXXXXX|
 XXXX:/   `ヾ::;;;;;:ツ      ヾ;::: ; ノ      ヾ:;;:::::::ゝ'"     ヾXXXXX |

533 :ガーデンブルグ  ◆gYINaOL2aE :2005/05/09(月) 00:58:13 ID:KCxLfGkL
…もう、語るのすら辛くなってきた…。
今、思えばどうして脱いだのか全く持って自分でも解らない…いくらソフィア達より先行していたとは言え…俺が俺じゃないような…俺って誰だ…。
テンションが上がるのって怖いな…これが俺のスーパーハイテンション?それとも更に高みがあるのか。
そのままの姿で連行された俺は周りから大分冷たい眼で見られたが、何故か興奮してる自分が居たりして余計に涅槃に赴きたくなる。
女王の前まで引き立てられた俺達に、主な罪状はロザリオの強奪だと言い渡される。(下着は別に盗もうとした訳では無い、というのが認められた。何故?)
無くなったらしいロザリオについて、こっちは知らんから濡れ衣である。
その旨を訴えると女王は、信用するから犯人を捕まえて見せろとか言い出した。
これだからヒステリックな女は嫌いなんですよー。
濡れ衣だと言うなら自分達の無罪を証明してみせろってその理屈なんかおかしくねー?その前に証拠がねーだろう証拠が!
そんな真っ当な反論も、この姿では形を成す訳が無い。変態って辛いね…。というか俺自身が証拠になりかねんよな…。



現在の俺は、人質というわけである。全員で捕まえに行ったら、そのまま逃げちゃうしね。
人質を選択する時に、微妙な牽制の仕合があったのだが、俺に決まった時のトルネコの顔が忘れられない。

諦観から意外、そして歓喜へと変わる一連の変化…。

俺の悲しい慟哭が地下に響く。
なんだか虚しくなってきたので、この機会に本でも読む事にしよう。
十分な灯りがあるとは言えないが仕方があるまい。
ソフィア達が冤罪を晴らしてくれるまでの我慢だ。
この本は、例のエドガン秘密研究所にあったものを拝借した手記のようなものである。
とりあえず、最も気になっていた『進化の秘法』について、何か解らないかとぱらぱらめくっていく。
あったあった…。



534 :ガーデンブルグ  ◆gYINaOL2aE :2005/05/09(月) 01:03:32 ID:KCxLfGkL

『進化の秘法が及ぼす変質についての考察。

勿論、ここでは具体的な内容などは言及しない。
あれは封印すべき邪悪なる法であるからだ。
見つけてしまった私の責任において破棄するとして、此処では、何故進化の秘法が邪悪なそれかという簡単なメモを残しておく。
いずれまとめて後の世の警鐘としたい…が、それすらも残さない方が良いのかもしれない。
そういった存在があるという事を知ってしまえば、好奇心を強くもつ人と言う種族にとって不幸な知識になってしまうかもしれないからだ。
結局私自身の手で燃やす事になり、徒労となるかもしれないが、それはそれで良いだろう。
だがこの手記が存在している間は、記しておかなければならない事がある。
この法は、唯、単純に力が手に入ると言った類のものでは無いという事を。

進化の秘法の使用に際し、起こる現象として最も注目されるのが肉体的変質である。
見た目にも解りやすく、外部への影響も大きい。
これは別の項でまとめるとして、此処では私が最も懸念する現象を記述したい。

それは、精神的変質である。

肉体的な変質は進化の秘法の進行具合や資質にも依るのだが、元に戻れるケースがある。
だが、精神的変質が元に戻る事は――奇跡などが起こらぬ限りありえ無い。
まず、欲、そして強い感情などが増幅される。
肥大化した欲を満たす為、肉体の変質が始まるが、元の身体を維持する事は当然ながらできない。
優先順位が変わるのだ。…こんなものに手を出すとするなら、その程度の事は覚悟の上で望むものかもしれないが…。
力は強くなり、炎や吹雪を操る化け物となる。だが、それでも欲は決して満たされない。
満たされた時こそ、進化の終るときだからだ。
延々と無間地獄のように続く進化の中で、止められない欲を満たす為あらゆる倫理観が崩壊し、己の法でのみ活動するようになる事が、
この進化の秘法の邪悪さの根源と言えるだろう。

錬金術において進化とは――』

535 :ガーデンブルグ  ◆gYINaOL2aE :2005/05/09(月) 01:04:31 ID:KCxLfGkL

あれ?ここで切れてる…うーん、まあ、なんだろう。
あんまり解ったことってないな。
それも仕方が無いか。エドガン自身の為のメモのようだし、バリバリ解るものが残っていたらそれはそれで問題だろうしな。
進化の秘法の困るところっていうのが、倫理観の崩壊であるって事なんだろうけど…。
欲、欲か。
食欲、性欲、睡眠欲…。それ以外にも、何かしらの欲というものを人…いや、意思、意識あるものは持っている。
同時に大なり小なり我慢して生きていく。そうしなければ、社会は成り立たないだろう。
…進化の秘法を使うと、その欲が我慢できない位に増幅されてしまう。『手段』による『目的』の変質…。
『目的』に達するための『手段』なのに、永遠に『目的』が達成される事が無くなる『手段』でもある…。
それは殆どの目的にとって、相応しい手段足りえない。
肉体的な力も強くなってるから、周りにとっては傍迷惑な事この上なくなってしまう、と。

「何を読んでるんですか?」

っぷぉあ!?
耳元に響いた声に、俺は驚いて跳ね上がる。
疚しい事は何も無いのだが、寝床の下に本を隠す。まるでエロ本を隠すかのように。
声の主はミネアだった。な、なんでこんなとこに居るんだ。確かガーデンブルク南の洞窟に盗賊を追いかけてるんじゃ…。

「ええ、少し思うところがありまして。人質になる事にしました。
普通に兵士の方に鍵を開けてもらって、入ってきたんですけど…何か集中して読んでいたようですね」

全く気付かなかった。
っつか、ミネアが人質やるなら俺はいなくても良いんじゃ…。

「そうでしょうけど、まあ良いじゃないですか」

536 :ガーデンブルグ  ◆gYINaOL2aE :2005/05/09(月) 01:05:24 ID:KCxLfGkL
…良いのか?いや、どうなんだろう…。
ちらりと羽織った外套の裾から太ももが覗く。
あ、あぁーーっ!?ミネアもレオタードじゃん!?
£ヽレ)£ヽレ)£ヽレ)£ヽレ)!!!!!!!!!!ギャル文字使っちゃう位無理だよ!!
――こんな狭くて薄暗い所で、レオタード着た美人と二人きり――。
俺は慌てて煩悩を退散させる為の呪文を唱え始める。

(落ちつくんだ…『素数』を数えて落ちつくんだ…『素数』は1と自分の数でしか割ることのできない孤独な数字…俺に勇気を与えてくれる。
2…3…5…7…11…13…17…19…)

「それにしても、私たちも長い付き合いになりましたね。
あのエンドールで出会ったのは、もうどの位昔になるでしょう」

少し不自然な話の振り方に少々戸惑いながらも、
俺もまたあの頃へと思いを馳せる。

そう――どの位になるのだろう。
一年?二年か?それ以上かもしれない。

「貴方は――少し、逞しくなりましたね」

そうだろうか?――そうかもしれない。
腕も足も大分太くなってしまっているし、肌も少し日焼けしている。
大地を歩き続けることで体力もついた。元々、体格はそこそこだったのでそれなりに見れるかもしれない。

顔以外は('A`)

「以前の貴方は、とても弱々しかったけれど。
そういえば、出会う前の貴方は何をしていたんですっけ」

537 :ガーデンブルグ  ◆gYINaOL2aE :2005/05/09(月) 01:07:38 ID:KCxLfGkL
……。
それは、その。まあ、旅とか。旅人だった訳で。

「ええ、そう仰られてましたね。
あの細腕で、この物騒な時に一人旅を」

……。

「私…。貴方を責めているのではありません。
ですが、少々納得できないのも事実なんです。疑念という程のものではありませんが、すっきりしたい。
覚えてますか?サントハイム城で、バルザックによって貴方が斃された時…」

ああ、と小さく頷いた。
頷きながらも、どうしたものかと頭を回転させていたが、妙案は浮かばない。

「擬似蘇生(ザオラル)という呪文は、体組織の再生の後、意志――魂とは少し違うのですがそれに近い――を引き戻す必要があります。
完全蘇生(ザオリク)との違いはそこにあるのですが…あちらはより、洗練された知識と現界力が必要になり、高度なんです。
…意志を引き戻すという行為の途中、術者は対象の精神に直接触れます。それで――まあ、その……色々と、視えるんです」

なんで顔を赤らめてるんだろう?
……おま、バカ、何視たんだ!?

「いいんです!何も視てません!いえ、視えたんですけどそういうのは見て無いんです!!
ですから、私が言いたいのは――貴方には、背景が何も視えなかったんです。勿論、全て視えしまうなどと言う事は無いのですが…。
貴方はまるで、ソフィアさんと出会った瞬間に、産まれたかのように……ソフィアさんや私たちと居る時が全てのようで……。
いえ、それも事実ではありません。…視えた事を信じ、伝えてきた私がこんな言い難い事は初めてです。
私自身が、信じ難い――あまりに荒唐無稽な。
笑わないでください。貴方に、私は――まるで、異世界を視たんです」

――――。
……そう、か。あの時の、あの視線は……そういう意味の……。

538 :ガーデンブルグ  ◆gYINaOL2aE :2005/05/09(月) 01:09:15 ID:KCxLfGkL
「貴方にとってはきっと荒唐無稽なんかじゃない、真実なのだと思います。
だけどあまりに突飛だから――誰にも話さなかったとしても、不思議ではない。
……今迄一緒に旅をしてきて、今更貴方を疑う事などありません。
ですから、貴方から聞きたいのです」

……それを聞いて、どうするんだ。

「どうもしません。望まれないのであれば他の人に話しもしません。
だけど、私は視てしまったから――。視てみぬ振りをしたくなかった。
…私では貴方と同じ世界を共有することは出来ないかもしれない。それでも、少しは耐性があるつもりです。
ずっと、お独りで居らしたのではないですか?心の内では」

ああ、そう、かも、しれ、ない。
ずっと、ずぅっと独りぼっちだったのだろうか。
思い出を共有する相手も、常識を共有する相手もいない。
知識を共有できる相手もいないし、目的を共有する相手もいなかった。

遥かな異世界で唯ひたすら日々の忙しさに眼を向けて、まるで現実を見なかった。
幸いなことに言葉は通じた。食うに困るという事も余り無かった。出会いが良かったと言えるだろう。
それを良い事に――考えてこなかった。考えずに済まさなければ、足が止まってしまいそうだったから。
ふとした瞬間に脳裏を掠める度に、それっぽい理屈をつけて隅へ、奥へと押し込めて。
それを――他人に指摘されただけで、こうも簡単に揺らいでしまうものなのか。

「私は、貴方の力になりたい。
貴方は、私達を助けてくれたから」

だが――それでも。やはり、遥かに遠いのだ。この地で眼が覚めたあの瞬間は。

「……大丈夫だよ、ミネアさん」

かりかりと鼻の頭を掻きながら、そう答えた。
俺は彼女から少し視線を外す。

539 :ガーデンブルグ  ◆gYINaOL2aE :2005/05/09(月) 01:10:48 ID:KCxLfGkL
「俺は…確かに、見た事も聞いた事も無い世界に突然放り出されてしまったけど…。
だけどやっぱり独りじゃなかった。ソフィアが居てくれたし、すぐにあんた達にも出会えた。
それに、今はほら、竜の神さまとやらに会えれば何とかなるかもって気もしてるし。
……けど、もし戻れないって言われた時は……」

その時は、また、泣いてしまうかもしれないとそう思う。
だから、続く彼女の言葉は、俺にとって本当にありがたく、最も聞きたい言葉だったかもしれない。

「……そうですか。解りました。その時は、思い詰めずどうかお話してください。
――ええ、これでいよいよ私達は空の城へと赴かなければなりませんね。
導かれし者達だけではなく、貴方も一緒に」

細い指を折り畳み、くっと拳を握る。
そうして、ふんわりとした笑みをこちらに向けるのだった。
その慈愛に満ちた表情を見ていると、鼻の奥がつんとしてくるのを感じて、俺は必死に堪えた。

540 :ガーデンブルグ  ◆gYINaOL2aE :2005/05/09(月) 01:13:18 ID:KCxLfGkL
数日して、ソフィアたちが戻って来る前に一足速く、彼女達が無事、盗賊を捕えたと言う報告が入った。
それまでは牢屋で治療呪文について集中講義を受けていたのだが、掌を返したかのように賓客として遇される事となり戸惑う。
玉座の前で再会した俺たちは、お互いの無事を喜び合った。
その時に気付いたのだが、俺は牢屋に居る間ソフィア達が戻って来ないのでは無いかとまるで考えなかった。
ミネアが居たのも理由の一つなのだろうが――。バカだな、と自嘲する。だが、それは悪い気分では無い。

女王からは天空の盾がソフィアへと授けられる。
トルネコがしきりに感心しているのを見る限り、良い武具なのだろう。
これで、二つ目。天空の名を冠する武具が揃った事になる。

そして、女王は最後にこう告げた。

「此処から南、ロザリーヒルにはかつて魔族が住んでいたそうです。
何か解るかもしれません。行ってみると良いでしょう」



HP:78/78
MP:36/36

Eはじゃの剣 Eみかわしの服 Eパンツ

戦闘:物理障壁,攻勢力向上
通常:


541 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/09(月) 02:34:10 ID:EpAtc7//
乙!
やっぱりミネアたんはいいな(;´Д`)ハァハァ
しかし最初のギャグから転じてのシリアス
繋ぎ方がとてもうまいとおもう
すごいよ、尊敬しちゃう

542 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/09(月) 02:35:05 ID:uyd+374o
>>540キャラをバランスよく出すところが良いね〜






543 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/09(月) 03:05:00 ID:XcdjL/7V
をををを…感動した!!
こんなに物語に引きずり込まれる事あまりないからホント凄い…!!
しかし言い回しが上手いなぁ…

ああ、でも、次はロザリーヒルか…ピサロナイト…(ボソ)

怖いけど、楽しみだ…!!

544 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/09(月) 16:29:30 ID:EUsjjtAv
おもろいよ
うん

545 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/09(月) 18:26:57 ID:GDzyI1Kl
トルネコとのコンビもいい味出してるな

546 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/09(月) 19:24:47 ID:F2uPv5jV
ネタ交じりな言動にある意味親近感を感じてしまう駄目俺w
ほんと、ドラクエでありながらオリジナルである事に心から尊敬する。
それぞれのキャラとの関わりもあって、なんか嬉しいよなぁ………。なんか。
初めの頃に比べてちょっとはかっこよくなったよな、主人公。頑張れ!

ギャル語読めねぇw

547 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/09(月) 19:24:49 ID:aSJvT8O6
俺は>>530を見た瞬間に「あ、今回はトルネコの目線なんだなw」って思ったら違ってたw
普通はあの場面だとトルネコが牢屋逝きだからてっきりw

牢屋での会話はかなり(・∀・)イイ!!すね

548 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/09(月) 23:15:12 ID:jSEYnrYF
>>547
俺は予想通りだった。

549 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/10(火) 00:32:59 ID:L9VXMpYE
ギャル文字解読サイトまで行ってしまったよ(w
£ヽレ)£ヽレ)£ヽレ)£ヽレ) → むりむりむりむり

550 :冒険の書庫の書記 ◆nUtX8ZK/82 :2005/05/10(火) 00:41:42 ID:zufUL+xb
ここまでセーブしました 
http://www.geocities.jp/if_dq/ 
>>516さん、ありがとです。

551 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/10(火) 19:18:24 ID:wUB1uo82
あげ

552 :海鳴りの洞窟  ◆gYINaOL2aE :2005/05/11(水) 01:39:55 ID:tGLVNMiz
「――お主の思考はどうも凝り固まっておる所がある。発想を転換させてみる事じゃ。
剣が炎を出す訳が無い。そうではなく、炎を出す、出せる剣がある。それは何故かと考えていく事が大事なのじゃよ。
そうでなくば、新たな発見はなくなってしまうからのぅ――ほれ、聞いておるか!?」

「ブライせんせ〜い。アリーナが寝てま〜す」

「人の事はよろしい!それに姫には最初から期待しておらん」

教育係りが匙を投げてる!?あんまりな物言いだが、彼女は講義中常に眠っているのだからそれも仕方が無いか。
俺がいなければ、無理矢理にでも起こすんだろうが…。
アリーナが寝る度に起こしてたんじゃまるで進まないから、妥協してるんだろう。

「もう少し詳しく説明したいのじゃが、やはり良い教材が手元に無いのが痛いのぅ。
破邪の剣や炎の爪などと言ったものは、少々勝手が違うからの――」

卓の上に置かれた破邪の剣をしげしげと見た後、ブライは小さく溜め息をついた。
特殊な効果のある武具を中心とした講義であったのだが、良い範例が無いようで難航している――。

どすん、と何かにぶつかる音がした気がした。
…まさか座礁したんじゃないだろうな?
俺は一度ブライと示し合わせて様子を見に行く事にする。
アリーナは全く起きる気配を見せないので放置だ。

甲板に上がるとマーニャを除く全員が既に集まっていた。
あいつもどうせ寝てるんだろう。
早速、何かあったのかとクリフトに訊ねてみる。

「それが…どうも、この先に洞窟があるようなんですよ。
小船でしか入れなさそうなのですが…」

「…この先には魔物の気配がします。
ですが、奥に何か…大切なものがあるようです」

553 :海鳴りの祠  ◆gYINaOL2aE :2005/05/11(水) 01:42:55 ID:tGLVNMiz
なるほど。ミネアの占いか。
こうなってくると、やはり探索するしかないのだろうな。
流石に慣れてくるよね!

「アリーナ姫はもう、お休みで?なら、私が前衛を務めましょう」

「講義が途中ですからな。中で続けますぞ」

ライアンとブライがそれぞれ志願した。
…ん?中で講義するって、俺に向けてっすかね?俺も確定っすか?
当然ながらソフィアも赴くとして、後一人はクリフトかミネアと言った所だろうか。

「では、私が。ミネアさんとトルネコさんは、船をお願いします」

こうして、海側から入る比較的珍しい洞窟への探索が始まった。
慎重に小船を進ませる。櫂を操るのは俺とライアンだ。
前方に大きな――あれは、扉か?――が、見えてきた。
こういう場所にあるという事は、水門か何かなのかもしれないが。

クリフトが迷い無く、最後の鍵と呼ばれるガーデンブルグの女王から譲り受けた鍵を取り出す。
身を乗り出して鍵穴に差し込み、回すと、ずずず、という重い水音と共に扉が左右にスライドする。
…今、スライドしたぞ!?なんだ…此処は、人工的な洞窟なのか。
いやまあ、扉がある時点でそうかもしれないが、妙に凝った仕掛けだ…まあ、こういうのに遭遇するのも、少ない事ではないんだが…。

俺とライアンは再び、慎重に櫂を動かす。
小さな上陸地点に、降り階段を見つけたが、一応先に他の地点も探ってみる事にする。
何かお宝があるかもしれないしね。ああ、トルネコさんがいればそれもさくっと解るのに。

554 :海鳴りの祠  ◆gYINaOL2aE :2005/05/11(水) 01:43:24 ID:tGLVNMiz
「――さて、今日の予定は座標融解現象についてじゃったな。
これを説明する前にこの空間について、学者たちの認識を説明しておかねばなりますまい。
この、我々の目の前にある空間。これには、極小の単位で『座標』と呼ばれる数値で表す事ができるという説があるのじゃ。
例えば、こう、手を翳す。この手が存在する空間――座標には、今、ワシの手が存在し、他には何も存在していない。
厳密には手の構成要素じゃがな」

――おいおい、爺さん、敵が出ないからってマジで講釈垂れ始めたぞ。
音が響いて寄ってきたらどうするんだよぅ。
俺は軽く慌ててクリフトに眼で助けを求めた。

(たーすけてーポッパーイ)

(何ですかポパイって。まあ…ブライ様も久しぶりに張り合いがあって嬉しいのでしょう。
どうかお付き合いしてあげてください)

あっさりと見放された。
老い先短い老人には優しくしても良いんだけどよー…それにしても、ちんぷんかんぷん過ぎるんだよ!
しかも脈絡がねえ!って、あー。そうか、これについては俺が訊いたんだっけ。
言葉自体はどっかで見たんだが、意味が解らなかったんだ。

「さて、手と手とこう合わせてみる。力を入れても、二つの手が重なる事は無いじゃろう?
これはつまり、一つの座標に別々のものが同時に存在する事は無いという一つの法則じゃ。強い力が込められれば手の方が先に壊れてしまう。
じゃが――時に、この法則は歪んでな」

ブライはいよいよ乗ってきたのか俺の方を放置して語り始めている。
座標。そういえば、MMOなんかでは自分の位置をXとYで表す機能がついていた気がする。
…とはいえ、あれは二次元――3Dのゲームでも大抵は空間を認識せずキャラの立っている位置を記録するのが精一杯だった筈だ。
ゲームじゃない、この広い世界で縦と横だけじゃなく高さまで細かく数値が振り分けられているという概念が理解できない。
ただ単に数字が小さいか大きいか、という問題でも無いと思うのだが…どうなのだろう。
いや、実際に数値が振られてる訳じゃないのか。学者たちの、考え方の一つという事かもしれない。

555 :海鳴りの祠  ◆gYINaOL2aE :2005/05/11(水) 01:44:03 ID:tGLVNMiz
そんな事を考えながら相槌を打つ俺を見て、ブライはそこはかとなく満足そうに頷く。
なんだかんだ言って俺は真面目に考えてしまうから、それが気に入られてるのかもしれない。

「本来存在し得ないもの――全くの、同質の存在――そして、時にその強力な属性ゆえに――。
理由は様々あるものの、現実にはほぼ存在し得ぬレアケース。決して存在してはならぬ筈の同一存在」

ぴくっとソフィアの肩が震えた気がした。

「aという物と全く同じaが存在するとする。その二つが同座標に存在しようとしたらどうなるか。
まるで融け合ってしまうかのように、何の抵抗も無く重なってしまう。
aという物体の形を今まで三角形だと世界は認識しておったのに、急に角が4つできてしまう。それも、何の力も働いていないのに。
世界は歪みを嫌うと言われておる。故に、反発が起こるのじゃな。
簡単に言ってしまえば爆発じゃ。じゃが、この爆発は超新星のそれに匹敵するとすら言われる。――これは大袈裟じゃが。
兎に角、両者を離そうとする訳じゃ」

「なるほどねえ。…けど、お目にかかる機会って少ないんでしょ?」

「さて?それはどうかのぅ」

ブライがもったいぶるかのようにゆっくりと顎鬚を撫でる。
なんだそりゃ。さっき自分で言ってたのに。

「…これは比較的最近の話じゃ。
人の手で、真なるコピーを作り上げる術を編み出した者がおる、とな。事実なら、レアケースとも言えなくなるやもな。
そして、その術に深く関連するのが――錬金術という訳じゃ」

――錬金術。これも、か。

556 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/11(水) 01:44:59 ID:WMuqnQx+
晒しage

557 :海鳴りの祠  ◆gYINaOL2aE :2005/05/11(水) 01:46:40 ID:tGLVNMiz
「まあ、この話の講義をしたのは――。
そうさな、お主に訊ねられたから、が八割。残りの二割は、その噂を思い出したからじゃよ」

満足したのか、語り終えた老人はまるで好々爺と言った風に笑った。
そうか、座標融解現象という言葉を見たのも確かエドガンの隠し部屋だった。
錬金術師の部屋に、錬金術に関する本があるというのも頷ける話である。

話の内容は全く頷けるものでは無かったがー。

それにしても、ブライの博学ぶりには恐れ入る。
伊達に長生きしていないと言った感じだ。智謀沸くが如しってか。

「――それにしても、キリが良い所で助かりましたな」

前方を見据えていたライアンが不意に声を発した。
俺はその時点で軽く嫌な予感がしていた。もう、ミネアの占い並に外れる気がしなくなっている。良い予感は外れるけど。

ドラゴンに乗った人影――水の上を走る巨大とかげ――まるで恐竜のような青い物体――。

「では、始めるとしましょうか」

ライアンの声と同時に、
すらりとソフィアが腰の剣を抜いた。

558 :海鳴りの祠  ◆gYINaOL2aE :2005/05/11(水) 01:47:23 ID:tGLVNMiz



「……あの。今のって、敵一グループっちゅうか……数は全部で5匹だったよね」

「ええ、そうですね…っ!」

「なのに何で全滅しかかってるのよ!?」

俺は必死で覚えたての治療呪文をソフィアに施していた。
クリフトは俺の愚痴に返事をする余裕も無いようだ。彼は、一人でライアンとブライの傷を癒している。
ソフィアの身体がどんどん冷たくなっていく――俺は焦りながらも、治癒(ホイミ)から、上位治癒(ベホイミ)へと切り替える。
この洞窟の敵の強さは異常だと思った。
特に、あのドラゴンライダーがヤバイ。何で十把一絡げ的な魔物があんな速いんだ。しかも、一撃が重い。
はしりとかげは魔物全員の傷を、一瞬で治してしまうし。
俺はと言えば、竜が吐くブレスのせいで何もできずひたすら薬草を食って命を繋いでいた。

「ソフィア…ソフィア!しっかりしてくれよ!」

外傷は何とか消す事ができた。
ぺちぺちと少女の頬を軽く叩く。
腕の中で、僅かな身じろぎをした後、長い睫が震え、ゆっくりとまなこが開かれる。
安堵の余り思わず表情を崩した。
それを見たソフィアがくすっと笑う。よほどおかしな顔をしていたのだろう。
――少女が此処まで傷ついている間、俺は薬草を齧る事しかできなかった。
俺が死ねば、彼らにとって余計な負担になっただろう、というのは勿論ある。
だが――だからといって――。
自分の身だけは少なくとも守る。そういう、戦闘技術を手に入れる。それはつまり――こういう事を繰り返すだけじゃないか……!

559 :海鳴りの祠  ◆gYINaOL2aE :2005/05/11(水) 01:48:01 ID:tGLVNMiz
「……これは、中々参りましたな」

ライアンがゆっくりと身体を起こした。
――もし前衛が彼でなく、アリーナだったなら恐らく持たなかったであろう。
誰一人斃れる事無く切り抜けられたのは、敵の真正面で踏ん張り続ける戦士の功績が多大だった。
治療を受けた老魔法使いが、腰をとんとんと叩きながら勇者に進言する。

「どうでしょうな。一度、引き返すというのも手かもしれませんぞ」

確かに、戦士の言うとおりだ。
慢心があったとは思いたくないが、それに近いものはあったかもしれない。
俺はソフィアの意志を確認する。

『ブライさん…遺跡脱出(リレミト)は大丈夫ですか?』

「…うむ。無論、可能じゃよ」

『では…先ほどの階段を降りましょう。その先の深さにもよりますが、いよいよとなった時は遺跡脱出で』

――そうだった。
この程度であっさりと引き返すような性格をしていないのだ、この娘は。
猪突猛進とまではいかぬものの、限りなくそれに近い――猛々しき魂を持っていると思う。
だからアリーナともあれだけ気が合う訳で。
あの姫君の場合全滅するまで退かない気がするがー。

560 :海鳴りの祠  ◆gYINaOL2aE :2005/05/11(水) 01:49:05 ID:tGLVNMiz
「――御意。では、進むとしましょうか」

「仕方がないのぅ。ま、姫様よりは退き際を心得ておられるじゃろうからその点は安心じゃが。
クリフト。ワシ等も余力を惜しまず常に補助を展開して行くぞ」

「解りました、ブライ様」

導かれし者たちは、簡単に打ち合わせた後すぐに立ち上がる。
俺もまた、少し遅れる形にはなったが、それでも彼らの後に続いた。



階段を降りた先に、光苔が生えているのか薄ぼんやりとした広場が見える。
辺りに魔物の気配は無い。中央に静かに佇むのは――天空の盾に刻まれた文様と似た装飾の施された鎧だ。それに向かってソフィアが、一歩足を踏み出した――。

ギャオォォォォ!!

背後から響く雄叫びに縮み上がる俺。
うわわわわ、きたきたきたきたあああ!!

「勇者殿!ここは我らが食い止めます故、鎧を!」

ライアンが臆する事無く一行の殿に入り、怒鳴った。
俺は、戦士の背中を間近で目の当たりにする。――なんと、逞しく、雄々しくて、頼もしいのか。
同じ男である事に誇らしさを感じ、それと同時にこの境地にまで至れて居ない情けなさ、達したい憧れ。
様々な葛藤を胸に抱きながら、俺はライアンの隣に立った。
半歩下がった位置に居るのは、身の程というものだ。まだ――並び立つ事はできない。ライアンにも、アリーナにも、ソフィアにも。
だけど、やはり俺はあの時強くなりたいと思ったから。ホフマンは、きっと強くなれると言ってくれたから。

561 :海鳴りの祠  ◆gYINaOL2aE :2005/05/11(水) 01:49:56 ID:tGLVNMiz
「ソフィア!行ってくれ!」

俺の声に意を決したか、少女の駆けて行く音が聞こえてきた。
クリフトが、ライアンを挟んで俺と対照の位置に立つ。
ブライとクリフトの呪文の詠唱を聞きながら、俺もまた物理障壁(スカラ)と攻勢力向上(バイキルト)の魔法を己に施す。
この二つをかけた状態でも、素のライアンに敵わないのだから泣けてくる話ではあるが。
少女を先に行かせ、魔物の群れに立ち塞がる。おおおなんか無駄に燃えてきたぁぁぁ!

「そうでしょうそうでしょう。これが、醍醐味というものでしてな」

にやりと笑うライアン。
ブライがくつくつと低く笑い、クリフトもまた緊張に強張っていた身体を解す。

この場を俺がただ、切り抜けようと思うなら、戦闘は彼らに任せて先ほどのように薬草を食んでいれば良い。
だけど、それは余りに悔しいから…!

「ライアンさん――俺、やっぱ、突きを教えて欲しい。
俺は――これから、どうなるか解らないけれど、皆と一緒に居る時は、誰に言われるでもなく戦わなきゃならないと思うし、戦いたいと思う。
あんたたちにばっか、苦労させたくないもんな!」

「――良いでしょう。厳しくいきますからな。此処を切り抜けたら覚悟しておくのですぞ!」

戦士が一歩踏み出す。
その圧倒的な圧力で地がへこみ、突き出された斧は巨大な原住民の面のような魔物を叩き割った。

勇者には、なれない。
あの大灯台からこれまでの道のりで、ソフィアとの力の差は埋まる所か開きっ放しだったから。
勇者と呼ばれる存在に、ある種の疑念を抱いてしまったから。
覚悟はしていた。俺みたいなのが、勇者と呼ばれる者と同じ位強くはなれないだろう、と。
それは諦めに近い感情。だが――今、再び俺は目的を掴み取った。
クリフトとの会話に、ミネアの慈愛に、ライアンの背中に、そして駆けて行くソフィアの気配に、あるべき俺の姿を視る。

562 :海鳴りの祠  ◆gYINaOL2aE :2005/05/11(水) 01:50:59 ID:tGLVNMiz
「俺は――俺は、ソフィアの、剣になりたい。決めた。今、決めた!!」

破邪の剣を水平に振るう。
接敵した水竜の返り血が、俺の頬を染め上げた。

「全く…青いのぅ。じゃが、若いとは良い事じゃな」

ブライがやれやれと嘆息しながら、遺跡脱出(リレミト)の準備に入った。



HP:63/88
MP:21/42

Eはじゃの剣 Eみかわしの服 Eパンツ

戦闘:物理障壁,攻勢力向上,治癒,上位治癒
通常:治癒,上位治癒

563 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/11(水) 02:11:51 ID:y1rsZ/VQ
>>562
新作乙!

564 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/11(水) 02:23:06 ID:dgJdUeYz
  はい
  いいえ
>おつ

565 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/11(水) 04:15:22 ID:8IB1XTQK
オシ!!

566 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/11(水) 12:55:13 ID:tYoEz17R
批評スレが落ちたか。
いいことだ。


567 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/11(水) 13:17:15 ID:lcfNid5m
…何で「いいこと」なんだ?
別に、ここの作品が批判されてた訳でもないのに

568 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/11(水) 15:33:33 ID:Lktl+7sI
>>566
批判が怖い作者乙

569 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/11(水) 17:53:21 ID:TtomK/PF
乙!
主人公が段々と格好よくなっていく気配がするよう。集中講義も役に立ったようで何よりだな。
役割とか、関係とか、透けて見えるのがいいね!

なんか強烈に伏線張られた気がする………(悶々)w

570 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/11(水) 20:12:40 ID:bQOaGOE/
乙!

小説の更新、楽しみな自分がいてなんか毎回ドキドキさせられて良いなホント
キャラも偏りが無いし、皆魅力的に書かれてて、何より主人公が身近に感じるのがイイ(・∀・)!!


あー確かになんか伏線ぽいのがあった感じがしてまさかなー…って今思ってるw
なんにせよ続きが楽しみだ…!!

571 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/11(水) 21:49:42 ID:KRGweQKo
とりあえず学校さぼります

572 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/11(水) 22:20:57 ID:g7B8ivKb
何もかも捨てて俺も冒険の世界に旅立ちてぇなw

573 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/11(水) 22:33:54 ID:EppR3QOG
>>572
旅立っちゃえよ、ホラ!

574 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/11(水) 22:49:51 ID:f47+R9UA
>>572 まさに旅の扉はここにある!!

575 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/11(水) 23:18:41 ID:uTbiaG+G
              )
             (
         ,,        )      )
         ゙ミ;;;;;,_           (
          ミ;;;;;;;;、;:..,,.,,,,,
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        ".¨ー=v ''‐ .:v、,,、_,r_,ノ′
       /;i;i; '',',;;;_~⌒¨;;;;;;;;ヾ.ミ゙´゙^′..ヽ 
       ゙{y、、;:...:,:.:.、;、;:.:,:.:. ._  .、)  、}
       ".¨ー=v ''‐ .:v、冫_._ .、,_,,、_,,r_,ノ′
      /i;i; '',',;;;_~υ⌒¨;;;;;;;;ヾ.ミ゙´゙^′.ソ.ヽ
      ゙{y、、;:..ゞ.:,:.:.、;:.ミ.:,:.:. ._υ゚o,,'.、)  、}
      ヾ,,..;::;;;::,;,::;):;:;:; .:v、冫_._ .、,_,,、_,,r_,ノ′

576 :冒険の書庫の書記 ◆nUtX8ZK/82 :2005/05/12(木) 00:26:05 ID:krEMqXMR
ここまでセーブしました  
http://www.geocities.jp/if_dq/  


577 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/12(木) 00:48:25 ID:4QdWqNwl
晒しage

578 :ロザリーヒル  ◆gYINaOL2aE :2005/05/12(木) 02:10:41 ID:YOl66ZLc
ガーデンブルクの南、アネイルの東。
大河を挟んだその先に、一つの大陸がある。
手強い魔物が住み着いていた。地理的に人の侵攻し難い難所でもあった。
様々な要素と諸々な理由が噛み合い、その大陸は人の殆ど住まない土地となっていた。

この大陸の川沿いに、ホビット達が作った一つの集落が存在した。
彼等は日々を穏やかに、まるで時が止まっているかのように過ごしていたが、
とある日に来訪した二人の男女が、彼らの生活に色と、華やかさを与える事となる。
それはホビット達が望んでいたもの、という訳でも無かったのだが、彼等は二人を歓迎した。

一人は、魔族の青年。
もう一人は、エルフの少女。

集落の近くの丘に、朽ちかけた塔が立っていた。
それは、遥かな古代の技術が用いられ、造りに仕掛けが施されていた。
青年はそれに目を付け、少女の為にその塔を蘇らせた。

魔族の青年は冷たい瞳をしていた為に最初はとても恐れられた。
だが、エルフの少女は村人に分け隔てなく接し、とても優しくて、綺麗な声で詩を歌ってくれたので、
ホビット達はやがて少女の住む丘の塔の周りに新たに家を造り住み始めた。
青年が、少女と話す時にとても穏やかな顔をするのも、次第に伝わっていった。

やがて、ふらりと訪れた魔物や動物、そして人まで住み着くものが現れた。
ホビット達は余所者に平和が脅かされるのを恐れ、困惑した。
だが、移り住んできた者達は一様に、誇り高き魔族の青年の前では秩序を乱す事など到底できず、
美しきエルフの少女の前ではどんな者もまるで毒気を抜かれたかのようになってしまう。
それは、青年と少女、どちらが欠けても維持できないであろう一つの理想郷であった。

ホビット達と他所から移り住んだ者達は、この素晴らしい集落に改めて名を付ける事にした。
少女の住まう丘――ロザリーヒル。

579 :ロザリーヒル  ◆gYINaOL2aE :2005/05/12(木) 02:11:51 ID:YOl66ZLc



「…むむむ!これは、中々…」

トルネコが唸り声を上げる。
彼は一本の大剣をあらゆる角度から検分しようと大きな身体を左右に揺らしていた。

「これは、私にも解りますな。良い剣です」

ふむう。トルネコとライアンが言うからには、かなりの物なのだろう。
俺?いやいや、そう言われれば良い物のような気はするけど、はっきりは解らない。

「此処でしっかりと準備をすれば、きっとこれからの戦いの役に立ちますよ」

にこにこと笑いながらトルネコがそう言った。
願ったり叶ったりだ。実力不足を武器のせいにするつもりは毛頭無いが、
不足しているからこそ、武器で補う事もまた必要だろう。

「…ほう。それは、ひょっとするとドラゴンキラーでは無いか?」

珍しく、ブライが武器に興味を示した。
店主の老人(この店主は、他にも道具屋、防具屋、神父の真似事までするマルチな爺さんだ。一々口調まで変えるこだわりっぷりである)が、軽く頷く。
俺は、その大剣がどうしたのか訊ねてみる。

「うむ、これこそ特殊な武装として最も顕著な例と言える。
…見る限り、少し大きな普通の剣じゃろう?じゃが確かに、この剣を使えば竜族をより屠れる。
それは何故か?炎が出る訳でもなく、氷が出る訳でも無い。
もしかすると、別に竜に限らずその切れ味を発揮するやもしれぬ。唯、単純に強い剣かもしれぬじゃろう?」

580 :ロザリーヒル  ◆gYINaOL2aE :2005/05/12(木) 02:12:30 ID:YOl66ZLc
ドラゴンキラー…竜にだけ特化した大剣。
だけどそれが本当に竜にのみ優れた剣なのか、それとも総合的に強い剣なのかを証明するのは難儀だ。
だが、それでも、この剣はやはり竜に特別な効果を発揮するとブライは言う。
それは使ってみれば『なんとなく』感じる事ができるかもしれない、らしいのだ。
眼に見えて強い、とまでなるかどうかは人に依る。
言い方を変えればその程度の武器でしかないのだが――これを侮るのは、少々考え物だなと思った。

「まあ、総合的に見てもこの店随一の物じゃなかろうかな?
のう、トルネコ殿?」

「ええ。仰るとおりだと思います。これを、ソフィアさんとライアンさんに…貴方は、どうします?」

「……けど、ちょっと、高いねえ」

俺はかりかりと頬を掻いた。
値札を見ると、他と桁が一つ違う。
次に高いまどろみの剣の、およそ二倍の値が張るのだ。恐ろしい話である。

「一端の剣士になるには、やはり武具も大事です。
選ばず済むのは、達人でなくば。…今までずっとお下がりを使っていたのですから、それで得られるモノは十二分に得たでしょう。
戦いへの意志も決まったようですし、此処は一つ扱って見てはどうですか?」

うーん…。
別に、ソフィアのお下がりが嫌だった訳では無いのだが、確かに…新品の剣、というものに、僅かながらも憧れが無いと言えば嘘になる。
ちらりとソフィアに視線を走らせた。
少女は何処と無く、寂しそうな眼をしている、気が、するうううう。
いやいやいやいや、それは俺の勝手な思い込みではないか。
ううーむ。別にソフィアから巣立つとかそういうんでも無いのだが。
――しかし、そう。俺が彼女の剣になるのだとしたら、財布の事情が苦しいとかならともかく、
俺の方から背中を向ける訳にはいかないと思う。

581 :ロザリーヒル  ◆gYINaOL2aE :2005/05/12(木) 02:21:04 ID:YOl66ZLc
腰に新しい剣を帯びる。
なんだか異常なまでに気恥ずかしい。トルネコが、お似合いですよ、と言ってくれた。いい人だ。
ソフィアもまた、笑みを向けてくれる。俺はそれにほっと安堵の息を吐くのだった。

結局、ソフィアとライアンにもドラゴンキラーを。
後はクリフトとミネアにまほうの法衣、そしてライアンにドラゴンメイルが渡された。
魔法使いが扱うような武具は無かったのだが、マーニャが後でごねるかもしれない。
ちなみに、ソフィアの防具に関しては既に彼女は天空装備で身を固めている。

「あの…」

アリーナがトルネコに何かを手渡した。きらりと光る小さな物である。

「ふむ?これは…キラーピアスですか。
ですが、今のアリーナさんには炎の爪の方が恐らく良いですよ?」

「うん。私もそう思う。
…だけど、ね。ちょっと、色々戦い方について考えることがあって――これって、両手に装備する物でしょう?
もしかしたら――なんだけど」

余り歯切れが良くないアリーナというのも中々お目にかかれない。
確信は無いが、自信はある。そういった雰囲気だ。
しかし、どうしてこそこそしてるんだろう?

「だって、ブライにピアスが欲しいなんて聴こえたら何言われるか解らないじゃない」

…あの爺さんは喜ぶんじゃないかな?
お洒落に目覚めたとか、勘違いして。それとも、耳に穴開けるなんて持っての外!って感じなんだろうか?
お姫様ならその位ありなんじゃないかなあとも思うが。

「…解りました。では、これも購入しましょう」

582 :ロザリーヒル  ◆gYINaOL2aE :2005/05/12(木) 02:22:28 ID:YOl66ZLc
トルネコが、まるで娘に相対するような表情を浮かべる。
アリーナがトルネコの出っ張ったお腹に抱きついた。全く。微笑ましい光景である。
…けどこれって、俺の世界じゃ下手したら援助交際とかそんな風に見られる可能性もあるよな。
なんだろうねえ。大人と子供ってのは、俺は目の前にある光景のような感じであるべきだと思うのだが。
大人が悪いのか、子供が悪いのか。それとも、何かが悪いと言うような問題でもないのか。
まあ、いいか。今は目の前の事を考えねばならないし。



「むううううううぅぅぅぅぅぅ……」

夕食の席にて。
マーニャさん、ご立腹である。
こういう場合、触らぬ神に祟りなしを決め込むのが常道なのだが、この時は新しい剣のせいで気が大きくなっていたか、つい触ってしまった。

「あの…マーニャさん…じゃなくて師匠(マスター)…一体どうしたん?」

途中、石化してしまいそうな凶悪なメンチを切られたので慌てて敬称にするヘタレ。
それが俺だ!

「…さっき、あんたたちと分かれてミネアと宿取ってた時。この村じゃ珍しく人がいたもんだから話しかけてみたのよ。
そうしたらそいつ、何て言ったと思う?
『オレはルビーの涙を流すというエルフを探してこの村にやってきた。
もし、そのエルフを見つけて捕まえる事ができたなら、きっと大金持ちになれるぞ!』
って、こうよ!?ほんと、あさましいにも程があるわ。同じ人間であることがイヤになってくるわよ…」

583 :ロザリーヒル  ◆gYINaOL2aE :2005/05/12(木) 02:23:35 ID:YOl66ZLc
一気に捲くし立てられ、俺は飛んでくるご飯粒を避け、防ぐので手一杯である。
そんな事自慢げに話すヤツって頭大丈夫なんだろうか?――エルフを攫うって事に罪悪感なんて微塵も無いのかもしれない。
マーニャは特にその手のタイプの人間を嫌う傾向がある。
俺にしてみればカジノで豪遊するマーニャさんも軽く危ないのでは無いのかと思うのだが、
彼女の中では明確に線引きがされているらしく、エルフを捕まえると言うのは完全にアウトらしい。
まあ、俺も考えるまでも無くマーニャに同意だ。

「全く。けしからん輩がいるものですな」

ライアンが憤慨したように呟いた。
しかし――具体的にどうにかしよう、というのも中々難しい話である。
その男を見つけてボコにするのは可能なのだろうが…。
そいつをボコにした所で根本的な解決にはならないし、それにまだ何もしていない人間を痛めつけるってのも…。
とはいえ、放っておいたらエルフはどうなる?今の所お目にかかっていないが、本当にいるのだとしたら…。
…ん?エルフ?

「うむ?エルフとは、か?お主の言うとおり、白い肌に尖った耳が特徴の種族じゃな」

「ここは、ホビット族の村のようですからエルフは居ないでしょうね。
ホビット族は、言い方を変えると小人さんたちです。服が可愛いですよね」

ブライとミネアが説明してくれた。
ふむ、やはり、そうか――。

584 :ロザリーヒル  ◆gYINaOL2aE :2005/05/12(木) 02:30:04 ID:YOl66ZLc



夜の帳が降りた後、俺は宿を出た。
どうもこの辺りは見覚えがある――ゆっくりと、丘を登っていく。
そこには、塔が立っていた。

――既視感(デジャヴュ)

そう、この場所は見た事がある気がする。あの塔から顔を覗かせるエルフの娘――。
訪れたのは間違いなく初めてだ。それなのに、どうして――。
……いつか見た、夢か?
あの時は確か、銀髪の男が何か笛のようなものを吹いていた筈だ。

常に背負っている荷物の山を降ろす。
笛なら何でも良いという訳でも無いだろうが、とりあえず試しに吹いてみようかと思ったのだ。

「なにしてるのー?」

ホワッツ!?
だから急に声をかけるなっつーの!この姫さんは俺を驚かして楽しんでるな!?
俺にだってそんな沢山引き出しないんだからさあ…。

「なんかね。皆、眼が冴えちゃってるみたいで。すぐに来るわよ。
私はクリフトと一緒に先に来てみたんだけど――まさか、貴方が先に居るとはね」

585 :ロザリーヒル  ◆gYINaOL2aE :2005/05/12(木) 02:31:04 ID:YOl66ZLc
何故か悔しそうな姫君を放って置いて、
俺はクリフトに捜索を手伝ってもらうことにした。

「何を探せば良いのですか?笛、ですか。――ああ、これなんてどうでしょう?」

おお、凄い。ごちゃごちゃした荷物の中からクリフトが一発で取り出した笛は、少々奇妙な笛だった。
何が奇妙なのかと言われると答え難いのだが、管の部分が曲がってる時点でまともに音が出るものなんだろうか。
いつ手に入れたんだったかな?俺が拾ったもんじゃないから、ちょっと解らない。

やがて、ぞろぞろと導かれし者達が集う。
いい感じに挙動不審だ。夜だし。職質されたら一発でアウトだな。

「誰が吹きますか?」

クリフトが何気なく訊ねると、それはやはり奇妙な程に――自然な動作で、ソフィアが笛を手にした。
それは元から少女が吹く事を定められていたかのように。

「…あやかしの笛ですか」

トルネコの小さな声は、すぐに響きだした音に掻き消された。
物悲しい――落ち着かない、余り心地良い旋律とは言えない、音色。
何処と無く、不気味さすら感じさせる――。

586 :ロザリーヒル  ◆gYINaOL2aE :2005/05/12(木) 02:33:54 ID:YOl66ZLc
ガコン。

足元の地面がへこんだ。
こ、今度はなによ!?――あ!そういえば、夢でもなんか地面に沈んでってた!
――そうか、しまった、ボッシュートか…!

    ⌒ ⌒ ⌒
   _⌒ ⌒ ⌒__
  /:::::Λ_Λ:::::::::::::::/
 /::::::(∩;´Д`)∩ :::::/
/:::::::(  >>俺  /::::/  チャラッチャラッチャーン

俺のスーパーヒトシ君がぁぁぁぁぁぁ!!!
と、一人緊張感の無い事を考えている間に、柵の無いエレベーターみたいなものが終点についたようだ。

「…とりあえず、進んでみる?」

「うん!行こう!」

587 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/12(木) 02:35:45 ID:WimkDXLD
              )
             (
         ,,        )      )
         ゙ミ;;;;;,_           (
          ミ;;;;;;;;、;:..,,.,,,,,
          i;i;i;i; '',',;^′..ヽ
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           .¨.、,_,,、_,,r_,ノ′
         /;:;":;.:;";i; '',',;;;_~;;;′.ヽ
        ゙{y、、;:...:,:.:.、;:..:,:.:. ._  、}
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       /;i;i; '',',;;;_~⌒¨;;;;;;;;ヾ.ミ゙´゙^′..ヽ 
       ゙{y、、;:...:,:.:.、;、;:.:,:.:. ._  .、)  、}
       ".¨ー=v ''‐ .:v、冫_._ .、,_,,、_,,r_,ノ′
      /i;i; '',',;;;_~υ⌒¨;;;;;;;;ヾ.ミ゙´゙^′.ソ.ヽ
      ゙{y、、;:..ゞ.:,:.:.、;:.ミ.:,:.:. ._υ゚o,,'.、)  、}
      ヾ,,..;::;;;::,;,::;):;:;:; .:v、冫_._ .、,_,,、_,,r_,ノ′

588 :ロザリーヒル  ◆gYINaOL2aE :2005/05/12(木) 02:36:27 ID:YOl66ZLc
マーニャに対しアリーナが元気に答え、歩み始める。
うちの女たちは非常に積極的なので、男たちはそれに唯々諾々と従うのみだ。いや、そんな事も無いけど。
通路を進むと、やがて登り階段が見えてきた。なるほど、塔だからな。登っていくわけね。
…ここにもエレベーターつけてくれよ…。
空気の読めない建築家を非難してから一歩ずつ階段を登る。
登りきった先に、また出現する階段。どれだけ登れって言うんだ…。
もう帰りたくなってきていたのだが、泣き言を言う訳にも行かず必死で喰らいついていく。
…おお、目の前に大きな扉が現れた。やった、なんとかてっぺんにこれたようだ。
アリーナとマーニャが一度視線を合わせた後、ゆっくりと扉を押し開く。

通路が伸びていた。
その先には、もう一枚の扉。構造から推測するに何かしらの部屋があるのだろうか。
そして――。

「――まさか、此処に入り込める者がいるとはな。……しかも、よりにもよって人間か」

煩わしそうに、不愉快そうに。
苛立だしげに響く男の声。
邪悪な鎧兜に身を包んだ黒い騎士が、最後の扉を守護するかのように立ちはだかっていた。



HP:88/88
MP:42/42

Eドラゴンキラー Eみかわしの服 Eパンツ

戦闘:物理障壁,攻勢力向上,治癒,上位治癒
通常:治癒,上位治癒

589 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/12(木) 03:04:04 ID:btdtSjeh
>>◆gYINaOL2aE 言うまでもないけどGJ!

590 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/12(木) 03:08:39 ID:udB8FPbv
乙かれ!!
更新早くて感動する!
そして何回も言っているがやはり描写が素晴らしい…!!
いよいよピサロナイトが出て来てドキドキだ…どうなるのか分からなくてちと怖いが楽しみだ!

591 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/12(木) 03:46:39 ID:iXDHi1H5

予想ではソ…が複線か?
それにしても他書いてないな…3書いてた人面白くなりそうで期待してたんだが…退院したのか?

592 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/12(木) 09:45:23 ID:32DHy3rR
◆gYINaOL2aEさん、グッジョブっす。
毎日楽しく読ませてもらってます。

DQ4はファミコン版しかやってないからPS版がめっさ欲しくなってきたですよ。


593 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/12(木) 11:03:31 ID:ymxUsmnG
乙!
>>591確かに他いなくなっちゃったね

594 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/12(木) 13:56:29 ID:faJmla/4
おれも3好きだったんだが…
このままだと4の人が終わったら一気に過疎るな

595 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/12(木) 14:12:58 ID:wcoZQ8IH
今のも面白いけど最初の頃のノリで書く奴いないかな。
いかにもゲームの世界にリアル人間を無理矢理ねじ込んだような
ちぐはぐ感が妙に生々しくて、何となくSFっぽい感じが好きだった。

596 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/12(木) 14:55:03 ID:KURzZnE0
とりあえず今おかれた状況を確認しようと頭を抱える。
最後にした行動は……あぁ、そうだ。授業中に居眠りをした。
ならば居眠りをする前は?
制服は暑いとか、男子の学ランは大変だよなとか、そんな事を考えていた気がする。
今となってはどうでもいい。問題は何故自分が今こんなおかしな所にいるか、だ。
―――せめて財布をもっときゃよかった。帰りに定期買うから1万以上入ってるのに…。
どうでもいい考えが頭を廻る。こんな時でまでお金の心配をする自分の貧乏性が腹立たしい。
いや、そんな場合じゃない。とにかく今をどうするか。

私は辺りを見渡した。先程と変わらない光景が目に映る。
カウンターに立ち身動きしない親父。
動物園の熊のごとく同じ場所を行ききしてるおばさん。
どちらも気味の悪いほど笑顔を浮かべている。何がそんなに可笑しいのだ。

窓から外を見れば、元々人通りの少ない通りなのか、それとも人口が少ないのか、あまり人影は見えない。
ただ、入り込む日差しからは今が朝なのだということは分かる。
重い口を開き、恐る恐る親父に話しかける。

「あの…」
「お泊りですか?それとも夜まで休まれま…」
「失礼しました」

私だって馬鹿じゃない。このやり取りは既に16回も行われたのだ。
親父の言葉はそれ以後も続いたようだったが私は構わず宿を出た。
開放的な青空。澄んだ空気。やたらと派手な色使いな気もするが、すぐに慣れるだろう。

―ーとりあえずの目標は、生きる。どんな状況に陥ろうとも。

固く心に誓い、私は新しい世界の新しい一歩を踏み出した。
私の長所は、どんなに絶望的な状況に置かれても、決して諦めない事だ、と思う。

597 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/12(木) 15:41:46 ID:L7h/Lp/B
◆gYINaOL2aEさん
導かれし者達が米食だったことが今回一番の衝撃ですたw

598 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/12(木) 18:37:12 ID:UgKr12+o
作者いるんなら挙手汁







599 :冒険の書庫の書記 ◆nUtX8ZK/82 :2005/05/12(木) 19:26:26 ID:TmzcSUD/
ここまでセーブしました   
http://www.geocities.jp/if_dq/

600 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/12(木) 19:31:24 ID:3u6Ri1qe
>>◆gYINaOL2aE氏
乙です!さあ、一つの山場、期待の伏線、楽しみにしてますよ!
きっとアレも伏線なんだろうなと予想を膨らませているのが一番楽しいw

他の作者の人も気兼ねなく上がって欲しいよね………。
結構楽しみにしてたのもあるし、遠慮なく上げてくれて構わないのに。

>>598
書きたい。ネタはある。時間はないw

601 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/12(木) 19:53:00 ID:pPn04KI7
だいぶ前に書いて放置してたのを
この前消したところだ……

602 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/12(木) 20:03:52 ID:KURzZnE0
>>598
ノシ
どれかは言わないけど。

603 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/12(木) 20:44:19 ID:9PJUacdW
誰か目が覚めたらエスタークだった、っての書いて

604 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/12(木) 20:51:36 ID:yP1xMQjl
>>598
ノシ

605 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/12(木) 21:26:29 ID:A228ERho
結構作者たち居るね
居るんならうp汁!


ノシ

606 : ◆Wj/kq68872 :2005/05/13(金) 04:05:35 ID:O/6/pyzS
ある朝目覚めると、僕はエスタークになっていた。

幸いにも自分の家ではなく暗い洞窟の玉座のような場所だったので、
家族に説明する手間は省けた。
いや、それ以前にこの体では僕の部屋に収まりきらないような気がする。
色々考えた結果、物事というものは実に上手く出来ていて、
一番面倒のない状況を勝手に作ってくれるのだと気付いた。
きっとこの4本しか指の無い巨大な手では、剣は持てても箸は使えまい。

はてさて、それにしても何故こんな面妖な事になってしまったのだろう。
僕が考えるに、原因は寝る前にエミュレーターでドラゴンクエスト4をプレイしたからだと思う。
エミュレーターだったのが不味かったのだ。
大人しく中古のプレステ版を買うべきだった、と悔やんでも後の祭りである。

しかしそれにしても静かだ。
物音は何もしない。
玉座のような場所にいるが、側近らしき物は存在しない。
せっかく強大な魔王になったのだから楽しまなければ損だ。

とりあえず僕は、

・手近な町を襲撃
・天空の城の神と戦う
・勇者側に寝返る
・エンドールのカジノで遊ぶ

という四つのプランを立ててそれぞれを検証してみる事にした。

607 : ◆Wj/kq68872 :2005/05/13(金) 04:06:12 ID:O/6/pyzS
まずここから一番近い町といえばアッテムトだが、ここはもう既に廃墟となってしまっている。残念だ。
そうすると、キングレオ城、ハバリア、コーミズ、モンバーバラが次の選択肢となるが、
キングレオ城はもう既に悪行の限りが尽くされている場所なので却下する。
要するに魔王の威厳をこれでもかと見せ付けて、人々を蹂躙しなければならないのだ。
ここまで考えて、このプランを実行するには勇者一行の動きが掴めないと危険だという事に気付いた。
たまたま行った先の街に勇者が居て、倒されてしまったらおもしろくない。
勇者側のレベルが低ければいいが、今まさにエスタークを滅ぼさんという気勢の時に出会って、
まさに飛んで火に入る夏の虫、などという状況は御免被りたいのである。

では魔物を集結させて天空に住んでいる竜神と一大戦争を始めてみようか。
しかし残念な事にここからどうやって天空まで行ったものかとんと検討が付かない。
勇者達と同じ道程を辿るのはいささか面倒だし、そもそも僕は天空装備を何も持っていない。
いや、持っていたら行けるのか、という疑問は捨て置く事にする。

この案の中では勇者側に寝返るという案が一番実現的な気がしてきた。
だが勇者といえば正義の味方である。
魔王になってまで「アリーナたん萌え萌え」と言って亜麻色の髪が揺れるのを眺め、
「マーニャたんエロすぎ」と言って躍動する胸を眺めて指を咥えていだけというのは余りにも空しい。
百歩譲ってメンバーが女勇者、アリーナ、マーニャ、ミネアの四人だけならいいが、
爺とむさ苦しい戦士、始終食事をしないと生きていけない商人、即死魔法を多用する神官のオプションが邪魔すぎる。
これで勇者が男だったら僕は悶絶してしまうだろう。

ではエンドールでカジノでもと思った所で、ずたぼろになったアンクルホーンがやってきた。

「エスターク様、勇者が、勇者が・・・」

冗談じゃない。
まだ僕は何もやってないではないか。
こんな陰気臭い洞窟の中一人妄想に耽っていただけで殺されてたまるか。

608 : ◆Wj/kq68872 :2005/05/13(金) 04:07:02 ID:O/6/pyzS

「後は任せた」
「は?」
「いやだから後は任せた」
「いえ・・・ここの守護隊はもう壊滅寸前であります・・・」
「ならなおさら逃げないと」
「お言葉ですがエスターク様ならば勇者など一捻りに」
「無理無理。奴等いざとなったら会心の一撃しか出なくなるとか出来るし」
「はあ・・・」
「デスピサロとか八回なのに何でエスタークだと四回なのかなあ・・・。不公平だよね・・・」
「何の事かサッパリわかりませんが・・・」
「まあいいや。それじゃがんばって」

そう言い残して僕は転位魔法を試みて見る事にした。
エスタークはゲームでは魔法を使っていなかったが、そこは魔王である。
きっと魔法を使わなかっただけで使えないのではないと自分に言い聞かせる。
精神を集中させ、僕は瞬間移動する姿を想像する。
イメージが重なった所で僕の体が宙に浮き、猛スピードで飛び上がった。
「エスタークさまあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ」というアンクルホーンの絶望的な悲鳴が聞こえたが、
そこはそれ、さっくりと無視を決め込む。
嗚呼こんにちは自由の日々。さようなら魔王であった自分。

気が付くと僕は洞窟の床で目を覚ました。
あれ、バニーガールは?
と目を白黒させていると、バニーガールの代わりに四人の男が突っ立っていた。
「エスターク、覚悟しろ」
緑髪の少年が叫ぶ。男勇者だった。
何とか起き上がって勇者一行に目をやると、勇者を囲むようにライアン・ブライ・クリフトが戦闘態勢に入っていた。
つい先程、僕が想像した最悪のパーティだった。

そう、洞窟内でルーラを使っても頭をぶつけてしまうだけだったのだ。

609 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/13(金) 04:09:40 ID:9pggMFyq
今日はじめてこのスレに来て全レス一気に読んでしまった
こんな良スレを今まで知らなかったのが悔しいのと同時に
出会えたのがまだスレが生きてる今で本当によかった

特にWの人の、たぶんとんでもない山場に間に合ったことに感謝
職人の皆さんこれからも頑張ってください

610 : ◆Wj/kq68872 :2005/05/13(金) 04:20:24 ID:O/6/pyzS
僕はルーラではなくリレミトを使うべきだったのだ。
二回目の失敗だった。
しかもかなり致命的な失敗だった。

しかしそれにしてもこの勇者はセンスの欠片もない。
勇者・アリーナ・マーニャ・ミネアでも戦力的には同じではないか。
よりにもよって男四人で攻めてきやがって。
せめてマーニャたんのメラゾーマで消し炭になりたかった。
でもドラゴラムだけは勘弁な!

ふと見ると「うおおおおおお」と雄叫びを上げて勇者が剣を振るう。
切れ味の鋭いその剣先が僕の腹部を鎧ごと切り裂いた。
血液というよりは体液と言った感じの液体が飛沫を上げて飛び散った。
痛い。物凄く痛い。
畜生、奴等僕が気絶してる間に四回ほど逃げる振りしやがったんだな。

ライアンが巨大な斧を振りかざして飛び上がったのを見て、僕は思わず左腕でブロックする。
ガシン、と鈍い音を立てたが、今度は多少痺れた感じはする物の、痛くは無い。
流石に防御さえすれば凌げるか、と思って左腕を見る。
僕の腕は肘から先が切り落とされ、地面に転がっていた。
痛くなかったのではなく、痛覚を司る神経が麻痺しただけだった。

考える暇もなく、無数の鋭利な氷が頭上から降り注ぐ。
ブライのマヒャドだ。
体液が目に入ったのか、右目が見えなくなったので肩口で拭うと、脳に鈍痛が走った。
一片の氷が僕の眼球を貫いていた。

会心の一撃を連発する勇者パーティに勝てる気がしなかった。
僕は堀井雄二を呪った。
いや、別に彼がこの裏技を作ったのかどうかは知らないが。

611 : ◆Wj/kq68872 :2005/05/13(金) 04:23:40 ID:O/6/pyzS
自分が勇者になりきっていた時は憎かった敵にも、色々複雑な事情があったのだなあ。
と、僕はもう既に諦めモードに入ってしまった。

そんな中で一人ザラキを唱える神官の姿が非常に微笑ましかった。
ごめんよクリフト、もしもう一度このゲームをプレイする事が出来るのなら何があろうとクリフトをレギュラーにするよ。
メガザルも使わずにタロットで即死するアホなんか使わないから。

クリフトが今度はザキの詠唱を始めた時、
勇者の剣が僕の心臓を貫いた。
噴水のように噴き出した体液を見ながら、何でこんな事になってしまったのだろうかと考えた。

そりゃあ最初は悪行三昧で脳汁垂れ流そうかとも思ったさ。

でも結局の所僕は魔王の姿でカジノへ行こうとしただけなんだ。
魔王の姿でさり気なくスロットマシーンに興じてみたかっただけなんだ。
生でバニーガールのコスチュームを堪能したかっただけなんだ。
838861枚のコインを4Gで買いたかっただk

612 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/13(金) 07:49:15 ID:OLhq+N0/
ワロス

613 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/13(金) 08:02:23 ID:lrUTR8Bd
エスターク乙w
リクあった後の仕事の速さに感動。いや、リクした本人作か?どっちにしろGJ

そして言うまでもなくWの人GJ!続き気になってしょうがない。いつのまに治癒使える程成長したんだろ。いつか現実へ帰るのか、もしかしたら骨を埋めるのか…ラストまで楽しみだ

614 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/13(金) 11:54:36 ID:ANACF9x5
書く気ないなら書庫から消そうぜ

615 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/13(金) 13:20:41 ID:+FnsxtuF
>>614
書庫の説明書読んで来い


616 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/13(金) 19:34:49 ID:jneDHPLp
エスタークせつねぇw
使えればリレミト→モシャスで遊びたい放題だったのに………。

>>613
多分牢の中の集中講義の成果。多分。

617 :603 :2005/05/13(金) 19:41:45 ID:ED7JpX9d
◆Wj/kq68872氏GJ!!
まさか本当に書いてくれるとは、アンタいい人だ

618 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/13(金) 21:17:16 ID:VtKamdu8
続き物もいいけど
数レスで完結する短編のほうが面白いなあ

619 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/13(金) 21:46:43 ID:8Twu7FP3
俺は続き物が好きだ
続き物書いてる職人様には最後まで頑張って欲しい

620 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/13(金) 23:05:44 ID:9B2gVNyt
エスタークよかったよ!早いのに芸が細かいな。
どことなく後ろ向きな感じが好き

621 : :2005/05/13(金) 23:37:46 ID:9OeFSj5u
>>618
俺もそっち派…というかこんな壮大なストーリーで続いていくとは思ってなかった。
単発レスで終わると思ってたから・・・
2スレ目行くようなら>>990の人が立ててください。いやまぁ誰でもいいんだけど…

622 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/14(土) 01:43:15 ID:ZXe4RoCQ
あんま壮大すぎると作者のオナニー度が高くなるんだよね。

623 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/14(土) 01:48:29 ID:KGeTAfA8
オナーニでもショーとして完成されてればそういう作品として金が取れるよ
そんな完成度の高いオナーニショーなら見たい人は少なくない

624 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/14(土) 09:19:32 ID:bMvJj1Z+
世の中には見たくないオナニーと見て楽しいオナニーがあるからなあ。
どんなのが見たいかは人それぞれだよね。

普段は隠れてこっそりやるもんだが、皆がおおっぴらにやってると
自分の恥ずかしいところも誰かに見せたくなってくることであるなあ。

625 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/14(土) 14:02:26 ID:2S/A7OJZ
見て楽しいオナニーとはこれいかに

626 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/14(土) 14:28:32 ID:ZrGOEcLz
つまり男のオナニーか女のオナニーか、ってことだな

627 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/14(土) 14:45:04 ID:cSoCNRrV
ここはオナテク板ですか?


628 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/14(土) 19:35:58 ID:WKkFsESN
起きたらドラクエの宿屋だった
しかもジャハンナ
暗い。恐い。寒い
外に出た
キラーマシンに斬首された
その瞬間教会に居た
早く勇者達が来ないかな
聖水持って外に出た
バズズに食われた
その瞬間教会に居た
そういえばカンダタ子分は人間じゃないか
話が分かるだろう
町を大回りしてみる
ゴールはもう少しだ
急に暗転した
どうやら間違って外に出たらしい
ああ、今度はグレイトドラゴンだ

629 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/14(土) 19:50:14 ID:uqhAW26Q
オナニーもののAVはある
エロゲーにもオナニーシーンがある
可愛い子のオナニーは見たい
見るだけじゃなくて突っ込みたい

630 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/14(土) 23:27:55 ID:391IvqxN
>>629
つまりシリアスなだけじゃなく
適度なボケも絡ませろ、って事か。

631 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/14(土) 23:58:57 ID:eYobwj2D
朝起きたらどこかの洞窟にいた。なんだか体がおかしい。
よく見ると何か動物のような体になっていた。2足歩行が出来ない。
多分夢だろう。俺は周りを見まわした。
後には剣があった。「パパスのもの」と書いてある。
ヒマだから散歩をすることにした。適当に歩いていると洞窟の外に出た。
さらに歩くと小さな村があった。村に近づくと突然夜になった。変な村だ。
村には畑があった。朝飯がまだだったので少し頂くことにした。
…まずい。そういえば俺は野菜は嫌いだった。
しかし他に食べれそうな物は無かったので我慢することにした。
しばらく食べていると、人がやってきた。俺は本能的に逃げ出した。
行く場所は無かったのでさっきの洞窟に戻った。
夢なのになんだか疲れたのでそろそろ目を覚まそうと思った。
しかしどうやっても起きれない。何でだ?
考えるのがめんどくさいし、何故か眠くなってきたので寝ることにした。
夢の中で寝るってのも変な話しだな。
だけどきっと次に目が覚めた時はあったかいベッドの中だろう。
そんなことを考えながら俺は眠りについた。

632 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/15(日) 02:33:41 ID:sCNEGi7V
自分の物にきちんと名前書いてるパパス萌え

633 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/15(日) 11:33:33 ID:GqP9DYYQ
連載作の続編マダー?

634 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/15(日) 12:15:17 ID:LJiUj0/6
FFDQのMIDIやってます。是非聞きにきてください。
http://www.zephyr.dti.ne.jp/~ishi4142/

635 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/15(日) 12:50:42 ID:L0SyCGlk
最初の人とエスタークの人は一緒だと思う!
すげー独特の世界観があって好き、7、8以外やったことないけどそのシーンがありありと想像できる!
また読みたいと思った。

636 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/15(日) 14:59:49 ID:uLzp0Pw9
ついさっき目が覚めた俺が最初にしたことは、自分の目を疑うことだった。
昨夜はいつもどおり自分のベッドで寝たはずだったのだが、目が覚めたときには見たことのないベッドの上にいたからだ。
ワンルームマンションで2階などないはずなのになぜか存在する階段を下りると、今度は自分の正気を疑った。
俺はどこかの旅館に泊まっていたらしい。
そして、店の客らしき人を見て、ここがどこなのかわかった。

ここはDQの世界だ。

上半身裸でツノが生えてる変なマスクを被ってるマッチョなんてどう考えてもDQの荒くれだ。
しかも俺の予想が正しければここはDQ8の世界。
宿屋の主人らしい男、バニー、荒くれ、商人らしき男……今現在俺が目に付く人間はDQ8の人間と同じ。
ある程度の予想が付いたところで俺は、再度2階に上がりベッドにもぐりこんだ。
一体どうして……とか、夢を見てるのかとか、ベッドの中で考えたのはもし戻れなかったらどうしようとかではなかった。
2ちゃんにスレを立てよう。
ただそれだけだった。
――こんな荒唐無稽な話、誰も信じてくれるはずはないだろうな。
――自分では厨房じゃないと思ってる真正の厨房が煽ってきたり、『晒しage』とかうんこのAA貼るかもしれない。
スレを立ててもいないのに不安になる俺がいた。
スレタイはもう決めていた。というか、これしか考えられなかった。



                  『もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら』



                                                              END

637 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/15(日) 16:05:16 ID:8bVz8hhT
二度寝する

638 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/15(日) 16:20:35 ID:sJK3yAgJ
とりあえずタンスをあさる

639 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/16(月) 00:23:28 ID:FlOQat2U
ここは何処だ?船?体が動かない。なんだろうこの感じ。とても気持いい。何かに包まれているような感じがする。
気がつくと、目の前に人が現れた。いや、人じゃない。精霊…と行ったほうが良いかもしれない。
そいつは、俺に近付いてきた。それだけじゃない。俺の中に入ってきた。やめろ。入ってくるな…。やめろ…。やめてくれ!

640 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/16(月) 00:40:10 ID:FlOQat2U
うわっ!
俺は目を覚ました。どうやら夢だったらしい。体はビッショリ濡れていた。俺は服を着替えようと、ベットを抜け出した。
ここで俺は異変に気付いた。ここは俺の部屋じゃない。俺の部屋は、もっと狭い。なにより汚い。
この部屋は綺麗すぎた。しかも何もない。あるのは、このベットと箪笥だけだ。そしてハシゴのような階段がひとつ。
一体ここは何処だ?少なくとも俺の家じゃない。じゃあ誰の家だ?
俺は考えるよりも行動が先に出るタイプだ。とりあえず階段を降りてみた。そしたら何か分かるかもしれない。

641 :ピサロナイト  ◆gYINaOL2aE :2005/05/16(月) 02:41:10 ID:wmp4+zn7
「そうか。そういえば、また薄汚い人間がルビーの涙を求めてやって来たと聞いたな。
お前たちの事か?」

騎士の視線が一人一人を見定めていく。
ソフィア――そして、アリーナ。彼女ら二人で、僅かに止まりかけた気がした。

「私たちはそんな事しないわ!」

「……」

アリーナの叫びに反応し、騎士は暫く動きを止めた。
だが――。
鞘走りの音を立て、剣を抜いたのは…ソフィアだった。

「……いずれにしても戦いになるんだ。なら、君の言い分を信じた所で不都合は生じないな」

肩が揺れる。…笑ったのか。
どうもソフィアとアリーナの様子がおかしい。
ソフィアはまるで魔物に相対しているかのように好戦的だ。
いや、事実そうなのか?確かにあの鎧兜は…どうも嫌な感じだ。グロテスクというか、悪趣味というか。
雰囲気だけでなく、装飾も酷い。
しかし、彼をさまよう鎧等と同列に語るには、中身が入り過ぎている気がする。

アリーナはソフィアとは対照的に、交戦に迷いを見せている。
あの、アリーナが、だ。相手が魔物だろうが人間だろうが強さ比べをしたがる彼女らしくない。
…力比べなら、喜んでするのだろう。だが、その先で生死が分かれるなら、少女とて考える。
仲間達や俺などと言った相手と命の遣り取りをしたいとは思わない筈だ。

642 :ピサロナイト  ◆gYINaOL2aE :2005/05/16(月) 02:41:45 ID:wmp4+zn7

…つまり、どういう事なんだ?ちょっと空気を読み切れない。
だが、一行の意志を最も顕著に纏めるのはソフィアの無言の行程だ。
ソフィアは自己主張が強い訳では無い。だから、仲間たちが意見を言った後で、纏めるように指針を示す。
彼女の行動は、皆の行動。そうでなければ集団はバラバラになってしまう。
ソフィアが積極的に動くのは比較的珍しい事であったが、それは疑念と言う程のものではない。

騎士に向かってソフィアが突っ込む。
同じ前衛であるアリーナとライアンは静観だ。此処の通路は狭すぎる。同時に立ち回るのは難しい。

「――ふん」

血飛沫が中空に舞う。
あれは、ソフィアのか…?見れば、少女の頬と手の甲に紅い筋が走っている。
全く見えなかった…一度剣閃が走ったのは解ったが軌跡も追えず、しかも二度も走っていたなどまるで想定外である。
それでも、ソフィアには見えていたのか。傷自体は浅そうではあった。

「…あれは、隼の剣。
それに…そんな…なんと恐ろしい…」

トルネコの呟きが俺の耳朶を打った。
俺は時が時、場が場なら知っているのか雷電!と問い詰めたかった所だが、ここは自重しておく。

「…あの鎧は、魔神の鎧と呼ばれる呪われた鎧でしょう。使用者に、強力な防御力と魔法やブレスへの耐性を与えます。
とてつもなく重い為避けるという選択肢は無くなるそうですが…一説には避けられないのではなく、避ける必要が無いのだとも」

トルネコの顔面は蒼白だった。
武器商人だからこそ、あの騎士の纏う武具が恐ろしい物であると誰より理解してしまうのか。

643 :ピサロナイト  ◆gYINaOL2aE :2005/05/16(月) 02:42:37 ID:wmp4+zn7
「それ以上に…それ以上に、あの兜がいけない。いえ、兜ではなく本体は顔を覆う面にあります。
――邪神の面。最強最悪の呪怨武具。魔神の鎧と同じく一度装備したなら自分の力では外せない。
あの面を被っている限り物理的な攻撃で致命傷を与えるのは不可能に近いでしょう。
そして――あの面は……使用者の正気を奪うと言われています」

…なんだって?正気を、奪う?
では、あの男は……。

「恐らく、混乱してしまっているでしょう。私たちが見ているものとは全く別のものが見えている可能性もあります」

そう語るトルネコの表情に傷ましさのようなものが混じった。
騎士に実際何が起きているのかは推測の域を出ないが、物に操られるというのは余り良い気分はしない。

「…なんだかよく解んないけど、魔法はそこそこ効くんでしょ?援護するわ!」

「全く。なんでもかんでも相手を攻撃すれば良いというものでは無いわ…」

マーニャの火焔球(メラミ)が騎士に着弾する。
横合いからの乱入により呻いて後退する騎士に、ソフィアが追撃の一撃を放った。
そのインパクトの瞬間、ブライの攻勢力向上(バイキルト)が少女の背中を押した。
金属と金属の衝突する大きな不協和音が響く。これなら――少しは効いたと思いたい。

「…なるほど。良い魔術師が居るようだ。息も合っている」

炎の中から姿を現した黒騎士。
その手には――小さな、珠があった。
それを見たミネアが一瞬、呆けたような顔をし、すぐに悲鳴に近い声を上げる。

「…え?――そんな!?どうして貴方がそれを!?」

「さて、な?――静寂の珠よ!!」

644 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/16(月) 02:44:23 ID:wXWaozQE
支援

645 :ピサロナイト  ◆gYINaOL2aE :2005/05/16(月) 02:49:36 ID:wmp4+zn7
天に翳される珠玉。橙色を帯びた光が辺りを照らし出す――すると突然、まるで空気が停止したような感覚に陥った。
いや、違う。そうではない。普通に喋る事はできる。
では何故そう感じたのか。この感覚は魔法を扱う者達のみ共有したものだろう。
呪文が――封じられた。

「…!ちょっと、あんた、卑怯じゃない!!」

「この防具は、呪文に対しては完全な防御力を発揮できるとは言えないからな。
――当然、手は打たせてもらうさ」

どちらかといえばマーニャの方が理不尽事を言っているのだろうが、俺も全く同感だった。
呪文が無ければ足手まといになりかねないのだから必死にもなる。
…それにしても、あいつ、かなり強いぞ…。
っつっか、戦い慣れしてる…。

冷静にこちらの行動を潰してくる騎士に対し、ソフィアは余りに感情的過ぎた。
圧倒的な手数の前に、身体中から血を噴き出させる。
俺は堪らず少女に駆け寄った。だが、それより速く騎士とソフィアの間に割って入った者がいる。

「勇者殿は少しご休憩なさってください――私がお相手いたそう」

竜を冠する剣と鎧に身を包んだ戦士が、一歩前に出る。
騎士は一目で戦士の実力を看破したのか、慎重な様子を見せた。

「では…こちらからいきますぞ!」

地響きをさせるかのような踏み込みで戦士が距離を詰め、
一挙動でドラゴンキラーを下から上へと跳ね上げた。
騎士はそれを隼の剣で受けようとしたが、細身の剣は易々と弾き飛ばされた。
続く二の太刀をモロに喰らい、数歩後退する。

646 :ピサロナイト  ◆gYINaOL2aE :2005/05/16(月) 02:51:00 ID:wmp4+zn7
「ひゅーひゅー!ライアンちゃん頑張って〜!」

マーニャの、戦士の実力を信頼しているが故の、ふざけた声援が飛ぶがそれには両者共に無反応だ。
恐ろしい程に集中している。
ライアンは、今の攻防は技量の差というよりかは相手の剣の軽さが幸いしたと考えた。
事実、隼の剣とドラゴンキラーでは重量にかなりの差があると見られる。
でなくば――この手の痺れを説明できない。
それでも勝てなくは無い。剣の実力は、こちらに僅かながらも分がある。それが戦士の分析だった。

「…なるほど。認識を改めなければならないな。魔術師だけでなく、戦士も強い。
だが――」

騎士が、隼の剣を腰に差していた鞘ごと投げ捨てた。
――なんだ?よく見てみれば。――二本、いや、三本差し!?

「俺は負けられない。ヤツ以外には負けられない!ヤツを滅ぼせるのなら――この身がどれだけ呪われようと、構う――ものかぁ!!」

抜き放たれる魔剣。間合いの遥か外の行動だったが、ライアンは油断無く身構える。だが、此処ではそれが裏目に出た。
魔剣から赤みを帯びた光が一直線に伸び、辺りを眩く照らし出す!

「――これは、劣化装甲(ルカナン)の光!?」

「いけない、皆殺しの剣です!あんなものまで…!」

ブライとトルネコが驚愕する。
この光をまともに浴びているのは誰あろう――ライアンだ。
騎士は即座に剣を腰に戻し、流れるような動作で右手を首の後ろに回す。
そこには、柄があった。騎士が背負う巨大なもろはの剣が長き眠りから目覚める。
――魔剣が袈裟に振り下ろされた。
剣の強度と、劣化した鎧が相まって、死を誘う斬撃は易々と戦士の皮膚と肉を斬り下げた。

647 :ピサロナイト  ◆gYINaOL2aE :2005/05/16(月) 02:51:52 ID:wmp4+zn7
「む、ぐ……」

「ライアンさん!」

たまらず一歩、二歩と後退した戦士にクリフトが薬草を持って駆け寄り、処方する。
だが薬草では何処まで効果があるものか。

「――大爆裂(イオラ)」

騎士の左手からバチバチと音を立てて炸裂する光球が放たれる。
それは、戦士を通り過ぎ――後方の俺達の方へと飛んできた、って、うお!?

光の球体は空中で幾つにも分散し辺りに衝撃と炸裂音を響かせた。

「――あ、う」

呻き声がそこここから聴こえてくる。
広範囲に撒き散らされた爆発は、見事に全員を巻き込みダメージを与えていた。
俺は何とか身を起こし、ソフィアへ薬草を飲ませた。
ぐったりとしたマーニャとブライに、ミネアと戻って来たクリフトが薬草で治療を始める。
だが――それが、彼の騎士の狙いだったのだ。

紫電が辺りを走る。
静電気が背中から駆け上がって行くかのような感覚に、俺は薄ら寒さを覚えた。
騎士の左手に集う、裁きの光。
向けられるのは、傷の治りきらなかった戦士に、だ。
それでも、薬草はそれなりに効いたのか、ライアンは立ち上がり騎士に剣を向けていた。

「ライアンさん、すみません!…一度だけ、耐えてくださ――」

648 :ピサロナイト  ◆gYINaOL2aE :2005/05/16(月) 02:55:41 ID:wmp4+zn7
「ライアンさん、すみません!…一度だけ、耐えてくださ――」

ミネアの願いは途中で止まる。
見てしまったのだ。戦士の右腕が、既にぼろ雑巾のように爛れてしまっているのを。
大爆裂が、ライアンにも及んでいた。
誰が見ても戦士は満身創痍であり、立っているのがやっとなのだ。

「――ええ、勿論ですとも。このライアン、一度と言わず二度でも三度でも耐え、剣を振るってみせましょう」

なのに。
戦士は、こちらを振り向く事無くそのような事を言う。

「…良く言った、戦士よ。この絶望的な状況で尚、仲間を鼓舞するとはな…」

「私は、本気ですからな」

「…では、耐えてみせろ!雷(いかずち)よ来たれ!招雷撃(ライデイン)!!」

その速度は正しく、光そのものであった。
戦士は仁王立ちで破壊の光刃を受け止める。

ッガァァァァァァァァン!!!!

閃光。爆裂。轟音。そして――静寂。
余りの眩さに眼を閉じてしまった。続いた轟音は天地が裂けたと言われても信じてしまうかもしれない。今は、視界を取り戻すのが酷く恐ろしい。

「――ライアン!!!」

649 :ピサロナイト  ◆gYINaOL2aE :2005/05/16(月) 02:58:09 ID:wmp4+zn7
仲間の悲痛な叫びが聞こえる。
俺は恐る恐る、瞳を開いた。
そこにあるのは――人の影、それだけだった。俺にはそうとしか見えなかった。
黒ずみ、炭化した戦士であったもの。
――死んだ。ライアンが。
あの誰よりタフで、生命力に溢れていた男、が、だ。
仲間の死を前に心臓の鼓動のペースがめちゃくちゃに乱れる。
それを俺は必死で抑え込んでいた。

戦士を完全に打ち倒した騎士が呪文の詠唱を行う。

「…瞬間治癒(ベホマ)」

絶望だ。それは、確かに絶望だった。
騎士に蓄積していたであろうダメージが、戦士が死してまで与えたダメージが瞬時に無くなってしまう。
ライアンは斃れ、魔法は封じられている。

……全滅?

全滅したら、どうなるんだ?
全員が死んだら――何処かで、生き返る?
それも無くは無いかもしれない。以前、クリフトが言っていた。
導かれし者達は、神の加護により蘇生呪文で再び立ち上がる事が出来るのだ、と。
だが――実の所、一行の中で全滅した者は誰一人としていなかった。
果たして、その先にあるものは何なのか――誰も知らない。
事が事であるだけに、試す訳にもいかない。

「安心しろ。逃がしは、しない」

かつり、こつり。
靴底の音がやけに高く響く。
今の俺には、目の前の男は鎧を着た死神以外の何者でも無い。

650 :ピサロナイト  ◆gYINaOL2aE :2005/05/16(月) 02:59:24 ID:wmp4+zn7
だが、縦横無尽に進撃をかける男に立ち塞がる者がいる。
サントハイム王女、アリーナ。
王女は騎士に立ち向かう意を決したようだった。

「…ピサロナイト!貴方はどうして…」

姫君が彼の騎士の名を呼んだ。
ピサロナイト。ピサロの、騎士。そうか、迂闊だった。この塔をピサロが訪れたのなら、ヤツの手の者がいてもなんら不思議じゃない。

「……。勘違いするなよ、アリーナ。俺は別に、ピサロに忠実な騎士じゃない。
ヤツは…ヤツは、俺から全てを奪っていった。村も、家族も、幼馴染も――」

「解らないわ!それじゃ尚更――」

「だが、俺は弱かった!ヤツに掠り傷一つつけられない位に!どんなに叫んでも、どんなに願ってもヤツを滅ぼせない――。
だから、最も確実で、最も速く目的を達する手段を選んだ。ヤツはどういう訳か、俺を殺さなかった。その上、力をつけろと言い出した。
――ヤツの思惑など知った事じゃない。俺はヤツを利用しているんだよ」

「そんなの…貴方の方がただ、利用されてるだけかもしれないじゃない…!」

「ああ……そうかもしれない。それも、解った上で、だ。
……アリーナ。俺は魔族が、魔物が憎くてしょうがない。ヤツラは弱き人をごみのように扱う。なのに――。
……醜悪なのは、魔族だけじゃなかった。人間も――同じ位に汚物そのものだったんだよ……」

初めてアリーナが息を呑む。
騎士の告白は続く。

「ロザリーヒルを訪れる人間たち、バルザック…。
そしてお前たちもそうだ。仇討ちに狂う者達…特に、そっちのヤツは身体中が憎しみの炎で包まれていて姿も見えない」

ソフィアの方を見て、吐き捨てるように言う。

651 :ピサロナイト  ◆gYINaOL2aE :2005/05/16(月) 03:02:27 ID:wmp4+zn7
「…何の事は無い。ピサロの言うとおりだった。俺は幸せな村にいたから、何も知らなかっただけで――。
魔物と人間なんて、大して変わらない。
…だが、一番醜いのはこの俺だ。俺の身体こそ業火に灼かれ尚形を保っているかどうかも確認し得ない。それが解ってからは――尚更手段なんてどうでも良くなった」

「…私には、解らないわ。何がそんなに醜いのか――それほどまでに嫌悪する事なんて無いと思う。誰に対しても。
だけど――これだけは言える。倒そうとしているヤツの下に居る限り、どんなに強くなってもそいつを超える事ができるとは思えない。
貴方はヤツ以外には負けられないと言った。だけどそれは、あいつには負けても良いって言ってるのと同じよ!」

「アリーナ…君の姿が見える理由はそこにあるのかもしれないな…。…では、どちらの手段が正しいか、死合いで証明するとしよう」

「ええ。結局、言葉を交わすよりも解りやすいもの!
私は貴方と殺し合うんじゃない。試合って、解り合って、その先に行けると信じてる!」

アリーナが騎士へと駆ける。
迎え撃つ騎士は、横薙ぎに諸刃の剣を振るった。
弾き飛ばされる少女。だが、すぐにその勢いを利用し壁を蹴り、再度迫る。

その機動の高い戦闘に俺はまるでついていけず、かろうじて視線で追う事しかできない。
――だけど。
自分より年下の娘があんな風に戦っているのに、自分は何もせずにいる。
そんな事――認められない。よな?誰より、俺自身が。
じゃないと、あの誓いに、新品の剣に、申し訳無さ過ぎるから。

少女達と騎士の剣が交差するのを尻目に、俺は後退しミネアに話しかけた。

652 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/16(月) 03:03:30 ID:iklFj+M4
連投援護

653 :ピサロナイト  ◆gYINaOL2aE :2005/05/16(月) 03:03:33 ID:wmp4+zn7
「ミネア、あの珠の事、何か知ってるの?」

「え?え、ええ…あれは、静寂の珠。父の、形見のような物です」

「それを、どうしてあいつが持ってるんだ?」

「解りません!――どうしたのかしら、私は、ねえ、姉さん。私たち、アレを捨てたりしてないわよね?」

「…当たり前よ。…なのに、私もミネアも覚えていないわ。こんなバカな事ってあると思う?
お父さんの形見を、失くした事にすら気付かないなんて…」

悲しげなミネア。悔しそうなマーニャを見て、彼女達は本当に覚えていないのだと悟る。
しかし、俺はもう少し簡単に考えていた。
つまり、あるんじゃないか?――こちらにも、静寂の珠が。
むしろ話を聞く限り無い方がおかしいような気がする。
荷物を探る。これはちからの種…かやくつぼ…。
無い…やはり、無いのか…?失望感に襲われながらも最奥にまで伸ばした手が、丸い物に触れた。

「え――?」

ミネアが小さく声を上げる。
それは寸分違わずあの騎士の持っている珠と同じ物だった。

「ありえないわ!どうして、此処にもあるの!?」

「落ち着くんじゃ。…あるのじゃから、これは存在しておる。それに疑問を挟むのは今すべき事では無い」

パニックに陥りかけるマーニャをブライが窘めた。
老人に諫められたのが少し腹立だしそうではあったが、現状を理解し口を噤む。

654 :ピサロナイト  ◆gYINaOL2aE :2005/05/16(月) 03:04:42 ID:wmp4+zn7
「ですが、これで逆転の目が出ましたか?あの騎士の呪文を封じる事ができれば…」

「…いや、仮に封じる事ができてもあの装甲を剣のみで破るのは現実的では無い。
――旗色はいずれにしても悪い……」

クリフトの言葉を否定し、ブライが唸る。
これじゃ、ダメか…同じ珠…在り得ない筈の存在。……。
そうだ。それならば、ひょっとすると。

静寂の珠を持ち、立ち上がる。
俺は極小の可能性に賭け、やれる事をやろうと一歩足を踏み出した。
だが、二歩目が前に出ない。
怖気づいた訳じゃない。俺の意思とは別に、抑制しているものがある。

ソフィアの掌。

それが、俺の肩に乗っていた。
手、肘、肩と順に伝い少女と視線を合わせる。
少女の意志は言葉ではなく、口の動きと文字をなぞる指と、その強い光を湛えた瞳で語られた。

『私が行く』

少女は言外にそう語る。
ああ、思い出した。あの話は、君も聞いていたっけ。

「…こんな役目、女に任せる訳いかないじゃないか」

『男とか女とか、関係無い。
あいつは強い。私でも巧く行くかどうか…同じ事をするのなら、成功率の高い方が実行するのは当然』

「…それは――」

655 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/16(月) 03:05:29 ID:iklFj+M4
もいっちょ

656 :ピサロナイト  ◆gYINaOL2aE :2005/05/16(月) 03:09:35 ID:wmp4+zn7
『時間が無い。アリーナも、もうもたない。お願い。じゃないと、私は貴方を傷つけなくてはならない』

「――――」

俺は、それでも彼女に静寂の珠を渡すことができなかった。
この思い付きそのものである行動、分の悪い博打を人任せにしたくない。
だが、何かそれ以外の所でも嫌な予感がするのだ。――なんだろう。心がざわめくと言うか。
…そんな当てにならない話よりはむしろ、脅すような事を言われてしまったからには、の方が正解に近かったかもしれないが。

『……。ごめんなさい』

少女の当身が俺に直撃する。
悶絶する俺に泣きそうな瞳を向けた後、零れ落ちた静寂の珠を拾い、一直線に駆け出した。
俺は少女を掴まえようと必死に手を伸ばすが、後一歩の所で届かない。

アリーナがソフィアの存在を感じ取り、後ろに目があるかのような動作で横に飛ぶ。
ソフィアの唐竹割りを騎士は諸刃の剣で受け止めた。

「炎の爪よ!」

アリーナの炎の爪から、特大の火球が飛び出した。
此処で呪文に準ずるモノが飛んでくるとは思わなかったのか、騎士に僅かながら動揺が走る。

そこに、ソフィアの手が滑り込んだ。
騎士の腰にくくりつけられた静寂の珠と、ソフィアの持つ静寂の珠が接触する。
一ミリ。それ以下であろう。だというのに――それは、発生した。

657 :ピサロナイト  ◆gYINaOL2aE :2005/05/16(月) 03:10:24 ID:wmp4+zn7









――――景色が歪む。空気が歪む。音が歪み、存在が歪んだ。
――――存在しない筈の存在に、世界が悲鳴と警鐘を鳴らす。
――――警戒、警報、対処、在り得ないモノは、在るべき形に。











658 :ピサロナイト  ◆gYINaOL2aE :2005/05/16(月) 03:11:24 ID:wmp4+zn7
なんだ!?騎士を中心に――捩れた渦が発生してる…?何が捩れてるんだ。空気?空間?
いけない。あれは、マズイ。いくら俺がこの世界に疎かろうが、元来鈍感だろうがはっきり解る。解ってしまう。

「ソフィアー!」

その予想を遥かに超える異常な状況に、己の見通しの甘さを呪い自己嫌悪しながらも俺は必死に叫んだ。
せめて声で少女を護る事ができれば、と。だが、叫んだだけで何かを護れるのなら誰も苦労はしない。そんな都合の良い話は存在しない。
筈だった。

「…ソフィア?」

その呟きは、本当に小さく聴こえた。
余りにも小さかった。そして、余りにも遅すぎた。開けてはならない悲劇の幕が上がって行く。
遅きに失したその中で、尚、騎士は意志を体現せしめた。

騎士が全力でソフィアの身体を突き飛ばす。
小柄な少女は俺の足元にまで吹き飛んできた。
身体を丸める騎士。まるで、これから起こる事象の余波をできる限り押さえ込もうとするかのように。

――世界が鳴動した。

659 :ピサロナイト  ◆gYINaOL2aE :2005/05/16(月) 03:18:20 ID:wmp4+zn7
収縮した星の爆発にすら匹敵すると言われる現象。
剣が砕け、騎士の鎧が、兜が粉々に砕け飛ぶ。
呪われた武具ですら破壊する究極的且つ、局所的な爆発。
ソフィアが死後硬直を起こしたかのように、身体を固まらせた。
破壊の奔流に巻き込まれていく男の姿が、一瞬見えたから。

『――――…………兄さん?』

騎士の髪はソフィアと同じ、碧色をしていた――。



HP:34/88
MP:42/42

Eドラゴンキラー Eみかわしの服 Eパンツ

戦闘:物理障壁,攻勢力向上,治癒,上位治癒
通常:治癒,上位治癒

660 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/16(月) 03:31:26 ID:iklFj+M4
>>◆gYINaOL2aE氏
乙、相変わらずおもしろいなー
ついに謎の騎士の正体がわかりましたね
一番最初のヒントとか、ここまでの伏線の張り方が本当にうまいと思います

こんな夜中まで起きててよかった、次も楽しみにしてます

661 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/16(月) 03:56:29 ID:WAnFhXz9
乙!

面白いというか、巧いな。4はFC版しかやったことないけど、オリジナルなのか?


662 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/16(月) 07:03:43 ID:5b6eG0Bc
最初の頃のギャグ要素が減ってきたのが残念っちゃ残念

だが続きを期待してます。無理せず頑張ってください

663 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/16(月) 08:19:24 ID:KeaMd+3p
勇者ソロになるべきだったはずのもの、か

664 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/16(月) 13:11:44 ID:gCEGM/oe
ところで容量的に次スレのこと考えたほうがよくない?

>>書記の人
次スレの1にまとめサイトへの直リン貼るのはOK?

665 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/16(月) 18:12:56 ID:AUbQyFXl
476KB
立てとかないとやばいか

◆gYINaOL2aE氏超神。超乙。
うっかりW再プレイ。
そこにいると脳内補完してます。

666 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/16(月) 18:20:53 ID:kpB729CE
◆gYINaOL2aE氏がいるDQ4やりたくなってきたw

667 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/16(月) 19:16:03 ID:bb7G2sCK
>>◆gYINaOL2aE氏
マジ泣いてる。最高。そしてまだ息もつけない。
最初の話、ソロを捕らえましたの台詞を見てからずっと夢見てた瞬間ですよ。感動ですよ。
『ゲーム』やってると鈍感になるけど、戦い、そしてその結果である死が、重いものだと痛感させられました。
ドラクエは昔から「しに」だったけど、笑えるような話じゃなかったんだなぁ。

668 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/16(月) 19:16:20 ID:ylqRouCW
>>666みたいな奴も出てくるかもしれないから
次スレの>>1

注意
DQはゲーム機で楽しむものではありますが、それ以上に心で楽しむものです。
ですので、実際のゲームで書き師さん達が出てこなくても泣かないで下さい。

って書いとけ。

669 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/16(月) 19:17:58 ID:bb7G2sCK
ついで。
>>661
オリジナル、のはず。公式にはピサロナイトの中の人はアドンという戦士のはずだから。

670 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/16(月) 20:22:18 ID:TRX7WvX2
◆gYINaOL2aEさん
更新おつかれさま。今更ですが、すごい。凄く話に引き込まれます。
このまま頑張ってどうかラストまで書き続けて下さい。

671 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/16(月) 20:55:28 ID:+Eum5xzl
ライアンが死んだのは泣いた。
ヤヴァイ。超神。

672 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/16(月) 21:57:06 ID:7UHhefaH
大丈夫だ、ドラゴンボールで生き返る

673 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/16(月) 22:46:53 ID:tKHxlvGJ
ザオリクや教会の存在を消したり捻じ曲げたりしてるわけじゃないのに
それでもなおゲーム中じゃ簡単に生き返る死がこんなに重く書けるものなのか…
◆gYINaOL2aE氏はマジで神

マジ泣きしておきながらソロに呪い装備フルコンプさせて遊んだ自分は最低

674 :書記 ◆nUtX8ZK/82 :2005/05/17(火) 01:08:57 ID:pFK53TZG
携帯より。
次スレ1の直リンOKです。
それと、2ch歴長い癖に聞くんですが、容量オーバーすると1000を待たずにDAT落ちなんでしょうか?


675 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/17(火) 01:14:45 ID:CT/CqPow
>>674
しばらく残って圧縮時に消える。

676 :664 :2005/05/17(火) 02:20:20 ID:eriZWaFN
>>674
thx。

DQ4の人が投下開始する前に次スレ立てようと思うんだがどうよ?

677 :664 :2005/05/17(火) 02:31:31 ID:eriZWaFN
って、こんなこと書いたらDQ4の人も投下しにくいか。
まあ気にせず投下してくださいな。

678 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/17(火) 17:44:18 ID:N7RT2yKX
>>676
できれば頼む。

679 :664 :2005/05/17(火) 18:19:19 ID:7AS5RbXu
>>678
了解。んじゃ立ててきます。

680 :664 :2005/05/17(火) 18:29:08 ID:7AS5RbXu
すまん、できんかった…
誰か他に立てたい人いたら頼む。

681 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/17(火) 19:04:40 ID:4/FHaAAe
じゃあ絶対無理だと思うが挑戦してくる

682 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/17(火) 19:11:29 ID:4/FHaAAe
うわ、珍しく立てられた

もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら二泊目
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1116324637/

683 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/17(火) 19:12:03 ID:P4MbIpHQ
>>682


684 :664 :2005/05/17(火) 20:11:04 ID:T0QaQo7I
>>682
おお、乙です。

685 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/17(火) 21:02:58 ID:DwIrXh5b
>>682
二泊目ナイス。GJ!

686 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/17(火) 21:24:50 ID:2Gj9btBv
長いだけでつまらんから晒しage

687 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/18(水) 00:44:35 ID:BiHnGy4j
めざめて、いきなりアッテムトとかだと
すげー落ち込みそう

688 :中山 悟 ◆1AeKISTOmo :2005/05/18(水) 10:21:14 ID:jZTMeWr9
× もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら
○ もし目が覚めたときそこがDQ世界の宿屋だったら

689 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/19(木) 13:30:21 ID:sROgEe1d


690 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/19(木) 13:35:57 ID:aH2dysYJ
>>1
サイコォーじゃん。
この腐りきった世の中より、面白そうでよさげ。

691 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/20(金) 01:26:44 ID:Vvqynr6Y
あげ

692 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/20(金) 01:30:54 ID:3Q8Wofzt
まほうつかいに転職する

693 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/21(土) 01:59:34 ID:zaYBxlcX
あげ

694 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/21(土) 12:43:27 ID:DjzGM0Q/
埋め手伝い。

695 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/21(土) 18:05:55 ID:1XlHt05p
現在何キロ位なのかね。

696 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/21(土) 19:14:06 ID:H/goQ9Fq
482kb位

SS投下マダー?

697 : ◆nnvolY11AA :2005/05/21(土) 20:22:12 ID:EgCBXtuC
起承転結に自信を無くした。今は反省している

698 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/22(日) 15:50:59 ID:hQS+lcZg
糞スレ

699 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/22(日) 17:10:34 ID:grVgIRie
  、、、、
 ミ・д・ミ<ほっしゅ
  """"

700 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/22(日) 17:16:16 ID:Ho8fa2a+
>>699
ヵヮェェ

701 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/22(日) 20:47:03 ID:ovQJCDhm
正直DQの攻撃ってたいしたことないよ。
だっていどまじんとかの石を拾って投げる攻撃でけっこう大ダメージだろw
人間にしたら魔王レベルはそこら辺の格闘家でも素手で倒せるし、警察だったら
拳銃かなんかで楽勝・・・・・俺ら1くらいのレベルだったらりゅうおう倒せそう・・・・

702 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/22(日) 22:19:34 ID:Ho8fa2a+
>>701
なにか釣れた?

703 :冒険の書庫の書記 ◆nUtX8ZK/82 :2005/05/22(日) 23:25:38 ID:8AevbsZI
ここまでセーブしました   
http://www.geocities.jp/if_dq/ 


704 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 00:09:31 ID:BPyF7U2o
>>701
おまいは大爆発とか燃え盛る炎に耐え切れるか?
そうでもなきゃレベルTでりゅうおうは倒せないだろう・・・

705 :704 :2005/05/23(月) 00:10:05 ID:BPyF7U2o
>>702
俺がつれた

706 :投下! :2005/05/23(月) 03:16:28 ID:Gv6j8FH/

『うわーーー!!』

深い穴の底に落ちたような感覚に襲われたオレは、がばっと飛び起きた。
外はまだ暗い。しんと静まり返った夜更けか。
頭がぐらぐらする。変な夢を見ることはあるが、今日のは一段と変だった。

「……??
 な…なんだ?……ここは…」

異変に気付いたのは、目が次第に慣れてきた頃だった。
真っ暗だが、違和感でわかる。
自分の家で寝ていたはずが、ここはどこか別の部屋だ。
周り中ひどくボロボロで、床や壁もところどころに亀裂が入っているように見える。

「お目覚めになりましたか」
「うわああっ!!」
知らない男の声が隣から響く。部屋に薄ぼんやりとしたランプの明かりが入り込み、ボヤっと知らない中年の男の顔が映った。
「だ、だだ誰だよあんた!なんでオレの…部屋にいるんだよ!」
自分でも言っていることにかなりの違和感がある。だが、昨夜まで確かにここはオレの部屋だったはずだ。
「…どうやら、流れ着いたショックで頭をやられたらしいな」
男がかすかにそう口を開いた気がした。
「ここはアレフガルドの船着き場。お前さんが外で倒れてるのを見て、ここに運び込んだんだ。いったい、何があったんだ?」
一瞬、この男が何を言ってるのかわからなかった。


707 :投下!(つづき) :2005/05/23(月) 03:17:55 ID:Gv6j8FH/

「…魔物にでもやられたか?最近はこの辺りの海も恐ろしい奴らが徘徊しているからな」
「え…??マ……モノ?」
確かにそう聞こえた。
「おいおい、そんなことまで覚えてないのか!?そもそも、こんな光も射さない暗黒の世界になったのだって、あの大魔王ゾー…… おっと!いけねぇ!」
男は途中まで言いかけ、さっと口をつぐんだ。
「なに…?今なんて言ったんだ?大魔王…?ゾ……? …お、おいおい…冗談だろ」

オレには、その言葉の続きがなんであるか、反射的に理解していた。何故なら、その言葉は俺がいままで何十回と聞いてきたフレーズだからだ。
「は、ハハハ…。まさかなぁ。こりゃーあれだな。寝てる間に部屋を移し変えて、驚いてる様子を見るって企画。ドッキリなんだろ?あるわけないよな、こんなこと」
もう成すべきことは一つしかない。オレは立ち上がり、古ぼけた木製のドアに手をかけた。

ギ……ギ…ギギ……
ゆっくりと軋みながら開くドア。そして、その先には……。

「う、うわぁああああああ!!!!!!」

広大な海原。そして、延々と続く闇。光一つささず、星もない空。
ここはオレの知っている世界じゃない。どこなんだ、ここは!
背後で哀れみの目を向ける宿屋の男を振り抜け、オレは光を求めて走り続けた。
何度か、得体の知れない咆哮も聞いた。
そして、オレの持つわずかな希望を失うのに、そう長い時間はかからなかった。
目の前に、3つの影が現れたのだ。
その瞬間、これから始まるであろう苦難の道が、まざまざと脳裏に浮かび上がるのだった。


708 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 03:23:24 ID:Gv6j8FH/
ちなみに3つの影とは赤い塊w

709 :せめて主要キャラに… :2005/05/23(月) 14:04:21 ID:7ehe9GFG
朝、俺は眠気でまだだるい体を無理矢理起こし朝日に目をやった
いつもと違う周囲の雰囲気に自分はまだ夢を見ているのではないかと疑った
違う、俺はいままでいつもの自分の部屋とは違うこの場所で寝ていたのだ
一体何が起こったのか不思議に思いその場を見渡そうとするが体が思うように動かない

それからどのくらいの時間がたっただろうか…
一ヶ月、二ヶ月…いや、もっとだろうか
分かっている事は、自分はベッドの周囲数歩の所を自分の意思と関係なく動き、夜になるとベッドに入ることと
だんだんと時間の感覚が無くなってきている自分がいるということだけだ

そして、時間の感覚も無くなり、食べる事も飲む事も必要ではなくただそこに存在するだけの虚ろな日々を過ごしていた
そんな時であった、見知らぬ男たちが俺の部屋のタンスを勝手に開け「なんにも入ってねーじゃねーか」と毒づいた後
俺に話しかけてきた、俺は一言この男たちに文句を言おうと口を開いたその時
*「北の山奥には転職をおこなうダーマの神殿があるそうだ。オレもいつかは遊び人…じゃなくてりっぱな賢者に
なってみたいものだな。」

その時俺はすべてを理解した、俺はドラクエの世界に紛れ込んでしまった事
そして、俺の役割はバハラタの宿屋にいる町の住人の一人で、主人公たちにダーマの神殿の話を
するだけの存在であることを…


710 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 18:55:18 ID:VIXoVMgQ
さっさとあと300埋めろ糞馬鹿どもが


711 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/23(月) 23:30:41 ID:BRjjZ+1/
とりあえず、クックルとマルチェロの夜の兄弟愛を見に行こう。

712 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/24(火) 16:33:33 ID:XxiGFRaK
2スレ同時進行か・・

713 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/24(火) 19:33:18 ID:i9ZIESHm
残り容量どれくらい?

714 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/24(火) 21:22:31 ID:faTn2Qjg
>>713
たった2ギガ

715 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/24(火) 21:36:19 ID:uk1PZ8Bi
>>714
DVDに焼くとかしろよ。

716 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/24(火) 23:48:56 ID:pftfJ7fq
梅手伝い

717 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/26(木) 22:49:17 ID:jEFIN09k
埋め

718 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/26(木) 23:09:26 ID:iymAPbV8
埋め埋め
埋め埋め
埋め埋め
埋め埋め
埋め埋め
埋め埋め
埋め埋め
埋め埋め

719 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/27(金) 06:14:59 ID:i1zLJ9xo


720 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/27(金) 17:00:58 ID:U8rtgbeW
ウメ

721 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/27(金) 17:26:54 ID:IBBqYU81
城の周りのザコ敵ばっか倒してlv99を目指す。
で、主人公を殺して自分が主人公になる。

722 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/27(金) 17:53:37 ID:ufi+szL0
さっさと埋めろ

723 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/27(金) 17:58:31 ID:b9/DVmrq
>>701
石はあたったときコナゴナニナッテますが。
すげー威力だろ。

724 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/28(土) 02:38:16 ID:j2RKIBVR
拳銃とかだと、一発で40〜50ダメージくらいは与えられそうね


725 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/28(土) 10:09:25 ID:8afUwXpW
いや、急所を一撃するかもしれん

726 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/28(土) 22:23:03 ID:pm10pE3g
埋メ

727 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/29(日) 00:27:48 ID:hGTCP8q6
とりあいずカジノで838862枚コイン買って道具に交換して売る
それでゴロゴロ生活

728 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/29(日) 02:54:46 ID:mErswfav
ターニアと2回戦開始する

729 :701 :2005/05/29(日) 13:51:16 ID:JTTXEzdw
爆発に耐えられるんじゃない?
石で大ダメージから考えて爆発とかは小規模のものだろ、それもかなりの。

730 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/29(日) 20:53:36 ID:7Vu1M009
プレイヤーが操作してくれるまで動けない。
俺はよく電源つけっぱなして放置することが多いからむかつくだろうな。

トロデのおっさん、おれが悪いんじゃないよ

731 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/29(日) 23:41:21 ID:0TJ/VI7h
さて、一方『ドラゴンクエスト(DQ)』シリーズ。
特に『V』『W』『X』『Z』『[』あたりで下手に「感動した」なんて言うと、
「『いちご100%』で感動した」というのと同じくらい、
人間の底の浅さが垣間見えてしまう、ある意味危険な大作RPG。
DQシリーズは、そのライバルといえる『ファイナルファンタジー』シリーズとは対照的に、
根強い「DQ=ガキゲー」の構図が存在することでも有名だ。
その理由は突き詰めれば、「キャラのガキ臭さと共に比例するストーリーの薄さ」という一点に尽きる。
今や、したり顔で「FFはキャラゲー、DQこそが最高のゲーム」なんて言おうものなら、「かわいそうな子」扱いだ。
「感情移入」という言葉を重要視するあまり、
「無口で、自我が無く、仲間の言葉に流され、流れで竜王(笑)を倒し、気づけば実は勇者で、
流れでハッピーエンド」という主人公。まさに今の子供達のように事なかれ主義的考えの主人公。
「おい、コイツを動かしてるのは俺だろ。俺だったらこんな行動しねえぞ絶対」とは思うものの、
主人公には自我が無いため、仲間の言葉の言うなりに行動するしかない。
「主人公=自分」と思い込んでいる、かわいそうなプレイヤーがDQをするのに、
結局流れに逆らう事が出来ず、楽しめない。
少々強引かもしれないが、消防とDQ信者には
「映画を素直に楽しめない、内容が理解できない」という共通点があるんじゃないか。


732 :冒険の書庫の書記 ◆nUtX8ZK/82 :2005/05/30(月) 00:25:48 ID:+smkbd4M
ここまでセーブしました    
http://www.geocities.jp/if_dq/

733 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/30(月) 03:01:18 ID:Tvci/O8v
目が覚めた。見知らぬ民家だった。どこだここは。

とりあえず外に出た。おっなんか水色のプルプルがいる。UMAか。かわいい。

頭をなでる。よしよし。

………噛まれた。

痛い。すごく痛い。むかついたからその辺の棒で潰した。


今度はスコップを持ったでかいもぐらだ。獣のくせにスコップとは生意気なやつだ。

しかもメンチ切ってやがる。むかついたからスコップ取り上げてぶん殴ってやった。

いつのまにか夜になってたのでとりあえず集落らしきとこに引き返す。

しかしなんだこいつらは。集団コスプレか?世の中不況だってのにおめでてえやつらだな。

こんなオタクどもには関わりたくないので今日は野宿する事にする。













734 :埋めマン :2005/05/30(月) 03:15:59 ID:Tvci/O8v
うとうとしてると酔っ払いが絡んできやがった。うぜえ。

むかついたんでとりあえず殴った。ついでに金貨らしきものをもってたので貰っといた。

寝場所を探してうろうろしているとジジイに声掛けられる。こんな夜更けにどこ行くかだって?

うるせえ。話かけんなほっとけ。と、どうやら部屋に泊めてくれるらしい。いいやつじゃん。

そこは教会だった。こいつはどうやら神父らしい。日本にも神父はいたのか。

旅の人神のご加護をだとよ。はっこちとら仏教だっつーの。奈良の大仏なめんな。

その日は疲れてたらしく速攻爆睡だった。

次の日。

ベットの中で今までの事を整理してみる。

まず俺は朝から家で酒を浴びるほど飲んでいた。

ベランダに出た。ここまではなんとか思いだせる。

………あ……そうだ足滑らせて落ちたんだった……

…てことはここは死後の世界か!?なんてこった。これは斬新な展開だ。

俺のくだらない人生は終わってしまったらしい。

まあ朝から酒飲んでるような元ヤンのヒッキーなんて死んでも世の中には影響ないだろう。



735 :埋めマン :2005/05/30(月) 03:33:52 ID:Tvci/O8v
まてよ。この世界では俺の借金を取り立てに来る奴もいないんだよな?

警察も昔もめたヤクザも追ってこないいんだよな?最高じゃねーか!ヒャッホゥ!!

言いえて妙だが死んで始めて生きる希望がわいてきた。

ここでジジイが部屋に入ってくる。あ?よく休めたかだと?こんな硬いベットで疲れ取れるかボケ。

…と思いつつも非常に気分がいいのでよく休めたと返事しておく。

このジジイ朝飯まで食わせてくれるらしい。どこまでお人よしなんだまったく。

テーブルに並んだのは恐ろしく貧相な飯だった。

屑野菜のスープと硬いパン。しかし空腹の俺にとって食えるだけありがたい。一瞬で平らげる。

それを見たジジイが自分の分も食えと言ってきた。味見しながら作ったからもう腹いっぱいらしい。

ホントか知らんが老い先短いジジイより若い俺が食った方が有意義だな。遠慮なく頂く。

うっとうしいながらもしばらく雑談する。どうやら町の人のお布施で食いつないでるらしい。

昔はそれで十分事足りたのだが、最近教会の畑が夜な夜な魔物に荒らされて生活が苦しいとの事だ。

魔物って昨日のプルプルやもぐらの事か。

なぜか無性に腹が立つ。そこで俺は決心した。

「俺がそいつら全部ぶっ飛ばしてやるよ。人間サマにたてつくとは糞生意気な獣どもだ。」


736 :埋めマン :2005/05/30(月) 03:49:27 ID:Tvci/O8v
ジジイが危険だからやめろと止めてきやがった。

こいつ俺が誰だかわかってないらしいな。元鬼浜爆走愚連隊の総長だぞ?

もぐらや寒天なんかに負けるかっつの。

そして俺は準備のため教会を後にした。喧嘩は準備が大事だ。

町をうろついてると「武器屋」なる看板を発見。

……なんてこった。町の中で普通に武器売ってんのか。子供の教育によくないぞまったく。

俺はこの世界のアウトローっぷりに愕然としつつも店の中に足を進める。

またそこの店長が角付き覆面に上半身裸というぶっとんだやつだった。

もしかして俺はとんでもない世界に来てしまったのではないだろうか…

メリケンサックと木刀はないかと尋ねてみる。

ないそうだ。

使えねえ店だな。仕方が無いので「ひのきのぼう」を買って釘バットを自作する事にした。

ん?買う?て俺金もってねーじゃん!借金はもう懲り懲りなんで極力避けたい。

パクるにしても店長もかなりのつわものに見える。決戦に備えてできるだけ体力は温存したい。



737 :埋めマン :2005/05/30(月) 04:12:18 ID:Tvci/O8v
ん?そういや昨日たしか

あーあったあった。昨日の酔っ払いから巻き上げた金貨がポケットに入っていた。

おそらくこれがこの世界の通貨に違いない。

店長に見せるとひのきのぼうを買うには十分足りるようだ。むしろまだまだ買えるようだ。

そこで俺は「かわのぼうし」と「うろこのたて」を買った。完璧だ。

これはほんとに昨日の酔っ払いに感謝せざるを得ない。また会った際には協力してもらおうと思う。

太陽も高くなり腹も減った俺は一旦教会に帰る事にした。途中民家の柵から釘を拝借した。

教会にもどると何人かの町民が長椅子に座っている。ジジイは悩み相談的な事をしているようだ。

こんな辛気臭い教会に悩み打ち明けにくるなんてそうとうしょうもない連中だな。

まあどこの世界にも負け組みはいるってこった。そんな事を考えながら俺はせっせとほのきのぼうに

釘をうめていった。我ながら最高の一本に仕上がった。重量、長さ、見た目ともに申し分ない。

おっジジイが戻ってきやがった。昼飯は町の人が持ってきた料理だそうだ。

うまい。

朝飯に比べて遥かにうまい。てか肉。肉ヤバイ。肉うまい。肉最高。

大満足の俺は夜まで寝ようとした。しかし外がカンカンうるさくて寝れない。

外に出るとジジイが薪割りをしていた。明らかに斧の重量にジジイの腕力が負けている。


738 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/30(月) 04:30:48 ID:Tvci/O8v
斧を取り上げて薪を割り始める。ジジイが満面の笑みで礼を言ってきた。

ちっ。勘違いすんじゃねーよ。俺はただ早く寝たいだけだっつの。てめえがやってたら

いつまでも終わんねーだろうが。

薪割りを終えた俺は部屋で夜まで寝た。ちくしょう無駄に疲れたぜ。



ー夜ー


ジジイが寝た後教会を出た。というよりは起きてるうちは行かせてくれなかったのだ。

しばらく歩くと畑に着く。ここは町の共同畑のようなもんらしい。今はただの荒地だが。

中を見ると10匹程度の魔物と呼ばれるやつらが土を穿り返したり作物かじったりして騒いでる。

なんかあれだな。公園とかコンビニでバカ騒ぎしてた昔の俺みたいだな。

そう考えるとこの光景も微笑ましくすら見える。おっといかんいかん。最初の目的を忘れるとこだった。

喧嘩は先手必勝である。俺は先制パンチで青寒天を潰した。相変わらず手ごたえのないやつだ。

そしてここで相手をよく見る。喧嘩には冷静になる事も必要なのだ。

青寒天2匹、もぐら2匹、異常にでかいミミズ一匹、バカ面のコウモリ1匹、角うさぎ1匹。

格段強そうな奴もいないがいかんせん数が多い。さてどうしたものか。

739 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/30(月) 04:54:00 ID:Tvci/O8v
え?角うさぎが突進してくる。マジ早い。

とっさに盾を構えるが盾の上から吹っ飛ばされて岩に激突した。痛てえ。

どのくらい痛いかって昔原付に体当たりされたことあるがそれくらいの衝撃。このうさぎ強!

間髪いれずにまた突進してくる。俺は必死に横っ飛びで逃げた。

ゴベ!!!!

鈍い音と共に角うさぎは岩に激突した。そして死んだ。

所詮獣か。相手がバカで命拾いしたぜ。

残りの青寒天も粉砕する俺。ああ神様強すぎてごめんなさい…

とそこに調子乗ってる俺を奈落の底までビビらせるやつが現れた。

「人間風情がオイタしてくれんの小僧。」

猪だ。猪が喋りやがった。

「久しぶりに人間の肉も悪くないかのう。」

ヤクザだ。昔愛人にちょっかいかけて追い掛け回されたヤクザにそっくりだ。

俺は瞬時にこいつの事は今後ヤクザ猪と呼ぼうと決めた。そして次の瞬間覚悟を決めた。




740 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/30(月) 05:05:31 ID:Tvci/O8v
太い。

腕が太い。

首が太い。

おまけにヤリなんか持ってやがる。反則だ。

まあ一度捨てた命だしタイマンなら負けなしの俺だ。案外なんとかなるかも知れない。

とにかく自分より強いやつに勝つには先にいいの一発入れるしかない。

そう思った俺は盾を捨て両手で釘ひのきを握り締めた。もはや防御は不要特攻あるのみ。

そして勢いよく走り出すと思いっきり釘ひのきを振りかぶり……

投げた。

相手の視線は一瞬宙を舞う棒に釘付けになる。

ブシュー!

その隙をついてヤクザ猪の喉に隠し持っていたナイフを突き立てる。

ちなみにこのナイフは元の世界から常に携帯してた護身用のナイフだ。

暴走族たるものナイフの一つくらい常に携帯してるのが嗜みってもんだろう。

動脈をスッパリやられた極道猪は口をパクパクさせながらその場に崩れ落ちた。



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