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もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ :05/03/15 05:33:29 ID:NA3D0HzS
どーするよ?

291 :DQ3 :2005/04/26(火) 00:09:29 ID:ECHFbos3
「メラ!」

右手から何かが迸る感覚。恍惚とする、それでいて高揚感で包まれる。






その結果、右手から放たれた火球は勢い良く筋肉にぶちあたった。





ちょっと、さすがにフライパンであんたの筋肉で殴られたら死ねるというかちょっとまっt





とりあえず女神の神聖呪文で助かる俺。これは殺人ではなかろうかと思いながら気を失った。



HP.10
MP. 8
E旅人の服 E荷物
呪文
メラ

292 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/26(火) 00:15:17 ID:h6ukMeMD
ワロス

俺のこの手が真っ赤に燃える

293 :獅子王  ◆gYINaOL2aE :2005/04/26(火) 01:24:18 ID:7aq4z8YB
大陸間移動を果たした俺たちソフィア率いるアリーナとマーニャの下僕たちは、船を港にはいれず接岸し、陸から港町ハバリアへ足を踏み入れた。
逸る気持ちを抑え、宿で一度休息を取る一行。
急いでキングレオに行かないとならないのも確かなのだが、いかんせん長い船旅は皆初めてで、疲労の度合いが半端でなかったのである。
俺も部屋に入るや否や寝る準備もそこそこにすぐにベッドに潜り込んでしまった。

そして、夜。

急に眼が覚めてしまった。
もう一度寝直そうと何度か寝返りを打つのだが、どうもいけない。
少し外の空気にでも当たってこようか――そう考えて外に出ようと、音を立てぬようそっと部屋の扉をあけ廊下にでる。
――目の前に薄ぼんやりとした人影がある。
すわ!?幽霊か!?
俺は内心ガクガク(((( ;゚Д゚))))ブルブルしながら、それでも旅の間で少しずつついてきてしまった度胸のせいで、それが果たして何なのか確かめようと眼をこらす。
碧色の髪。
なんだ、ソフィアじゃないか。薄暗くてよく解らなかった。
こんな時間に、どうしたんだろう?
ソフィアは迷い無く歩き、やがて宿屋を出て行ってしまった。
俺は彼女が気になったのもあるし、どうせ外に出ようと思っていたのもあったので、なんとはなしに彼女について行く事にした。
適当なところで声をかけてもいいし、後ろから驚かせるのも良いかもしれない。まさかいきなり斬り殺されたりはしないだろう。アリーナなら危ないが。
彼女を追いかけ宿屋を出ると、既に町からも出て行こうとしている。
慌てて後を追う。だが、歩調がかなり速い為か中々追いつけない。
町の近くとはいえ、一歩外に出てしまえばそこではいつ魔物に襲われてもおかしくない。
そしてこの辺りの魔物はエンドールやコナンベリー、ミントスの魔物と比べてもかなり強いのだ。
俺たちもまた少しずつ強く(或いは慣れてきているだけか?)なってきているのだが、まるでそれに比例するかのように魔物もまた強くなっている。
不安に襲われた俺は、彼女に声をかける事にした。



294 :獅子王  ◆gYINaOL2aE :2005/04/26(火) 01:25:06 ID:7aq4z8YB
「おーい!ソフィア!」

だが、彼女の足は止まらない。
何故だ?聴こえていない筈はないだろうに――。
一度戻るべきか?多少迷うが、此処で彼女を見失ってしまえば例え戻ってミネアやクリフトに相談しても迅速な対処はできないだろう。
意を決して、一人でソフィアの後を追う。
幸いなことに――彼女の目的地はさほど遠くないようだった。
やがて見えてきた建物――あれは、祠だろうか?――に、その小さな姿が飲み込まれていく。
俺も慌てて彼女の後を追った。

「おわ!?」

するとどういう訳か入り口近くで立ち止まっていたソフィアに軽くぶつかってしまった。
そこで初めて俺の存在に気づいたかのように、ソフィアはひどく驚いているようだった。
俺が、宿屋から出て行く姿が見えたから追ってきた、途中で呼びかけたがそれも聴こえていないようだった旨を伝えると、
ソフィアは首を傾げて、俺の声は聞こえなかった、代わりというかなんというか、誰かに呼ばれて此処まで来たような気がするがよく覚えていない、との事だった。
もしかして、罠だろうか?
顎に手を当てて考え込む俺に、ソフィアはそういう嫌な気配は余り感じない、と言う。
…大丈夫だろうか?
未だ迷っている俺を尻目に、ソフィアの方はこの建物自体に興味津々と言った様子だった。
彼女は出会った時から好奇心が旺盛で、新しい物や場所にはとても関心を示す。
――だが、好奇心は猫をも殺す事もある。
まあ、そうならないように俺が見守る事ができれば良いのだが、残念ながら俺はまだまだ守られる側である。
…差は詰まる所か余計に開いている気もするがー…。
俺がまた内面世界に引き篭もっている間にソフィアの方はきょろきょろとしながら前進している。
俺は再び彼女を追った。

295 :獅子王  ◆gYINaOL2aE :2005/04/26(火) 01:25:57 ID:7aq4z8YB
建物自体はそこそこの大きさがあるようだった。
高さも横幅も俺が知っているような家々のものとは違い大分大きい。どちらかというと、祭壇のイメージだろうか…?
建物の中央に、眼の高さ位まである十字の塀の中で一際大きな炎が赤々と滾っている。
とりあえず、火の大きさだけで俺の身長以上あるわけだ。
そして中央の炎を守護するように――或いは寄り添うように、7つの少し小さな、それでも十二分に大きな炎。
そもそも何が燃えているんだろうか?こんな所で炎を焚いている理由はあるんだろうか?
疑問は尽きないが、魔法が実在する世界でそういう事をあんまり気にしてもしょうがないかもしれない。と、最近達観してきている。
…思考停止だな。これは危険な気もするが…。
俺たち二人は、その何とも言えない不思議な空間に眼を奪われつつ、ぐるっと回り込み奥を目指した。
ソフィアの足が止まる。俺がどうしたのかと彼女の視線を追ってみると、そこには1つの人影が見えた。

「ようこそ。此処は、お告げ所。神のお告げが降る聖なる祠」

こちらが誰何の声を上げる前に、人影が語りだした。
声の雰囲気から察するにどうやら女のようだが。
俺とソフィアは一度顔を見合わせる。

「バトランドの戦士ライアンが、勇者を捜し求めてやって来たのです。
神の示された勇者の姿をライアンに伝えておきました。
光が一段と輝きを増しています。やがて、出会いの時が来るでしょう」

一方的に叩き込まれる情報に俺たちは軽い先制パンチを食らった気分だ。
というか、オラクルマスターはミネアだけで間に合っている。

296 :獅子王  ◆gYINaOL2aE :2005/04/26(火) 01:31:53 ID:7aq4z8YB
「神って、なんすか?」

「神は、神です。全知にして、全能なる存在」

「本当にいるの?」

「いますよ」

「見た事あるの?」

「ありません」

「じゃあ、いる事の証明はできないんじゃね?」

「私には神の声が聴こえます。それに、存在するのですから、それは存在するのです」

淡々とした応答。うぐぅ、よく解らん。
俺はとりあえず一度質問を変える事にした。

「全知って事は、何でも知ってるの?」

「そうです」

「じゃあ、俺の事も知ってるんかな?」

「貴方についての神の御意思は量りかねますが、神が知りえぬ事はありません」

297 :獅子王  ◆gYINaOL2aE :2005/04/26(火) 01:33:08 ID:7aq4z8YB
ふーん…?
どうも眉唾物の話しだが、仮に実在するとしたら神様とやらに会えれば元の世界に戻れるかも…?
しかし、なあ。全知全能ならもっと色々やって色々良くしてくれりゃいいのに。って、俺も抽象的過ぎるか。
少なくとも――ソフィアにこんな過酷な運命を背負わせる事は無いんじゃないかと思う。
それとも、神とはそういうものなのだろうか?存在するにしろ、しないにしろ。
あんまり良いイメージが無いな。神様とやらには。
いやまあ、神様に罪があるとするならその存在自体が罪だって事になっちまうし、それはあんまりかもしれないが。
カルトにしろ、原理主義にしろ、神の名を盾に好き勝手やるのがいるとなあ。
俺の世界の宗教はイデオロギーの面が強すぎるし――神がいつも見ていると説かないと己を律する事ができない奴が多いのが、人の落ち度なのだとしても。
神という概念が存在する世界としない世界を比べるのはナンセンスだが、どうだったろうなと考える事はある。
まあ、今より良いと断言できるほど神を憎んでもいないのだが。
俺の元の世界の話こそ今はどうでも良い。悲しい事だが。
この世界に神の概念がなければ、比較する事もできたかもしれないがね。

くんっと袖を引かれる。
何か訊きたい事があるのだろうか。どうした?と訊ねてみるが、ソフィアは眼を伏せ頭を振るばかり。

『此処は…此処は、何か、嫌…』

…震えているのか?
ソフィアのこんな姿を見たのは久しぶりな気がする。
それこそ、あの村や、エンドール以来では無いだろうか…?
この祭壇に邪悪なる者達の気配は無く、禍々しい邪気のようなものも感じない。(俺はまだまだ素人だが)
そんな俺が感じるのは――圧迫感、だろうか?
俺は女に軽く会釈をした後、ソフィアの手を引いてハバリアの町へ戻る事にした。
とりあえず、ライアンという戦士が確かにこの辺りに来ているらしいというのが解っただけ収穫だったと今は思おう。

298 :獅子王  ◆gYINaOL2aE :2005/04/26(火) 01:34:24 ID:7aq4z8YB



俺たちの目前には、威風堂々とした城が立ちはだかっている。
なるほど、キングレオ城の名に恥じないものだ。

「相変わらずこの城はいやーな空気に満ちているわね」

隣にいるマーニャが、眉間に皺を寄せる。
ミネアがきゅっと自分の服の襟元を掴む。

「バルザック……。今度こそ、絶対に許さない」

思い詰めたようなミネアの言葉。
それとは対照的なのがアリーナだ。

「お城っていうだけでちょっとサントハイムを思い出すわ」

なんとも能天気な台詞だなと思い、アリーナを見ると、彼女の眼は思いのほか真剣だった。
此処ではない何処か。この眼は何処かで見た気がする。…そうか、あの時のソフィアも…。
――今は決して届く事が無い、哀切を帯びた瞳。
彼女たちには、非常に重たい荷があるのだろう。
現在、城の前にいるのはソフィア、アリーナ、ミネア、マーニャ、そして俺の五人である。
他の男たちは皆馬車で待機している。
この面子になったのも、事情を考えると妥当と言えば妥当なのだが妙に偏ったものだ。
アリーナだけは、彼女を心配するクリフトと揉めたのだが、
結局何処ぞのストリートファイターのような、俺より強いヤツに会いに行く的な事を言う姫君を止める事はできなかった。
俺としてはそんな強敵に出会う事無く、穏やかにつつがなく波風の無い人生を歩みたいのだが…。
…まあ、そんな事を言えばついてこれないクリフトに怒られてしまうかもしれない。潜入に近い形になる以上、全員でぞろぞろと行く訳にもいかなかったのだ。
俺は何のかんのと言ってもソフィアを出来る限り助けてやりたいと思っているし、その為にはついて行く必要があるのも確かだ。
俺がついて行きたいと言う限り、ソフィアは許可してくれそうなのだが――最近、こちらを心配そうに見る事が増えている。
もっとしっかりしないと危ないかも、俺。

299 :獅子王  ◆gYINaOL2aE :2005/04/26(火) 01:35:53 ID:7aq4z8YB
見張りもおらず、開け放たれたままの城門をくぐる。
前方には庭が広がり、二つの噴水。そして、大きな正門。流石に正門の周りには、兵士が二人ほど立っていた。
先頭を行くソフィアが何かを見つける。どうやら、噴水の近くに人影があるらしい。
俺たちが近づいていくと、相手もこちらに気づいたようで小走りに近づいてきた。

「ボクはホイミンという旅の者です。
どうか、お城の中に連れて行かれたライアン様をお助けください!
魔法のカギがあれば中に忍び込める筈です」

なんだこいつ?ちょっと迂闊じゃね?
まあ、俺たちは城の兵士には見えないだろうが…。
アホな子かな、と思ったのだがどうやらかなり焦っているようである。
ライアンという戦士とどういう関係なのだろうか…?
ちなみに、ぱっと見は男に見えるのだが詩人のようなゆったりとした服装に、整った顔立ちの為性別がはっきりしない。
うほっ、なのかボクっ娘なのかは敢えて言及を避けよう。俺は後者の方が夢があって良いと思う。

「助けてと言われると途端に見捨てたくなるのは何故なの?ねえ、あたし。
そういえば、あの時も鍵がかかってて中に入れなかったわね」

サドっ気全開のマーニャに内心おどおどしつつ、
その時も魔法のカギとやらを使ったのかをミネアに訊ねた。

「いえ。以前はオーリンさんが扉をこじ開けてくれたんです」

この台詞が決定的だった。
これを聞くまでは、彼女もカギを先に取りに行かないとだめかーと言っていたのだ。
マッスル・プリンセス・アリーナその人である。

「人間に出来た力技なら私に出来ない訳がないわ!」

おまいはいつから人類最高の力を持っている事になったんだ。オーガか?
そもそも、忍び込むんだろう?門の前には兵士がいるんだぞ。

300 :獅子王  ◆gYINaOL2aE :2005/04/26(火) 01:38:32 ID:7aq4z8YB
「城には大抵裏門がある筈よ!そっちからいきましょう!」

こうして俺たちは、アリーナが細い腕で信じられない力を発揮しこじ開けた扉をくぐり、城の中へと潜入した。
ホイミンも焦っていたことだし、兵は拙速を尊ぶという事で良しとしよう。


そこは、外見の立派さとは違い大分おかしな城だった。
一階にも二階にも玉座、王の間が無い。
城の廊下でキモスな男と娼婦のような女が追いかけっこをしている。それを咎めるべき兵士も殆どいない。
散乱したご馳走であったもの。床にぶちまけられたワイン。
それら腐敗臭に混じり、別の異臭もする気がする。毒ガスでも噴き出してるんじゃないのか?いや、それは困るが。
二階の一室に、ひっひっひっと解りやすく笑う学者っぽい男がいた。
軽く小一時間問い詰めたところ、なにやらこの国の王は城の人間を使って魔法の実験をしているらしい。
それを聞いたミネアの表情が沈痛なものに変わった。
とりあえず、こいつを簀巻きにするのは後でも良かろうと一度部屋を出る。

「これで一通り確認しましたね…こうなってくると逆にあそこしかない、となるのですが…」

まだ当てがあるらしく、こちらへ、とミネアが先導する。
城の奥の廊下を歩いていると、壁に向かって立っている兵士が三人ほど見えてきた。

「こ、こら!大人しくしろ!」

中央の、趣味の悪いピンク色の鎧を着た兵士――いや、あれは城の兵ではなく戦士、か――の気合の声が辺りに響く。
戦士――ライアンは、両隣にいた兵士たちを一息で吹き飛ばして見せた。

「あの戦士、中々できるみたいね。兵士をあんなに吹っ飛ばすなんて!」

喜びながら駆け出すアリーナ、そしてソフィア。俺たちも後に続く。


301 :獅子王  ◆gYINaOL2aE :2005/04/26(火) 01:41:14 ID:7aq4z8YB
「む!?…碧の髪、そして蒼い瞳…。間違いない!お告げ所のお告げ通りだ!
ぬおおっ!このライアン、遂に捜し求めた勇者殿にお会いする事ができた!
勇者殿!貴方様を捜して、私は…どれほど旅をしたことか…っ!」

涙ぐむライアン。ぬおおって凄いな。
彼の勢いに、ソフィアは驚いて眼をぱちくりとさせている。
俺はなんとなく面白くない。

「……と、今は苦労話をしている時ではなかった!
この部屋の中にいるのは、世界を破滅せしめんとする邪悪の手の者と聞きます。
共に打ち倒し、その背後に潜む邪悪の根源を突き止めましょうぞ!
さあ!中へ!」

ライアンが壁の一点を押し込む。
すると、がこん、という音と共に壁が消え通路が現れた。
すげえ。からくり屋敷みてえだ。
俺は感心しながら奥へと進む。

「おのれ、曲者め!であえ、であえ!」

後方から響いてきたのは数人の兵士の声だった。
数人――これしか、いないのか?どうも、この城はおかしい。まあ、好都合なのだが。

「こやつらは私が引き受けた!勇者どの、早くキングレオを!」

一番先頭に居た筈のライアンが一気に戻ってきて、兵士たちと切り結び始める。
いや、三人同時に相手するとか、凄いとは思うんだが…俺たちに強敵押し付けですか('A`)
あれ?っつか、なんだこの流れは?キングレオは姉妹の仇って訳でもないような…。オーリンとかってのの仇なんだっけか?
ライアンが無事ならそれはそれで良いような…邪悪、邪悪、ねえ。
邪悪の手の者と聞きますって、誰に聞いたんだろう?あのお告げ所の女か?――ふむ。

302 :獅子王  ◆gYINaOL2aE :2005/04/26(火) 01:42:58 ID:7aq4z8YB
どうやらこの隠し部屋こそ、この城の王の間であるらしい。普段の謁見とかどうするんだろう。
玉座の後ろには、獅子のレリーフが飾られている。
いや、玉座の後ろなどをじっくり観察する余裕などありはしない。

「騒々しい事だ…」

――獅子王。
そう呼ばれる存在が、玉座に座している。
豪奢な金髪が、確かにまるで鬣のようだ。

「…ん?ほう…お前たちは…バルザックを仇とやってきたエドガンの娘らだったな」

キングレオがマーニャとミネアを視界に収め、ニヤリと笑う。
姉妹は既に戦闘態勢を取り、各々の武器を構えている。

「生憎だがバルザックはもうおらんぞ。残念だったな…。
まあ、退屈しのぎに丁度良い。此処まで来てしまったからにはタダで帰す訳にもいかん。人間どもの力の無さを思い知らせてやろう」

つまり――人間では無いのか。目前の男は。
俺の推測を裏付けるかのように、キングレオの姿が歪む。
服が破れ、腕が、足が、生える――。
それは、変成(へんじょう)であった。なるほど、こんなものが、人である筈が、無い。

「お前たちをそのような脆い生き物に創った神を恨むが良い――」

四本の足で立ち上がり、四本の腕をそれぞれ別の生き物のように動かす。
巨大な身体。巨大な顔。顔を囲う変色した鬣――。
俺は、圧倒的な威圧感を感じていた。
あの大灯台にいた虎など、比べ物にならない。
――劣等感。
解る。解ってしまう。俺は、アレに比べれば――劣等種だ。

303 :獅子王  ◆gYINaOL2aE :2005/04/26(火) 01:44:01 ID:7aq4z8YB
アリーナが、ソフィアが、ミネアがキングレオに斬りかかる。
爪を、剣を、槍が閃く。だが、さっと鮮血が舞う中でもキングレオは不気味に笑っていた。

「――遅いのだよ、お前たちは!」

ガン!ズガン!!
連続して響く破砕音。壁にめり込んでいるのはソフィアとアリーナだ。
――あの二人をほぼ同時に捉えたのか!?
彼女ら二人はうちのスピードキングだ。その二人を一度に殴り飛ばすなんてありえない――。
ミネアが慌ててソフィアに駆け寄り上位治癒(ベホイミ)を唱える。俺はそれを確認し、アリーナに近寄り、彼女を抱き起こした。
口の端から紅い筋が伝っている。
俺は慌てて荷物の中から薬草を取り出し、彼女の口元へと運んだ。

「――う……。う〜、いった〜……ありがとっ」

ぴょん、と跳ね起きる。だが、その足元はおぼつかない。
――薬草の効果が、ダメージに対して及んでいない。
こんなケースは極稀だった。今迄、痛恨の一撃を誰かがもらう事があっても、ミネアかクリフトの上位治癒で十分事足りたと言うのに。
ソフィアもアリーナも無防備な所を喰らった訳ではないのにこのダメージだ。

「調子に乗るんじゃ――ないわよ!」

マーニャが放つ大炎熱(ベギラマ)の炎が獅子を焦がす。
だが、焼き尽くすにはそれでも足りない。
俺は怯む心を叱咤して、鋼の剣を構え獅子に突貫する。
突き。それが、かろうじてものになって来ている俺のほぼ唯一の攻撃手段だ。
しかし、獅子は。
俺の全力の突きを、指先で、まるで無造作に止めてしまった。

「…弱いな、お前は。しかし、成る程、エドガンの娘たちはあの時よりかは多少腕を上げたようだな。だが…それも、無駄な努力だ」


304 :獅子王  ◆gYINaOL2aE :2005/04/26(火) 01:45:44 ID:7aq4z8YB
キングレオが大きく息を吸い込む。
――ヤバイ。俺は咄嗟に、剣を無理やりに引き、バックステップを踏む。
周囲の熱が消える。体温が凍る。キングレオが迸らせるのは極寒の吹雪だった。
ヒュォォォォォォ――!!
冷気が俺の耳を切り裂いた。指の先が氷結し、感覚が死滅していく。

「――キャァァァ!!」

それは誰の悲鳴であったろう。
だが、それすらも確認できない。顔を僅かにも上げる事すら叶わない。
俺はキングレオの巻き起こす凍える吹雪、ただそれだけで既に生と死の境をさ迷ってしまっている。

「…あんたは下がりなさい!こいつは、あんたには荷が勝ちすぎるわ!」

マーニャの指示が飛ぶ。
確かに、これは――ダメだ。攻撃の余波だけで俺にはとても耐えられない。この上直接攻撃など喰らった日には――。
幸いな事なのかどうか、キングレオは俺を弱者と定め、そしてヤツは弱者には注意を払わないようである。
俺は、一歩、二歩と、凍りつきかけた足で後退した。

「弱い…脆い…人とは何と罪深き事よ…。
力無き者には仇を討つ所か、生を甘受する資格すらない」

ソフィアが、アリーナが吹雪の中を猛然と突き進み、獅子へと肉薄する。
マーニャは、長い呪文の詠唱と集中を行っている。
ミネアはソフィアの治療を行った後、自身も聖なる槍を獅子の身体に突き立てた。

「黙りなさい…!お父上を幽閉した挙句国を売り、デスピサロなどに城を与えられて喜んでいる愚王が…!」

「…父?ああ、あの男か。あの男も弱かった。獄死というのも、無様な王に似合いだと思わぬか?」

305 :獅子王  ◆gYINaOL2aE :2005/04/26(火) 01:47:57 ID:7aq4z8YB
「――獄死、ですって。王様が……あの方まで、死んでしまったの……?
あの、優しかった王様を獄死させるなんて……どうしてそんな非道い事ができるの……」

「…弱いという事は罪なのだ。王は、国は、強くなくてはならん。優しさにかまけ、強さを放棄したあの男は大罪人だ」

……その理屈は、俺には少しだけ解ってしまった。
甘い顔ばかりでは、つけあがるヤツラは必ず存在する。
優しい。ただ、それだけで。永遠に搾取され続ける。
だが、俺はこの国の現状など知らなければ興味も無い。
この瞬間、最も俺が興味を持っている事はこの状況をどう切り抜けるか、だ。

キングレオの放った炎熱(ギラ)の炎が床を走る。
吹雪だけでなく炎も操るとはなんと器用なライオンか。
それでも先ほどの吹雪よりはマシだったのか、臆する事無くソフィアとアリーナが獣の身体に鉄を突き入れる。
確かにこちらの攻撃も効いている。だが、それ以上にこちらが満身創痍だ。

「――出来たわ」

ぽつりとマーニャが呟く。
手中には凄まじい魔力の奔流が渦を巻いていた。

「見せてやるわよ――この、天才魔術師マーニャ様の秘技!ミネア!勇者ちゃん!アリーナ!一気に決めるわよ!」

「OK!」

アリーナが嬉々として返事をする。
彼女の魂は、危機において尚、輝きを増すのか。

「――キングレオ。これが、最後です」

「お前たちの短い人生の、な」

306 :獅子王  ◆gYINaOL2aE :2005/04/26(火) 01:49:45 ID:7aq4z8YB
ミネアが再びソフィアに治療を施した後、低く槍を構える。
ソフィアも、皆とそれぞれに視線を合わせて大きく頷いた。
それに呼応するかのように、キングレオもまた四本全ての腕の拳を握る。

――アリーナが、ソフィアが跳躍する。

――マーニャが、船に乗っている間からブライの協力を得て研究していた魔法、火焔球(メラミ)を解き放つ。

――ミネアが、敢えてワンテンポずらしたタイミングで距離を詰め、下から槍を突き上げる。

それは、全てが捨て身の攻撃だった。
彼女たちは、この強敵の前に己が命を賭けている。
特に、前衛の三人はキングレオの重い打撃にこれ以上耐えられないであろうと予測している。
それでも――例え、マーニャのあの呪文が止めとならなくても、誰か一人が残れば。
その人が、決めてくれる。
俺にはそれがとても眩しくて、格好良く見えた。
同時に、キングレオの打撃に、一度として耐えられないであろう己が身の貧弱さが悔しかった。
だから――。

――俺は、詠唱を開始していたのだ。

呪文。それは、意思の体現を促す式。
高度な魔法になればなるほど様々な物質のあり方から学び、正しく理解する事でイメージを更に強化していかなければならないのだが、
最も基礎的な魔法の行程は、精神を繋ぎ、意図を伝え、力を喚び、イメージを現実に回帰させる法であるとブライは言う。

意思。俺の意思。
俺の意思は――彼女たちに、傷ついて欲しくない。

307 :獅子王  ◆gYINaOL2aE :2005/04/26(火) 01:55:55 ID:7aq4z8YB
そこに必要なイメージはなんだ。
――防具だ。防具があれば良い。
古い伝承に在る何者にも貫かれない盾を顕現させる。
イメージ。だが、どんなに最強の盾をイメージしても、それはどのような形ならば最強なのか?何で構成されていれば最強なのか?それが俺には解らない。
そして何よりも、それは最強の矛の前では存在し得ないのだ。
俺の中でその存在は矛盾する、と意識してしまえば、盾の強度は一気に崩壊する。
ダメだ。盾ではダメだ。いや、もう間に合わない――なら!!

城の床を蹴り、少女に少しでも近づくべく駆ける。
跳躍している彼女の後ろから、精一杯に腕を伸ばして俺は俺の意思を体現させる。

「物理障壁(スカラ)!!」

キングレオの拳が、ソフィアを弾き飛ばした。少女が盛大に宙を舞う。
マーニャの身長程もあるであろう特大の火の球がキングレオに着弾する。
圧縮され、炎熱や大炎熱よりも更なる高温を宿した火球がキングレオの肉をぶすぶすと焼き尽くした。

「おのれ――おのれぇ!!貴様、だけでも…!」

キングレオの瞳がぎらりと光り、碌に治療を受けられなかったアリーナへと向けられた。
中空にある彼女の身体を、キングレオの拳――否、凶悪な爪が、アリーナの身体を刺し貫かんと迫る!

――そこに浮かぶのは、三枚の盾。

獅子の瞳が驚愕に見開かれる。それは、アリーナにとっても同じ事だ。

308 :獅子王  ◆gYINaOL2aE :2005/04/26(火) 01:57:18 ID:7aq4z8YB
「――!?ふざ、けるなぁ!」

更に突き込まれる爪に、盾の一枚が砕け散る。
二枚目――三枚目。それすらも、獅子は咆哮と共に貫いた。
だが、そこまでだ。
盾との拮抗で磨耗した爪を、アリーナは易々とやり過ごし、キングレオの顔に渾身の蹴りを見舞う。
ぐらりとその巨体を揺らす獅子。
無防備に晒された腹部に、ミネアの槍が突き刺さった。

「こ…この私が、敗れるのか…。お前たちは一体…」

身体中から血液を溢しながら、尚、立ち続けるのは王としての意地だろうか?
アリーナが、ミネアが、油断無く構える中、吹き飛ばされたソフィアが剣を杖に立ち上がった。

「勇者…と、言ったな…地獄の帝王様を滅ぼすと言われる勇者…?
ばか、な…勇者なら…デスピサロ様が既に殺した…筈…」

キングレオの身体が歪む。ミネアが槍を引き抜き、寂しそうにこう言った。

「王よ。貴方の理念や信条が間違っていたとは言いません。
ですが――この荒廃した城を見て尚、王として正しいと。そう、言えますか?
人を捨て魔物になった事が、城の人間を使って実験を繰り返す事が…!!」

「ふ……。強き事は素晴らしき事……強き、エドガンの娘たちよ……。
余が間違っていたとするなら、それは唯、一つ……お前たちに敗れる程に弱かった、余の……。デスピサロ様に……デスピサロに及ばなかった、余の……。
……教えてやろう。バルザックは……サントハイムに……」

最後の言葉を聴いたアリーナの顔色が変わる。
だが、少女はすぐに頭を振り一度は平静を取り戻したかのように見えた。

百獣の王の最後。
彼は力を求め、最後まで力が足りないが故の結果であると信じて力尽きていった。

309 :獅子王  ◆gYINaOL2aE :2005/04/26(火) 01:58:06 ID:7aq4z8YB
ソフィアが、がっくりと膝をつく。
俺は慌てて彼女に駆け寄った。

「ソフィア!大丈夫か、ソフィア!」

俺の呼びかけに、少女は小さく頷いた。
ミネアも傍に来て、急いで治療を始める。

「それにしても、意外だったわね。私はてっきり、あの状況で物理障壁を使うなら勇者ちゃんにかけると思ったわ」

「うん、私も」

マーニャとアリーナがそんな事を言う。
これの意図する所はなんなのだろうか?

「んな事言ったって、ソフィアはミネアに何度か治療してもらってただろ。
アリーナは、俺の薬草が精々だったから、アリーナのがヤバイと思ったんだよ」

「あれ?そういうものなんだ。そうよね、危ない方を優先するのが普通よね」

やっぱりクリフトがおかしいんだと、アリーナは一人合点が言ったようだ。
マーニャの方は、ふーんとか、ほーとか、気の抜けたような相槌を打つばかりだ。

「その、な。…ごめん、な。痛い思い、させちまって」

ソフィアに謝意を述べると、少女は頭を振って先ほどよりも大きく意思を表す。
俺の掌を取り、そこに細い指でゆっくりと文字を書き始めた。

『呪文、使えたね。良かったね』

無我夢中で発動させた、初めての呪文。それはとても、スマートと言えるような流れでは無かったけれど。
彼女は、己の身体の痛みよりも何よりも先に、俺への祝福を優先してくれたのだった。

310 :獅子王  ◆gYINaOL2aE :2005/04/26(火) 02:03:43 ID:7aq4z8YB
HP:3/68
MP:21/30

Eはがねのつるぎ E鉄のまえかけ Eパンツ

戦闘:物理障壁(スカラ)
通常:

311 :DQ3 :2005/04/26(火) 02:13:37 ID:ECHFbos3
流石ですね。俺も頑張って少しでも良いのをかいてみたいです。

312 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/26(火) 05:31:17 ID:e73v/huZ
>>309の最後で泣いた俺は普通だよな?とても言いたいことがある。








最良スレ確定

313 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/26(火) 06:48:26 ID:u4i4BBCd
>>312
俺はスカラを唱える辺りでぐっと来た

314 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/26(火) 08:05:59 ID:gWayposz
普通におもろいよ、うん
まとめ催吐欲しいくらい

315 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/26(火) 08:42:09 ID:F+XCoqqR
>>311
個人的にはだけど、ウケを狙いよりリアルさ重視で書いてあると読んでて面白いです。
楽しみにしてるよ。っていうかあんまりリアルワールドに帰ってくるなよ。ガンガンいこうぜ。

316 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/26(火) 08:43:07 ID:McXq3xrq
げえ。
ウケを狙いより→ウケ狙いより

317 :DQ3 :2005/04/26(火) 11:15:49 ID:ECHFbos3
日が沈む。町の明かりを眼のはしにとらえながら背中の荷物を呪う。
肩に食い込むリュックの紐をなんとか軽減出来ないものかと思案する。火の玉出すより早急に必要な考えのように思えるのだが。

とりあえず顔もあげられないほど疲れながら必死についていく俺。女神と勇者がちょっと先で待ってくれている。

レーベという町についたのは深夜をまわったころだった。宿屋に転がり込み、荷物を下ろす。
一日の拷問に耐えきった肩を風呂で労っていると筋肉が入ってきた。

「よぉ、虚弱体質。ちったぁ筋肉つけろよ?」

はぁ、せっかくの憩いが台無しだな…。薄ら笑いを浮かべながら体を洗う。

「どれ、背中でも流してやるよ。荷物、ご苦労だな」

…意外な展開だ。実は良い奴かもな、こいつ。


318 :DQ3 :2005/04/26(火) 11:16:39 ID:ECHFbos3
風呂を堪能した後は狐の部屋に向かう。肩を労る魔法の開発に余念がないのだ。


次の日。俺が爆睡していると、大興奮の狐が入ってきた。
いざないの洞窟というところから外の大陸にいけるという。
必要な食料や道具を買い込み、でかける。…鶏肉なんか買うな。重いから。

また肩に食い込むものを感じながらしばらく歩いていると、突然筋肉が吹っ飛んだ!

「魔物の巣に入ったみたいだ!注意しろ!」
立ち上がった筋肉が叫ぶ。めいめい武器を抜き、構える。俺も荷物を下ろし、買ってもらったナイフを抜く。
剣とは違い、致命傷は与えにくいのだが、鉄や銅の剣は重すぎて持てないのだ。
やがて、筋肉を吹っ飛ばしたモノが現れた。ぬめぬめした長い舌をたれるままにした、ヒト程もあるカエル。それが三体。

319 :DQ3 :2005/04/26(火) 11:17:30 ID:ECHFbos3
攻撃は最大の防御とばかりに狐がしかけた!
「ギラ!」
俺が扱う火の玉よりも高熱の帯が奴らを包む。が、ぬめぬめした体皮のせいで致命打には程遠い。
火が消えるや否や、勇者と筋肉が切りかかった。血しぶきが舞う。あまりに生々しい光景に、胃からこみ上げるものを感じる。
「うげぇ…」
昼間食ったものが胃液と混ざりながら吐き出される。
俺が吐き気と戦っている間に勇者が一匹しとめたようだ。だが。
「がはっ!」
ずっと攻撃の矢面に立たされていた筋肉が膝を折った。狐と女神はと見ると、新しく現れた巨大アリクイを相手に奮闘していた。
俺がやるしかない。
吐き気をこらえながら意識を集中させ覚えたての呪文を放つ。
「メラ!」
右手から放たれた火球は筋肉に舌を叩きつけようとする一体の顔面に突き刺さる。
舌と肺を焼かれ苦悶の声をあげるそいつを、膝をつきながらも切り上げた筋肉の一撃が体を両断する。


320 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/26(火) 11:25:26 ID:ECHFbos3
勇者も二体目をほふり、筋肉へ癒しの呪文を唱える。こっちは大丈夫だ。
女神の方へ目を向け、アリクイの化け物に同じく火球を叩きつけようと集中をはじめる。
「メ…ああっ?!」
突然右足に激痛が走った。見ると、ふくらはぎがぱっくり割れ、白いものが覗いている。足下に、緑色のゲルが…。
同時に右腕が動かなくなる。集中を乱したメラが右腕数センチの所で暴発したのだ。
前進を駆け巡る激痛に気が遠くなる。
左手に持ったナイフを逆手にもち、何度もゲルに突き立てる。
やがて、ゲルから泡が立ち上り、周りに滲んでいくのを最後に視界は暗転した。

女神の叫び声が聞こえた気がした。

HP. 2
MP.14
どく
Eせいなるナイフ
E旅人の服 E荷物
呪文
メラ

321 :宿屋inDQ8 ◆nnvolY11AA :2005/04/26(火) 20:32:53 ID:Xc/csRwv
早朝、俺はリーザス村の教会に行った
それにしても、この村は過疎地域だからといってこの狭さは何なんだ・・・
10分もあれば踏破できる村なんて始めて見ましたよ。えぇ
木で出来た両扉を開けると、小さい教会ながらも崇拝者専用椅子・女神像やらが
揃っている感じだった。
───そこに彼女は居た
うはw美人www
『あのー・・・』

「ここは、神にみちびかれし迷える子羊たちのおとずれる場所。
わが教会にどんなご用でしょう?」

『え、え〜っと・・・先日はどうも有り難うございます・・』
やべぇ・・女性と会話する事無いから緊張するよ・・・こんな俺様無職童貞22歳

「あら?え〜っと・・・」
「あ!思い出しました!トラペッタの・・・」

『はい、そうです。本当に有り難うございました。
貴方が助けてくれなかったら、どうなるか分かりませんでした。』
どうやら覚えてくれていたようだ。

322 :宿屋inDQ8 ◆nnvolY11AA :2005/04/26(火) 20:35:22 ID:Xc/csRwv
「あの時は、本当に驚きましたわ。
薬草を摘みに行ってたら黒いカタマリがあって・・・」

『それが俺・・・だったんですよね』
黒いカタマリか・・・
無理はないか全身に炎を浴びてそのまま放置だったらそうなる罠

「はい。でも、わざわざ私に言わなくても宜しかったのに・・・
貴方を見つけたのも、助けたのもどれも神の御導きです」

『神・・・ですか
でも、有り難うございました』
う〜ん、トラペッタの神父も言ってたような・・・
無宗派の俺には何とも言えませんな
聖戦の名の下に戦争仕掛けてくるところもあるしな・・・

でも、本当に俺は感謝している
こうして居られるのも彼女のおかげなのだ
俺はお礼を済ませ、像に手を合わせた。南無阿弥陀仏・・・これしか知らん
それから俺は、一先ず昨夜のおっさんのところへ向かった


※作品に訂正
>>265のHP16となっていましたが
本当は36の誤りです。すみませぬ


323 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/26(火) 20:57:40 ID:z2cGNOQB
まとめサイトきヴぉんぬ

324 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/26(火) 21:54:52 ID:e73v/huZ
携帯からも見れるまとめサイトだとすごく嬉しい

325 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/28(木) 10:59:41 ID:Dms95/8h



326 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/29(金) 10:31:08 ID:MiQHKnLq
まとめサイト…単純なものであれば作ってもいいのですが。
いりますか?

327 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/29(金) 10:38:09 ID:8MGrAnyb
いるいる
携帯から見れればわりといい

328 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/29(金) 11:33:38 ID:x1gbaA2Y
>>326
おながいします

329 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/29(金) 13:15:09 ID:ziimdvR+
>>327
通勤ブラウザ使えば大抵のサイト見れるよ。

330 :326 :2005/04/29(金) 14:52:03 ID:K3zi0B9w
ちょっとやってみます。
とりあえずテキストだけ貼り付けてますが、うpはまだです。

331 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/29(金) 17:10:18 ID:8MGrAnyb
>>329
わざわざありがd
だがおれは使ってる
ほかのヤシは知らんかもしれんからね、携帯から見れるほが楽かと思った

332 :326 :2005/04/29(金) 17:14:22 ID:K3zi0B9w
あと、書き手さんの了承をもらったほうがいいのかな?と思ってみたりするのですが。

333 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/29(金) 20:23:08 ID:8MGrAnyb
問題無いんじゃないかな


334 :326 :2005/04/29(金) 23:24:03 ID:aivkaDOP
整っていませんが、一応うpしました。

http://www.geocities.jp/if_dq/

まとめサイトなんて作ったことないのですが、こんな感じでいいですか?

335 :326 :2005/04/29(金) 23:37:14 ID:aivkaDOP
書き手の方、掲載不可であれば教えていただければ幸いです。


336 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/29(金) 23:58:30 ID:ienW5uB5
シンプルでいいな。


337 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/29(金) 23:59:03 ID:7QxrhD4L
>>335
乙。保管庫の筆者名の横にシリーズ名も付けといてもらえると、より分かり易いんだが、と提案してみる。

338 :326 :2005/04/30(土) 00:09:58 ID:e56Z1ilj
>>336
ありがとうございます。

>>337
シリーズ名を入れようとしたのですが、必ずしもシリーズ名がわかる作品ばかりではない気がしたので、今のところ入れていません。
判明分だけでも入れようかな…。

339 :サントハイムの決戦(前)  ◆gYINaOL2aE :2005/04/30(土) 01:07:05 ID:3VImITAS
マーニャの道案内で俺とソフィアとクリフト+1名はコーミズ村西の洞窟にやってきている。
+1名とはぶっちゃけアリーナの事だ。まあ、一悶着あって今は俺の背中で眠っている。
キングレオからハバリアへ戻った俺たちは、二手に分かれて魔法のカギの入手と、お告げ所での情報収集をする事にした。
だが、それにアリーナが一人だけ反対したのである。


    〃〃∩  _, ,_
     ⊂⌒( `Д´) < すぐにサントハイムに行かないとヤダヤダ!
       `ヽ_つ ⊂ノ
              ジタバタ

      _, ,_
     (`Д´ ∩ < 寄り道するのヤダヤダ!
     ⊂   (
       ヽ∩ つ  ジタバタ
         〃〃

       ∩
     ⊂⌒(  _, ,_) < お父様…みんな…
       `ヽ_つ ⊂ノ
              ヒック...ヒック...

       ∩
     ⊂⌒(  _, ,_) zzz…
       `ヽ_つ ⊂ノ  


そうして、暴れ疲れて眠ってしまったと言う訳である。
あの時、サントハイムと聞いて顔色を変えた少女であったが、その後の落ち着きを見て大丈夫かとも思ったのだが。
いや…むしろ、大丈夫な訳が無いのか…。

340 :サントハイムの決戦(前)  ◆gYINaOL2aE :2005/04/30(土) 01:07:40 ID:3VImITAS
「しかし…なんで俺が背負ってるんだろう…」

此処まで来る間に何度かした問いを繰り返す。
クリフトが僅かばかり苦笑しながらも律儀に応えてくれた。

「姫様をハバリアに置いておくと何をするか解りませんからね。私が姫様を背負うなど恐れ多い事ですし…」

「あんた、師匠の私やソフィアに背負わせる気?」

じろりとマーニャが睨んでくる。
ヒイ!と、軽く情けない悲鳴をあげる俺。
しかし、恐れ多い、ねえ。じゃあ俺は不敬罪じゃないのかな?

「いえいえ、そんな事にはなりませんよ。…それに、貴方には感謝しています。姫様を助けて頂いて」

ふーん。クリフトは本当にアリーナの事を心配してるんだなあ。
俺で言う所の――眞子様佳子様か?
あ。ちょっと解らない事もないかも。あの子達を背負うってなったら少し気が引けるかもなあ。

洞窟の最深部にあった宝箱の底を探ると、何やら小さなスイッチが見つかった。
カチリ、と押すと、地面にぽっかりと穴が開き降り階段が現れる。
こういう仕掛け好きだねえなどと軽口を叩きながら階下へと下りると、小さな研究室が俺たちの前に姿を現した。

「父さんったら…この分じゃ、色々隠し事してたのかも?
ま、あの父さんに限ってそんな事もないっか」

341 :サントハイムの決戦(前)  ◆gYINaOL2aE :2005/04/30(土) 01:08:13 ID:3VImITAS
マーニャが父の面影を窺い知り、懐かしそうに部屋を見回す中、ソフィアが奥にあった箱から魔法のカギを取り出す。
俺は、壁際にあった本棚に何気なく視線を走らせた。
様々な本が並んでいる。
……座標融解現象……。
……魂の相似について……。
主に、学術書のようで俺にはちんぷんかんぷんだ。
マーニャの許可を得て、それでも多少解りやすそうな本を数冊持っていく事にした。
その中の一冊をぱらぱらと斜め読みする。どうやらこれは手記のようだ。

……進化の秘法……。

…これか?俺が更にページを繰ろうとした瞬間。

「――うぅん」

何やら悩ましい声と共に俺の背中でアリーナが寝返りを打った。
ぐ、ぐぱっ、む、胸が。
まだまだ幼い感じだし決して大きくはないけれど中々どうしてぶっほお。
毒男の俺はこういう状況に慣れていない為身体がびっきびきに固まってしまう。
ふと、視線を感じそちらを見ると、そこにはソフィアが立っていた。

――俺は、彼女のこんな冷たい視線を今迄見たことが無い。

いや、ちょっと大袈裟だけど。それにしても、なんだ。ジト目って言うのか。
あぁん、だけどちょっとツンとしてるソフィアも可愛いな。
業の深い感想を抱く俺をじとーっと見た後、少女はたかたかと走っていってしまった。
俺はなんか悪い事をしたんだろうか…。
アリーナ姫様は俺の背中が気に入ったのか、すやすやと暢気に寝ておられた。人の気も知らないでいい気なもんだ。

342 :サントハイムの決戦(前)  ◆gYINaOL2aE :2005/04/30(土) 01:11:39 ID:3VImITAS



洞窟から脱出した俺たちは、マーニャとミネアの生まれ故郷でもあるコーミズの村に寄る。トルネコが待っている手筈になっていたからだ。
彼は、宿屋にいた旅の商人と腰を据えて交渉をしていた。

「いやあ、トルネコさんには敵いませんなあ」

「いえいえ、ありがとうございます」

「そういえば、以前砂漠のバザーをやっていた場所に新しい町が出来たという噂を聞きましたな」

「本当ですか?いや、それは一度行ってみたいものですね」

何やら朗らかに談笑しながら茶など啜っている。
俺は早速首尾を聞いた。

「ええ、かなり良い品が揃っていましたよ。少々無理をしてでも購入しておけば、後々楽になる筈です」

そう言って、買った品物を俺たちの前に並べる。
バトルアックス、はがねのよろい、てっかめん……武器も防具もあり、実に久しぶりの大きな買い物になったようだ。

「ライアンさんには厳しい役目を担ってもらうでしょうから、バトルアックスと鋼の鎧と鉄仮面を。
後は、ソフィアさんにも鋼の鎧を用意しました。
マーニャさんとアリーナさん、ブライさんには、このみかわしの服ですね。これは良いですよ。何と言っても軽いです」

343 :サントハイムの決戦(前)  ◆gYINaOL2aE :2005/04/30(土) 01:12:35 ID:3VImITAS
トルネコはにこにこしながら物を並べつつ、解説してくれる。
この男、本当に武具が好きなようだ。
ソフィアが鋼の鎧を四苦八苦しながら装備しようとしている。
どうも、鎧でがっちがちに身体を固めるのを彼女は嫌がるのだ。
基本的に鎧は全身を覆う分のパーツ一式が用意されるものなのだが、ソフィアは重さで動きが鈍るのを嫌い、
その中から部分、部分を抜き出す。
今回、ショルダーガードと胸当て、腰回り、具足と言った辺りを着ける事にしたようだ。
…二の腕とか、太ももとか、布地すら無いんだけど良いのかなあ…。

「そうそう、貴方の分なんですが、鋼の鎧か、みかわしの服かを用意できますがどうしますか?
鋼の鎧は見た目通り頑丈ですが、重いです。みかわしの服は軽いですが、鉄のまえかけより純粋な耐久力は劣りますからね」

俺は、今迄幾度と無く命を救ってくれた鉄のまえかけを見た。
大掃除のときに中々物を捨てられないタイプである。
それにこれは、元々ソフィアやマーニャ、ミネアが買ってくれたもので、何となく気が引ける。

「んー。これも、もうボロボロね。買い換えときなさい」

みかわしの服を装備し、機嫌よさそうにくるくると踊っていたマーニャがひょいっと顔を覗かせてきた。
そのまま、勝手にトルネコと打ち合わせを始め、その後俺にみかわしの服を放ってきた。
勝手な女だ。…まさか、俺が遠慮するのを見越したなんて事はあるまい。

「ライアンさんがバトルアックスを使うとなると、破邪の剣が一本空きますから、貴方が使ったらどうですか?」

それを聞いたソフィアの肩がぴくっと動いた。な、なんだろう?
俺はそうっすねとトルネコに相槌を打つ。トルネコの方も、ソフィアの様子に気付いたのか、軽く頭を捻っている。
ソフィアがつつつ、と妙な足取りでこちらに近づいてきた。しかして、絶対にこちらを見ようとはしない。なんなんだ。
少女は無造作に自分の剣を鞘ごと外すと、俺に押し付けてきた。
勢いに押されて受け取ってしまう。

344 :サントハイムの決戦(前)  ◆gYINaOL2aE :2005/04/30(土) 01:13:50 ID:3VImITAS
「ライアンさんがバトルアックスを使い、ソフィアがライアンさんの破邪の剣を使うので、ソフィアの破邪の剣を俺に…と、言う事っぽいすけど…」

「うーん、そうなんでしょうね…とりあえず鋼の剣の方は他に使える方もいませんので、下取りに出しておきますが…」

ソフィアはそんなにライアンのお下がりを使いたかったのだろうか?
俺はなんだか釈然としない気分だった。
マーニャが、アホね、と呆れたように嘆息していた。



ハバリアで合流した俺たちはお互いの得た情報を交換する。
俺とソフィアを驚かせたのは、あのお告げ所の女が消えてしまったという話だった。
なんでも、俺たち…じゃねえや。導かれし者達の倒すべき相手を告げようとした途端だったらしい。
地獄の帝王、エスなんとか。
ミネアの言うには、その地獄の帝王に消されたんじゃないかという話しだが、だとするなら恐ろしい話である。
俺、消されないだろうな?怖ぇなぁおい。
地獄の帝王って、ネーミング最悪wwwうはwwwワロスwww
なんてバカにしてみたら逆鱗に触れちゃったりしてな。なはは、そんな訳はないない。ぶっちゃけありえn










345 :サントハイムの決戦(前)  ◆gYINaOL2aE :2005/04/30(土) 01:15:53 ID:3VImITAS
なんてなー!
ふう…長さんのいない今、このネタをやっても寂しくなるだけか…。
毎度お馴染みの一人相撲も程ほどに、俺たちは船に乗り込みサントハイムを目指す。
船上で、ブライとクリフトからサントハイムの状況について話を聞いた。
城内の人間全員が消えてしまった、か。
まるで、マリーセレスト号事件だな…まるっきりホラーだ。
しかし誰もいなくなってしまったからと言って城をほったらかしにして旅に出るアリーナ達も大概だよなあ。
と、言ってもじゃあ他にどうしたら良かっただろうかと考えると、この世界の国とか、政治とか、そういうのいい加減なんでさっぱり解らんが。

「城に赴くメンバーですが…どうしますか?勇者殿」

ライアンがソフィアに意見を求める。
此処は俺の出番!と、ソフィアと意思疎通を図るが、まだ怒ってるのかつーんとしたままだ。
ブライが訝しげな表情でこちらを見てくる。はわわ、マズイ。
俺は適当に俺の意見を言ってしまう事にした。

「えーと、バルザックと相対するのに、色々な事情からマーニャとミネアは外せないだろうし…。
アリーナも、黙ってられないだろう?」

勿論だとばかりにぶんぶんと頭を振るアリーナ。

「それに、ソフィアを加えて半分なんで…。バルザックが何処にいるか次第だけど、
出来るなら全員で、場合によっては女達を押し上げる形になるんじゃないかな。
――って、ソフィアちゃんが言ってました!」

ライアンがふむ、と頷く。
ブライやクリフトも、アリーナと離れるのは心配ではあるのだろうが、城の方も気になるしと言った按配のようだ。
ちなみにトルネコは舵取りをしている。
いや、マジで偶然だから!意図的な何かなんてありえないから!!

346 :サントハイムの決戦(前)  ◆gYINaOL2aE :2005/04/30(土) 01:16:52 ID:3VImITAS
「では、男たちで縁の下の力持ちをするとしましょう」

男臭い笑みを浮かべながらライアンが言う。
この男、かなり頼もしい。マーニャなどは、この手の熱血漢は苦手などとぼやいていたが、
仲間を守る壁となるに最も相応しい、まさに戦士だ。

「現状の指針も決まった事ですし、一度解散しますかな」

三々五々に会議室として使っている船室を出て行く一行。
此処からはそれぞれの業務へと移って行く。とある者は炊事や家事であったり、ある者は見張りであったり。
俺はアリーナの様子が気になり、彼女の部屋を訪ねてみる事にした。
部屋の前には、クリフトとブライが所在無げに立っていた。なにやら、少女は着替えているらしい。
そういえば、アリーナ用のみかわしの服は…。

「はーい、いいわよん♪」

マーニャの声だ。どうも嫌な予感がする。
扉を開けた俺たちの前に現れたアリーナは――。

レオタードを着ていた。

しかも、ピンクの。

さらに、網タイツまで履いている

なんだ!?何が起きた!エマージェンシーエマージェンシー現況を報告せよ!
クリフトが顔を真っ赤にしてぶっ倒れた。ヤツには刺激が強すぎたか…。
戦友(とも)よ、安らかに。いずれ靖国で会おう。

「姫様!なんという格好をしておられるのですか!!はしたないにも程がありますぞ!!!」

347 :サントハイムの決戦(前)  ◆gYINaOL2aE :2005/04/30(土) 01:18:18 ID:3VImITAS
「えー?でも、これ、かなり動きやすいししかも丈夫なのよ。トルネコも褒めてたし。
しまいにゃ着ますよ!?とか言ってたけど」

トルネコのレオタード姿とか、なにがどうしてそういう話になったのかは解らんが、
とりあえず俺は軽い前傾姿勢でテレマークを維持している。
やったよ船木ぃ、はちょっと古いか?けど、なんかそういうどうでも良い事を考えてないとなんか色々おかしくなっちゃいそうで。
こちらを見てマーニャがまた(・∀・)ニヨニヨしている。いつか死なす。
マーニャを睨んでいたのだが、ふわりと、重力から解放される感覚が俺を襲った。

「姫様!!!」

「ブラーイ!お説教はまた今度ね!!」

アリーナが俺の首根っこを掴み、強引に部屋からの脱出を試みたようだ。
なんで俺を連れて行くんだ!?死ぬ、首が絞まる、誰か、助けt……。



肌寒さで眼が覚めた。
どうやら、ここは船の見張り台らしい。ぶるっと身体を震わせる。
目の前には、アリーナが膝を抱えて座りじっとこちらを見ていた。
何が楽しいんだろう。ああ、俺の顔の造作か?まあ、ギャグかもしれん。…鬱…。
こういうのも自傷癖というのだろうか。
少女が、小さく身体を震わせた。なんだ、結局寒いんだな。
こんな所にいなければ良いのにと思いながらも、着ていた外套を少女へとかけた。
あー。似合わない事をしている。
気恥ずかしくて、俺は少女から視線を外し、夜の海の見張りを開始した。
沈黙が流れる。いつもよく喋り、よく動くアリーナが近くにいるとは思えない、静寂さ。
彼女の部屋を訪ねたのも、それが原因と言えた。
マーニャとミネアに関しても気になりはしたのだが、彼女たちはキングレオに向かう船上で結構吹っ切れた部分もあったと思う。

348 :サントハイムの決戦(前)  ◆gYINaOL2aE :2005/04/30(土) 01:21:30 ID:3VImITAS
「で、そのレオタードと網タイツはどうしたんよ?」

「――え?あ、うん。マーニャがね。エンドールで見つけてきたんだって」

って事は、わざわざ瞬間転移(ルーラ)を使ったのか。何考えてんだろう…それとも、魔法のカギで開けられる何かに心当たりでもあったのか。
…ん?そういや、サントハイムにも転移で行けるんじゃないのか?
――ああ、けど、まあ。船で移動する為にかかる時間が、別の所に作用するという事もあるのかもしれない。

「ね」

「ん?」

「どうして、貴方を連れて此処に来たと思う?」

さて?なんだろう。
少なくとも、アリーナに関して愛だの恋だのが原因で起きた事では無いと言うのだけは断言できる。
相手が俺というのがどう逆立ちしてもありえないのもあるのだが、それ以上に、この娘はそういうのに、超絶的に疎いと思う。

「さあ…わかんね」

「ソフィアがね。貴方といると、安心するんだって。だから、試してみたの」

ソフィアが…?

「私にも、なんとなく解っちゃった。貴方、臆病でしょう?誰かを傷つけるのが怖い人。誰かを傷つける事で自分も傷ついてしまうのが怖い人。その痛みが怖い人。
だから、優しい人」

「けなしてるだろう」

「うぅん。そんな事ない。試してみて、やっぱり成功だったわ。なんだか、落ち着いたもの。
サントハイムの事を考えると、どうしても気が滅入っちゃってしょうがなかったけど。
――貴方って、変な人よね。なんだか私、見守られている気がする。もしかして、神様とかじゃない?」

349 :サントハイムの決戦(前)  ◆gYINaOL2aE :2005/04/30(土) 01:25:35 ID:3VImITAS
「けなしてるだろう」

「うぅん。そんな事ない。試してみて、やっぱり成功だったわ。なんだか、落ち着いたもの。
サントハイムの事を考えると、どうしても気が滅入っちゃってしょうがなかったけど。
――貴方って、変な人よね。なんだか私、見守られている気がする。もしかして、神様とかじゃない?」

アホな事を言う少女に視線を戻す。
えへへ、と笑顔を浮かべている少女に、なんと言ったものかと迷う。

「俺は神様なんかじゃないし、それに神の意思を語るヤツってのは碌なのがいないもんだ。間違っても神様だとか、それに準ずる者だなんて言いたくないね。
よく解らんけど、俺はそんな褒められるようなヤツじゃない、引き篭もりのダメ人間だ」

「んー、そういう自虐的なのは確かにマイナスかなあ」

今度はにしし、と笑うアリーナ。
困った。ソフィアにしてもそうだが、俺はこういう時どうしたら良いか解らない。
自虐が良い事だとは俺だって思っていない。だけど、他人に肯定されるのに慣れていないのだ。そしてその後の否定が恐ろしい。
だから先回りして、己を貶める。そうする事で予防線を張るんだ。
俺は最初からこういうヤツだ。お前が最初に勘違いをしていたんだ、と。
この年下の少女に、なんだか見透かされている気がして、少し落ち着かない。
救い難い、臆病者。だが、それを優しいと肯定されたら、俺はどうしたら良いのか。
なんだか意味も無く身体を動かしたり、頭を掻いたりする。
その挙動不審な様子をアリーナは楽しそうに見ていた。

「わざわざ部屋まで様子見に来てくれて、ありがと」

少女のお礼。
それは、確かにある一つの事象を示している。
俺という人間がどういう人間であろうと、少女を心配し様子を見に行ったという事は、少女にとって肯定するべき事なのだ、と。
この場を見ているのが月と星だけである事を、俺は感謝した。
きっと気恥ずかしさ故に、格好の悪い表情を浮かべていたであろうから。

350 :サントハイムの決戦(前)  ◆gYINaOL2aE :2005/04/30(土) 01:26:54 ID:3VImITAS



サランの町は、サントハイムの城下町という位置づけになっている。
実質的には少しばかり離れているのだが、今回はそれが僥倖だったようで魔物たちの気配は無い。
町に入った俺たちは、とても歓迎された。
流石に姫君の帰還は大きいらしかったが、それでも眼前のサントハイム城に魔物が住み着いたという現実を前に、
未だ悲観的な者も少なくなかった。
アリーナ達サントハイム組は悔しそうだったが、幼い少女にアリーナ様のようになりたい、アリーナ様頑張って、と言われると、にっこりと笑みを返していた。

「サントハイムの王族には、代々未来を予見する力があったと言われています。それ故に、狙われたのかもしれませんね…」

町の歴史家がそんな事を言っていた。
アリーナの表情は沈んだが、

「じゃあ、占いで未来が解るミネアは実は王族!?
だとしたら、私たちはアリーナのお姉さまねっ。あはははっ」

「もう、姉さん!」

この姉妹の精神状態は、仇を目前にしても良好であるらしかった。
それにつられるように、アリーナも微笑んだ。

351 :サントハイムの決戦(前)  ◆gYINaOL2aE :2005/04/30(土) 01:28:25 ID:3VImITAS



サランの町で一晩ゆっくりと休んだ俺たちは、サントハイム城を前にしている。
キングレオ城よりも、無骨さは無いがその分、優雅であり、誠実そうな雰囲気である。

「解るわ。…あいつは、この中にいる」

「血が熱くなるの。あいつを倒せって声が聴こえる」

ミネアとマーニャの瞳に炎が灯った。
いざ、決戦と言った所だろうか。自然と緊張感が増し、俺もこめかみに軽く汗をかいた。
意を決して、扉を押し開け城内へと進む。
だが――その、内情は酷いものだった。

「――――」

アリーナの、クリフトの身体が固まる。ブライは、半ば予想していたのか、僅かに眼を細めるだけに努めた。
キングレオ城よりも遥かに酷い惨状が広がっている。
綺麗な絨毯は汚物に塗れ、荘厳な壁はまだらに染まり、その上ぼろぼろに朽ちかけてしまっている。
廊下の中央に無造作に放置されている不気味なオブジェ――あれは、人だろうか?
肉体が変形してしまっている。腕が頭から生えているのもいれば、顔が無い者もいる。
それは、最早魔物とも言えないような肉の塊であった。
余りの醜悪さに、俺たちは一様に気分が悪くなる――。

「――ああああああぁぁぁぁぁ!!!!」

アリーナの絶叫が城内に響いた。同時に、彼女は正面の階段目掛けて駆け出す。
俺たちは慌てて少女を追うが、本気の彼女に追いつける筈が無い。
階段の横合いから、魔物達の大群がぞろぞろと顔を出した。
正面突破をしようとしている少女に気付き、慌てて進路を妨害しようとするが、魔物たちすらも追いつけない。
結果、階段を登っていったアリーナと、俺たちの間に魔物達が立ち塞がる形になってしまう。

352 :サントハイムの決戦(前)  ◆gYINaOL2aE :2005/04/30(土) 01:41:46 ID:3VImITAS
「くっ、姫様…!」

「流石にアリーナさんでもこのままでは…!」

ブライの、トルネコの焦燥が辺りに伝播しかける。
だが、それを阻んだのは逞しき王宮戦士だった。

「――手筈通りにいきましょう。勇者殿、私が道を拓きます。
勇者殿とマーニャ殿、ミネア殿――それと、貴公は上へ」

俺もっすか!?
いやまあ、これはどっちが楽そうかなというと――。
揺らめく邪悪な炎。
凶悪な牙をちらつかせる獣。
不気味に笑う魔法使い。
そういったのが、ぞろぞろごろごろいるこの場より、マシかもしれないが…。

「行きますぞ!皆さん!!」

俺のせこい打算を無視するかのように、
戦士の裂帛の気合が、辺りに響き渡った。




353 :サントハイムの決戦(前)  ◆gYINaOL2aE :2005/04/30(土) 01:42:41 ID:3VImITAS
「……これ以上、魔物達の好きにはさせないわ。
……命にかえても、あいつら、みんな追い払ってやる」

アリーナが人間の限界に挑戦するかのような速度で玉座の間へと辿り着く。
そこには、一人の男が座っていた。汚らしく、くちゃくちゃと音を立てて果実を噛んでいる。
男は音を蹴立てて駆けてくるアリーナへ、胡乱そうな眼を向けた。

「お前は…」

「――貴様!!誰の玉座にのうのうと座っている!!!」

男に最後まで喋らせず、アリーナの飛び蹴りが炸裂した。
たるんだ頬肉にくっきりと足跡がつく。

「絶対に許さない!引き摺り下ろして、ぎったぎたのこてんぱんにしてやるから!!」

――しかし。
男はアリーナの渾身の蹴りもまるで意に介さず、逆にその足首を掴み宙に放り投げた。
アリーナもまた、バランスを取る。だが、いかな彼女でも空中では精々姿勢制御しかできない。
男が立ち上がる。脇に立てかけていた、数メートルはあるであろう巨大な棍棒を掴んだ。

ゴキン!!!

それを、思い切りバットのように振り回す。
アリーナはものの見事に弾き飛ばされ、城の柱にぶつかる。その余りの衝撃に柱が耐え切れず、ぼっきりと折れてしまった。

「礼儀がなっていない娘だな…この城の王であるこのバルザックが直々に躾をしてやろうか」

第二撃がアリーナの頭上を襲う。
足が言う事を効かない。避けられない――咄嗟に、両の腕を交差させ頭を守る。

354 :サントハイムの決戦(前)  ◆gYINaOL2aE :2005/04/30(土) 01:43:34 ID:3VImITAS
ボキリ。

耳障りな音が響く。――左腕が、折れた。
バルザックが嗜虐的な愉悦を顔に浮かべている。
そのにたにたとした好色な笑いに、アリーナは生理的嫌悪感を禁じえない。

「クックック…次は、足を折ってやろう。身動きできなくなれば犯してやろう。
お前のような生意気な小娘は殺すよりも、組み伏す方がより悦楽を得られる」

「黙れ、黙れ、黙れ!!!」

腕の痛みをものともせずに、アリーナは再び跳躍する。
バルザックはぎひ、と嗤う。少女の腕が折れた時点で、挑発すればこうなる事は読めていた。

「神に近しい肉体を見せてやろう。これが、進化を極めるという事だ!!」

バルザックの恫喝が玉座の間に響き渡った。
それまではかろうじて、人の姿をしていた男が、まるで脱皮するかのように――人の皮を破り捨て、膨らみ出る巨体。
青への侮辱たる醜悪さ。だらしなく口からこぼれた長い舌が揺れている。
ぶよぶよとした胴。身体の半分ほどが、肉で覆われたその姿は、サイズの大きい棍棒を使う為には適していたであろう。
凶悪な棍棒が再度、振るわれた。少女の身体は、軽々と吹き飛ばされる。

「ハハ、アハハ、ヒャハハハハハ!!」

嘲笑が反響する。
力の差は圧倒的だった。それでもまだ、かろうじて息があるのはそのレオタードのお陰だろうか。
アリーナはふらつく足を叱咤し、再度立ち上がる。

355 :サントハイムの決戦(前)  ◆gYINaOL2aE :2005/04/30(土) 01:44:35 ID:3VImITAS
「ふざけないで…私は…サントハイム王国王女、アリーナ…私には…この城を守る責務がある…。
私は…エンドール武術大会優勝者…貴様如き下衆に…負けたら…あの大会で戦った人達に…合わせる顔が無いわ…」

「ほう?お前は、この国の姫君か――ハハ、それは良い。
では、お前を孕ませ、子を産ませよう。恐怖のみで支配するよりかは、その方が都合が良いというものだ」

棍棒が三度、振るわれる。
宣言通り、ヤツは足を狙っているらしい。
万全の態勢ならば問題無く避けられる一撃も、今の少女には着の身着のままで月に行くのと同じ位難しい事だった。
余りの悔しさに身が震える。それすらも、バルザックは恐怖によるものだと勘違いし、愉快そうに笑うのだ。
アリーナは眩むような悔しさの中、ぎゅっと眼を瞑り、衝撃に備える――が、いつまでもそれは訪れない。

バルザックは己が目を疑った。
棍棒と少女の間に、僅かな空間が出来ている。
何かの力が働いて、それより先に押し込めない――。

「…頭に血が上りすぎだぞ、アリーナ」

そこに現れたのは、騎士であった。
黒い、邪悪な力を感じさせる鎧兜を纏う男。
パデキアの洞窟で遭遇した彼の騎士が、バルザックの棍棒を片手で止めてしまっていた。



HP:68/68
MP:30/30

Eはじゃの剣 Eみかわしの服 Eパンツ

戦闘:物理障壁
通常:

356 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/30(土) 01:52:39 ID:+FbqUWAa
乙!
やっべぇ、DQ4やりたくなってきた。
DQ主人公雑談スレを読んでDQ5を買った
俺の財布がこのスレに反応しない訳がない。

357 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/30(土) 03:29:21 ID:/ajQ4ZL1
感動のあまりage

358 :リーザス村 ◆nnvolY11AA :2005/04/30(土) 08:47:32 ID:+MUlVXjF
 俺がおっさんの処に向かうのは訳がある

 一つ。おっさん達を助けたい
これは純粋にそう思った。
でも実際に行こうとするとなると体が重い。ハテ?

 二つ。安全の確保
彼らは旅慣れていそうだ。剣を握った事の無い俺が、フラフラと旅をしているようでは
絶対に道中で絶命する。先日のように誰かが助けてくれる・・・ってことも恐らく無いだろう
それに、元の世界に帰れる方法も分かるかもしれない
道化師だっけか。それを追うとなるとそれなりに世界中を歩かなければならない筈だ
その道中で何らかの情報も手に入るだろう
一人より二人。二人よりも三人。三人より・・・た〜くさんって訳だ


・・・まぁ、この二つの中で断然後者の方が強い訳ですがね

 携帯の時計を見ると、九時を回ったところだった
俺は外に出るとキョロキョロと周りを見ておっさんを探した

───居た。
門から十数メートル離れた先の、門とは言えぬようなアーチ型の木で出来た柱に馬を留めて
中で鍋をカンカンと相変わらず耳障りな音を立てて叩いていた

『よぉ、おっさん。』

359 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/30(土) 08:49:18 ID:UZMjanQA
リアル試演

360 :リーザス村 ◆nnvolY11AA :2005/04/30(土) 08:49:34 ID:+MUlVXjF
気配が無かったのか、ビクッと跳ね此方を向いてきた
「なんじゃ?お前は?
・・・あぁ、昨夜の者か。今から発つのか?」

『おっさん・・・俺も一緒に連れて行ってくれないか?
正直、昨日の話を聞いておっさん達を助けてやりたいって、思ったん───』

 言い終わらないうちに、おっさんが口を割ってきた
「ダメじゃ!ダメじゃ!!ワシらの旅は、遊びじゃないんじゃぞ?
お前のような奴は足手纏いになるだけじゃ!!」

『ちょっと待てよ。俺だって本当は旅なんてしたくはないさ。
でも、旅をしなければいけないんだ』

「・・・ワケありのようじゃな。
どれ、話してみよ」

『信じてもらえないかもしれないが、実は俺はこの世界の者ではないんだ
自分がどうしてここに居るのか、ここが何処なのかサッパリ分からないんだ
そんな時におっさんに出会った。しかも聞けば、旅をして歩き回っているという
だから、おっさん達に付いて行けば何か情報も掴めるかもしれない・・・
だから、頼む。俺を連れてってくれ』

おっさんは少し考えて頷いてこう言った
「う〜む。異世界の者というのはにわかに信じ難いが
その格好を見ればそれも頷けるな・・・」

 しばらく黙った後、こう付け足した
「・・・分かった。付いて行きたいのであれば、付いて来い
但し、それなりの覚悟が必要じゃからな!」

俺は、心の中で大きくガッツポーズをした

361 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/30(土) 11:04:11 ID:5NEgzcZ4
>>326
激しく乙

362 :326 ◆nUtX8ZK/82 :2005/04/30(土) 14:06:59 ID:TkoVPuSs
現在整えている途中ですが、何かご意見等あれば教えてください。
携帯対応ですが、一応手持ちのFOMAでは見ることはできるのですが…。パケ代が厳しいですよね…。

あと、何と言っても私、実は書き手さんの冒険の書はまだ読みきっていません。
なので、掲載モレがあれば教えてください。

363 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/30(土) 14:33:35 ID:wR8wyeM7
>>362
326さん、乙です。仕事早いですなぁ。

それで早速リクエストなんですが、各冒険の書の最後に、
次の冒険の書へのリンクを貼っていただけないでしょうか。
そうそれば次のページを開く時、メニューまで戻らなくても済むと思うので。

364 :326 ◆nUtX8ZK/82 :2005/04/30(土) 14:45:54 ID:TkoVPuSs
>>363
了解です。
現在冒険の書3と8で試行中です。
まだ体裁も整ってないのに試行してしまうオイラって…。

365 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/30(土) 15:42:18 ID:mbKIrKT+
>>326
乙です。
あと、細かいことですがスレタイミスってたんで報告を
×もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿だったら
○もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら




366 :326 ◆nUtX8ZK/82 :2005/04/30(土) 15:47:05 ID:TkoVPuSs
>>365
サンクスです。
訂正しました。

貼り付けただけのところがまだ多々ありますが、こちらは夜以降順次更新していきます。
ではしばし。

367 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/04/30(土) 18:53:24 ID:N8kG9syI
>>◆gYINaOL2aE
マジ好きだー!ギャグもシリアスも無茶苦茶好みですっ。
いつも長さがあって読み応えがあるのも嬉しいです。
貼り付けミスだと思ったんだけど、あそこ普通に繰り返しギャグだと思ってリアル鼻水吹いたw

368 :  ◆gYINaOL2aE :2005/05/01(日) 03:22:55 ID:WNW0QfE/
(ソーリー。348-349の台詞が重なってるところはミスです。
ついでに355の 棍棒は三度 は 棍棒は四度 かな。失礼)

369 :目覚め  ◆pekaCgploQ :2005/05/01(日) 07:13:24 ID:smU9eLNd
ゴーン・・・ゴーン・・・

(あれ、授業終了のチャイムかな・・・)

「ふぁ〜あ・・・よく寝た〜」

「・・・ ・・・ ・・・ ・・・ あれ?」

おかしい。なにかがおかしい。
まだ重たいまぶたを開くと、そこは見たことのない部屋だった。
しかもベッドに寝てる。

「・・・英語の講義の最中に居眠りしてた筈なんだが・・・」

やはり手は赤くなって痺れている。痛い。
手をブラブラさせ、痛みが引いてきたとき
ふと、ある予感が頭をよぎる。

「まさか・・・まぁいい・・・とりあえずここから出よう」

下への階段を降りながらワクワクしだしてきた気持ちを押し殺していた。
もし・・・もしそこに奴がいたら・・・
俺は自分に賭けた。
階段を降りきった。
目の前のカウンターにやはり奴はいた。

370 :目覚め  ◆pekaCgploQ :2005/05/01(日) 07:14:50 ID:smU9eLNd
*「おはようございます。では、行ってらっしゃいませ。」

イタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
おっと、あまりの展開のよさに、ついテンションが上がってしまった
しかし・・・まさかホントに・・・

どこかで見たことのあるようなパターン。
すぐにそれの検討はついた。
ついさっきまで携帯で見ていたから。
それは、今となっては遠い世界の2ちゃんねるという掲示板に存在していた。
何を隠そう俺は”あのスレ”の大ファンなのだ。

「まさか”あのスレ”の事が現実に起きるなんて・・・」

間違いない、ここはDQとかいうゲームの世界だ

371 :旅立ち  ◆pekaCgploQ :2005/05/01(日) 07:55:35 ID:smU9eLNd
とりあえず外に出てみよう。ここがDQの世界だったとしても場所まではわからないから。

外に出ると、真っ先に目に飛び込んできたのが大きな滝だった。

「デケー・・・滝なんてリアルで見るの初めてだよ」

岩山の隙間から流れ出でる水が飛沫をあげながら悠々と地に落ちるその様はまさに壮観であった。

「マイナスイオン多そうだなー」

などと無粋なことを考えてると突然声をかけられた

*「やぁ兄さん。見慣れない格好だね。旅の人かい?」

確かにそうだ。講義中に寝ていたので学生服というなんとも場違いな格好だ。
にしてもちょっと待て。何だコイツは・・・上半身裸で角付き覆面。
俺こんな奴に服装のことで話題振られたのか?
お前の方がよっぽど見慣れない格好だよ。それともこの世界ではこれが普通なのか?助けて。

*「にしては何にも武器を持っていないようだね。おいでよ。いい店知ってるよ。」

なんだコイツ客引きかよ。
とかなんとか思ってるうちに腕を引っ張られズルズルと引きづられる俺。
なんとも強引な奴だ。しかもコイツの力は半端じゃない。見た目の筋肉そのままの力をしている。

・・・そういえば俺金持ってたっけ?

HP:20
MP: 0

E学生服

372 :旅立ち  ◆pekaCgploQ :2005/05/01(日) 08:47:28 ID:smU9eLNd
小説って書くの難しいですね。
まぁ結構楽しんでやってるんで生暖かい目で見守ってくださいm(__)m

373 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/01(日) 09:05:58 ID:uKQcw/oS
>>369-371
呑気な感じがすごくイイヨー
新パターン楽しみw

374 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/01(日) 09:10:11 ID:SBn3C83/
ここまで増えてくると悪貨による良貨の駆逐が心配

375 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/01(日) 11:47:49 ID:qMu94Bw0
裾野が広いほど山は高くなる。

376 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/01(日) 12:29:32 ID:HgknbbhG
まぁ、いいじゃないの
作者さんの成長過程を見守るのも読者の楽しみですよ
それにこういうスレの取っ付き易さや、入り込み易さはすごくいい部分だと思うけど

377 :旅立ち  ◆pekaCgploQ :2005/05/01(日) 18:06:39 ID:smU9eLNd
角覆面マッチョに連れられ武器屋に行く途中教会の前を通った。
さっき聞いた鐘の音はここのだったのであろう。どうりで大きな鐘楼がある。
相変わらずあの巨大な滝は大量の水を放出している。

「綺麗な水だね。飲めるかな?これ」

*「飲めるもなにもこの水はこの町の特産品だぜ?飲めば体力回復!傷もこの水で洗えば一発で直るさ!
多くの観光客や旅人もこの水が目当てさ。・・・アンタはこの水が目的でやって来たんじゃないのかい?」

なるほど、どうりで人が多いわけだこの町は。そんなに凄いなら後で汲んでおこうかな。
――などと考えならもう一度滝を振り向いたその時だった。

  _, ._
( ゚ Д゚)

言葉を失った。つい先ほどまで美しかった水がみるみる赤くなってきた。
・・・ただの赤なんかじゃない・・・どす黒いまるで血のような赤だ。
町の中央を流れていた美しい川も、みるみるその赤に染まっていく・・・

378 :旅立ち  ◆pekaCgploQ :2005/05/01(日) 18:08:51 ID:smU9eLNd
*「キャー!!」

町の人の悲鳴も聞こえる。やっぱり何かあったんだ。

*「な、なにがあったんだよおい!」

俺に聞くなよ。第一ここの住民でもないんだぜ?

*「アンタ旅人だろっ?だったら腕も立つんじゃないか?」

と青銅色の剣を渡された。

*「兄ちゃんにこれを託すぜ。なぁに金はいらねぇ。
だからあそこの洞窟へ行って原因を調べてきてくれないか?頼む!」

ちょっと待て。落ち着け。見るからに俺よりお前の方が強そうだろ。
それにこの剣いかにも切れ味悪そうだよ?ていうか埃被ってるよ?ホントに店の商品なの?これよりそっちの剣のh(ry



379 :旅立ち  ◆pekaCgploQ :2005/05/01(日) 18:10:27 ID:smU9eLNd
そして俺は今、町の外にいる。
腰にはさっきの銅の剣を提げ、そして向かいの防具屋で買った鉄の胸当てをつけている。
(心配していた金だが持っていた財布のなかに見知らぬ金貨が入っていた。代わりに漱石様が数人消えていた。(泣

どうやら町の人の話だと2人の盗賊がこの町―アモール―の北にある洞窟へ宝物を探しに向かったそうだ。
行くか?俺は俺に訊ねた。洞窟なんて絶対魔物が居そうじゃないか。本物の魔物相手に戦うことなんてできるのか?
・・・悩んでても仕方がない。とりあえず前に進もう。



うわぁぁああぁぁああぁあぁぁあああぁあぁぁ!!!!


やばいって!!あれはマズイって!!!


俺の目の前に現れたのは悠に2メートルはあろう羊だ。しかも2速歩行で腕組みまでしてるー。
逃げる俺。しかもかなり全力だ。
あー・・・カッコワリィ・・・。
でもあんなのに勝てるわけねぇじゃん。命は大切にしようよ、ね!


380 :旅立ち  ◆pekaCgploQ :2005/05/01(日) 18:13:43 ID:smU9eLNd
必死で町に向かって走る俺。そして何か軟らかい物を踏んづけた俺。
えっ?
その”軟らかい物”が動き出し俺はバランスを崩してその場に前のめりになって倒れこむ。
慌てて振り返った眼前には羊。
嗚呼・・・もうダメだ・・・こんな所で散ってしまうか我が人生。まだあんなことやこんなこともしてないのに・・・

そう思った刹那、一人の人影が割って入った。
そいつは羊よりもなお大きく、その羊を受け止めてしまった!

なんという奇跡。なんという良くあるパターン。

俺はこの人に付いて行こう。是非兄貴と呼ばしてください!

HP:12
MP: 0

E銅の剣 E鉄の胸当て E学生服


381 :326こと冒険の書庫”管理”人 ◆nUtX8ZK/82 :2005/05/01(日) 21:36:59 ID:n1AV1RrJ
一応、それなりにまとめてみました。
http://www.geocities.jp/if_dq/

今後ちょっと、掲載方法を考えてみます。
シリーズが特定できるものはシリーズ別にするかどうか、更新順にするか、など。
とはいえ、あんまり考えると続かないかもしれないので、のんびり考えます。

382 :冒険の書庫の書記 ◆nUtX8ZK/82 :2005/05/01(日) 21:39:14 ID:n1AV1RrJ
あー、管理という名前はひっかかるんでしたね。
こちらにします。

383 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/01(日) 22:57:58 ID:nacrvCvi
>>382
乙!
かなり丁寧にまとめてあるから見やすかった


しかし書き手スゴイよナ…DQ4マンセーだからあれは感動した。
続きが気になるな(*´д`*)

384 :DQ3 :2005/05/02(月) 03:45:48 ID:dk14y5U8
「んん…」


目を開くと黒い天井がみえた。体を起こす。


現状把握が出来ず戸惑う俺。机の上には買って貰ったナイフがおいてあった。
ドアの外から階段を上がって来る音。次いでドアがあけられる。
そこにあるのは俺の期待した顔−−女神−−ではなかった。

「おお、起きなすったか。あんたの仲間さんから手紙をあずかっとる。ほれ、これじゃ」

手紙は勇者のものだった。

−−バブルスライムというモンスターの毒におかされ、瀕死の重傷を負った俺を筋肉がかついでレーベまで来たこと。
神聖呪文で傷を癒やしたものの、目を覚まさない俺に悪いと思いながら先を急ぐ旅ゆえに先に行くことにしたこと。
賢者に会う為、鍵を取りにナジミの塔に登った事が書かれていた−−


自分に腹がたった。この世界で呪文という力を身につけ、自分が特別な存在に思えていた。
その慢心が敵が足下まで来ても気づかなくさせたのだ。

親父さんに礼を言うとナイフを掴み、外へ出る。

385 :DQ3 :2005/05/02(月) 03:46:49 ID:dk14y5U8
手紙によると勇者達はあの洞窟の祠に行ったみたいだ。大陸から旅立つ−−この一文が俺の足を急がせる。

このままだともう会えない気がしたから。あの魔物の巣を突っ切ることになったとしても、いかなくてはいけない。






それは唐突に。目の前に現れた。−キラービー。
巨大バチだ。レーベでも噂を聞いた、音もなく現れ、鋭い針を深々と脊髄に埋め込む暗殺者。
それと対峙する。筋肉が置いていってくれた皮の盾をかざす。ナイフを握る手が震える。


怖い。
今までは誰かがいてくれた。俺は防御し、逃げていればよかった。ダメージを受けても癒してもらえた。
だが今は。あの巨大な針を埋め込まれたら−死−

ゾッと体中が泡立つのを感じる。
逃げそうな俺を必死で叱責する。
確かに怖いが、これを乗り越えねば俺は先に進めないのだ。


386 :DQ3 :2005/05/02(月) 03:49:19 ID:dk14y5U8
覚悟をきめて震える足を踏み出す。刹那。

ハチの羽がブレたかと思うと盾が大きく弾かれる。
攻撃を受けたのだ。盾で防いだわけではない。たまたま頭と針をつなぐ直線に盾があったに過ぎない。

唐突に嗅いだ死の匂い。足が震える。
盾のあった位置には…奴がいた。
「うわ…ああぁぁっ!」
ガムシャラに前に出てナイフを振り回す。が、天性の暗殺者に当たるはずもなく、空をきるだけだった。
間合いを取る暗殺者に対して、俺は精神を集中した。

387 :DQ3 :2005/05/02(月) 03:56:40 ID:dk14y5U8
冷気だ。メラは空間に対してエントロピーを高めた。それと逆のことをすればいい。奴の機動性を奪うにはこれが良いだろう。

ナイフを握る右手をゆっくり掲げる。狙うは…羽!

「ヒャドぉ!」

俺の気合いと同時に空間がざわめき、奴の羽が凍り付く。奴は地面に落ちた。


俺は、ゆっくり歩いて。奴のもがく体に、深々と、光を差し込んだ。


初めての殺しに。

初めての感触に。



俺は心で鳴いた。



HP.23
MP.18
E聖なるナイフ E旅人の服 E皮の盾
メラ ヒャド

388 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/02(月) 08:05:33 ID:zZmFw9/d
DQ4のは確かに面白いよな

389 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/02(月) 09:06:10 ID:IslRcz+E
もしかしたらゲームやりながら書いてるんじゃないか
と思ってる
おれは4やったことないけどね

390 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2005/05/02(月) 09:44:58 ID:SeS/H9us
あんまり「どれが面白い」とか言わんほうがいい。
それ以外の作者が途中放棄して過疎ったり、荒れだしたりしかねん。
心の中に留めとけ。

391 :DQ2 :2005/05/02(月) 19:02:49 ID:ta90aZiM
「王子!王子!」

 どこか遠く、そう、まるで違う世界から響いてくるような声。
うるさい。俺はこの朝のまどろみの時間が何よりも好きなんだ。

「王子!王子ー!」

 だから誰だよ、朝っぱらから大声を出してる奴は。
俺のアパートは閑静な事だけが売りのアパートだったはずだ。
気違いのように叫び声を上げる住人などいない。

「王子!王子!」

 ふと違和感を感じる。
少しずつ覚醒していく意識と共にそれは大きくなっていく。

「いい加減になさいませ!王子!今日は大切な日なのですぞ!」

 バタン、とドアの開く大きな音と共に初老の男が部屋に入ってきた。
その音があまりにも大きかったために、驚いた俺は思わず起き上がった。
……誰だ?
いや、それ以前にここはどこなのだ。

「探しましたぞ、王子」

 王子王子って俺は及川光博じゃない。

「お部屋におられぬ故どうしたのかと城内を見回りましたがどこにもおられず、
もしや王子の御身に何かあったのかと死にもの狂いで探し回ってみればかような所で高鼾とは……。
あれほど市井の者に迷惑を掛けぬよう教え込んだこの爺の努力は何だったのか……」

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